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第一章 ルイーザ建国

33.コボルト殲滅戦

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■□■---Side: クラウス---■□■

 「隠密行動するんじゃ無かったのかよ?!」

 怒鳴りながら、俺は剣を抜いた。
 ダミアンの野郎の話だと、騎士団の本体は動かさずに斥候だけで周囲の探索に当たるって話じゃ無かったか?
 なのにどうして、この本陣がコボルト共の急襲を受けてるんだよ。

「謝罪は後ほど。今はコボルト達の対処が先です」
「チッ、絶対責任取らせるからな!」

 本当に不貞不貞しい野郎だ。反省の「は」の字も感じやしねぇ。

 だが、奴の言っていることは間違っちゃいねぇ。もう俺の見える場所にまでコボルトが迫って来てやがる。
 先頭のデカいのは……ハイ・コボルトか? 妙な武装してやがるが、体が一回りデカいし、感じる魔力が他の雑魚とは違うから間違い無いか。


「どけ、俺が出る!」


 俺は声を張り上げ、ハイ・コボルト目掛けて駆け出した。

「お待ち下さい、クラウス様!」
「待たねぇ! 駄犬ごとき、お前等に頼るまでもねぇよ!」

 所詮は犬の延長だろ?
 多少マシな武器を持って、軽鎧を纏ってはいるようだが、国王から賜ったこの剣と鎧に敵うわけもねぇ。基本スペックだって、勇者の俺様はレベルが違うからな!

「くっ、皆の者、援護陣形! 弓兵と魔術兵はクラウス様を援護しろ。盾持ちは弓兵と魔術兵の援護! 五人だけ我と共にクラウス様につけ!」

 ダミアンの声が聞こえる。
 今更指令出して、俺に着いて来れるのかよ?


「お、らあああッ!」

 王様より賜った剣――ツーハンデッドソードタイプの宝剣を振り上げる。切れ味もさることながら、かなり重量のある剣だ。小回りは効かないけれど、一撃の威力は大きい。
 ハイ・コボルトに向かって駆ける勢いもそのままに、大上段に構えたそれを、一息に振り下ろす。

 俺目掛けて突っ込んでくるハイ・コボルトの頭から胴体を真っ二つにするつもりで振り下ろした宝剣は、剣自体が纏う魔力の燐光で軌跡を描く。流星の如き一撃。
 俺だって、弱い訳じゃねぇんだ。

 だが、流石は上位種。
 手持ちの片手剣を両手持ちして、宝剣の一撃を防ぎやがった。

 甲高い金属音が響くが、気にしねぇ。ハイ・コボルトとは言え、体は俺より若干デカい程度だ。このまま押し切る!
 宝剣の一撃を正面から受けた時点で、相手が不利なのは明確だからな。

 実際、ハイ・コボルトは片膝を着いて完全防御態勢になっている。このまま、力で押し切ってやろう。


「吼えろ、『聖炎』!」


 宝剣を上から押し込む力に、魔力を乗せる。
 自分の中に満ちている、生命力にも似た何かがごっそりと抜けていく感覚。だがそれは、抜けた力以上の暴威となって、宝剣に纏わり付いた。
 白銀の剣に、光り輝く炎が、螺旋に巻き付き、竜巻の如き奔流となって膨れ上がる。

 渦巻く炎は宝剣を伝って奔り、うねり、龍の如き形を取ってハイ・コボルトに襲いかかった。


「キャウウウウァァァ!!!」


 悲鳴に似た甲高い声。耳障りな騒音を撒き散らしながら、ハイ・コボルトが輝く炎から逃れ、大きく後退する。
 咄嗟に剣を捨てて体を捻り、形振り構わず後方に飛んで回避したようだが、体の左半分は焼け爛れ、抉れてしまっていた。もう、勝敗は決したも同然だ。

「俺の力を見たか!」

 引き上がる口角。
 これだよ。魔物なんざ、俺の『聖炎』の前では雑魚同然なんだよ。
 元がコボルトとは言え、その上位種だ。生半可な攻撃じゃ傷も付かねぇし、ましてや一撃でこれだけの大ダメージを与えるのは至難の業だ。

 ――だが! 俺はそれが出来る!

 そうだよ、これこそが勇者なんだ。
 本物の、神に選ばれた男なんだよ!



「放てぇッ!」
「あん?」

 ダミアンの声に、視線を向けると、俺の後方からあらゆる魔術が一斉放火された。

 氷柱槍アイシクルランス火炎槍フレイムランス疾風斬ウインドカッター岩砕撃ロックバースト――。
 それだけじゃなく、鏃に強力な魔力を宿した矢も、彗星の様に飛んでいく。


「「「ギャウウンン!!!!」」」


 それらは全てがハイ・コボルトの直ぐ後ろまで迫っていた、コボルトの集団に命中した。
 人によって異なる詠唱時間を完璧に合わせ、点ではなく面で制圧する一斉攻撃。ハイ・コボルトの攻撃に合わせるように攻勢に出てきていたコボルト全てを、一瞬で押し返すだけの威力。

 それだけではない。
 俺の体を包む温かな光と、風の鎧。――身体強化フィジカルブースト風結界ウインドバリアだ。

 更に、俺とハイ・コボルトを含むコボルト共の間に、ずらりと並ぶ盾持ちの騎士達。
 盾持ちの騎士達は、俺よりもずっとデカい図体をしているが、その体よりも大きな盾をどっしりと構えて腰を落とす。一瞬で、屈強な防壁がそこに出来上がっていた。

 しかもだ。よく見ると、盾持ち騎士達にも、身体強化フィジカルブースト風結界ウインドバリアが重ね掛けされている。


「一番、弓兵!」

 ダミアンの声が森に響く。
 その瞬間、まるで大砲の様な巨大な何かが、俺のすぐ近くを通り抜け、コボルト達の集団のど真ん中で弾けた。

 耳を劈く爆発音共に、地面が抉れ、コボルト共の小さな体が落ち葉の様に舞い上がった。
 強力な魔術をエンチャントした矢による一撃だ。


「一番、二番、魔術兵!」

 紅蓮の炎弾と土塊がコボルト達に降り注ぎ――。

「三番から六番は詠唱維持、全弓兵風矢ウインドアロー斉射!!」

 突風を纏った矢が一斉に放たれ、ハイ・コボルトを含めたコボルト達が後方に吹き飛び――

盾兵じゅんぺい前進! 続いて全隊前進!」

 盾持ちが開いた距離を一気に詰めて前進する。それにワンテンポだけ遅らせて、全員が同じだけ距離を詰める。

「三番から六番、魔術兵、掃射!」

 再び、氷柱槍アイシクルランス火炎槍フレイムランス疾風斬ウインドカッター岩砕撃ロックバーストがコボルト共を襲った。


「グウゥゥゥ……」


 一連の猛攻の後には、ハイ・コボルトしか残っていなかった。
 見たところ三十匹近いコボルトが居た筈だが、その全てが倒されている。
 しかも、圧倒的火力で押し切ったというよりも、必要最小限の火力で制圧仕切ったという様相だ。実際使っていた魔術は良くて中級レベルの魔術だから、魔術としての派手さはあっても、一つ一つが高威力という訳では無いはず。
 まるで、計算し尽くされたかのような連続攻撃で、コボルトの一集団を圧倒したのだ。


「は、ははっ」


 何だよ、ダミアンの連中、一応戦えるんじゃねぇか。
 こんだけ出来るんなら、何でフレイスバウムで逃げたんだよ? 俺を王都に帰そうとするんだよ?
 マジで、意味が分んねぇ。

 残っているハイ・コボルトも、俺の『聖炎』のダメージに加えて、さっきの連続攻撃を受けて、もう死に体じゃねぇか。
 あれくらいなら一瞬で片が付くぜ。


「やるじゃねぇか、ダミアン」
「いえ。それよりお怪我はありませんか?」
「あん? ある訳ねぇだろ」
「それは重畳。――ですが、クラウス様、先陣を切るのはお控え下さい」

 ダミアンが俺の前に出る。それを見た盾兵が、態と隊列に隙間を作り、ハイ・コボルトとダミアンの間から退いた。

「どういう意味だ、ダミアン?! 俺様が邪魔だってのか?」


 言うに事欠いて、先陣を切るなだと?
 巫山戯んな。後ろで震えてろとでも言いてぇのか?!

 ダミアンの背中に向けて怒気を孕んだ声を叩き付けてやったが、ピクリとも反応しやがらない。
 マジでどういう了見なんだ。

「お怪我をさせる訳にはいかないだけです。クラウス様をお守りすることが、我らの最重要任務ですから」

 ダミアンは、その言葉も終わらないうちに、ハイ・コボルトとの距離を一気に詰めた。

 ――速い!

 マジか。全く見えなかったぞ。
 気が付いたら、ハイ・コボルトが倒されてやがった。
 ダミアンが剣に付いた血を払い飛ばしてやがるから、剣で斬り殺したんだってことは分ったが、どう動いたのかが全く見えなかった。
 コボルトの右肩に大きな裂傷ができているから、それをダミアンがやったんだろうが……。

 何だよ、此奴等。
 こんなに強かったのかよ。


「……ダミアン……ッ」

 嗚呼、苛々する!
 どうしてその実力を隠してやがった?
 それだけできるなら、もっと色々やれることがあった筈だろうが!
 それを、何弱腰になってやがるんだよ。間抜けなのか?


 腹が立って仕方がねぇ。
 ダミアンの野郎を睨み据えてやるが、眉一つ動かしやがらねぇ。マジで殴ってやりてぇよ。


「王都に戻りましょう、クラウス様。倒したコボルトは二五体。仮に、先日追い詰めた時に殿を務めていた者もどこかで死んだと仮定すると、討伐数は二六。ピルツ村から逃げ出した数と合致します。そうですよね、ヨーゼフ殿?」

 ダミアンが連れてきた村の連中に問いかける。
 ヨーゼフ、確か、ピルツ村の村長だったか。

 後方に控えていた村人の集団から、一人の男が出てきた。

「はい、その通りです」

 成る程。まぁ一匹は死体が見つかっていないが、それくらなら許容範囲か。既に瀕死の重傷を負わせていたって話だしな。
 ヨーゼフの言葉を聞いたダミアンは、一度大きく頷くと、そのむかつく顔を俺の方に向けてくる。

「お聞きの通り、これでコボルトの討伐は完了したと判断致します。――速やかに、王都へ戻りましょう」

 無性に腹が立つ。
 そのすまし顔も、何もかもに腹が立つ。

 だが、もうこの場に用が無いのも事実だろう。
 腹は立つが、ここで怒鳴っても仕方ない。
 ――落ち着け、落ち着くんだ。


 俺は、深呼吸して自分を落ち着け、踵を返した。


























 ――その瞬間、血の雨が降り注いだ。

―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
■Tips■
ダミアン隊[名詞・通称]
ダミアンが率いる騎士隊の通称。
本来は、1000名が所属している大隊だが、今はその中の精鋭だけが選りすぐられ、90名の二個小隊規模になっている。
その特徴は屈強は盾兵にあり、どんな攻撃も通さない頑強な防御力で、戦場に壁を作り出す。
あとは、盾兵の後方から魔術や弓の一斉攻撃を加え、敵兵力を殲滅する。
その特徴通り、防衛戦で真価を発揮する、キースリング辺境伯騎士団の精鋭部隊。

今回のコボルト殲滅戦で盾兵の真価は発揮されなかったが、ワイバーン程度のブレスなら、盾兵一人で凌ぎきる猛者達が揃っている。
ダミアン自身も、攻めよりは守りで真価を発揮するタイプ。ファーストスキルは『守護騎士』

なお、ダミアンと共に勇者に随行している90名以外は、キースリング辺境伯と共に領都キースリングで討死。
一兵たりとも逃げ出さず、敵に背中を見せず、最期の最期までキースリング辺境伯を守り、散っていった。

合掌(-人-)

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