31 / 35
エピローグ
② それほんとやめて!
しおりを挟む
今うっすら覚えがあるんだけど、私は確かに転生した。この今の力を使って転生したてでも立ち上がって、走って……。
「そう、愛するマリーヤの元に! 彼女を全力で守るため!! って、え???」
なに言ってんの私??
「ああ~~そう、おじいさんに転生しちゃったピコね……。しかも、あのベッドに眠る彼に……余命3日の彼に……」
はぁ~~~~!?? なにそのバグ!!
っていうか、あの時バグだと思ったアレか! バグだけどおじいさん(私)がマリーヤ(私)を助けたのは現実ね!
「大丈夫ピコ! 運営が把握しててこちらの不手際だと判明してるから、ちゃんとリトライできるピコ!」
ならまぁいいけど……。こんなバグ、あり得ないでしょ。転生して一瞬でもう人生終わっちゃったよ!?
「バグってるのは、エリザベースルートにいるのにマリーヤルートに転生しちゃったってことだけだピコよ」
「? どういう意味?」
「おじいさんに転生したのは、のりえの意思ピコ」
「え??」
「のりえ……とぼけるなピコ……」
「へ?」
「ボクは知ってるピコ……実はのりえはおじいさんの人生、鬼かっこよくね?イカしてね?って思ってることを……」
「あ……」
「おじいさんのプロファイル……若い頃は豪快にやんちゃして、小さな村では一匹狼。いずれ外の世界に出て、いつしかどこかで作った息子を地元に連れて帰ってくる(子の母親は不明)。……これって少年漫画の主人公の親父みたいじゃね? わくわく。ってほんとは思ったピコ――っ!!」
「あああ見抜かれてる~~!」
「だからルートの問題以外はバグじゃないピコ。でもルートは大問題だからリトライ案件だピコ」
「いやおじいさんの人生は、そのうえ可愛い孫に看取られ大往生なんてガチの勝ち組だと思ってるけど、やっぱり私はピータンと巡り合いたいので、早くちゃんと転生したい……」
「すぐいけるピコよ。そういえばのりえ、さっき転生する前、なんかボクに言いかけたピコ?」
「あ、そうそう、私名前思い出して……あれ? なんだっけ。ああもうまた忘れちゃった!」
確実にオシャンティな名前だったのに。
転生仕切り直しですわ。どうやら私、今、生まれたばかりのようです。1日の9割を眠って過ごしていますの。これはこれで最高ですわ。夏休みは事故って無しになってしまったけれど、寝正月を堪能してる気分です。
「ママ~~ベビー触るぅ~~」
「私も抱っこするぅ~~」
「私もベビーで遊……ベビーと遊ぶわ!」
「私が先よぉ~~ベビかっわいい~~」
ん??まどろんでいた私のところに、可愛らしい娘さんたちがなだれてきました。そして即座に囲まれてしまいましたの。可愛らしい娘さんたちですが、なんだか圧がすごくて怖いですわ……。
「おお~~わしもベビーで遊ぶのじゃ~~」
「おじいさま、すぐベビーを落っことすからダメよ!」
落っことさないでください!
とか言ってたら、娘さんたちに転がされて遊ばれてる!
「おお~ベビー可愛いのぅ、ココナッツの果肉食うか? ほれほれ」
ココナッツはちょっと……。
「なんじゃこんなにうまいものを……南国からわざわざ取り寄せておるレアアイテムじゃぞ」
本当にそれレア度高いです?
その時、メイドが私を抱きかかえて鏡の前に座らせました。ああ、私はなんて美しいベイビーなのでしょう。まるで宗教画の中の天使ですわ。
このキレイな緑色の瞳なんて特に、エメラルドみたい。
あ、鏡の前で布おむつ替えられちゃいました。心は大人なので恥ずかしいけど仕方ありませんわね。……あれ? 今、股間に見慣れないもの付いてなかった??
その前にちょっと待って、確かエリザベースって青色の瞳だったよ?
この私を囲む威圧的な娘さんたち、やたらおねえちゃまアピールしてくるんですけど?? エリザベースはひとりっ子なのに? なんかおかしい。
あれ、窓の向こうでガラスを叩くのは……ピコピコ? なに慌ててるの?? ピコピコが来たということは??
「運営からまた連絡きたピコ~~!」
またバグ!? ねぇこれ、エリザベースじゃないよね?
そんな気してた! ……じゃあこれ誰?
……そうだ! この瞳、思い出した。この瞳に映る私が美しかったから!
まさかの……ピータン!!
「ピ、ピコォ……ま、まぁ、ある意味もう再会できたし、生涯毎日彼を見つめて過ごせるピコよ!」
ちょっとちょっと!! 確かに私、こんなイケメン毎日見つめて過ごせたら乳絞りはかどる~って言ったよ!?
でもこれじゃ、私とエリザベースが恋に落ちちゃう運命じゃない! ありえない! 百合カプになっちゃう!(?)
「うん、まぁ運営がまたなんとかするから……でも今サーバーダウンで、すぐにとはいかないピコ」
いつになるの!? リトライ早く早く~~!!
「SEさん頑張ってくれてるけどぉ、異世界だから時間の流れが感覚的に違っててぇ……ま、気長に待つピコ!」
そんなぁ~~!!?
「さーて、そろそろ我が孫に名を付けてやらんとなぁ」
……えっ。
「うむ、このココナッツ見ていたらイメージが湧いてきたわい。この食欲をそそる茶色に球体……よし。この子の名は、ピ……」
「あ゛あ゛あ゛ぶぅぅぅ!!(ピータンはやめてぇえええええ!!!)」
END
✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼
完結までお読みくださいましてありがとうございました。
番外編(1万字短編)もちらっと覗いていただけましたら嬉しいです。
「そう、愛するマリーヤの元に! 彼女を全力で守るため!! って、え???」
なに言ってんの私??
「ああ~~そう、おじいさんに転生しちゃったピコね……。しかも、あのベッドに眠る彼に……余命3日の彼に……」
はぁ~~~~!?? なにそのバグ!!
っていうか、あの時バグだと思ったアレか! バグだけどおじいさん(私)がマリーヤ(私)を助けたのは現実ね!
「大丈夫ピコ! 運営が把握しててこちらの不手際だと判明してるから、ちゃんとリトライできるピコ!」
ならまぁいいけど……。こんなバグ、あり得ないでしょ。転生して一瞬でもう人生終わっちゃったよ!?
「バグってるのは、エリザベースルートにいるのにマリーヤルートに転生しちゃったってことだけだピコよ」
「? どういう意味?」
「おじいさんに転生したのは、のりえの意思ピコ」
「え??」
「のりえ……とぼけるなピコ……」
「へ?」
「ボクは知ってるピコ……実はのりえはおじいさんの人生、鬼かっこよくね?イカしてね?って思ってることを……」
「あ……」
「おじいさんのプロファイル……若い頃は豪快にやんちゃして、小さな村では一匹狼。いずれ外の世界に出て、いつしかどこかで作った息子を地元に連れて帰ってくる(子の母親は不明)。……これって少年漫画の主人公の親父みたいじゃね? わくわく。ってほんとは思ったピコ――っ!!」
「あああ見抜かれてる~~!」
「だからルートの問題以外はバグじゃないピコ。でもルートは大問題だからリトライ案件だピコ」
「いやおじいさんの人生は、そのうえ可愛い孫に看取られ大往生なんてガチの勝ち組だと思ってるけど、やっぱり私はピータンと巡り合いたいので、早くちゃんと転生したい……」
「すぐいけるピコよ。そういえばのりえ、さっき転生する前、なんかボクに言いかけたピコ?」
「あ、そうそう、私名前思い出して……あれ? なんだっけ。ああもうまた忘れちゃった!」
確実にオシャンティな名前だったのに。
転生仕切り直しですわ。どうやら私、今、生まれたばかりのようです。1日の9割を眠って過ごしていますの。これはこれで最高ですわ。夏休みは事故って無しになってしまったけれど、寝正月を堪能してる気分です。
「ママ~~ベビー触るぅ~~」
「私も抱っこするぅ~~」
「私もベビーで遊……ベビーと遊ぶわ!」
「私が先よぉ~~ベビかっわいい~~」
ん??まどろんでいた私のところに、可愛らしい娘さんたちがなだれてきました。そして即座に囲まれてしまいましたの。可愛らしい娘さんたちですが、なんだか圧がすごくて怖いですわ……。
「おお~~わしもベビーで遊ぶのじゃ~~」
「おじいさま、すぐベビーを落っことすからダメよ!」
落っことさないでください!
とか言ってたら、娘さんたちに転がされて遊ばれてる!
「おお~ベビー可愛いのぅ、ココナッツの果肉食うか? ほれほれ」
ココナッツはちょっと……。
「なんじゃこんなにうまいものを……南国からわざわざ取り寄せておるレアアイテムじゃぞ」
本当にそれレア度高いです?
その時、メイドが私を抱きかかえて鏡の前に座らせました。ああ、私はなんて美しいベイビーなのでしょう。まるで宗教画の中の天使ですわ。
このキレイな緑色の瞳なんて特に、エメラルドみたい。
あ、鏡の前で布おむつ替えられちゃいました。心は大人なので恥ずかしいけど仕方ありませんわね。……あれ? 今、股間に見慣れないもの付いてなかった??
その前にちょっと待って、確かエリザベースって青色の瞳だったよ?
この私を囲む威圧的な娘さんたち、やたらおねえちゃまアピールしてくるんですけど?? エリザベースはひとりっ子なのに? なんかおかしい。
あれ、窓の向こうでガラスを叩くのは……ピコピコ? なに慌ててるの?? ピコピコが来たということは??
「運営からまた連絡きたピコ~~!」
またバグ!? ねぇこれ、エリザベースじゃないよね?
そんな気してた! ……じゃあこれ誰?
……そうだ! この瞳、思い出した。この瞳に映る私が美しかったから!
まさかの……ピータン!!
「ピ、ピコォ……ま、まぁ、ある意味もう再会できたし、生涯毎日彼を見つめて過ごせるピコよ!」
ちょっとちょっと!! 確かに私、こんなイケメン毎日見つめて過ごせたら乳絞りはかどる~って言ったよ!?
でもこれじゃ、私とエリザベースが恋に落ちちゃう運命じゃない! ありえない! 百合カプになっちゃう!(?)
「うん、まぁ運営がまたなんとかするから……でも今サーバーダウンで、すぐにとはいかないピコ」
いつになるの!? リトライ早く早く~~!!
「SEさん頑張ってくれてるけどぉ、異世界だから時間の流れが感覚的に違っててぇ……ま、気長に待つピコ!」
そんなぁ~~!!?
「さーて、そろそろ我が孫に名を付けてやらんとなぁ」
……えっ。
「うむ、このココナッツ見ていたらイメージが湧いてきたわい。この食欲をそそる茶色に球体……よし。この子の名は、ピ……」
「あ゛あ゛あ゛ぶぅぅぅ!!(ピータンはやめてぇえええええ!!!)」
END
✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼
完結までお読みくださいましてありがとうございました。
番外編(1万字短編)もちらっと覗いていただけましたら嬉しいです。
0
お気に入りに追加
43
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?
寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。
ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。
ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。
その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。
そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。
それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。
女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。
BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。
このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう!
男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!?
溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
絶対婚約いたしません。させられました。案の定、婚約破棄されました
toyjoy11
ファンタジー
婚約破棄ものではあるのだけど、どちらかと言うと反乱もの。
残酷シーンが多く含まれます。
誰も高位貴族が婚約者になりたがらない第一王子と婚約者になったミルフィーユ・レモナンド侯爵令嬢。
両親に
「絶対アレと婚約しません。もしも、させるんでしたら、私は、クーデターを起こしてやります。」
と宣言した彼女は有言実行をするのだった。
一応、転生者ではあるものの元10歳児。チートはありません。
4/5 21時完結予定。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる