9 / 12
第1章 Aperitif(アペリティフ)
8杯目:Refinoの皆さん(2)
しおりを挟む
■□
小学生の頃までは比較的問題のない子供だった。担任の先生との三者面談では決まって、「誰も傷つけなければ誰かに傷つけられる様なこともなく、とても大人しい子」と言われ続け、お母さんはその言葉を聞くたびに安堵の表情を浮かべていた。だが、いつも誰と遊んでいるのかの質問に対して特定の子供の名前を聞かされることがあまりなく、いつもその質問をしているところを見るとお母さんにとってはそれが重要な事の様だった。
まだ、私がお母さんのお腹の中にいる頃、お父さんは病気で亡くなったと聞いた。アメリカと日本のハーフだったという父親の血が混ざっているせいか、とにかく”異質なもの”という目で見られることが多い。お母さんはきっと、私が傷つけられそうになった時に自分の代わりに守ってくれる友達がいればと、常に気に掛けている様だった。
中学二年の新学期。お母さんが心配していた事が現実のものとなった。
思春期真っただ中のこの時、心の成長よりも先に身体の成長が目に見えて現れ始める。クォーターの私は周りの子よりも成長が早く、自分の意思とは反して自然と目立つようになってしまった。
ある日のホームルーム後、同じクラスの男子が帰宅の準備をしている私の横で立ち止まる。何か用でもあるのかと顔を上げると、その男子は照れくさそうに鼻の下を擦った。
「?」
「あー、あのさ。……今日良かったら一緒に帰らない?」
一瞬周囲がざわついた気がしたが、断る理由もなかった私は何も言わずに頷いた。
その後、何度か一緒に帰ることがあった。一緒に帰ると言っても会話らしい会話はほとんどない。少し距離を開けて私の家まで二人で歩き、じゃあと一言いって別れる、ただそれだけだった。
「――」
「あ、シッ! 来た!」
学校に着くと、いつもと違う視線を感じる。不審に思いながらも席に着こうとすると、自分の机に違和感を感じた。
「……っ、」
私の机は隙間が無いくらいにびっしりと落書きがされていて、その内容のほとんどが私の容姿に対してのものだった。「外人」「巨人」だけならまだしも、「あばずれ女」「ビッチ」などとあることないことも書かれている。私を嘲笑う声があちらこちらから聞こえてきて、私は恐怖で立ちすくんでいた。
・
・
・
・
・
「あの、今日も一緒に帰ろう?」
不意に声を掛けられ、身体が思わずビクッと跳ねた。あんなことがあってからはしばらく一緒に帰ることはなかったが、机に書かれていた内容からこれも要因の一つになるのだろう。黙って首を横に振ると、私は足早にその場を去った。
だが、どうやらそれも間違っていたようだ。
翌朝、教室に入るとまた嫌な空気を感じた。恐る恐る机に辿り着くと案の定また落書きがされているのが遠目でもわかり、恐怖に戦慄いた。書かれているものは前回と同じような内容ではあったが、たった一つだけ全く違う類の悪口を見つけた時、それが私の心を深く傷つけた。
■□
「京介はさー、顔や性格もいいだけじゃなくて仕事も出来るからなぁー。まー、そう思うのも無理ないよなー」
「い、いいいいや、だからっ、そんなんじゃ」
疋田さんはきっと、悪気があって言っているのではないだろう。真剣に捉えてはいけない、これは冗談で単なる話のネタに過ぎないのだということも理解しているつもりだ。だが、過去のトラウマが脳裏を掠めたせいで、嫌な汗が噴き出すとともに呼吸もどんどん荒くなり始め、制御するのが難しくなってきた。
「まーでも、あれだな。残念ながら京介はもう――」
これはかなりまずい。そう思った時、疋田さんの気が別の人に向いた事で難を逃れる事が出来た。
「リョーマ?」
「――? おう、楓じゃん。おはー」
「おはよ」
声を掛けてきたのは、疋田さんと同じ制服を着たとても綺麗な女性だった。髪をアップにし、長いまつ毛と赤い口紅が良く似合う。エレガントな佇まいなその女性は、誰が見ても美しい人だった。
「新しいバイトさん?」
「あっ、はい」
「私はレフィーノの大野 楓です。宜しくね」
「……はっ、ははははいっ」
ニッコリと微笑みかけられ、あまりの美しさに瞬きをも忘れる。自分の名前を名乗るのも忘れ、つい見とれてしまっていた。
「あっ、リョーマ。私、次長に呼ばれてるから料飲事務所寄ってから上あがるってマネージャーに言っておいて」
「りょーかい! んじゃ、またあとでー」
私は頭を下げながら再び台車を押すと、大野さんは私の左胸付近に一旦視線を落としてからニッコリと微笑んだ。
「また後でね、芳野さん」
店に戻るとスタンバイの続きを教わった。最初に言っていたジュースを絞る作業やオープン前の掃除がメインではあったが、何をするのにも緊張しっぱなしだった。パントリーでビールサーバーのセッティングを教わっていた時、カウンターの方から疋田さんを呼ぶ声が聞こえた。
「あ、やべ。もうこんな時間か。俺、今からブリーフィングだから、あとこの辺テキトーに掃除でもしといてくれる? もうすぐ他のバイトも出勤するし、あとはそいつらに聞いて」
「は、はい」
そう言って、疋田さんは行き来しやすいように纏められていたカーテンを解くと、そのままパントリーから出て行った。
また、誰かと挨拶しないといけないのか。しかも、今度は自分の事を知る誰かが傍にいるわけではない。自発的に自己紹介をしなければならないのだと思うと、一気に胃のあたりがキリキリと痛み始めた。
「はぁ。つら……」
溜息と共に愚痴を零した時、パントリーの反対側の入り口のカーテンが勢いよく開いた。
「あ、はようございまーっす!」
「おはようございます!」
「あ……お、おおおは――」
突如、背の高い男性と中背の男性二人が入ってきた。二人とも私と同じベストは着ているが、エプロンはつけていない。なんとなくだが、ここの制服での立場の違いなんかがわかってきた。
「うひょーほら! やっぱ女の子じゃん! ラッキー!」
「くっそー! 負けた!!」
二人はいきなりずかずかと目前までやってくると、布巾を握り締めている私の手を取ってぶんぶんと振り回した。
「!?!?」
「初めまして! 俺、中西 研二っていいます! 十九歳の大学生です!」
「は、はい。よ、芳野です」
「あっ、研二ずるいぞ! 次オレ!」
背の高い方の男性は、私の手を握り締めている男性の手を振りほどくと、次は自分の番だとばかりに私の手をとった。
「野呂 淳史です! 十八歳のフリーターです! 最年少です!」
「よろっ、よろし……く、お願いしま――」
「ふん、最年少だなんて言ってられるのも今の内だけだからなっ。せーぜー――」
「おいおい、俺がピチピチだからってやっかむなよ研二。それよか、賭けは俺の勝ちだ。今日ちゃんとジュース奢れよな」
あっけに取られていると、その二人は口喧嘩のようにあーだこーだと揉め始める。どうやら新しく入るバイトが男か女かで二人で賭けをしていたらしく、背の高い方の野呂さんがその賭けに勝ったらしい。次第に話がずれていって最終的に二人が何を言っているのかは良くわからなかったが、興奮した二人はどんどん声も大きくなっていった。
「だから――!」
「お前ら! うるせーよ!!」
「ひ!!!」
「「あっ、サーセン!」」
いきなり後方のカーテンが開いたと思ったら飯島さんが現れ、パントリー内の空気がピンと張りつめた。騒がしくしていた二人もこの人には逆らえないのであろう。みるみる笑顔がなくなり、背筋もピンと伸びた。
「今、ブリーフィングやってるんだ。うるさ過ぎて気が散るから静かにしとけ!」
「「はい! 申し訳ございませんでした!!」」
バイトの二人が直角に体を折り曲げると、二人を睨み付けながら飯島さんは踵を返した。
「――」
「……っ、」
去り際に、チラッと私の方を見たその目はやはり冷たく、一瞬で身体が硬直した。
小学生の頃までは比較的問題のない子供だった。担任の先生との三者面談では決まって、「誰も傷つけなければ誰かに傷つけられる様なこともなく、とても大人しい子」と言われ続け、お母さんはその言葉を聞くたびに安堵の表情を浮かべていた。だが、いつも誰と遊んでいるのかの質問に対して特定の子供の名前を聞かされることがあまりなく、いつもその質問をしているところを見るとお母さんにとってはそれが重要な事の様だった。
まだ、私がお母さんのお腹の中にいる頃、お父さんは病気で亡くなったと聞いた。アメリカと日本のハーフだったという父親の血が混ざっているせいか、とにかく”異質なもの”という目で見られることが多い。お母さんはきっと、私が傷つけられそうになった時に自分の代わりに守ってくれる友達がいればと、常に気に掛けている様だった。
中学二年の新学期。お母さんが心配していた事が現実のものとなった。
思春期真っただ中のこの時、心の成長よりも先に身体の成長が目に見えて現れ始める。クォーターの私は周りの子よりも成長が早く、自分の意思とは反して自然と目立つようになってしまった。
ある日のホームルーム後、同じクラスの男子が帰宅の準備をしている私の横で立ち止まる。何か用でもあるのかと顔を上げると、その男子は照れくさそうに鼻の下を擦った。
「?」
「あー、あのさ。……今日良かったら一緒に帰らない?」
一瞬周囲がざわついた気がしたが、断る理由もなかった私は何も言わずに頷いた。
その後、何度か一緒に帰ることがあった。一緒に帰ると言っても会話らしい会話はほとんどない。少し距離を開けて私の家まで二人で歩き、じゃあと一言いって別れる、ただそれだけだった。
「――」
「あ、シッ! 来た!」
学校に着くと、いつもと違う視線を感じる。不審に思いながらも席に着こうとすると、自分の机に違和感を感じた。
「……っ、」
私の机は隙間が無いくらいにびっしりと落書きがされていて、その内容のほとんどが私の容姿に対してのものだった。「外人」「巨人」だけならまだしも、「あばずれ女」「ビッチ」などとあることないことも書かれている。私を嘲笑う声があちらこちらから聞こえてきて、私は恐怖で立ちすくんでいた。
・
・
・
・
・
「あの、今日も一緒に帰ろう?」
不意に声を掛けられ、身体が思わずビクッと跳ねた。あんなことがあってからはしばらく一緒に帰ることはなかったが、机に書かれていた内容からこれも要因の一つになるのだろう。黙って首を横に振ると、私は足早にその場を去った。
だが、どうやらそれも間違っていたようだ。
翌朝、教室に入るとまた嫌な空気を感じた。恐る恐る机に辿り着くと案の定また落書きがされているのが遠目でもわかり、恐怖に戦慄いた。書かれているものは前回と同じような内容ではあったが、たった一つだけ全く違う類の悪口を見つけた時、それが私の心を深く傷つけた。
■□
「京介はさー、顔や性格もいいだけじゃなくて仕事も出来るからなぁー。まー、そう思うのも無理ないよなー」
「い、いいいいや、だからっ、そんなんじゃ」
疋田さんはきっと、悪気があって言っているのではないだろう。真剣に捉えてはいけない、これは冗談で単なる話のネタに過ぎないのだということも理解しているつもりだ。だが、過去のトラウマが脳裏を掠めたせいで、嫌な汗が噴き出すとともに呼吸もどんどん荒くなり始め、制御するのが難しくなってきた。
「まーでも、あれだな。残念ながら京介はもう――」
これはかなりまずい。そう思った時、疋田さんの気が別の人に向いた事で難を逃れる事が出来た。
「リョーマ?」
「――? おう、楓じゃん。おはー」
「おはよ」
声を掛けてきたのは、疋田さんと同じ制服を着たとても綺麗な女性だった。髪をアップにし、長いまつ毛と赤い口紅が良く似合う。エレガントな佇まいなその女性は、誰が見ても美しい人だった。
「新しいバイトさん?」
「あっ、はい」
「私はレフィーノの大野 楓です。宜しくね」
「……はっ、ははははいっ」
ニッコリと微笑みかけられ、あまりの美しさに瞬きをも忘れる。自分の名前を名乗るのも忘れ、つい見とれてしまっていた。
「あっ、リョーマ。私、次長に呼ばれてるから料飲事務所寄ってから上あがるってマネージャーに言っておいて」
「りょーかい! んじゃ、またあとでー」
私は頭を下げながら再び台車を押すと、大野さんは私の左胸付近に一旦視線を落としてからニッコリと微笑んだ。
「また後でね、芳野さん」
店に戻るとスタンバイの続きを教わった。最初に言っていたジュースを絞る作業やオープン前の掃除がメインではあったが、何をするのにも緊張しっぱなしだった。パントリーでビールサーバーのセッティングを教わっていた時、カウンターの方から疋田さんを呼ぶ声が聞こえた。
「あ、やべ。もうこんな時間か。俺、今からブリーフィングだから、あとこの辺テキトーに掃除でもしといてくれる? もうすぐ他のバイトも出勤するし、あとはそいつらに聞いて」
「は、はい」
そう言って、疋田さんは行き来しやすいように纏められていたカーテンを解くと、そのままパントリーから出て行った。
また、誰かと挨拶しないといけないのか。しかも、今度は自分の事を知る誰かが傍にいるわけではない。自発的に自己紹介をしなければならないのだと思うと、一気に胃のあたりがキリキリと痛み始めた。
「はぁ。つら……」
溜息と共に愚痴を零した時、パントリーの反対側の入り口のカーテンが勢いよく開いた。
「あ、はようございまーっす!」
「おはようございます!」
「あ……お、おおおは――」
突如、背の高い男性と中背の男性二人が入ってきた。二人とも私と同じベストは着ているが、エプロンはつけていない。なんとなくだが、ここの制服での立場の違いなんかがわかってきた。
「うひょーほら! やっぱ女の子じゃん! ラッキー!」
「くっそー! 負けた!!」
二人はいきなりずかずかと目前までやってくると、布巾を握り締めている私の手を取ってぶんぶんと振り回した。
「!?!?」
「初めまして! 俺、中西 研二っていいます! 十九歳の大学生です!」
「は、はい。よ、芳野です」
「あっ、研二ずるいぞ! 次オレ!」
背の高い方の男性は、私の手を握り締めている男性の手を振りほどくと、次は自分の番だとばかりに私の手をとった。
「野呂 淳史です! 十八歳のフリーターです! 最年少です!」
「よろっ、よろし……く、お願いしま――」
「ふん、最年少だなんて言ってられるのも今の内だけだからなっ。せーぜー――」
「おいおい、俺がピチピチだからってやっかむなよ研二。それよか、賭けは俺の勝ちだ。今日ちゃんとジュース奢れよな」
あっけに取られていると、その二人は口喧嘩のようにあーだこーだと揉め始める。どうやら新しく入るバイトが男か女かで二人で賭けをしていたらしく、背の高い方の野呂さんがその賭けに勝ったらしい。次第に話がずれていって最終的に二人が何を言っているのかは良くわからなかったが、興奮した二人はどんどん声も大きくなっていった。
「だから――!」
「お前ら! うるせーよ!!」
「ひ!!!」
「「あっ、サーセン!」」
いきなり後方のカーテンが開いたと思ったら飯島さんが現れ、パントリー内の空気がピンと張りつめた。騒がしくしていた二人もこの人には逆らえないのであろう。みるみる笑顔がなくなり、背筋もピンと伸びた。
「今、ブリーフィングやってるんだ。うるさ過ぎて気が散るから静かにしとけ!」
「「はい! 申し訳ございませんでした!!」」
バイトの二人が直角に体を折り曲げると、二人を睨み付けながら飯島さんは踵を返した。
「――」
「……っ、」
去り際に、チラッと私の方を見たその目はやはり冷たく、一瞬で身体が硬直した。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

むしゃくしゃしてやりましたの。後悔はしておりませんわ。
緑谷めい
恋愛
「むしゃくしゃしてやりましたの。後悔はしておりませんわ」
そう、むしゃくしゃしてやった。後悔はしていない。
私は、カトリーヌ・ナルセー。17歳。
ナルセー公爵家の長女であり、第2王子ハロルド殿下の婚約者である。父のナルセー公爵は、この国の宰相だ。
その父は、今、私の目の前で、顔面蒼白になっている。
「カトリーヌ、もう一度言ってくれ。私の聞き間違いかもしれぬから」
お父様、お気の毒ですけれど、お聞き間違いではございませんわ。では、もう一度言いますわよ。
「今日、王宮で、ハロルド様に往復ビンタを浴びせ、更に足で蹴りつけましたの」

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり

義妹が大事だと優先するので私も義兄を優先する事にしました
さこの
恋愛
婚約者のラウロ様は義妹を優先する。
私との約束なんかなかったかのように…
それをやんわり注意すると、君は家族を大事にしないのか?冷たい女だな。と言われました。
そうですか…あなたの目にはそのように映るのですね…
分かりました。それでは私も義兄を優先する事にしますね!大事な家族なので!
夫と息子は私が守ります!〜呪いを受けた夫とワケあり義息子を守る転生令嬢の奮闘記〜
梵天丸
恋愛
グリーン侯爵家のシャーレットは、妾の子ということで本妻の子たちとは差別化され、不遇な扱いを受けていた。
そんなシャーレットにある日、いわくつきの公爵との結婚の話が舞い込む。
実はシャーレットはバツイチで元保育士の転生令嬢だった。そしてこの物語の舞台は、彼女が愛読していた小説の世界のものだ。原作の小説には4行ほどしか登場しないシャーレットは、公爵との結婚後すぐに離婚し、出戻っていた。しかしその後、シャーレットは30歳年上のやもめ子爵に嫁がされた挙げ句、愛人に殺されるという不遇な脇役だった。
悲惨な末路を避けるためには、何としても公爵との結婚を長続きさせるしかない。
しかし、嫁いだ先の公爵家は、極寒の北国にある上、夫である公爵は魔女の呪いを受けて目が見えない。さらに公爵を始め、公爵家の人たちはシャーレットに対してよそよそしく、いかにも早く出て行って欲しいという雰囲気だった。原作のシャーレットが耐えきれずに離婚した理由が分かる。しかし、実家に戻れば、悲惨な末路が待っている。シャーレットは図々しく居座る計画を立てる。
そんなある日、シャーレットは城の中で公爵にそっくりな子どもと出会う。その子どもは、公爵のことを「お父さん」と呼んだ。
(完結)貴方から解放してくださいー私はもう疲れました(全4話)
青空一夏
恋愛
私はローワン伯爵家の一人娘クララ。私には大好きな男性がいるの。それはイーサン・ドミニク。侯爵家の子息である彼と私は相思相愛だと信じていた。
だって、私のお誕生日には私の瞳色のジャボ(今のネクタイのようなもの)をして参加してくれて、別れ際にキスまでしてくれたから。
けれど、翌日「僕の手紙を君の親友ダーシィに渡してくれないか?」と、唐突に言われた。意味がわからない。愛されていると信じていたからだ。
「なぜですか?」
「うん、実のところ私が本当に愛しているのはダーシィなんだ」
イーサン様は私の心をかき乱す。なぜ、私はこれほどにふりまわすの?
これは大好きな男性に心をかき乱された女性が悩んで・・・・・・結果、幸せになったお話しです。(元さやではない)
因果応報的ざまぁ。主人公がなにかを仕掛けるわけではありません。中世ヨーロッパ風世界で、現代的表現や機器がでてくるかもしれない異世界のお話しです。ご都合主義です。タグ修正、追加の可能性あり。

王子は婚約破棄を泣いて詫びる
tartan321
恋愛
最愛の妹を失った王子は婚約者のキャシーに復讐を企てた。非力な王子ではあったが、仲間の協力を取り付けて、キャシーを王宮から追い出すことに成功する。
目的を達成し安堵した王子の前に突然死んだ妹の霊が現れた。
「お兄さま。キャシー様を3日以内に連れ戻して!」
存亡をかけた戦いの前に王子はただただ無力だった。
王子は妹の言葉を信じ、遥か遠くの村にいるキャシーを訪ねることにした……。

五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる