ある日の立てこもり事件

最初の電話

△△を好きな人、そして○○を自分に例えて読んでください
プルルルル　プルルルル　プルルルル　プルルルル　プルルルル　プルルルル
(お願い、早く来て)
プルルルル　ガチャ
「もしもし、久しぶり。いきなり電話かけてきて、どうしたの、△△？」
「久しぶりじゃなくて、助けて、○○君」
「どうしたの？そんな切羽詰まった言い方して、何かあったの？」
「なんでかわからないけど、K組がうちの学校をハイジャックしてきてるんだよ」
「はぁ、どういうこと？K組ってあの○○市の暴力団のことかい？」
「そう。早く助けて」
「そうか。言われても」
「お願い、何でもするから」
「簡単に何でもとかいうな。そんなことしていたら、後悔するぞ」
「助けるのはいいけど、暴れていい系？」
「出来たら、穏便がいい」
「ん、でもよく電話できたね。近くにいないの？」
「私は今倉庫にいる」
「なるほど。こんなことは言ってないで、現実的な話をしよう」
「うん」
「学校の配置図とか書ける？」
「大まかであれば」
「なら、書いて送って」
「うん」
「あと、敵は何人で、武器は持ってる？」
「何人かはわからない。武器は銃だけが見えた」
「大きかった？」
「ううん、拳銃だと思う」
「ホンモノ？」
「たぶん、でもパッと見ただけだからわからない」
「ん、こちらはどれくらい動かしていい？」
「どういうこと？」
「軽くであれば、ヤンキーとか動かせるけど、どうするの？」
「その後に、私たちが襲われなければ」
「それは大丈夫だよ。一部は高校の同級生だし」
「なら、大丈夫ね」
「大丈夫だよ。隊長クラスの奴が一人、僕に恩を持ってるから。何かあったら呼ぶことになってるから。ま、死にやしないんだし、大丈夫でしょ」
「死なないでよ」
「大丈夫、スズメバチに一気に２百回も刺されても、死ななかった人がいるから、家はしぶといよ。言ったことやっておいて、こちらは他の奴らに電話するから」
「うん、助けてね」
「安心しろ、あんたが電話をかけてきたところは正解だから」
「うん、どういうこと？」
ガチャ
「まったく、何が起きてるんだよ。それにしてもあのボタンを押すことがこんなに早く来るとはな。
えーと、あいつは、いたいた」
ぽち
この日、簡単には押されないはずだったボタンが、運命を変える一歩となった。