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第二章:ダンジョンマスターと魔物と人とチーター
第9話:残念吸血姫カーミラ 前編
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「ふむ、お主がここの主か?」
目の前に居るのは、ガチの絶世の美女。
透き通り過ぎるくらいに白い肌。
艶やかな黒髪が腰まで伸びている。
吸血鬼なのに、頭頂部のやや下に天使の輪が出来てる……狙ってる?
背は170くらいか?
スラっとして、足も長くナイスバディ。
チラリと口元から覗く八重歯が可愛い。
胸は……本物なら、結構ありそうだけど。
「どこを見ておる?」
おっと……、胸を見過ぎたみたいだ。
両腕で胸を隠すようにしている。
しかしなぁ……見てたことがばれたところで、NPCだからなー。
むしろ、その反応はご褒美でしかないというか……
無視してさらにガン見することに、なんの抵抗も無いと言うか。
嫌われたり、嫌がられたところで私生活に影響はないわけで。
うん、構わず肢体を堪能しよう。
眼福、眼福。
「むぅ……ここまで、堂々と嘗め回すように見てくるとは。お主、さては変態だな!」
ここは、大物らしくデーンと胸を張ってもらいたかったところだけど。
胸を隠しながら、罵られた。
そもそも、見られるのが嫌ならもう少し胸元が隠れるような服にしたら良いのに。
イブニングドレスっぽいので来るかね、普通。
人のこと言えないけど。
結局あのあとセーブポイントと話し合った結果、ファングの意見もあり多数決で対火自動修復機能のついた見た目だけゴージャスなローブになった。
防御力的なものは皆無らしい。
これを作った人は何を思って作ったのだろうか?
儀式用との事だった。
色は純白で、金糸で刺繍が施してある。
数代前の教皇様が使っていたものの模造品らしい。
当初は黒い魔王っぽいローブを勧められたが、個人的に全身真黒とか自意識過剰な気がしてごねたら妥協案でこのローブになった。
肌触りは絹に近くて丁度いい。
この戦いが終わったら寝間着にしよう。
もう一度カーミラの方を見る。
狼が2匹。
大分数減らしてるね?
ここに来るまで、大変だったのだろう。
帯刀してるけど、執事服の男性二人。
そして、セクシーなお姉ちゃん。
向こうも、大概嘗めてるわ。
「スレイプニルか? 乗りこなせるとはそこそこやるようだが、そいつはここのボスだろう?」
「そうだよ?」
「そして一緒に居るという事は、本来ならここを抜けたらマスタールームという事だな? 最下層まで攻め込まれて慌てて飛び出てきたってとこか?」
「どうだろうね?」
残念、まだあと30階層も残してます。
正直に言うつもりも無いけどね。
「カーミラ様、あの馬は我々で対処します。残存兵力全力で当たれば、足止めくらいは出来るかと」
俺も乗ってるんだけどね?
どうやって別々にするつもりなのかな?
あと残存兵力って、そっちのユニット4体しか居ないけど?
「そうか……私もスレイプニルとマスターを同時に相手するのは、ちょっとしんどいと思ってたところだ。任せよう」
「御意に」
勝手に話が進んでるけど。
その前に、もっとお話ししようよ。
「俺はヨシキだ。取りあえずここに来た目的くらいは聞かせて貰っても良いんじゃ無いか?」
「ふんっ、これから殺すつもりの相手に何を話す事が……まあ、何も分からずに死んでいくのも理不尽な話じゃから聞かせてやろうか」
名乗ったんだらか、名乗れよ!
名前知ってるけど……
まあ、偉そうだけど、ちゃんと聞かせてくれるんだ。
ボスキャラがストーリーを話してくれないと、中身スカスカの戦うだけのゲームになっちゃうしね。
『現在、貴方もボスキャラの1人ですが?』
「黙れ」
「なっ! 無礼者! 聞かせろと言ったのはお主じゃろうが!」
あっ、お姉ちゃんが激おこだ。
違う、お前じゃない。
「ああ、こっちの話だ。そっちは続けてくれ。というか、名を名乗れ!」
「貴様! 流石に幾らダンジョンマスターの御1人とはいえ、生まれたての癖に1000年ダンジョンを守って来られたカーミラ様にその不遜な態度……ただでは済まさんぞ?」
執事の1人まで怒り出した。
もう1人は何考えてるか分からないけど。
「まあ、焦るなアルフレッド。これでも私の可愛い後輩だ。話を聞いて下に付くというなら許してやらんでもない、それと私は偉大なるオリジンブラッドたる、ヴラド様の眷族である始祖吸血鬼が1人カーミラだ」
名乗ってくれるんだ。
しかも聞いても無いのに、仕える主の名前まで。
オリジンブラッド……セーブポイントがオリジンヴァンパイアって言ってたもんね。
てかトゥルーヴァンパイアもこいつ以外にも居るのか。
でもオリジンが始祖じゃないのかな?
話の内容的には、第二世代だよね?
あら?
なんかオリジナルよりも、強そう。
「き……聞く気はあるのか?」
不安そうな表情で、こっちを見てくる美女にちょっとほっこり。
よし、満足。
しっかりと聞く準備もできたし、先を続けて貰おう。
「話次第かな?」
おっと、偉そうだったか?
アルフレッドのこめかみがピクピクしてる。
口調が気に喰わないんだろうけど、そもそもここの家主は俺だからね。
土足で踏み込んできて、お客様対応してもらえると思うなよ?
土禁じゃないけど。
「ダンジョーン様が崩御されたの知っておろう」
「あー……俺が原因みたいなもんらしいけど、知ってる」
「となると、この世界を含め全てのダンジョンが現在無統治……いや、各ダンジョンのマスターにそれぞれのダンジョンの全権が委ねられている状態だ」
「そうだね」
俺が返事する度に、アルフレッドの怒りメーターが上がってる。
カーミラの方は落ち着いたようだ。
まあ、説明中は何してても怒られる事ってあんまりないもんな。
ゲームだから。
『……』
「そうなると、新たに全てのダンジョンを統括する存在が必要だとは思わんか?」
「別に?」
イラッとするだろう?
この3文字は割と、神経を逆なでする答えだ。
「そ……そうか。まあ、わしの主であるヴラド様がその状況を憂いでおいてな。その心配事を少しでも減らす為にわしがこうやって動いておるわけじゃが……それで、まずは一番近いお主のダンジョンを訪ねて下に付かないか聞きに来たわけじゃ」
カーミラが若干動揺してた。
意外な答えだったのかな?
「の割には、ここの魔物殺しまくってるけどな」
「ある程度力を示さねば、交渉を有利に進める事はできぬじゃろう? ここまで来たのじゃ、もう彼我の力の差は分かっておろう?」
「うーん、そっちも減らされてるよね? そもそも、いちダンジョンのマスターが攻略に来る時点で反則じゃね?」
「わしの力を直接見せれば、逆らうような阿呆はおらぬと思うたのじゃが?」
おお、めっちゃ威圧されてる。
持ってて良かった威圧無効。
「どうじゃ? ヴラド様の下に付かぬか?」
「断る!」
「貴様!」
断った瞬間に、アルフレッドが斬りかかってきた。
ここで、お前死んだらスレイプニルの対応が難しくなると思うんだけど?
まあ良いや。
「カモン! ファング!」
俺が叫ぶと、すぐ横で光の粒子が集まってファングが転移してくる。
従魔召喚ってこんな感じなのか?
てっきり、魔法陣から来るかと思った。
俺自身は魔法使えないけど。
「ゴー!」
「アウーン!」
俺の指示で、ファングが一気にアルフレッドに向かって行きその喉を噛み切る。
勢い余って、首が丸ごと食いちぎられて頭が落ちたけど。
「ふっ、力ずくで押さえてみるか?」
「生意気なクズが……」
おお、カーミラさんめっちゃ動揺してますよ?
口調とは裏腹に、目が泳いでますけど?
目の前に居るのは、ガチの絶世の美女。
透き通り過ぎるくらいに白い肌。
艶やかな黒髪が腰まで伸びている。
吸血鬼なのに、頭頂部のやや下に天使の輪が出来てる……狙ってる?
背は170くらいか?
スラっとして、足も長くナイスバディ。
チラリと口元から覗く八重歯が可愛い。
胸は……本物なら、結構ありそうだけど。
「どこを見ておる?」
おっと……、胸を見過ぎたみたいだ。
両腕で胸を隠すようにしている。
しかしなぁ……見てたことがばれたところで、NPCだからなー。
むしろ、その反応はご褒美でしかないというか……
無視してさらにガン見することに、なんの抵抗も無いと言うか。
嫌われたり、嫌がられたところで私生活に影響はないわけで。
うん、構わず肢体を堪能しよう。
眼福、眼福。
「むぅ……ここまで、堂々と嘗め回すように見てくるとは。お主、さては変態だな!」
ここは、大物らしくデーンと胸を張ってもらいたかったところだけど。
胸を隠しながら、罵られた。
そもそも、見られるのが嫌ならもう少し胸元が隠れるような服にしたら良いのに。
イブニングドレスっぽいので来るかね、普通。
人のこと言えないけど。
結局あのあとセーブポイントと話し合った結果、ファングの意見もあり多数決で対火自動修復機能のついた見た目だけゴージャスなローブになった。
防御力的なものは皆無らしい。
これを作った人は何を思って作ったのだろうか?
儀式用との事だった。
色は純白で、金糸で刺繍が施してある。
数代前の教皇様が使っていたものの模造品らしい。
当初は黒い魔王っぽいローブを勧められたが、個人的に全身真黒とか自意識過剰な気がしてごねたら妥協案でこのローブになった。
肌触りは絹に近くて丁度いい。
この戦いが終わったら寝間着にしよう。
もう一度カーミラの方を見る。
狼が2匹。
大分数減らしてるね?
ここに来るまで、大変だったのだろう。
帯刀してるけど、執事服の男性二人。
そして、セクシーなお姉ちゃん。
向こうも、大概嘗めてるわ。
「スレイプニルか? 乗りこなせるとはそこそこやるようだが、そいつはここのボスだろう?」
「そうだよ?」
「そして一緒に居るという事は、本来ならここを抜けたらマスタールームという事だな? 最下層まで攻め込まれて慌てて飛び出てきたってとこか?」
「どうだろうね?」
残念、まだあと30階層も残してます。
正直に言うつもりも無いけどね。
「カーミラ様、あの馬は我々で対処します。残存兵力全力で当たれば、足止めくらいは出来るかと」
俺も乗ってるんだけどね?
どうやって別々にするつもりなのかな?
あと残存兵力って、そっちのユニット4体しか居ないけど?
「そうか……私もスレイプニルとマスターを同時に相手するのは、ちょっとしんどいと思ってたところだ。任せよう」
「御意に」
勝手に話が進んでるけど。
その前に、もっとお話ししようよ。
「俺はヨシキだ。取りあえずここに来た目的くらいは聞かせて貰っても良いんじゃ無いか?」
「ふんっ、これから殺すつもりの相手に何を話す事が……まあ、何も分からずに死んでいくのも理不尽な話じゃから聞かせてやろうか」
名乗ったんだらか、名乗れよ!
名前知ってるけど……
まあ、偉そうだけど、ちゃんと聞かせてくれるんだ。
ボスキャラがストーリーを話してくれないと、中身スカスカの戦うだけのゲームになっちゃうしね。
『現在、貴方もボスキャラの1人ですが?』
「黙れ」
「なっ! 無礼者! 聞かせろと言ったのはお主じゃろうが!」
あっ、お姉ちゃんが激おこだ。
違う、お前じゃない。
「ああ、こっちの話だ。そっちは続けてくれ。というか、名を名乗れ!」
「貴様! 流石に幾らダンジョンマスターの御1人とはいえ、生まれたての癖に1000年ダンジョンを守って来られたカーミラ様にその不遜な態度……ただでは済まさんぞ?」
執事の1人まで怒り出した。
もう1人は何考えてるか分からないけど。
「まあ、焦るなアルフレッド。これでも私の可愛い後輩だ。話を聞いて下に付くというなら許してやらんでもない、それと私は偉大なるオリジンブラッドたる、ヴラド様の眷族である始祖吸血鬼が1人カーミラだ」
名乗ってくれるんだ。
しかも聞いても無いのに、仕える主の名前まで。
オリジンブラッド……セーブポイントがオリジンヴァンパイアって言ってたもんね。
てかトゥルーヴァンパイアもこいつ以外にも居るのか。
でもオリジンが始祖じゃないのかな?
話の内容的には、第二世代だよね?
あら?
なんかオリジナルよりも、強そう。
「き……聞く気はあるのか?」
不安そうな表情で、こっちを見てくる美女にちょっとほっこり。
よし、満足。
しっかりと聞く準備もできたし、先を続けて貰おう。
「話次第かな?」
おっと、偉そうだったか?
アルフレッドのこめかみがピクピクしてる。
口調が気に喰わないんだろうけど、そもそもここの家主は俺だからね。
土足で踏み込んできて、お客様対応してもらえると思うなよ?
土禁じゃないけど。
「ダンジョーン様が崩御されたの知っておろう」
「あー……俺が原因みたいなもんらしいけど、知ってる」
「となると、この世界を含め全てのダンジョンが現在無統治……いや、各ダンジョンのマスターにそれぞれのダンジョンの全権が委ねられている状態だ」
「そうだね」
俺が返事する度に、アルフレッドの怒りメーターが上がってる。
カーミラの方は落ち着いたようだ。
まあ、説明中は何してても怒られる事ってあんまりないもんな。
ゲームだから。
『……』
「そうなると、新たに全てのダンジョンを統括する存在が必要だとは思わんか?」
「別に?」
イラッとするだろう?
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「そ……そうか。まあ、わしの主であるヴラド様がその状況を憂いでおいてな。その心配事を少しでも減らす為にわしがこうやって動いておるわけじゃが……それで、まずは一番近いお主のダンジョンを訪ねて下に付かないか聞きに来たわけじゃ」
カーミラが若干動揺してた。
意外な答えだったのかな?
「の割には、ここの魔物殺しまくってるけどな」
「ある程度力を示さねば、交渉を有利に進める事はできぬじゃろう? ここまで来たのじゃ、もう彼我の力の差は分かっておろう?」
「うーん、そっちも減らされてるよね? そもそも、いちダンジョンのマスターが攻略に来る時点で反則じゃね?」
「わしの力を直接見せれば、逆らうような阿呆はおらぬと思うたのじゃが?」
おお、めっちゃ威圧されてる。
持ってて良かった威圧無効。
「どうじゃ? ヴラド様の下に付かぬか?」
「断る!」
「貴様!」
断った瞬間に、アルフレッドが斬りかかってきた。
ここで、お前死んだらスレイプニルの対応が難しくなると思うんだけど?
まあ良いや。
「カモン! ファング!」
俺が叫ぶと、すぐ横で光の粒子が集まってファングが転移してくる。
従魔召喚ってこんな感じなのか?
てっきり、魔法陣から来るかと思った。
俺自身は魔法使えないけど。
「ゴー!」
「アウーン!」
俺の指示で、ファングが一気にアルフレッドに向かって行きその喉を噛み切る。
勢い余って、首が丸ごと食いちぎられて頭が落ちたけど。
「ふっ、力ずくで押さえてみるか?」
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