4 / 38
ボリジの章
③ はなむけの言葉 (回想:半月前)
しおりを挟む
「ユニ様、おかえりなさい。スコル様はなんと?」
私が宮廷へ出向いてから、部屋を整えてくれていたラス、アンジュに、政略婚の話を打ち明けた。
「私、世界の果てへでもユニ様についていきます!」
「あ、こらアンジュ、俺の言おうとしていたことを! 私だってユニ様がお望みくださるなら、地獄の果てへでもお供いたします!」
ああ。嬉しいなあ。この子たちを、もう戻って来られるかも分からない、国外へ連れて行っていいか不安だったの。
「ありがとう。じゃあ、“あちら”で挨拶をしてくるわね」
中断させてしまった片付けを任せ、私はまた自室をあとにした。
side:サーベラス
「…………」
ユニ様が行ってしまわれた後も、扉をじっと見ていた俺にアンジュが問いかける。
「ラスさん、本当に決まってしまいましたね?」
「ユニ様が選ばれることに、一抹の不思議もないしな」
「ラスさんが骨を折った甲斐がありましたねぇ~~」
「俺はどこの骨も折ってないぞ」
正直、俺の行動が、ユニ様の運命を決めてしまうことになるやもなどと、僭越ではあったが……。
2ヶ月前のことだった。
────「お呼びでございますか? スコル様」
珍しくユニ様の父君、スコル候の事務室に呼び出された。
「うむ。ユニヴェールの手記か何か、手跡が分かるものを持ってこい」
「何にお使いになられるので?」
「そのようなこと、お前ごときに話す理由など……おいっ、そんな狂人のような目をするでない!」
ユニ様に不利益をもたらすことは徹底的に排除しなくてはならないからな。あの方のためなら俺は自分の命すら惜しくないことを、スコル候も分かっておられるだろう。
「実はな、スクルド国第三王子の花嫁候補をウルズの公候爵家から広く募るとの話でな。娘がいれば名乗り上げる必要が出てきた」
「なんですと……」
「ユニヴェールなど外に出しても恥ずかしい娘だ。いないものとするつもりであったが」
婚姻を結んだ家には相当の見返りがあるため、娘はすべて駒としたい、か。狸親父め。まぁどこの家の主も同じだしな。
「釣書に手跡が分かるものを付けて寄こせと、スクルド国からの達しだ」
「承知いたしました。翌朝までにご用意いたします」
ユニ様は勉学に熱心でいらっしゃるのだ。いくらでも差し出せるが……。
「ラスさん、お呼びですか~~?」
「来たか、お前も手伝え」
「うわぁ、すごい量の手記ですね!」
俺はアンジュをユニ様専用倉庫に呼び出した。ここには俺が齢10でユニ様に仕え始めた頃からの、ユニ様の手記、学習用記録帳、工芸品など、あらゆる創作物をひとつとして漏らさず保管してある。
「この山積みの中から何を探すんですか?」
「ユニ様は確か、3年前の8月第4の週にスクルド語の詩集を嗜み、見事な自作も書きとめられた。それを探すんだ」
「うわぁ、週まで憶えているなんて怖いですねぇ。でもそれは間違いです。8月第3の週が正解です!」
「お前も怖いわ! とにかく、3年前の作品は多分、この辺にあるはずだから」
「はいはい、私が先に見つけちゃいますよ!」
そして夜通し探し続け、鳥のさえずる明け方、なんとか探し物は見つかった。────
今頃、ユニ様は“あちら”で“彼ら”と別れを惜しんでおられるかな……。
「ラスさんはこれで良かったんですか?」
「……ユニ様の、今後の道がいかに険しいものであろうと、この屋敷の鳥のままであらせられるのは、言わば……世界の損失だ!」
「そういう意味ではなくて……まぁいいや。ユニ様がきっと隣国の王子様と楽しくお過ごしになられることを、朝から晩までお祈りしましょう!」
「お前は仕事しろ!」
俺は神をろくに信じちゃいない……。だが、ユニ様にだけは、神のご加護があらんことを────。
