21 / 99
第一章:チュートリアル
第21話:王国ダンジョン研究所
しおりを挟む
目を覚ましたミランと、ジェウォンと話をして色々な設定が分かった。
まず、このダンジョンがあるのはファースト王国のファースト地方の草原の中らしい。
あれか? 最初の場所だからファーストなのか?
彼らはこのダンジョンからすぐ近くにある、メラミの町から来たとの事だ。
ジェウォン達のパーティは火の誓いというC級パーティらしく、それなりの実績を上げている中堅組らしい。
ミランはこの辺りの魔素が薄くなっているという事から、新たなダンジョンが出来たのではという予測を立てた王立ダンジョン対策部周辺地区魔素観測所のスタッフ。
なんでもダンジョンというのは周辺の魔素を取り込んでしまうらしく、そのため魔素が少なくなった場所には新たなダンジョンが出来ている可能性が高いとの事だった。
魔素が薄くなることで魔獣の活性化が抑えられるというメリットもあるが、それ以上にダンジョン産の魔物が外に出る事の方が危険で、新たなダンジョンが出来た場合は大きくなる前に早急に対策を取るらしい。
厳密には入り口を魔素の吸収を押さえる素材で出来た扉で塞ぎダンジョンの拡張を防ぐとともに、ダンジョンコアを破壊しうるであろう戦力を持ってダンジョンの破壊を行っているらしい。
『私は特殊素材で出来てますから、この世界に現存する道具では壊れませんからご安心を』
チッ!
もしかしたら、こいつらにコアを壊して貰えるかと思ったのに。
安心というか、残念でならないよ。
「貴方、マジックコートを使って無いみたいだけど魔力は大丈夫なの?」
「ん? 俺は元々魔力なんて持って無かったから問題無いし」
「でも……凄い魔力を内包しているように見えるのだけど」
ミランが新しい設定を教えてくれた。
なんでもダンジョンに挑む人たちはマジックコートと呼ばれるものを身に纏っているらしい。
と言っても魔道具の一種で、ダンジョンに魔力を吸収されなくなるといった効果がある装飾品らしい。
指輪だったり、ネックレスだったりと形は様々だ。
値段もそんなに高いものではなく、冒険者ギルドで普通に買えるらしい。
うん、ギルドあるんだ。
という事はクエストをこなして、ギルドランクを上げたりってのも可能って事か。
商業ギルドや、鍛冶ギルドもあるらしいからやっぱり自由度はかなり高そうだ。
いや、もしかしたら冒険者ギルドにしか登録できないってオチもあるかもしれないけどね。
「そんな事言ってもな……魔力と無縁の国から来たし」
「魔力と無縁……でも、ダンジョン内で魔力を普通に纏っている……もしかして……」
何やらミランが気になる事を言い出した。
おお、ようやく話が進みそうだ。
もしかしての後はなんだ?
勇者か?
それとももしかして、ダンジョンマスターってバレたのか?
あとはありがちな異世界人って結論か?
「トラベラー?」
「はっ?」
「いや、貴方達のようにある日突然この世界に現れて、途轍もない力や才能を持った人たちの事よ。彼らの国の言葉で旅人って呼ぶらしいけど」
ああ……3番か。
異世界人……
なるほど、ある程度最初で強化されるような仕組みはこの為か。
たぶんこのゲームは、最近はやりの転生ものや転移ものを題材にしたゲームなのだろう。
だから、なんの説明もなくいきなり実験的にモニターをやらされたのか。
うん、日本で最も重視されるべき人権はどこ行った?
完全に誘拐、監禁に加えて傷害もあり得るぞ。
このゲーム作ったやつ頭大丈夫か?
それとも、俺の親にこっそり許可取ってるとか? 金と引き換えに。
だけど、成人した俺にいくら親の許可取ったところでそんな勝手は許されるはずは無いしな。
まさか……本物?
ハハハ、いや流石だよ。
どこの制作会社かしらないけど、そこまで思わせるクオリティは認めざるを得ないとしか言えないな。
『いい加減、現実を見てください』
「黙れ非現実!」
「はっ?」
「いや、何でもない。ちょっと通信が入っただけだから気にしないで」
部下が何か言ってるが、こいつはあくまでサポーターだからな。
うん、気にしない気にしない。
「旅人って事は……プレイヤーが他にもいるって事か」
「プレイヤー? それは聞いた事無いわね」
「そりゃそうだろう。プレイヤーって言葉はたぶん禁句だからな」
って事は本格的にこいつらに付き合わないといけないって事か?
でも、他にも強制的に拉致られた奴等が居るって事が分かっただけでも良かった。
NPCはもしかしたら運営の人かもってクオリティだから、モニターが滅茶苦茶少ないかと思ったわ。
いや、それすらも会話でしか判断できないから騙されてる可能性は高いか。
「取りあえず多分俺はそのトラベラーって奴だと思うわ」
「じゃあ、身分証とかも無い訳ですね。一応私達の機関ではトラベラーの保護も活動の1つですから、是非付いて来てもらいたいのですが」
「何故急に敬語?」
「いや、トラベラーの方達は一応王陛下が、国の客人として対応しろとおっしゃってますので。まあ、貴方達の非常識な力を鑑みれば当然の対応ですが」
おお、利用する気満々じゃねーか。
そもそも、NPCがプレイヤーに勝てる訳無いしな。
ゲームでストーリ上だと敵兵に囲まれて捕まったり銃で撃たれて仲間が死んだりするけど、フィールドバトルだと同じタイプの兵なのに鉄砲で打たれてもこっちは大したダメージ受けない上に、6人纏めて魔法で一掃とかざらだからね。
あれは理不尽だと思う。
ボスキャラ扱いの将軍クラスは別として。
その前の戦闘だと撃たれてもダメージちょっとしか喰らわないのに、ストーリー上離脱した仲間がムービーでは撃たれたら死ぬとか本当にイラつく。
「つってもさ……俺が付いてかないとお前ら出られないだろ?」
「……」
俺の言葉にミランが全力で顔を背ける。
そして、そのミランの視線の先に居たジェウォンが首を横に振る。
うん、あんたの護衛じゃここでは自分の身も守れないからな?
「どっちかっていうと、連れて帰ってくださいじゃない?」
「……はい」
俺の言葉にミランが力なく首を縦に振った。
まず、このダンジョンがあるのはファースト王国のファースト地方の草原の中らしい。
あれか? 最初の場所だからファーストなのか?
彼らはこのダンジョンからすぐ近くにある、メラミの町から来たとの事だ。
ジェウォン達のパーティは火の誓いというC級パーティらしく、それなりの実績を上げている中堅組らしい。
ミランはこの辺りの魔素が薄くなっているという事から、新たなダンジョンが出来たのではという予測を立てた王立ダンジョン対策部周辺地区魔素観測所のスタッフ。
なんでもダンジョンというのは周辺の魔素を取り込んでしまうらしく、そのため魔素が少なくなった場所には新たなダンジョンが出来ている可能性が高いとの事だった。
魔素が薄くなることで魔獣の活性化が抑えられるというメリットもあるが、それ以上にダンジョン産の魔物が外に出る事の方が危険で、新たなダンジョンが出来た場合は大きくなる前に早急に対策を取るらしい。
厳密には入り口を魔素の吸収を押さえる素材で出来た扉で塞ぎダンジョンの拡張を防ぐとともに、ダンジョンコアを破壊しうるであろう戦力を持ってダンジョンの破壊を行っているらしい。
『私は特殊素材で出来てますから、この世界に現存する道具では壊れませんからご安心を』
チッ!
もしかしたら、こいつらにコアを壊して貰えるかと思ったのに。
安心というか、残念でならないよ。
「貴方、マジックコートを使って無いみたいだけど魔力は大丈夫なの?」
「ん? 俺は元々魔力なんて持って無かったから問題無いし」
「でも……凄い魔力を内包しているように見えるのだけど」
ミランが新しい設定を教えてくれた。
なんでもダンジョンに挑む人たちはマジックコートと呼ばれるものを身に纏っているらしい。
と言っても魔道具の一種で、ダンジョンに魔力を吸収されなくなるといった効果がある装飾品らしい。
指輪だったり、ネックレスだったりと形は様々だ。
値段もそんなに高いものではなく、冒険者ギルドで普通に買えるらしい。
うん、ギルドあるんだ。
という事はクエストをこなして、ギルドランクを上げたりってのも可能って事か。
商業ギルドや、鍛冶ギルドもあるらしいからやっぱり自由度はかなり高そうだ。
いや、もしかしたら冒険者ギルドにしか登録できないってオチもあるかもしれないけどね。
「そんな事言ってもな……魔力と無縁の国から来たし」
「魔力と無縁……でも、ダンジョン内で魔力を普通に纏っている……もしかして……」
何やらミランが気になる事を言い出した。
おお、ようやく話が進みそうだ。
もしかしての後はなんだ?
勇者か?
それとももしかして、ダンジョンマスターってバレたのか?
あとはありがちな異世界人って結論か?
「トラベラー?」
「はっ?」
「いや、貴方達のようにある日突然この世界に現れて、途轍もない力や才能を持った人たちの事よ。彼らの国の言葉で旅人って呼ぶらしいけど」
ああ……3番か。
異世界人……
なるほど、ある程度最初で強化されるような仕組みはこの為か。
たぶんこのゲームは、最近はやりの転生ものや転移ものを題材にしたゲームなのだろう。
だから、なんの説明もなくいきなり実験的にモニターをやらされたのか。
うん、日本で最も重視されるべき人権はどこ行った?
完全に誘拐、監禁に加えて傷害もあり得るぞ。
このゲーム作ったやつ頭大丈夫か?
それとも、俺の親にこっそり許可取ってるとか? 金と引き換えに。
だけど、成人した俺にいくら親の許可取ったところでそんな勝手は許されるはずは無いしな。
まさか……本物?
ハハハ、いや流石だよ。
どこの制作会社かしらないけど、そこまで思わせるクオリティは認めざるを得ないとしか言えないな。
『いい加減、現実を見てください』
「黙れ非現実!」
「はっ?」
「いや、何でもない。ちょっと通信が入っただけだから気にしないで」
部下が何か言ってるが、こいつはあくまでサポーターだからな。
うん、気にしない気にしない。
「旅人って事は……プレイヤーが他にもいるって事か」
「プレイヤー? それは聞いた事無いわね」
「そりゃそうだろう。プレイヤーって言葉はたぶん禁句だからな」
って事は本格的にこいつらに付き合わないといけないって事か?
でも、他にも強制的に拉致られた奴等が居るって事が分かっただけでも良かった。
NPCはもしかしたら運営の人かもってクオリティだから、モニターが滅茶苦茶少ないかと思ったわ。
いや、それすらも会話でしか判断できないから騙されてる可能性は高いか。
「取りあえず多分俺はそのトラベラーって奴だと思うわ」
「じゃあ、身分証とかも無い訳ですね。一応私達の機関ではトラベラーの保護も活動の1つですから、是非付いて来てもらいたいのですが」
「何故急に敬語?」
「いや、トラベラーの方達は一応王陛下が、国の客人として対応しろとおっしゃってますので。まあ、貴方達の非常識な力を鑑みれば当然の対応ですが」
おお、利用する気満々じゃねーか。
そもそも、NPCがプレイヤーに勝てる訳無いしな。
ゲームでストーリ上だと敵兵に囲まれて捕まったり銃で撃たれて仲間が死んだりするけど、フィールドバトルだと同じタイプの兵なのに鉄砲で打たれてもこっちは大したダメージ受けない上に、6人纏めて魔法で一掃とかざらだからね。
あれは理不尽だと思う。
ボスキャラ扱いの将軍クラスは別として。
その前の戦闘だと撃たれてもダメージちょっとしか喰らわないのに、ストーリー上離脱した仲間がムービーでは撃たれたら死ぬとか本当にイラつく。
「つってもさ……俺が付いてかないとお前ら出られないだろ?」
「……」
俺の言葉にミランが全力で顔を背ける。
そして、そのミランの視線の先に居たジェウォンが首を横に振る。
うん、あんたの護衛じゃここでは自分の身も守れないからな?
「どっちかっていうと、連れて帰ってくださいじゃない?」
「……はい」
俺の言葉にミランが力なく首を縦に振った。
71
お気に入りに追加
896
あなたにおすすめの小説

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが……
アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。
そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。
実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。
剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。
アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件
月風レイ
ファンタジー
普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。
そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。
そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。
そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。
そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。
食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。
不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。
大修正中!今週中に修正終え更新していきます!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

転生させて貰ったけど…これやりたかった事…だっけ?
N
ファンタジー
目が覚めたら…目の前には白い球が、、
生まれる世界が間違っていたって⁇
自分が好きだった漫画の中のような世界に転生出来るって⁈
嬉しいけど…これは一旦落ち着いてチートを勝ち取って最高に楽しい人生勝ち組にならねば!!
そう意気込んで転生したものの、気がついたら………
大切な人生の相棒との出会いや沢山の人との出会い!
そして転生した本当の理由はいつ分かるのか…!!
ーーーーーーーーーーーーーー
※誤字・脱字多いかもしれません💦
(教えて頂けたらめっちゃ助かります…)
※自分自身が句読点・改行多めが好きなのでそうしています、読みにくかったらすみません
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる