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√マリーヤ act.2
⑤ ALL年代の男特攻、魅惑の彼女は何者?
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目が覚めました。下車駅まであと30分ってところみたい。
「この玩具も飽きたな~~」
「じゃあこれはどうだい?」
「これなに?」
「この棒のところを両方の手のひらで挟んで、こうやって擦ると、この上の部分が飛んでいくんだ」
竹トンボね。それにしてもピータン、いいパパになりそう。うっとり。
「うわぁい! すごい! よく飛ぶ!!」
ちょっと待って、竹トンボって室外で遊ぶものじゃ……。止めといた方が……。
「オーマイガーッ!!」
ほら言わんこっちゃない。乗客を襲撃してしまった……。
「申し訳ありませんでした」
「ご迷惑をおかけしました」
頭を下げるピータンと私。これ絶対パパママで家族に見られるわ、とほほ。
それにしても、この乗客のご家族、なんでここでテーブル出して豪華な食事してるの?
「汽車内でのお食事は貴族のたしなみですぞ」
ここ一般車両なんですけど。食堂車行ってどうぞ。
「ねぇねぇダディ、僕この玩具欲しい。攻撃用に」
「そうかね坊や。可愛い我が子がこう言ってるので、これを譲っていただけませんかな?」
「構いませんが」
「代わりにこの、研ぎ澄まされたナイフと何でもばりばりすくうスプーンをセットで差し上げますぞ」
食器じゃなくて食べ物が欲しいです……。
「マリーヤ、君が受け取ったら?」
食べ物入手したら使わせていただきます……。
なんとか3時間が経過し、下車駅まであと5分。下車の準備を始めないとね。
「きゃああああ!!」
「警察を呼べ!!」
ん? 隣の車両で叫び声が。こちらの車両も乗客がざわめき始めたわ。
到着まであと1分だっていうのに、何があったんだろう。
「車掌さん、隣でいったい何が?」
「ああ、乗客の男性が殺されて……犯人が分からないのです」
殺人事件始まっちゃった!!
首突っ込みたいけどゲームのジャンルが変わってしまうので、知らないふりして降りることにしましょう。
「そうしてもらえると、NPC的にも助かるピコ」
下車後ふたりがお手洗いに行っているので、私は駅前の広場で待っているの。
あら、街の掲示板にイベントの告知ポスターが。
「なになに、『ほれはしれ!ツーパンウーマン』のショーがこの街にやってくる! にちじ8月8日、じかん1じ~……って今日じゃない」
まだ3時間あるから、とにかく彼を自宅にいったんは返さないとね。
「彼の町は徒歩でもここからそれほどかからないピコ」
ミッチェルの案内で、彼の暮らす町にやってきました。
「僕の町は“格子状の道を順番に全部歩いたら2時間かかるくらいの大きさ”なんだ」
広いのか狭いのかよく分からないわ。
「ここが僕の家だよ」
「もちろん誰もいるわけないわよね。パパママ、建前上は仕事だもんね」
その時、隣の家からおばあさんが顔を出してきたの。
「パパママは昨日は帰ってこなかったみたいだけど、今晩は帰ってくるってポケベ……伝書鳩で連絡来たてよ」
おばあさん実はポケベル持ってるの? 彼の両親とベル友?
「じゃあそれまでこの子預かってくれませんか?」
「え~~おばあさんといてもつまんないよやだやだ~~」
そんな本人を前にして…。
「夕方まで時間を潰しておいで」
おばあさんも引っ込んじゃった。そりゃわざわざ子どもの面倒みたくないよね。
「子どもと老人の裏表ないとこ羨ましいピコね」
「ここも静かな町ね」
「大人はみんな昼間フランポフルトへ働きに出てるんだ」
「あなた友達は? 夕方まで一緒に遊んでれば?」
「みんな修道院で勉強してるから、この辺にはいないよ」
「じゃああなたもそこ行けばいいじゃない。修道院はどこ?」
「勉強イヤだから行きたくない! 教えないもん~~」
「はぁ……。ねぇピータン、どうしよう」
「夕方までは付き合うよ、乗りかかった船だ」
そろそろお昼ね。
「なら、駅前に戻りましょう!」
かなり人が集まってきています。なぜならあと1時間もしないうちに、ここではショーが開催されるから。
「おお楽しみじゃのぅ。今日のツーパンウーマンはどのように活躍するかのぅ」
「おや、ゲンさんも来とったんかい。わしゃ今日もツーパンウーマンの腰のくびれを楽しみにきたんじゃよ、ふぉっふぉっふぉ」
えええツーパンウーマンってご老人たちのセクシーアイドルなのぉ??
「子どもから老人まで魅了して離さない魅惑の女戦士だよ、ツーパンウーマンは」
「えっ……」
まさかピータンまでも……その腰のくびれに……。
ああ、なんか目が輝いてる。そんなにセクシーなの彼女は……。
「そうだよ! ツーパンウーマンは健康的にセクシーなんだ!」
「ミッチェル、7歳にセクシーの何が分かるのよ!」
ほんとに近頃の子はマセてるんだからっ。
「……へぇ、ピータンもああいう女性が好みなんだ?」
どういう女性だろう?
「う―ん……最初は彼女が素敵だと思って観劇していたんだけど、そのうちカビローンロン総帥が気になってきてしまったんだ」
「え? 敵なのに? 悪の総帥なのに?」
「なんていうか、中間管理職の悲哀、みたいなものが彼からは感じられてね。目が離せないんだ」
なんでも器用にこなしていそうなピータンの人生に、いったい何があったの。
「その悲哀が客席に伝わってるなら、彼女も演じる甲斐あるわね」
「彼女? 総帥は男性だけど」
あ、そうだった。すっかりエリザベース想像しちゃってた。
「ああ、でも……」
「?」
ピータン、なんか考えこんじゃった。
もうすぐショーは始まるけど、これもどうやら2時間くらいのイベントらしい。ってことはまたその後ミッチェルの面倒みなくちゃいけない。こんなアウェイで子どもの時間をつぶすなんて難しいよ。現代と違って公園に遊具とかないんだよ。
さっきチラっと見たけど、このピータンの作った玩具、残りはだいたい木彫りの人形みたい。これでロボごっこするとか? だるいわ~~。子ども同士が遊ぶならそれでいいんだけど。
なんかないかな、2、3時間さくっとつぶれそうな遊び…。
「この玩具も飽きたな~~」
「じゃあこれはどうだい?」
「これなに?」
「この棒のところを両方の手のひらで挟んで、こうやって擦ると、この上の部分が飛んでいくんだ」
竹トンボね。それにしてもピータン、いいパパになりそう。うっとり。
「うわぁい! すごい! よく飛ぶ!!」
ちょっと待って、竹トンボって室外で遊ぶものじゃ……。止めといた方が……。
「オーマイガーッ!!」
ほら言わんこっちゃない。乗客を襲撃してしまった……。
「申し訳ありませんでした」
「ご迷惑をおかけしました」
頭を下げるピータンと私。これ絶対パパママで家族に見られるわ、とほほ。
それにしても、この乗客のご家族、なんでここでテーブル出して豪華な食事してるの?
「汽車内でのお食事は貴族のたしなみですぞ」
ここ一般車両なんですけど。食堂車行ってどうぞ。
「ねぇねぇダディ、僕この玩具欲しい。攻撃用に」
「そうかね坊や。可愛い我が子がこう言ってるので、これを譲っていただけませんかな?」
「構いませんが」
「代わりにこの、研ぎ澄まされたナイフと何でもばりばりすくうスプーンをセットで差し上げますぞ」
食器じゃなくて食べ物が欲しいです……。
「マリーヤ、君が受け取ったら?」
食べ物入手したら使わせていただきます……。
なんとか3時間が経過し、下車駅まであと5分。下車の準備を始めないとね。
「きゃああああ!!」
「警察を呼べ!!」
ん? 隣の車両で叫び声が。こちらの車両も乗客がざわめき始めたわ。
到着まであと1分だっていうのに、何があったんだろう。
「車掌さん、隣でいったい何が?」
「ああ、乗客の男性が殺されて……犯人が分からないのです」
殺人事件始まっちゃった!!
首突っ込みたいけどゲームのジャンルが変わってしまうので、知らないふりして降りることにしましょう。
「そうしてもらえると、NPC的にも助かるピコ」
下車後ふたりがお手洗いに行っているので、私は駅前の広場で待っているの。
あら、街の掲示板にイベントの告知ポスターが。
「なになに、『ほれはしれ!ツーパンウーマン』のショーがこの街にやってくる! にちじ8月8日、じかん1じ~……って今日じゃない」
まだ3時間あるから、とにかく彼を自宅にいったんは返さないとね。
「彼の町は徒歩でもここからそれほどかからないピコ」
ミッチェルの案内で、彼の暮らす町にやってきました。
「僕の町は“格子状の道を順番に全部歩いたら2時間かかるくらいの大きさ”なんだ」
広いのか狭いのかよく分からないわ。
「ここが僕の家だよ」
「もちろん誰もいるわけないわよね。パパママ、建前上は仕事だもんね」
その時、隣の家からおばあさんが顔を出してきたの。
「パパママは昨日は帰ってこなかったみたいだけど、今晩は帰ってくるってポケベ……伝書鳩で連絡来たてよ」
おばあさん実はポケベル持ってるの? 彼の両親とベル友?
「じゃあそれまでこの子預かってくれませんか?」
「え~~おばあさんといてもつまんないよやだやだ~~」
そんな本人を前にして…。
「夕方まで時間を潰しておいで」
おばあさんも引っ込んじゃった。そりゃわざわざ子どもの面倒みたくないよね。
「子どもと老人の裏表ないとこ羨ましいピコね」
「ここも静かな町ね」
「大人はみんな昼間フランポフルトへ働きに出てるんだ」
「あなた友達は? 夕方まで一緒に遊んでれば?」
「みんな修道院で勉強してるから、この辺にはいないよ」
「じゃああなたもそこ行けばいいじゃない。修道院はどこ?」
「勉強イヤだから行きたくない! 教えないもん~~」
「はぁ……。ねぇピータン、どうしよう」
「夕方までは付き合うよ、乗りかかった船だ」
そろそろお昼ね。
「なら、駅前に戻りましょう!」
かなり人が集まってきています。なぜならあと1時間もしないうちに、ここではショーが開催されるから。
「おお楽しみじゃのぅ。今日のツーパンウーマンはどのように活躍するかのぅ」
「おや、ゲンさんも来とったんかい。わしゃ今日もツーパンウーマンの腰のくびれを楽しみにきたんじゃよ、ふぉっふぉっふぉ」
えええツーパンウーマンってご老人たちのセクシーアイドルなのぉ??
「子どもから老人まで魅了して離さない魅惑の女戦士だよ、ツーパンウーマンは」
「えっ……」
まさかピータンまでも……その腰のくびれに……。
ああ、なんか目が輝いてる。そんなにセクシーなの彼女は……。
「そうだよ! ツーパンウーマンは健康的にセクシーなんだ!」
「ミッチェル、7歳にセクシーの何が分かるのよ!」
ほんとに近頃の子はマセてるんだからっ。
「……へぇ、ピータンもああいう女性が好みなんだ?」
どういう女性だろう?
「う―ん……最初は彼女が素敵だと思って観劇していたんだけど、そのうちカビローンロン総帥が気になってきてしまったんだ」
「え? 敵なのに? 悪の総帥なのに?」
「なんていうか、中間管理職の悲哀、みたいなものが彼からは感じられてね。目が離せないんだ」
なんでも器用にこなしていそうなピータンの人生に、いったい何があったの。
「その悲哀が客席に伝わってるなら、彼女も演じる甲斐あるわね」
「彼女? 総帥は男性だけど」
あ、そうだった。すっかりエリザベース想像しちゃってた。
「ああ、でも……」
「?」
ピータン、なんか考えこんじゃった。
もうすぐショーは始まるけど、これもどうやら2時間くらいのイベントらしい。ってことはまたその後ミッチェルの面倒みなくちゃいけない。こんなアウェイで子どもの時間をつぶすなんて難しいよ。現代と違って公園に遊具とかないんだよ。
さっきチラっと見たけど、このピータンの作った玩具、残りはだいたい木彫りの人形みたい。これでロボごっこするとか? だるいわ~~。子ども同士が遊ぶならそれでいいんだけど。
なんかないかな、2、3時間さくっとつぶれそうな遊び…。
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