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第一部 第1章 再会してしまいました
第1話〜逆切れしたのが運のツキ〜
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さぁ、今日もいつもの日常が始まる。
「いらっしゃいませー」
学生時代にスーパーのレジ打ちをしていた私は自宅からほど近いこのコンビニで、あの時と同じように慣れた手つきでレジを打っていた。
以前の客層はほぼ主婦だったが、扱っている商品が少し高めに値付けされているというだけで、今ではビジネスマンがその多くを占めている。特別愛想を振りまかなくても良いコンビニの仕事は、無愛想な私にはうってつけの仕事。相手の目も見ることもせず、棒読みの接客用語をいくつか発するだけで黙々とレジを打つ。二十五歳の元気な盛りではあるが、何とも味気ない毎日を過ごしていた。
とりあえず、今日も“恐怖の昼休み”がもうじき終わる。そう思うだけで、今日一日分の仕事が終わった位の解放感があった。
ビジネス街に位置するこの店は、昼の十二時になると物凄い数の客で店内がひしめき合い、すぐに我先にとレジに長蛇の列が出来る。
「お待たせしました、次の方どうぞー」
「チッ、――っせぇな」
比較的時間に余裕のある主婦とは違って限られた時間でしか買い物が出来ないビジネスマンは、早くしろと言わんばかりに様々なアピールをする。勿論、私だってこの長蛇の列をさっさと捌いて早く休憩に行きたい。が、そうやって並んでいる人々から感じるとげとげしい視線が余計に私の動きを緩慢にさせているということなど、残念ながら誰も気付く様子はない。手にした商品をせわしなく指でたたいたり、わざと大きなため息を吐いたり舌打ちをしたりと、いつ大声で怒鳴りつけられるのかとビクビクしていた。
「ありがとうございましたー」
それでもなんとか最後のレジを済ませ、ふぅっと一息つく。すると、隣のレジに立っていた店長の宮川さんが声を掛けて来た。
「芳野さん、悪いね。急に来れなくなった子の代わりに入ってもらっちゃって。普段は夜のシフトだから眠いんじゃない?」
普段、私は夜のシフトに入っている。夜中は客入りも少なく時給も高い。それに、弁当などの賞味期限が切れるのが大体深夜になるから、一人暮らしをしている私にとってはここでの賞味期限切れの弁当が貴重な食糧源となるのだ。だから、どう考えても夜のシフトの方が割が良かった。
「あ、いえ、大丈夫です。困った時はお互い様ですから」
「え? 本当? じゃあ昼のアルバイトさんが急にお休みになった時は、またお願いしようかな?」
「え!? あー、はい。……遠慮なく、どうぞ」
社交辞令で言った言葉は受け流されることなく、全力で受け入れられる。いつも廃棄弁当をくれる店長をがっかりさせまいと、つい、思ってもいない事を口走ってしまったのをすぐに後悔した。
店長は長年勤めていた鉄鋼関係の会社を脱サラし、奥さんと二十七歳になる息子さんとの三人家族でこのコンビニを経営している。店長も奥さんも元々が常に微笑んで居るような顔つきで、物腰もとても柔らか。勿論、息子である慎吾さんにもその遺伝子は受け継がれていた。
「何言ってるんだよ、父さん。そんな事言ったら歩ちゃんに迷惑が掛かるだろ?」
私達の背後で在庫が少なくなったから揚げちゃんを揚げていた慎吾さんが、黙っていられないとばかりに店長を窘めた。私には、その背中にキラキラと後光が光り輝いている様に見えた。
「そもそも、こういう時こそ身内を使わないでどうすんの? 何の為の家族経営なんだか」
「いやーだって、みっちゃん今日は社交ダンスのレッスンがある日だからって」
この、「みっちゃん」と言うのは店長の奥さんだ。こちとら急な出動命令で睡眠時間がたった二時間しかなかったというのに、今初めて聞かされたなんとも優雅な理由にちょっと口元がヒクついた。
それでもいつも貴重な食料を分けてもらっている手前、文句など言えない。
「慎吾さん。私、本当に大丈夫なんで」
取り繕った笑顔は何の役にも立たず、「親父の言った事は気にしなくていいからね」と慎吾さんに余計な気を使わせてしまう事となってしまった。
奥二重の目を更に細め、にっこりと笑う慎吾さんを見ているだけで心が癒されていく。決してイケメンでは無いけれど二歳年上の慎吾さんは、一人っ子の私にとって頼れるお兄ちゃん的存在だった。
カラッときつね色に揚がったから揚げちゃんを、レジ横のガラスケースへ並べ始める。
「さてと」
最後の一つを陳列し終わると店内をぐるっと見渡し、弁当コーナーにいる男性客を見ながら慎吾さんが顔を近づけた。
「歩ちゃん、あのお客さんが出たら休憩行こうか。それまで僕は裏で父さんと検品してるから、あのお客さんが出たら声掛けてくれる?」
「あ、はい。わかりました」
男性客に聞こえない様に小さな声でそう言うと、二人は扉の向こうへと姿を消した。
しばらくして、先程の弁当コーナーに居た男性客がレジに近づいてくる気配を感じた。レジ横に置いてある商品が気になるのであろう、そこで足を止めてじっと眺めていた。
「……? いらっしゃいませ」
やっとレジの前へとやって来る。どうもガラスケースの中の商品が気になって仕方がないのか、視線はずっとガラスケースへと注がれていた。
「あー、これも」
その男性客が指でつんつんと指し示したものを、レジの前に立ったまま背中を反らして確認する。
「あ、はい。から揚げちゃんですね」
どうやら先ほどから気になっていたのは、人気商品のから揚げちゃんだったらしい。私はガラスケースからそれを取り出しテープで蓋をすると、再びレジへと戻った。
「――? ……っ、――お弁当温めますか?」
台の上に置かれているその人が持ってきた弁当を見て、思わず心の中で失笑してしまう。と言うのも、その男性が持ってきたものはから揚げ弁当だったからだ。
――この人、どんだけから揚げが好きなんだ。
そう思いながらも、いつも通りのお決まりのセリフを言う。この言葉に対して返って来るのは、「はい」か「いいえ」の二つだけだと思っていた。なのに、
「冷たくしといて」
「え?」
いつもは客の顔など余り見る事も無い私が、その言葉の意味がわからず顔を上げる。肩までかかる黒髪と浅黒い肌。異国人と思しき彫りの深い端正な顔立ち。黒のスーツに身を固めた“いかにも”な感じのその人の顔をじっと見ていると、その眉根がみるみる皺を刻み始めたのがわかった。
「――だから“冷たくしといて”って」
「はぁ?」
昨夜の睡眠不足が祟ったのだろうか。あろうことか、自分に向けてイラつきを見せた相手に対してキレられる筋合いは無いとばかりに逆切れを起こしてしまい、更に相手を激高させることとなってしまった。
「あの、意味わかんないんですけど!? 温めるんですか? 温めないんですか?」
「だから! 冷たくしとけばいいっていってんだろ!?」
話が全く噛み合わないことにお互いイライラしているのがわかる。一刻も早くこの客に帰ってもらってさっさと休憩に入りたかった私は、必至でこの言葉の意味を理解しようとした。
「……それって、このままでいいって事ですか?」
「そうだよっ!!」
それならそうと言えないのだろうか。休憩前に変な客に当たったなと、ムスッとしながらレジを打った。
「……?」
何となく、胸元のネームプレートを凝視されている様な気はしたが、何か言われても言い返してやる位に思っていた。
――文句があるなら、遠慮なくどーぞ。
そんな風に思いながらレジ袋に弁当を詰めていたが、待っていたのは文句といった類では無かった。
「お前……芳野か?」
「へ?」
さっきの威勢は何処へやら。改めて名前を問われて又顔を上げる。
――いやいや、あんた今ネームプレート見てたよね?
そう思いながらも見つめ合う事、約五秒。何処となく見覚えのあるその顔に、口をぽかんと開けながらじっと眺めていた。
浅黒い肌を白くして、肩まで掛かる髪を短くして……。と、頭の中で色々と着せ替えてみる。と、一人だけ嫌な奴の顔に当てはまる事に気が付いた。
「――。……っ!」
こっ、こいつ、もしや――小田桐かっ!?
後の人格形成に多大な影響を与え兼ねない高校生という多感な時期に、何の因果かこやつと出会ってしまったせいで、手の施しようが無い所まで私の人格はひん曲がってしまったいわゆる諸悪の根源!
もう二度と会うことは無いだろうと思っていたあの男だったが、偶然とはいえこんな所で再会してしまった事が、私の悪夢の始まりだった。
「いらっしゃいませー」
学生時代にスーパーのレジ打ちをしていた私は自宅からほど近いこのコンビニで、あの時と同じように慣れた手つきでレジを打っていた。
以前の客層はほぼ主婦だったが、扱っている商品が少し高めに値付けされているというだけで、今ではビジネスマンがその多くを占めている。特別愛想を振りまかなくても良いコンビニの仕事は、無愛想な私にはうってつけの仕事。相手の目も見ることもせず、棒読みの接客用語をいくつか発するだけで黙々とレジを打つ。二十五歳の元気な盛りではあるが、何とも味気ない毎日を過ごしていた。
とりあえず、今日も“恐怖の昼休み”がもうじき終わる。そう思うだけで、今日一日分の仕事が終わった位の解放感があった。
ビジネス街に位置するこの店は、昼の十二時になると物凄い数の客で店内がひしめき合い、すぐに我先にとレジに長蛇の列が出来る。
「お待たせしました、次の方どうぞー」
「チッ、――っせぇな」
比較的時間に余裕のある主婦とは違って限られた時間でしか買い物が出来ないビジネスマンは、早くしろと言わんばかりに様々なアピールをする。勿論、私だってこの長蛇の列をさっさと捌いて早く休憩に行きたい。が、そうやって並んでいる人々から感じるとげとげしい視線が余計に私の動きを緩慢にさせているということなど、残念ながら誰も気付く様子はない。手にした商品をせわしなく指でたたいたり、わざと大きなため息を吐いたり舌打ちをしたりと、いつ大声で怒鳴りつけられるのかとビクビクしていた。
「ありがとうございましたー」
それでもなんとか最後のレジを済ませ、ふぅっと一息つく。すると、隣のレジに立っていた店長の宮川さんが声を掛けて来た。
「芳野さん、悪いね。急に来れなくなった子の代わりに入ってもらっちゃって。普段は夜のシフトだから眠いんじゃない?」
普段、私は夜のシフトに入っている。夜中は客入りも少なく時給も高い。それに、弁当などの賞味期限が切れるのが大体深夜になるから、一人暮らしをしている私にとってはここでの賞味期限切れの弁当が貴重な食糧源となるのだ。だから、どう考えても夜のシフトの方が割が良かった。
「あ、いえ、大丈夫です。困った時はお互い様ですから」
「え? 本当? じゃあ昼のアルバイトさんが急にお休みになった時は、またお願いしようかな?」
「え!? あー、はい。……遠慮なく、どうぞ」
社交辞令で言った言葉は受け流されることなく、全力で受け入れられる。いつも廃棄弁当をくれる店長をがっかりさせまいと、つい、思ってもいない事を口走ってしまったのをすぐに後悔した。
店長は長年勤めていた鉄鋼関係の会社を脱サラし、奥さんと二十七歳になる息子さんとの三人家族でこのコンビニを経営している。店長も奥さんも元々が常に微笑んで居るような顔つきで、物腰もとても柔らか。勿論、息子である慎吾さんにもその遺伝子は受け継がれていた。
「何言ってるんだよ、父さん。そんな事言ったら歩ちゃんに迷惑が掛かるだろ?」
私達の背後で在庫が少なくなったから揚げちゃんを揚げていた慎吾さんが、黙っていられないとばかりに店長を窘めた。私には、その背中にキラキラと後光が光り輝いている様に見えた。
「そもそも、こういう時こそ身内を使わないでどうすんの? 何の為の家族経営なんだか」
「いやーだって、みっちゃん今日は社交ダンスのレッスンがある日だからって」
この、「みっちゃん」と言うのは店長の奥さんだ。こちとら急な出動命令で睡眠時間がたった二時間しかなかったというのに、今初めて聞かされたなんとも優雅な理由にちょっと口元がヒクついた。
それでもいつも貴重な食料を分けてもらっている手前、文句など言えない。
「慎吾さん。私、本当に大丈夫なんで」
取り繕った笑顔は何の役にも立たず、「親父の言った事は気にしなくていいからね」と慎吾さんに余計な気を使わせてしまう事となってしまった。
奥二重の目を更に細め、にっこりと笑う慎吾さんを見ているだけで心が癒されていく。決してイケメンでは無いけれど二歳年上の慎吾さんは、一人っ子の私にとって頼れるお兄ちゃん的存在だった。
カラッときつね色に揚がったから揚げちゃんを、レジ横のガラスケースへ並べ始める。
「さてと」
最後の一つを陳列し終わると店内をぐるっと見渡し、弁当コーナーにいる男性客を見ながら慎吾さんが顔を近づけた。
「歩ちゃん、あのお客さんが出たら休憩行こうか。それまで僕は裏で父さんと検品してるから、あのお客さんが出たら声掛けてくれる?」
「あ、はい。わかりました」
男性客に聞こえない様に小さな声でそう言うと、二人は扉の向こうへと姿を消した。
しばらくして、先程の弁当コーナーに居た男性客がレジに近づいてくる気配を感じた。レジ横に置いてある商品が気になるのであろう、そこで足を止めてじっと眺めていた。
「……? いらっしゃいませ」
やっとレジの前へとやって来る。どうもガラスケースの中の商品が気になって仕方がないのか、視線はずっとガラスケースへと注がれていた。
「あー、これも」
その男性客が指でつんつんと指し示したものを、レジの前に立ったまま背中を反らして確認する。
「あ、はい。から揚げちゃんですね」
どうやら先ほどから気になっていたのは、人気商品のから揚げちゃんだったらしい。私はガラスケースからそれを取り出しテープで蓋をすると、再びレジへと戻った。
「――? ……っ、――お弁当温めますか?」
台の上に置かれているその人が持ってきた弁当を見て、思わず心の中で失笑してしまう。と言うのも、その男性が持ってきたものはから揚げ弁当だったからだ。
――この人、どんだけから揚げが好きなんだ。
そう思いながらも、いつも通りのお決まりのセリフを言う。この言葉に対して返って来るのは、「はい」か「いいえ」の二つだけだと思っていた。なのに、
「冷たくしといて」
「え?」
いつもは客の顔など余り見る事も無い私が、その言葉の意味がわからず顔を上げる。肩までかかる黒髪と浅黒い肌。異国人と思しき彫りの深い端正な顔立ち。黒のスーツに身を固めた“いかにも”な感じのその人の顔をじっと見ていると、その眉根がみるみる皺を刻み始めたのがわかった。
「――だから“冷たくしといて”って」
「はぁ?」
昨夜の睡眠不足が祟ったのだろうか。あろうことか、自分に向けてイラつきを見せた相手に対してキレられる筋合いは無いとばかりに逆切れを起こしてしまい、更に相手を激高させることとなってしまった。
「あの、意味わかんないんですけど!? 温めるんですか? 温めないんですか?」
「だから! 冷たくしとけばいいっていってんだろ!?」
話が全く噛み合わないことにお互いイライラしているのがわかる。一刻も早くこの客に帰ってもらってさっさと休憩に入りたかった私は、必至でこの言葉の意味を理解しようとした。
「……それって、このままでいいって事ですか?」
「そうだよっ!!」
それならそうと言えないのだろうか。休憩前に変な客に当たったなと、ムスッとしながらレジを打った。
「……?」
何となく、胸元のネームプレートを凝視されている様な気はしたが、何か言われても言い返してやる位に思っていた。
――文句があるなら、遠慮なくどーぞ。
そんな風に思いながらレジ袋に弁当を詰めていたが、待っていたのは文句といった類では無かった。
「お前……芳野か?」
「へ?」
さっきの威勢は何処へやら。改めて名前を問われて又顔を上げる。
――いやいや、あんた今ネームプレート見てたよね?
そう思いながらも見つめ合う事、約五秒。何処となく見覚えのあるその顔に、口をぽかんと開けながらじっと眺めていた。
浅黒い肌を白くして、肩まで掛かる髪を短くして……。と、頭の中で色々と着せ替えてみる。と、一人だけ嫌な奴の顔に当てはまる事に気が付いた。
「――。……っ!」
こっ、こいつ、もしや――小田桐かっ!?
後の人格形成に多大な影響を与え兼ねない高校生という多感な時期に、何の因果かこやつと出会ってしまったせいで、手の施しようが無い所まで私の人格はひん曲がってしまったいわゆる諸悪の根源!
もう二度と会うことは無いだろうと思っていたあの男だったが、偶然とはいえこんな所で再会してしまった事が、私の悪夢の始まりだった。
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