***
「“みなさん”に報告するの、少し緊張するわ……」
いつものように、“私だけの、心落ち着く場所”にやってきた。
スコル家の敷地内にて、しめやかにたたずむ図書館。何代もの当主に守られてきた、重要書物の多く眠る立派なこの施設は、現在のスコル一族に見向きされず、もはや過去の遺物といっても過言ではなかった。
幼き日、私はただ居場所を探していた。父や後妻やその連れに見つからない場所を。そうして逃げ込んだ先がここ。
「もうお別れなのね……」
この空間が私を育ててくれた。ここの……多くの書籍、史料が。
それらを著した様々な人物が、私に教えてくれた。多くの、この世の理を。
私は外へ出ることができなかったけど、彼らの見聞した様々な世界を知ることができた。
彼らの綴る文字から、広い世界へ思いを馳せた。楽しかった。
ここにいる私は、心の底から笑ってたと、ラスとアンジュが言っていたっけ。ここでは私、笑えるみたいなの。
「でも、とうとうお別れ。みなさん、長らくお世話になりました」
書棚に囲まれ、堂々と自己流カーテシー。
すると、清らかな魂の色がぽつぽつと浮かび、それらは私に合わせ、人模様に変化する。
“ユニヴェール、行ってしまうのか”
“それはさみしいな”
“でも、君は外の世界に出られるんだね。めでたいことだ”
私の唐突な報告に、彼らは惜しみない餞別の言葉を手向けてくれる。
「嫁ぎ先でも、自由にはならないと思うけれど……」
“いや、すべては君の心次第だ。君は広い世界に羽ばたけるよ”
“ユニヴェールの門出に乾杯しよう!”
“我らはもう呑めないけどなァ”
みな朗らかに笑い合う。ふと、先ほど浴びせられた言葉、「悪しきものに憑りつかれた……」が脳裏を過る。
髪の色とはたぶん関係ないけれど、人に今のこの状態をのぞかれたら、私は亡霊に憑りつかれた哀れな生者に違いない。
いつ頃からか、今は亡き、書物の著者から話しかけられ、読むより直に彼らの時代の様相を教わるようになったのだ。
家庭教師もろくに付けられなかった私だが、これ以上にリアリティ溢れる教師陣は存在しないだろう。
ここにいると、私は大丈夫だと思える。でも、出ていかなくては。
見知らぬ世界へ飛び立つのは、とても怖いことだけど。
「みなさんが私の師だから、離れていても、いつも心強く思います!」
頑張れ頑張れと、思い思いの声援を受け、私はスクルド国へ旅立つ日を迎えた。
私が宮廷へ出向いてから、部屋を整えてくれていたラス、アンジュに、政略婚の話を打ち明けた。
「私、世界の果てへでもユニ様についていきます!」
「あ、こらアンジュ、俺の言おうとしていたことを! 私だってユニ様がお望みくださるなら、地獄の果てへでもお供いたします!」
ああ。嬉しいなあ。この子たちを、もう戻って来られるかも分からない、国外へ連れて行っていいか不安だったの。
「ありがとう。じゃあ、“あちら”で挨拶をしてくるわね」
中断させてしまった片付けを任せ、私はまた自室をあとにした。
side:サーベラス
「…………」
ユニ様が行ってしまわれた後も、扉をじっと見ていた俺にアンジュが問いかける。
「ラスさん、本当に決まってしまいましたね?」
「ユニ様が選ばれることに、一抹の不思議もないしな」
「ラスさんが骨を折った甲斐がありましたねぇ~~」
「俺はどこの骨も折ってないぞ」
正直、俺の行動が、ユニ様の運命を決めてしまうことになるやもなどと、僭越ではあったが……。
2ヶ月前のことだった。
────「お呼びでございますか? スコル様」
珍しくユニ様の父君、スコル候の事務室に呼び出された。
「うむ。ユニヴェールの手記か何か、手跡が分かるものを持ってこい」
「何にお使いになられるので?」
「そのようなこと、お前ごときに話す理由など……おいっ、そんな狂人のような目をするでない!」
ユニ様に不利益をもたらすことは徹底的に排除しなくてはならないからな。あの方のためなら俺は自分の命すら惜しくないことを、スコル候も分かっておられるだろう。
「実はな、スクルド国第三王子の花嫁候補をウルズの公候爵家から広く募るとの話でな。娘がいれば名乗り上げる必要が出てきた」
「なんですと……」
「ユニヴェールなど外に出しても恥ずかしい娘だ。いないものとするつもりであったが」
婚姻を結んだ家には相当の見返りがあるため、娘はすべて駒としたい、か。狸親父め。まぁどこの家の主も同じだしな。
「釣書に手跡が分かるものを付けて寄こせと、スクルド国からの達しだ」
「承知いたしました。翌朝までにご用意いたします」
ユニ様は勉学に熱心でいらっしゃるのだ。いくらでも差し出せるが……。
「ラスさん、お呼びですか~~?」
「来たか、お前も手伝え」
「うわぁ、すごい量の手記ですね!」
俺はアンジュをユニ様専用倉庫に呼び出した。ここには俺が齢10でユニ様に仕え始めた頃からの、ユニ様の手記、学習用記録帳、工芸品など、あらゆる創作物をひとつとして漏らさず保管してある。
「この山積みの中から何を探すんですか?」
「ユニ様は確か、3年前の8月第4の週にスクルド語の詩集を嗜み、見事な自作も書きとめられた。それを探すんだ」
「うわぁ、週まで憶えているなんて怖いですねぇ。でもそれは間違いです。8月第3の週が正解です!」
「お前も怖いわ! とにかく、3年前の作品は多分、この辺にあるはずだから」
「はいはい、私が先に見つけちゃいますよ!」
そして夜通し探し続け、鳥のさえずる明け方、なんとか探し物は見つかった。────
今頃、ユニ様は“あちら”で“彼ら”と別れを惜しんでおられるかな……。
「ラスさんはこれで良かったんですか?」
「……ユニ様の、今後の道がいかに険しいものであろうと、この屋敷の鳥のままであらせられるのは、言わば……世界の損失だ!」
「そういう意味ではなくて……まぁいいや。ユニ様がきっと隣国の王子様と楽しくお過ごしになられることを、朝から晩までお祈りしましょう!」
「お前は仕事しろ!」
俺は神をろくに信じちゃいない……。だが、ユニ様にだけは、神のご加護があらんことを────。
***
「“みなさん”に報告するの、少し緊張するわ……」
いつものように、“私だけの、心落ち着く場所”にやってきた。
スコル家の敷地内にて、しめやかにたたずむ図書館。何代もの当主に守られてきた、重要書物の多く眠る立派なこの施設は、現在のスコル一族に見向きされず、もはや過去の遺物といっても過言ではなかった。
幼き日、私はただ居場所を探していた。父や後妻やその連れに見つからない場所を。そうして逃げ込んだ先がここ。
「もうお別れなのね……」
この空間が私を育ててくれた。ここの……多くの書籍、史料が。
それらを著した様々な人物が、私に教えてくれた。多くの、この世の理を。
私は外へ出ることができなかったけど、彼らの見聞した様々な世界を知ることができた。
彼らの綴る文字から、広い世界へ思いを馳せた。楽しかった。
ここにいる私は、心の底から笑ってたと、ラスとアンジュが言っていたっけ。ここでは私、笑えるみたいなの。
「でも、とうとうお別れ。みなさん、長らくお世話になりました」
書棚に囲まれ、堂々と自己流カーテシー。
すると、清らかな魂の色がぽつぽつと浮かび、それらは私に合わせ、人模様に変化する。
“ユニヴェール、行ってしまうのか”
“それはさみしいな”
“でも、君は外の世界に出られるんだね。めでたいことだ”
私の唐突な報告に、彼らは惜しみない餞別の言葉を手向けてくれる。
「嫁ぎ先でも、自由にはならないと思うけれど……」
“いや、すべては君の心次第だ。君は広い世界に羽ばたけるよ”
“ユニヴェールの門出に乾杯しよう!”
