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第二章:ダンジョンマスターと魔物と人とチーター
第11話:残念吸血姫カーミラ 後編
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「なんだお前! 人間じゃないのか?」
「えっと、半人半魔?」
「そ……そうか、そうだよな……ただの人間がダンジョンマスターになるわけ、ああ、魔術師系の奴で何人か居るか。てっきりスライムが擬態してるのかと思った。無茶苦茶強いスライムのマスターも居るらしいから」
吹き飛ばされたカーミラが、服に付いた土を払いながら立ち上がる。
牧草地帯だからね。
「というか、1対1じゃなかったのか?」
「いや、1対1のつもりだったけど……なんか、さっきの攻撃でこいつが嫉妬したらしくて」
「ワン!」
よく覚えてたな。
ちゃんと、返事の仕方は忘れてなかったみたいだ。
「しかし牙が通らぬとは出鱈目な硬さじゃのう。仕方が無い。ここは、ヴラド様よりお借りした絶対貫通の付与がされた聖銀製の槍で」
「はっ?」
色々と誤算が。
まず、いきなり絶対貫通の槍だしてきた。
あと聖銀て……ヴァンパイアに銀が有効ってのは迷信か?
勝手にウィルス的な何かで吸血鬼化してるから、銀イオンの殺菌効果的なものが効くのかと。
「いやいやいや、そんなの刺されたら死んじゃうから」
「ん? そりゃ、従わぬなら殺すつもりで来てるからのう。なんじゃ、気が変わったか?」
ちょっと待て。
ここまで散々俺の家を荒らしてきておいて、何にも得てないのに殺されてたまるか。
そもそもその効果のある武具なら、うちの石ころさんの管理するアイテムボックスに入ってるし。
だから、自分でスキル上げ出来るから。
もっと違う方法で、殺してくれないかな?
「クーン」
おお、思ってる事が分かったのかファングがこっちを不憫な目で見つめている。
スレイプニルは、そんなファングの様子を訝し気に見てるだけだけど。
そういえばスレイプニルとは、従魔契約結んでなかったな。
名前を付ければ良いんだっけ?
「あっ、お前の名前はシルバね?」
「ヒヒーン!」
「よしっ!」
唐突にスレイプニルに名前を付けると、光の筋が繋がって契約が成立したのが分かる。
これで、死んでもスレイプニルとの下りをやり直さなくても済む……んだよね?
『そうですよ。それにしても、変わった名前ですね』
「いいよ、本人が喜んでるからっと、「無視をするな!」」
「あぶねっ!」
いきなりカーミラが叫んで槍を突いてきたので、取りあえず半身を反らして躱す。
槍か……引き戻すのが遅い。
「なっ!」
「これは後でね。もっと他に俺に有効的な攻撃無いの?」
「……マズい……マズいのじゃ。あの槍を奪われてしまっては、妾が刺されてしまうのじゃ……非常にマズいのじゃ……」
槍を掴んで奪うと、目の前のカーミラが目に見えて動揺し始める。
顔面蒼白で爪を噛みながら、冷や汗をダラダラと流し始めてる。
そんなに分かりやすく動揺を表して良いのか?
「いや、これは後で返すから。取りあえず闇属性魔法とか、なんか特殊な攻撃とか無いの?」
「妾を殺した後でか?」
絶世の美女が怯えるような眼でこっちを見てくるので、ちょっと苛めたくなる。
いや、そうじゃない。
新しい耐性を集めたいんだって。
「闇属性なら耐性無いよ?」
「魔族なのにか?」
「うん」
「フハハハハ! 馬鹿め! 貴様如きにそんな槍など不要! 妾の魔法で苦しみ死ぬが良い! 【毒撃】!」
「おおお! 違う!」
急に元気になったカーミラの手から、緑色の球体が飛ばされてくる。
でもさ……ヴェノムって毒だよね?
それは、耐性持ってるから。
力任せに緑の玉を地面に叩きつける。
緑色の液体が飛び散って、牧草の一部が枯れ始める。
思わぬ飛び火。
まあ、あとで刈り取らせるか。
「嘘吐き! 効かぬではないか!」
「いや、もっとこう……なんていうか直接ダメージを与える的なやつ無いの?」
「むう! そんな事言うてもお主、闇属性は状態異常特化の魔法ばかりじゃからのう。おお、これならどうじゃ!【魅了の目】」
おお、意識が……やべー、さっきまで絶世の美女だったのに、もう女神様に見えてきた。
どちらかと言うと、チャームポイントは目というより全身だな。
あと、個人的にはチラリと除く八重歯の方が。
そういえば、さっきその八重歯で甘噛みされてたんだっけ。
はあはあ……興奮……を抑えられる程度には精神力が高いんだったわ。
「成功か? 手を上げよ」
「はい!」
体が勝手に?
これは、魅了されたって事か?
「なんじゃ、最初からこうしておけば良かった」
カーミラ様が満足気に頷くと、俺の近くまで歩いてくる。
クンカクンカ。
良い匂いでござる。
ずっとこのままでも良いかもしれない。
取りあえず、忠誠の証に熱い抱擁でも……あれ? 胃の調子が……
ああ、そうだった。
体の自由が奪われたら、セーブポイントに猛毒を直接体内に転送させてもらうよう頼んでたんだった。
一番困るのが、氷漬けとか、睡眠の上位スキルで動けなくなるまま悠久の時を過ごす事だからね。
保険掛けといて良かったのか悪かったのか。
願わくば、もう少しだけこの状態を……だから、急いだ?
嫉妬ですか?
さらに猛毒がおかわりドンだった。
「どうしたのじゃ?」
カーミラが心配そうに抱きかかえてくれてる。
おうふ、優しいじゃないか。
「おい、名前……忘れた。お主!お主!大丈夫か?」
また……会おうぜ……
次は名前をしっかりアピールしとこう……
「えっと、半人半魔?」
「そ……そうか、そうだよな……ただの人間がダンジョンマスターになるわけ、ああ、魔術師系の奴で何人か居るか。てっきりスライムが擬態してるのかと思った。無茶苦茶強いスライムのマスターも居るらしいから」
吹き飛ばされたカーミラが、服に付いた土を払いながら立ち上がる。
牧草地帯だからね。
「というか、1対1じゃなかったのか?」
「いや、1対1のつもりだったけど……なんか、さっきの攻撃でこいつが嫉妬したらしくて」
「ワン!」
よく覚えてたな。
ちゃんと、返事の仕方は忘れてなかったみたいだ。
「しかし牙が通らぬとは出鱈目な硬さじゃのう。仕方が無い。ここは、ヴラド様よりお借りした絶対貫通の付与がされた聖銀製の槍で」
「はっ?」
色々と誤算が。
まず、いきなり絶対貫通の槍だしてきた。
あと聖銀て……ヴァンパイアに銀が有効ってのは迷信か?
勝手にウィルス的な何かで吸血鬼化してるから、銀イオンの殺菌効果的なものが効くのかと。
「いやいやいや、そんなの刺されたら死んじゃうから」
「ん? そりゃ、従わぬなら殺すつもりで来てるからのう。なんじゃ、気が変わったか?」
ちょっと待て。
ここまで散々俺の家を荒らしてきておいて、何にも得てないのに殺されてたまるか。
そもそもその効果のある武具なら、うちの石ころさんの管理するアイテムボックスに入ってるし。
だから、自分でスキル上げ出来るから。
もっと違う方法で、殺してくれないかな?
「クーン」
おお、思ってる事が分かったのかファングがこっちを不憫な目で見つめている。
スレイプニルは、そんなファングの様子を訝し気に見てるだけだけど。
そういえばスレイプニルとは、従魔契約結んでなかったな。
名前を付ければ良いんだっけ?
「あっ、お前の名前はシルバね?」
「ヒヒーン!」
「よしっ!」
唐突にスレイプニルに名前を付けると、光の筋が繋がって契約が成立したのが分かる。
これで、死んでもスレイプニルとの下りをやり直さなくても済む……んだよね?
『そうですよ。それにしても、変わった名前ですね』
「いいよ、本人が喜んでるからっと、「無視をするな!」」
「あぶねっ!」
いきなりカーミラが叫んで槍を突いてきたので、取りあえず半身を反らして躱す。
槍か……引き戻すのが遅い。
「なっ!」
「これは後でね。もっと他に俺に有効的な攻撃無いの?」
「……マズい……マズいのじゃ。あの槍を奪われてしまっては、妾が刺されてしまうのじゃ……非常にマズいのじゃ……」
槍を掴んで奪うと、目の前のカーミラが目に見えて動揺し始める。
顔面蒼白で爪を噛みながら、冷や汗をダラダラと流し始めてる。
そんなに分かりやすく動揺を表して良いのか?
「いや、これは後で返すから。取りあえず闇属性魔法とか、なんか特殊な攻撃とか無いの?」
「妾を殺した後でか?」
絶世の美女が怯えるような眼でこっちを見てくるので、ちょっと苛めたくなる。
いや、そうじゃない。
新しい耐性を集めたいんだって。
「闇属性なら耐性無いよ?」
「魔族なのにか?」
「うん」
「フハハハハ! 馬鹿め! 貴様如きにそんな槍など不要! 妾の魔法で苦しみ死ぬが良い! 【毒撃】!」
「おおお! 違う!」
急に元気になったカーミラの手から、緑色の球体が飛ばされてくる。
でもさ……ヴェノムって毒だよね?
それは、耐性持ってるから。
力任せに緑の玉を地面に叩きつける。
緑色の液体が飛び散って、牧草の一部が枯れ始める。
思わぬ飛び火。
まあ、あとで刈り取らせるか。
「嘘吐き! 効かぬではないか!」
「いや、もっとこう……なんていうか直接ダメージを与える的なやつ無いの?」
「むう! そんな事言うてもお主、闇属性は状態異常特化の魔法ばかりじゃからのう。おお、これならどうじゃ!【魅了の目】」
おお、意識が……やべー、さっきまで絶世の美女だったのに、もう女神様に見えてきた。
どちらかと言うと、チャームポイントは目というより全身だな。
あと、個人的にはチラリと除く八重歯の方が。
そういえば、さっきその八重歯で甘噛みされてたんだっけ。
はあはあ……興奮……を抑えられる程度には精神力が高いんだったわ。
「成功か? 手を上げよ」
「はい!」
体が勝手に?
これは、魅了されたって事か?
「なんじゃ、最初からこうしておけば良かった」
カーミラ様が満足気に頷くと、俺の近くまで歩いてくる。
クンカクンカ。
良い匂いでござる。
ずっとこのままでも良いかもしれない。
取りあえず、忠誠の証に熱い抱擁でも……あれ? 胃の調子が……
ああ、そうだった。
体の自由が奪われたら、セーブポイントに猛毒を直接体内に転送させてもらうよう頼んでたんだった。
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嫉妬ですか?
さらに猛毒がおかわりドンだった。
「どうしたのじゃ?」
カーミラが心配そうに抱きかかえてくれてる。
おうふ、優しいじゃないか。
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次は名前をしっかりアピールしとこう……
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