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第4章《旅立ち~獣人国ガルヴィオ》編
第206話 任務完了!
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そもそも私のためのラフィージア行きだ。「巻き込んでごめん」という言葉は言うな、と皆は言ってくれていたけれど、やはり今回の魔石採取は私の責任だ。
「お前だけの責任な訳ないだろ!」
ディノが声を荒げた。
「うん、ありがとう。でもね、魔石採取は魔石精製師の責任よ。ラフィージア行きについては私だけの、とは言わない。でも魔石採取は魔石精製師の領分。油断したのは私の責任よ」
そこは譲れない。やはり魔石採取に関して責任があるのは魔石精製師なのよ。
皆は顔を見合わせ、そして呆れたように溜め息を吐き苦笑した。
「そうだな、ルーサには魔石精製師としてのプライドもあるだろうしな。すまん、余計なことを言った」
ヴァドは笑いながら私の頭を撫でた。そして、ピタッと止まると、チラリと視線を私の顔から上に向けた。ん? なに?
「で、ルギニアスはいつまでルーサを抱いてんだ?」
「!!」
はうぁぁあ!! そ、そうだった!! ルギニアスに抱き抱えられたままだった!! ギシッと身体が強張り、おそるおそるルギニアスを見上げた。
ルギニアスは至って普通の顔……いや、耳は赤い……。
「回復薬をよこせ」
「え?」
低い声で一言そう呟いたルギニアスに全員が「え?」となった。
「俺は回復魔法の専門じゃない。応急処置程度だ」
「あ、あぁ」
ルギニアスが言った言葉に全員がようやく「なるほど」といった顔となり、リラーナがすぐさま鞄から回復薬を取り出した。
ルギニアスは私を抱き抱えたまま、その場に座り込み、私を地面に下ろした。私は地面に座り、そのままルギニアスに背を支えられ、リラーナに回復薬を渡される。それを一気に飲み干し回復を待った。その間ルギニアスはずっと私の背を支えている。それがなんだか嬉しいやら恥ずかしいやら、皆の視線が痛かった。
「あ、あー、ルーサ、そろそろ回復したか?」
「あ、あぁ、うん。心配かけてごめんね」
時間の経過と共に次第に体力が回復するのが分かり、私は立ち上がった。ルギニアスに手を支えられながら……な、なんだろう、このむず痒さ……ル、ルギニアス、どうしちゃったの……。それだけ心配をかけた、ということかな……。
それがなんだか申し訳なくて、私を立ち上がらせてくれたルギニアスの手をギュッと握った。ピクリと反応したルギニアスは安心したのか、それとも不安を拭うためなのか、同じようにグッと握ったかと思うと、そっと手を離した。離れた手がなんだか寂しく思ってしまったのは内緒だ。
「そういえばどうやって私がここにいることが分かったの?」
ふと疑問になって聞いた。私が湖に沈んだことで、湖付近で捜索してくれているのかと思ったのだ。
「ん? あぁ、あいつらから連絡が入ってな」
そう言ってヴァドがチラリと背後に目をやった。そこには潜水艇を運んで来ていた獣人たちがこちらに手を振ってくれている。
「あいつらはまだここで待機していたから、横穴から流されて来たぞ、って、通信用魔導具で知らせてくれた」
「なるほど」
「かなり焦った声だったから、俺たちも慌てて駆け付けたんだ。そしたら姿は見えたが遠いし、ルギニアスに隠れてルーサの状態がよく分からなかったし……で」
そう言いながら苦笑しつつ、皆の視線がルギニアスに向いた。
「まさかあんな速攻で、しかも一番にルギニアスが湖に飛び込むとも思ってなかったから驚いたよ」
ヴァドが言った言葉に皆はウンウンと頷き、皆の視線がなにやらニヤニヤしているような……。ルギニアスはフンと腕組みをしながら横を向いている。
そっか、誰よりも先に飛び込んでくれたんだ……。それが嬉しくて顔がにやけそうになり焦る。それを誤魔化すように声を上げる。
「えっと、そ、そういえば魔石は!?」
大事なことを忘れていた、とばかりに声を張り上げた。いや、うん、だって大事でしょ!
「あぁ、無事に精製出来ていたぞ」
ヴァドが鞄のなかから取り出し掌に乗せ、こちらに差し出した。そこにはキラキラと輝く真っ赤な魔石が。ヴァドの大きな掌いっぱいに乗る巨大な魔石。
「よ、良かった……」
安堵の溜め息が深く漏れた。
「あぁ、お疲れさん。ルーサのことは焦ったが、なんとか無事に採取出来て良かったよ。城では飛行船の修繕が終わるまでゆっくり休んでくれ」
そう言ってヴァドは再び私の頭にポンと手を置くと、ワシワシと撫でた。
そしてその日はもう一泊野営をし、翌朝、獣人たちが潜水艇を回収し、城へと出発したと同時に私たちも撤収。城へと帰還したのだった。
城では豪華な生活でもてなしてもらい、あまりに優雅な暮らしで私たちはそわそわとしつつも、城の人たちとも仲良くなりつつ楽しんだ。
そして、ひと月ほどの期間を経て、飛行船の修繕が終了した。
ついに、ラフィージアへ旅立つときがやって来た!!
第4章 完
********
次回、第5章開始!
4月22日更新予定です。
「お前だけの責任な訳ないだろ!」
ディノが声を荒げた。
「うん、ありがとう。でもね、魔石採取は魔石精製師の責任よ。ラフィージア行きについては私だけの、とは言わない。でも魔石採取は魔石精製師の領分。油断したのは私の責任よ」
そこは譲れない。やはり魔石採取に関して責任があるのは魔石精製師なのよ。
皆は顔を見合わせ、そして呆れたように溜め息を吐き苦笑した。
「そうだな、ルーサには魔石精製師としてのプライドもあるだろうしな。すまん、余計なことを言った」
ヴァドは笑いながら私の頭を撫でた。そして、ピタッと止まると、チラリと視線を私の顔から上に向けた。ん? なに?
「で、ルギニアスはいつまでルーサを抱いてんだ?」
「!!」
はうぁぁあ!! そ、そうだった!! ルギニアスに抱き抱えられたままだった!! ギシッと身体が強張り、おそるおそるルギニアスを見上げた。
ルギニアスは至って普通の顔……いや、耳は赤い……。
「回復薬をよこせ」
「え?」
低い声で一言そう呟いたルギニアスに全員が「え?」となった。
「俺は回復魔法の専門じゃない。応急処置程度だ」
「あ、あぁ」
ルギニアスが言った言葉に全員がようやく「なるほど」といった顔となり、リラーナがすぐさま鞄から回復薬を取り出した。
ルギニアスは私を抱き抱えたまま、その場に座り込み、私を地面に下ろした。私は地面に座り、そのままルギニアスに背を支えられ、リラーナに回復薬を渡される。それを一気に飲み干し回復を待った。その間ルギニアスはずっと私の背を支えている。それがなんだか嬉しいやら恥ずかしいやら、皆の視線が痛かった。
「あ、あー、ルーサ、そろそろ回復したか?」
「あ、あぁ、うん。心配かけてごめんね」
時間の経過と共に次第に体力が回復するのが分かり、私は立ち上がった。ルギニアスに手を支えられながら……な、なんだろう、このむず痒さ……ル、ルギニアス、どうしちゃったの……。それだけ心配をかけた、ということかな……。
それがなんだか申し訳なくて、私を立ち上がらせてくれたルギニアスの手をギュッと握った。ピクリと反応したルギニアスは安心したのか、それとも不安を拭うためなのか、同じようにグッと握ったかと思うと、そっと手を離した。離れた手がなんだか寂しく思ってしまったのは内緒だ。
「そういえばどうやって私がここにいることが分かったの?」
ふと疑問になって聞いた。私が湖に沈んだことで、湖付近で捜索してくれているのかと思ったのだ。
「ん? あぁ、あいつらから連絡が入ってな」
そう言ってヴァドがチラリと背後に目をやった。そこには潜水艇を運んで来ていた獣人たちがこちらに手を振ってくれている。
「あいつらはまだここで待機していたから、横穴から流されて来たぞ、って、通信用魔導具で知らせてくれた」
「なるほど」
「かなり焦った声だったから、俺たちも慌てて駆け付けたんだ。そしたら姿は見えたが遠いし、ルギニアスに隠れてルーサの状態がよく分からなかったし……で」
そう言いながら苦笑しつつ、皆の視線がルギニアスに向いた。
「まさかあんな速攻で、しかも一番にルギニアスが湖に飛び込むとも思ってなかったから驚いたよ」
ヴァドが言った言葉に皆はウンウンと頷き、皆の視線がなにやらニヤニヤしているような……。ルギニアスはフンと腕組みをしながら横を向いている。
そっか、誰よりも先に飛び込んでくれたんだ……。それが嬉しくて顔がにやけそうになり焦る。それを誤魔化すように声を上げる。
「えっと、そ、そういえば魔石は!?」
大事なことを忘れていた、とばかりに声を張り上げた。いや、うん、だって大事でしょ!
「あぁ、無事に精製出来ていたぞ」
ヴァドが鞄のなかから取り出し掌に乗せ、こちらに差し出した。そこにはキラキラと輝く真っ赤な魔石が。ヴァドの大きな掌いっぱいに乗る巨大な魔石。
「よ、良かった……」
安堵の溜め息が深く漏れた。
「あぁ、お疲れさん。ルーサのことは焦ったが、なんとか無事に採取出来て良かったよ。城では飛行船の修繕が終わるまでゆっくり休んでくれ」
そう言ってヴァドは再び私の頭にポンと手を置くと、ワシワシと撫でた。
そしてその日はもう一泊野営をし、翌朝、獣人たちが潜水艇を回収し、城へと出発したと同時に私たちも撤収。城へと帰還したのだった。
城では豪華な生活でもてなしてもらい、あまりに優雅な暮らしで私たちはそわそわとしつつも、城の人たちとも仲良くなりつつ楽しんだ。
そして、ひと月ほどの期間を経て、飛行船の修繕が終了した。
ついに、ラフィージアへ旅立つときがやって来た!!
第4章 完
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次回、第5章開始!
4月22日更新予定です。
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