“我らはもう呑めないけどなァ”
みな朗らかに笑い合う。ふと、先ほど浴びせられた言葉、「悪しきものに憑りつかれた……」が脳裏を過る。
髪の色とはたぶん関係ないけれど、人に今のこの状態をのぞかれたら、私は亡霊に憑りつかれた哀れな生者に違いない。
いつ頃からか、今は亡き、書物の著者から話しかけられ、読むより直に彼らの時代の様相を教わるようになったのだ。
家庭教師もろくに付けられなかった私だが、これ以上にリアリティ溢れる教師陣は存在しないだろう。
ここにいると、私は大丈夫だと思える。でも、出ていかなくては。
見知らぬ世界へ飛び立つのは、とても怖いことだけど。
「みなさんが私の師だから、離れていても、いつも心強く思います!」
頑張れ頑張れと、思い思いの声援を受け、私はスクルド国へ旅立つ日を迎えた。
0
お気に入りに追加
116
あなたにおすすめの小説
夫と息子は私が守ります!〜呪いを受けた夫とワケあり義息子を守る転生令嬢の奮闘記〜
梵天丸
恋愛
グリーン侯爵家のシャーレットは、妾の子ということで本妻の子たちとは差別化され、不遇な扱いを受けていた。
そんなシャーレットにある日、いわくつきの公爵との結婚の話が舞い込む。
実はシャーレットはバツイチで元保育士の転生令嬢だった。そしてこの物語の舞台は、彼女が愛読していた小説の世界のものだ。原作の小説には4行ほどしか登場しないシャーレットは、公爵との結婚後すぐに離婚し、出戻っていた。しかしその後、シャーレットは30歳年上のやもめ子爵に嫁がされた挙げ句、愛人に殺されるという不遇な脇役だった。
悲惨な末路を避けるためには、何としても公爵との結婚を長続きさせるしかない。
しかし、嫁いだ先の公爵家は、極寒の北国にある上、夫である公爵は魔女の呪いを受けて目が見えない。さらに公爵を始め、公爵家の人たちはシャーレットに対してよそよそしく、いかにも早く出て行って欲しいという雰囲気だった。原作のシャーレットが耐えきれずに離婚した理由が分かる。しかし、実家に戻れば、悲惨な末路が待っている。シャーレットは図々しく居座る計画を立てる。
そんなある日、シャーレットは城の中で公爵にそっくりな子どもと出会う。その子どもは、公爵のことを「お父さん」と呼んだ。
廃妃の再婚
束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの
父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。
ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。
それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。
身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。
あの時助けた青年は、国王になっていたのである。
「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは
結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。
帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。
カトルはイルサナを寵愛しはじめる。
王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。
ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。
引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。
ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。
だがユリシアスは何かを隠しているようだ。
それはカトルの抱える、真実だった──。

「そうだ、結婚しよう!」悪役令嬢は断罪を回避した。
ミズメ
恋愛
ブラック企業で過労死(?)して目覚めると、そこはかつて熱中した乙女ゲームの世界だった。
しかも、自分は断罪エンドまっしぐらの悪役令嬢ロズニーヌ。そしてゲームもややこしい。
こんな謎運命、回避するしかない!
「そうだ、結婚しよう」
断罪回避のために動き出す悪役令嬢ロズニーヌと兄の友人である幼なじみの筋肉騎士のあれやこれや
もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
泉南佳那
恋愛
イケメンカリスマ美容師と内気で地味な書店員との、甘々溺愛ストーリーです!
どうぞお楽しみいただけますように。
〈あらすじ〉
加藤優紀は、現在、25歳の書店員。
東京の中心部ながら、昭和味たっぷりの裏町に位置する「高木書店」という名の本屋を、祖母とふたりで切り盛りしている。
彼女が高木書店で働きはじめたのは、3年ほど前から。
短大卒業後、不動産会社で営業事務をしていたが、同期の、親会社の重役令嬢からいじめに近い嫌がらせを受け、逃げるように会社を辞めた過去があった。
そのことは優紀の心に小さいながらも深い傷をつけた。
人付き合いを恐れるようになった優紀は、それ以来、つぶれかけの本屋で人の目につかない質素な生活に安んじていた。
一方、高木書店の目と鼻の先に、優紀の兄の幼なじみで、大企業の社長令息にしてカリスマ美容師の香坂玲伊が〈リインカネーション〉という総合ビューティーサロンを経営していた。
玲伊は優紀より4歳年上の29歳。
優紀も、兄とともに玲伊と一緒に遊んだ幼なじみであった。
店が近いこともあり、玲伊はしょっちゅう、優紀の本屋に顔を出していた。
子供のころから、かっこよくて優しかった玲伊は、優紀の初恋の人。
その気持ちは今もまったく変わっていなかったが、しがない書店員の自分が、カリスマ美容師にして御曹司の彼に釣り合うはずがないと、その恋心に蓋をしていた。
そんなある日、優紀は玲伊に「自分の店に来て」言われる。
優紀が〈リインカネーション〉を訪れると、人気のファッション誌『KALEN』の編集者が待っていた。
そして「シンデレラ・プロジェクト」のモデルをしてほしいと依頼される。
「シンデレラ・プロジェクト」とは、玲伊の店の1周年記念の企画で、〈リインカネーション〉のすべての施設を使い、2~3カ月でモデルの女性を美しく変身させ、それを雑誌の連載記事として掲載するというもの。
優紀は固辞したが、玲伊の熱心な誘いに負け、最終的に引き受けることとなる。
はじめての経験に戸惑いながらも、超一流の施術に心が満たされていく優紀。
そして、玲伊への恋心はいっそう募ってゆく。
玲伊はとても優しいが、それは親友の妹だから。
そんな切ない気持ちを抱えていた。
プロジェクトがはじまり、ひと月が過ぎた。
書店の仕事と〈リインカネーション〉の施術という二重生活に慣れてきた矢先、大問題が発生する。
突然、編集部に上層部から横やりが入り、優紀は「シンデレラ・プロジェクト」のモデルを下ろされることになった。
残念に思いながらも、やはり夢でしかなかったのだとあきらめる優紀だったが、そんなとき、玲伊から呼び出しを受けて……

むにゃむにゃしてたら私にだけ冷たい幼馴染と結婚してました~お飾り妻のはずですが溺愛しすぎじゃないですか⁉~
景華
恋愛
「シリウス・カルバン……むにゃむにゃ……私と結婚、してぇ……むにゃむにゃ」
「……は?」
そんな寝言のせいで、すれ違っていた二人が結婚することに!?
精霊が作りし国ローザニア王国。
セレンシア・ピエラ伯爵令嬢には、国家機密扱いとなるほどの秘密があった。
【寝言の強制実行】。
彼女の寝言で発せられた言葉は絶対だ。
精霊の加護を持つ王太子ですらパシリに使ってしまうほどの強制力。
そしてそんな【寝言の強制実行】のせいで結婚してしまった相手は、彼女の幼馴染で公爵令息にして副騎士団長のシリウス・カルバン。
セレンシアを元々愛してしまったがゆえに彼女の前でだけクールに装ってしまうようになっていたシリウスは、この結婚を機に自分の本当の思いを素直に出していくことを決意し自分の思うがままに溺愛しはじめるが、セレンシアはそれを寝言のせいでおかしくなっているのだと勘違いをしたまま。
それどころか、自分の寝言のせいで結婚してしまっては申し訳ないからと、3年間白い結婚をして離縁しようとまで言い出す始末。
自分の思いを信じてもらえないシリウスは、彼女の【寝言の強制実行】の力を消し去るため、どこかにいるであろう魔法使いを探し出す──!!
大人になるにつれて離れてしまった心と身体の距離が少しずつ縮まって、絡まった糸が解けていく。
すれ違っていた二人の両片思い勘違い恋愛ファンタジー!!

【完結済】平凡令嬢はぼんやり令息の世話をしたくない
天知 カナイ
恋愛
【完結済 全24話】ヘイデン侯爵の嫡男ロレアントは容姿端麗、頭脳明晰、魔法力に満ちた超優良物件だ。周りの貴族子女はこぞって彼に近づきたがる。だが、ロレアントの傍でいつも世話を焼いているのは、見た目も地味でとりたてて特長もないリオ―チェだ。ロレアントは全てにおいて秀でているが、少し生活能力が薄く、いつもぼんやりとしている。国都にあるタウンハウスが隣だった縁で幼馴染として育ったのだが、ロレアントの母が亡くなる時「ロレンはぼんやりしているから、リオが面倒見てあげてね」と頼んだので、律義にリオ―チェはそれを守り何くれとなくロレアントの世話をしていた。
だが、それが気にくわない人々はたくさんいて様々にリオ―チェに対し嫌がらせをしてくる。だんだんそれに疲れてきたリオーチェは‥。

〖完結〗記憶を失った令嬢は、冷酷と噂される公爵様に拾われる。
藍川みいな
恋愛
伯爵令嬢のリリスは、ハンナという双子の妹がいた。
リリスはレイリック・ドルタ侯爵に見初められ、婚約をしたのだが、
「お姉様、私、ドルタ侯爵が気に入ったの。だから、私に譲ってくださらない?」
ハンナは姉の婚約者を、欲しがった。
見た目は瓜二つだが、リリスとハンナの性格は正反対。
「レイリック様は、私の婚約者よ。悪いけど、諦めて。」
断った私にハンナは毒を飲ませ、森に捨てた…
目を覚ました私は記憶を失い、冷酷と噂されている公爵、アンディ・ホリード様のお邸のベッドの上でした。
そして私が記憶を取り戻したのは、ハンナとレイリック様の結婚式だった。
設定はゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全19話で完結になります。

【完結】「君を手に入れるためなら、何でもするよ?」――冷徹公爵の執着愛から逃げられません」
21時完結
恋愛
「君との婚約はなかったことにしよう」
そう言い放ったのは、幼い頃から婚約者だった第一王子アレクシス。
理由は簡単――新たな愛を見つけたから。
(まあ、よくある話よね)
私は王子の愛を信じていたわけでもないし、泣き喚くつもりもない。
むしろ、自由になれてラッキー! これで平穏な人生を――
そう思っていたのに。
「お前が王子との婚約を解消したと聞いた時、心が震えたよ」
「これで、ようやく君を手に入れられる」
王都一の冷徹貴族と恐れられる公爵・レオンハルトが、なぜか私に異常な執着を見せ始めた。
それどころか、王子が私に未練がましく接しようとすると――
「君を奪う者は、例外なく排除する」
と、不穏な笑みを浮かべながら告げてきて――!?
(ちょっと待って、これって普通の求愛じゃない!)
冷酷無慈悲と噂される公爵様は、どうやら私のためなら何でもするらしい。
……って、私の周りから次々と邪魔者が消えていくのは気のせいですか!?
自由を手に入れるはずが、今度は公爵様の異常な愛から逃げられなくなってしまいました――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる