41 / 46
第一章 ルイーザ建国
41.或る若人の物語~後編~
しおりを挟む
ちょっと長くなってしまいましたので、前後編に分けました。
こちらは後編です。
前編は7時頃に投稿しています。
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
■□■---Side: ???---■□■
十匹程度のゴブリンの群れは何とか撃退できた。
事前に来ると分かっていたことが大きい。
穴を掘って罠を作り、そこに嵌めて倒した。余所者達もゴブリンの誘導に協力してくれたから、多少の怪我人は出たものの、死人は出なかった。
だが、これは前哨戦に過ぎない。
ゴブリンの群れの本体は一○○匹を超えているらしい。
「仕方ない。備蓄を一部売って、冒険者を雇おう」
父ちゃんの意見で、冒険者を雇うことが決定した。
俺達がこれから冬を乗り越えるために貯めてきた備蓄食糧だ。勿論、反対意見は出たが、対案を出せる者はいない。そりゃそうだ。俺達に出来ることなんて限られているんだから。
「私達が外側に住めば、そのまま見張りにもなりましょう?」
余所者の女がそう言い始めたのが切欠で、外周部分の開発が進んでいった。
余所者達が中心となって、村の外周付近に家を建て始めた。家というにはお粗末な作りだけれど、一応家だ。家族で暮らすことが出来て、近くの荒れ地を開墾すれば畑も作ることが出来る。水も、川の水を引く水路を延長すれば届けることが出来る。
余所者達はそこに住み、ゴブリン達を討伐するまで寝ずの番をしてくれるそうだ。
デニスとウッツは余所者達に好意的に接していた。
まぁ、分からなくは無い。あの余所者達は、美男美女が多い。肌も信じられないくらい白い者が多く、傷も殆ど無い。顔立ちが整っているのもそうだが、人懐っこい性格をした者が多いのも特徴だろう。表面的には、余所者達は馴染んでいるように見えた。
五日後、冒険者達がやってきた。
相変わらず粗野な連中で、早速余所者達と小さな揉め事を幾つか起こしている。俺は良く仲裁に駆り出された。
そんな日が数日続いた後、俺達と冒険者とで、ゴブリン掃討作戦が始まった。
何故かは分からないが、余所者達がゴブリンの痕跡を追えるという事なので、冒険者のグループの中に余所者達が混じり、巣ごと駆逐する作戦が実行された。
また、デニスとウッツは余所者達の事を賞賛し、より親密になっていったと思う。
しかし、俺は不思議だった。
何で、ゴブリンの痕跡を追える者達が、ゴブリンの群れに遭遇するような事態になったのか?
父ちゃんに聞いても「長旅の疲れで見逃したと言っておったじゃろう」と、余所者達の言うことを繰り返すばかり。
俺が疑り深すぎるのだろうか。
色々思う所はあるが、俺だって村の一員だ。
村の決定には従うし、動き始めた作戦に水を差すようなことをするつもりは無い。
割り当てられた討伐隊に参加し、何匹もゴブリンを狩って回った。
「強いんですね」
俺にそう声を掛けて来たのは、ゴブリンの群れの存在を伝えに来ていた女性だ。
あの時と同じ軽鎧を身に纏っていて、今日は槍を持っている。まぁ、槍とは言っても、木製の柄に古くなった鉄製の農具の先端をくくりつけただけの粗末な武器だが。
「冒険者の方が強いだろ。俺は、こうやって一匹倒すのに四苦八苦だ」
「彼らはそれで生きる糧を得ている人達だから。でも、貴方は違うでしょ?」
近くに来た彼女からは、良い匂いがした。
何となくそれが気まずくて、俺は顔を背けて距離を取る。――何やってるんだ。
「巣だ! 数が結構居る!」
「チッ、気付かれた! 奴ら破れかぶれで出てきてるぞ!」
「Dランク以下は村人達の護衛だ。Cランク以上は俺に付いてこい!」
周囲の空気が変わったのを、俺でも感じた。
バタバタと冒険者達の足音がして、三人が俺達の護衛に駆けつけている。残りの冒険者達は巣に突撃したようだ。
「距離を取る! こっちに!」
冒険者に誘導されながら、山を走った。
普段から狩りに来ている山だから、何なら冒険者より早く走れるが――。 そんな益体も無いことを思いながら何気無く余所者の彼女を見遣ると、右脚を庇う様に走っているのが目に止まった。
見れば、初めて会った時と同じで、右の足首に包帯を巻いている。
「ほら、掴まれ」
「え?」
「遅くなると、冒険者の皆に迷惑を掛ける」
何でこんなにぶっきらぼうにしか言えないのか。自分の感情であるはずなのに、自分で制御出来ない不思議な感覚に戸惑いながら。一度服の裾で拭いた手を差し出す。
素っ気ない対応をする俺に、彼女はぱちくりと目を瞬かせた。長い睫毛が酷く印象的だった。
「ありがとう」
小首を傾げる彼女の笑顔に、射貫かれたような衝撃が走った。
そして、手を取られた時に感じたあり得ない程柔らかい感触に、動揺した。
「?」
「いや、何でもない」
「いちゃついてねぇで、早くしろ!」
「「?!」」
冒険者の声に我に返った。俺も彼女も慌てて走り始めたけど、手は握られた侭だった。
「クソッ、数は少ないが追いついて来やがった! おい、俺達はついて来たゴブリンを狩るから、あそこの大木の影にでも隠れて待っていてくれ!」
「分かった!」
冒険者達が来た道を引き返して行く。
暫くすると、ゴブリンの叫び越えと、武器を打ち付ける音が聞こえてきた。
俺は彼女の手を引きながら、急いで大木の影まで走る。
いざとなったら彼女を守る心算はあるけど、複数のゴブリンを相手にして無事でいられるかは分からない。だから今は、冒険者の足手纏いにならないよう、言われたとおり木の陰に隠れるのが一番だと思った。
その思いが行動にも出てしまったのか、彼女の手を強く引いて早く走ってしまったため、木陰に入る所で彼女が転けてしまう。
「い、痛た……」
「ごめんっ」
「ううん、大丈夫。――あっ」
転けた拍子に、右足首の包帯が解けてしまったようだった。
「ごめん、巻き直――」
「大丈夫! 大丈夫だから」
そう言って、彼女は慌てて背中を向け、右脚を隠す様にして包帯を巻き始めた。
俺の声を遮ってまで声を上げる様子が珍しいとは思ったが、右足首の状態に思う所でもあったのだろうと、無理矢理、自分を納得させた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
多少のイレギュラーはあったものの、ゴブリン討伐は大成功に終わった。
余所者達の活躍もあって、多くの巣が駆逐され、討伐した個体数は一五八体にまで上った。中にはハイ・ゴブリンも居たようで、このまま放っておくとゴブリンキングが誕生して厄介な事になっていたかも知れないと、冒険者が言っていた。
大事に至る前に発見し、退治の依頼を発行した事に感謝されつつ村へと戻ると――。
「何だ、これは……」
村の一部が焼かれ、多くの村人が殺されていた。
「あ、待って!」
隣にいた余所者の彼女の制止を振り切って、俺は村へと駆け出す。
幸いなことに、異変に気付いた冒険者の一隊が戻って来たため、全滅こそしなかったようだが、多くの村人がゴブリンに殺されてしまったようだ。
「……父ちゃん……」
父ちゃんもその一人だった。
父ちゃんだけではない。村の長老衆は軒並み殺されていたし、病気を患って動けなかった村人も殺されていた。無事だったのは、冒険者の避難誘導について行けた女衆と子供達だけ。
「うわあああああああああっ!!!」
俺は、ずたずたに引き裂かれた父ちゃんの身体を抱きしめながら、泣いた――。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「やはり、そうじゃったか……」
森で見つけた人影を追って来てみれば、洞窟の中で息を潜めるように隠れている集団に出くわした。
そして、その中の一人を見て、確信する。
どうして、お前はいつも嘘を吐くんだ――。
そう思った瞬間、激情に支配されてしまった。
一緒に来てくれていた二人に指示を出し、洞窟の別の通路から奴らの背後へと回る。
どこかで奴らに気付かれていたなら捕らえられてしまったのかも知れないが、神が味方をしてくれたのか、気付かれること無く背後に回り込むことに成功した。
適当な石を手に取って、合図を出す。
初めに居た場所辺りに全力で投げた石が、洞窟の岩壁に当たって音を立てた。
連中がそれに気付き、慌てて警戒を始めたところで、一緒に来ていた二人が姿を現す。
「皆さん下がって下さい!」
何故か分からないが、メイド服を着ている娘が悲鳴のような声を上げて庇う様に出てくるが、それを制するように見知った男――確か、ウルガーと言ったか――が更に前へと出て行く。
「デニス殿、ウッツ殿、どうして此処に?!」
ウルガーが、連れの二人を見て驚愕の声を上げた瞬間に、儂も背後から奴らに奇襲する。
連中の一番後ろ――つまり、儂に一番近い所にいた知己を羽交い締めにしながら捕らえ、その首筋にナイフを突きつけた。
「どうしてと問いたいのはこちらの方じゃ。さぁ、答えて貰うぞ、ルイーザよ」
視界の端に映った彼女の右脚には、あの人同じように、包帯が幾重にも巻かれていた――。
「ヨーゼフ……。貴方まで……」
ルイーザの瞳が、悲しげに揺れていた。
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
■Tips■
ヨーゼフ[人名]
ピルツ村の村長。
魔物に父親を、親同然の年配達を殺されながら、テールス王国と魔王国の国境付近で生きてきた。
普段は素っ気ないが、実は村の仲間を大切にする、仲間思いの村長。
こちらは後編です。
前編は7時頃に投稿しています。
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
■□■---Side: ???---■□■
十匹程度のゴブリンの群れは何とか撃退できた。
事前に来ると分かっていたことが大きい。
穴を掘って罠を作り、そこに嵌めて倒した。余所者達もゴブリンの誘導に協力してくれたから、多少の怪我人は出たものの、死人は出なかった。
だが、これは前哨戦に過ぎない。
ゴブリンの群れの本体は一○○匹を超えているらしい。
「仕方ない。備蓄を一部売って、冒険者を雇おう」
父ちゃんの意見で、冒険者を雇うことが決定した。
俺達がこれから冬を乗り越えるために貯めてきた備蓄食糧だ。勿論、反対意見は出たが、対案を出せる者はいない。そりゃそうだ。俺達に出来ることなんて限られているんだから。
「私達が外側に住めば、そのまま見張りにもなりましょう?」
余所者の女がそう言い始めたのが切欠で、外周部分の開発が進んでいった。
余所者達が中心となって、村の外周付近に家を建て始めた。家というにはお粗末な作りだけれど、一応家だ。家族で暮らすことが出来て、近くの荒れ地を開墾すれば畑も作ることが出来る。水も、川の水を引く水路を延長すれば届けることが出来る。
余所者達はそこに住み、ゴブリン達を討伐するまで寝ずの番をしてくれるそうだ。
デニスとウッツは余所者達に好意的に接していた。
まぁ、分からなくは無い。あの余所者達は、美男美女が多い。肌も信じられないくらい白い者が多く、傷も殆ど無い。顔立ちが整っているのもそうだが、人懐っこい性格をした者が多いのも特徴だろう。表面的には、余所者達は馴染んでいるように見えた。
五日後、冒険者達がやってきた。
相変わらず粗野な連中で、早速余所者達と小さな揉め事を幾つか起こしている。俺は良く仲裁に駆り出された。
そんな日が数日続いた後、俺達と冒険者とで、ゴブリン掃討作戦が始まった。
何故かは分からないが、余所者達がゴブリンの痕跡を追えるという事なので、冒険者のグループの中に余所者達が混じり、巣ごと駆逐する作戦が実行された。
また、デニスとウッツは余所者達の事を賞賛し、より親密になっていったと思う。
しかし、俺は不思議だった。
何で、ゴブリンの痕跡を追える者達が、ゴブリンの群れに遭遇するような事態になったのか?
父ちゃんに聞いても「長旅の疲れで見逃したと言っておったじゃろう」と、余所者達の言うことを繰り返すばかり。
俺が疑り深すぎるのだろうか。
色々思う所はあるが、俺だって村の一員だ。
村の決定には従うし、動き始めた作戦に水を差すようなことをするつもりは無い。
割り当てられた討伐隊に参加し、何匹もゴブリンを狩って回った。
「強いんですね」
俺にそう声を掛けて来たのは、ゴブリンの群れの存在を伝えに来ていた女性だ。
あの時と同じ軽鎧を身に纏っていて、今日は槍を持っている。まぁ、槍とは言っても、木製の柄に古くなった鉄製の農具の先端をくくりつけただけの粗末な武器だが。
「冒険者の方が強いだろ。俺は、こうやって一匹倒すのに四苦八苦だ」
「彼らはそれで生きる糧を得ている人達だから。でも、貴方は違うでしょ?」
近くに来た彼女からは、良い匂いがした。
何となくそれが気まずくて、俺は顔を背けて距離を取る。――何やってるんだ。
「巣だ! 数が結構居る!」
「チッ、気付かれた! 奴ら破れかぶれで出てきてるぞ!」
「Dランク以下は村人達の護衛だ。Cランク以上は俺に付いてこい!」
周囲の空気が変わったのを、俺でも感じた。
バタバタと冒険者達の足音がして、三人が俺達の護衛に駆けつけている。残りの冒険者達は巣に突撃したようだ。
「距離を取る! こっちに!」
冒険者に誘導されながら、山を走った。
普段から狩りに来ている山だから、何なら冒険者より早く走れるが――。 そんな益体も無いことを思いながら何気無く余所者の彼女を見遣ると、右脚を庇う様に走っているのが目に止まった。
見れば、初めて会った時と同じで、右の足首に包帯を巻いている。
「ほら、掴まれ」
「え?」
「遅くなると、冒険者の皆に迷惑を掛ける」
何でこんなにぶっきらぼうにしか言えないのか。自分の感情であるはずなのに、自分で制御出来ない不思議な感覚に戸惑いながら。一度服の裾で拭いた手を差し出す。
素っ気ない対応をする俺に、彼女はぱちくりと目を瞬かせた。長い睫毛が酷く印象的だった。
「ありがとう」
小首を傾げる彼女の笑顔に、射貫かれたような衝撃が走った。
そして、手を取られた時に感じたあり得ない程柔らかい感触に、動揺した。
「?」
「いや、何でもない」
「いちゃついてねぇで、早くしろ!」
「「?!」」
冒険者の声に我に返った。俺も彼女も慌てて走り始めたけど、手は握られた侭だった。
「クソッ、数は少ないが追いついて来やがった! おい、俺達はついて来たゴブリンを狩るから、あそこの大木の影にでも隠れて待っていてくれ!」
「分かった!」
冒険者達が来た道を引き返して行く。
暫くすると、ゴブリンの叫び越えと、武器を打ち付ける音が聞こえてきた。
俺は彼女の手を引きながら、急いで大木の影まで走る。
いざとなったら彼女を守る心算はあるけど、複数のゴブリンを相手にして無事でいられるかは分からない。だから今は、冒険者の足手纏いにならないよう、言われたとおり木の陰に隠れるのが一番だと思った。
その思いが行動にも出てしまったのか、彼女の手を強く引いて早く走ってしまったため、木陰に入る所で彼女が転けてしまう。
「い、痛た……」
「ごめんっ」
「ううん、大丈夫。――あっ」
転けた拍子に、右足首の包帯が解けてしまったようだった。
「ごめん、巻き直――」
「大丈夫! 大丈夫だから」
そう言って、彼女は慌てて背中を向け、右脚を隠す様にして包帯を巻き始めた。
俺の声を遮ってまで声を上げる様子が珍しいとは思ったが、右足首の状態に思う所でもあったのだろうと、無理矢理、自分を納得させた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
多少のイレギュラーはあったものの、ゴブリン討伐は大成功に終わった。
余所者達の活躍もあって、多くの巣が駆逐され、討伐した個体数は一五八体にまで上った。中にはハイ・ゴブリンも居たようで、このまま放っておくとゴブリンキングが誕生して厄介な事になっていたかも知れないと、冒険者が言っていた。
大事に至る前に発見し、退治の依頼を発行した事に感謝されつつ村へと戻ると――。
「何だ、これは……」
村の一部が焼かれ、多くの村人が殺されていた。
「あ、待って!」
隣にいた余所者の彼女の制止を振り切って、俺は村へと駆け出す。
幸いなことに、異変に気付いた冒険者の一隊が戻って来たため、全滅こそしなかったようだが、多くの村人がゴブリンに殺されてしまったようだ。
「……父ちゃん……」
父ちゃんもその一人だった。
父ちゃんだけではない。村の長老衆は軒並み殺されていたし、病気を患って動けなかった村人も殺されていた。無事だったのは、冒険者の避難誘導について行けた女衆と子供達だけ。
「うわあああああああああっ!!!」
俺は、ずたずたに引き裂かれた父ちゃんの身体を抱きしめながら、泣いた――。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「やはり、そうじゃったか……」
森で見つけた人影を追って来てみれば、洞窟の中で息を潜めるように隠れている集団に出くわした。
そして、その中の一人を見て、確信する。
どうして、お前はいつも嘘を吐くんだ――。
そう思った瞬間、激情に支配されてしまった。
一緒に来てくれていた二人に指示を出し、洞窟の別の通路から奴らの背後へと回る。
どこかで奴らに気付かれていたなら捕らえられてしまったのかも知れないが、神が味方をしてくれたのか、気付かれること無く背後に回り込むことに成功した。
適当な石を手に取って、合図を出す。
初めに居た場所辺りに全力で投げた石が、洞窟の岩壁に当たって音を立てた。
連中がそれに気付き、慌てて警戒を始めたところで、一緒に来ていた二人が姿を現す。
「皆さん下がって下さい!」
何故か分からないが、メイド服を着ている娘が悲鳴のような声を上げて庇う様に出てくるが、それを制するように見知った男――確か、ウルガーと言ったか――が更に前へと出て行く。
「デニス殿、ウッツ殿、どうして此処に?!」
ウルガーが、連れの二人を見て驚愕の声を上げた瞬間に、儂も背後から奴らに奇襲する。
連中の一番後ろ――つまり、儂に一番近い所にいた知己を羽交い締めにしながら捕らえ、その首筋にナイフを突きつけた。
「どうしてと問いたいのはこちらの方じゃ。さぁ、答えて貰うぞ、ルイーザよ」
視界の端に映った彼女の右脚には、あの人同じように、包帯が幾重にも巻かれていた――。
「ヨーゼフ……。貴方まで……」
ルイーザの瞳が、悲しげに揺れていた。
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
■Tips■
ヨーゼフ[人名]
ピルツ村の村長。
魔物に父親を、親同然の年配達を殺されながら、テールス王国と魔王国の国境付近で生きてきた。
普段は素っ気ないが、実は村の仲間を大切にする、仲間思いの村長。
0
お気に入りに追加
488
あなたにおすすめの小説
爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。
秋田ノ介
ファンタジー
88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。
異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。
その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。
飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。
完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。
公国の後継者として有望視されていたが無能者と烙印を押され、追放されたが、とんでもない隠れスキルで成り上がっていく。公国に戻る?いやだね!
秋田ノ介
ファンタジー
主人公のロスティは公国家の次男として生まれ、品行方正、学問や剣術が優秀で、非の打ち所がなく、後継者となることを有望視されていた。
『スキル無し』……それによりロスティは無能者としての烙印を押され、後継者どころか公国から追放されることとなった。ロスティはなんとかなけなしの金でスキルを買うのだが、ゴミスキルと呼ばれるものだった。何の役にも立たないスキルだったが、ロスティのとんでもない隠れスキルでゴミスキルが成長し、レアスキル級に大化けしてしまう。
ロスティは次々とスキルを替えては成長させ、より凄いスキルを手にしていき、徐々に成り上がっていく。一方、ロスティを追放した公国は衰退を始めた。成り上がったロスティを呼び戻そうとするが……絶対にお断りだ!!!!
小説家になろうにも掲載しています。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
幼馴染み達が寝取られたが,別にどうでもいい。
みっちゃん
ファンタジー
私達は勇者様と結婚するわ!
そう言われたのが1年後に再会した幼馴染みと義姉と義妹だった。
「.....そうか,じゃあ婚約破棄は俺から両親達にいってくるよ。」
そう言って俺は彼女達と別れた。
しかし彼女達は知らない自分達が魅了にかかっていることを、主人公がそれに気づいていることも,そして,最初っから主人公は自分達をあまり好いていないことも。
【完結】6歳の王子は無自覚に兄を断罪する
土広真丘
ファンタジー
ノーザッツ王国の末の王子アーサーにはある悩みがあった。
異母兄のゴードン王子が婚約者にひどい対応をしているのだ。
その婚約者は、アーサーにも優しいマリーお姉様だった。
心を痛めながら、アーサーは「作文」を書く。
※全2話。R15は念のため。ふんわりした世界観です。
前半はひらがなばかりで、読みにくいかもしれません。
主人公の年齢的に恋愛ではないかなと思ってファンタジーにしました。
小説家になろうに投稿したものを加筆修正しました。
元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜
一ノ瀬 彩音
ファンタジー
元勇者パーティーで雑用係をしていたが、追放されてしまった。
しかし彼は本当は最強でしかも、真の実力を隠していた!
今は辺境の小さな村でひっそりと暮らしている。
そうしていると……?
※第3回HJ小説大賞一次通過作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる