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第2章《修行》編
第74話 砂漠に魔獣!?
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「いやぁ、それにしても本当に凄いもんだな! 魔蟲からこんな綺麗な魔石が出来上がるとはなぁ」
ディノが魔石をまじまじと見詰めながら感心していた。
「そうだよね、私も初めて見たとき感動したもん」
「初めてのときってやっぱ師匠のか?」
「うん」
「魔石屋のダラスさんだよな?」
「うん。イーザンはダラスさんを知ってるの?」
イーザンもディノと同様、魔石をじっくり眺めながら口にした。
「私の魔導剣の魔石はダラスさんの店から買ったものだ」
「へぇぇ! そうなんだ! ん、ということはイーザンとは店で会ったことがあるのかも?」
「さあ、どうだろうな。買ったときは赤い髪の女が店番をしていたが」
「リラーナ! そっか、リラーナが店番中なら私は作業場で修行中かも。その魔導剣にダラスさんの魔石かぁ」
イーザンの腰に下がっている魔導剣。剣については全く詳しくないけれど、とても綺麗な剣だった。鍔の部分には装飾のようなものがあり、そこに魔石が埋め込まれている気配を感じた。でもなんだろう、一つだけじゃないような……。
「何個か魔石が付いてるの?」
「「!?」」
イーザンもディノも驚いた顔をした。
「魔石の数が分かるのか?」
ディノが興味津々だ。
「え、あぁ、うん。魔石の魔力を感じるから。それが一つじゃない気がして」
「…………魔石精製師というのはそんなことも分かるのだな」
驚いた顔のままイーザンは腰に下げた鞘から魔導剣をスラリと抜いた。そしてそっと剣身を片手で支え、私の目の前に翳して見せてくれる。
「鍔の部分に魔石が埋まっている。一つは炎系付与の魔石」
魔導剣をくるりと反転させ、もう片側の剣身を見せる。
「そしてもう一つ、雷系付与の魔石」
「炎系と雷系……」
だからさっきの攻撃でイーザンは二種類の魔法を魔導剣に纏わせることが出来ていたのね。単体で魔法を発動させ、それを織り交ぜながら攻撃するのは知っているが、完全に融合させて攻撃するなんて聞いたことがなかった。
二種類の魔石を上手く操ることが出来たら、あんな合体技も出来る訳だ。
凄いわね、と私が口にしようとしたとき、ルギニアスが叫んだ。
「避けろ!!」
突然頭上から影が落ちたかと思えば、激しい風圧と共に『ガシッ!!』と……。
は? ガシッ?
そう思ったときには私の足は地表から離れた。
「うぅぇぇえええ!?」
「ちっ」
ルギニアスが肩越しに上空を見上げているのが分かり、同様に見上げる。
「うぅぇぇえええ!?」
はい、二回目の叫び出ました。ひぃぃぃいいい!! なんなのー!!
私の身体をガシッと掴んだものは巨大な鷹のような魔獣の足だった。
「「ルーサ!!」」
叫んだディノとイーザンは、大きく跳躍し剣を振るった。しかし鷹は見事にそれを避け届かない。イーザンは魔導剣に雷を纏わせ、思い切り振るった。すると剣から雷撃が迸り、鷹の動きを封じる。
『ギュワァァァァアアア!!』
けたたましい鳴き声を上げた鷹へ向かって再び大きく跳躍したディノは、私を掴む鷹の脚に斬り付けた。ディノの剣は脚を斬り落とすことはなかったが、ブシュッと血が噴き出す。
ルギニアスがなにかを呟いたかと思うと、血が噴き出す箇所へと雷撃が飛び、傷をさらに深く抉る。
『ギュワァァァァアアア!!』
再び悲鳴のような鳴き声を上げた鷹は、痛みからか私を掴んでいた爪が緩む。そしてそのまま私は落下……
「ぎゃぁぁぁぁああああ!!!!」
すでに五階建てほどの高さへと舞い上がっていた上空から、いきなり放り投げられ落下中! そら叫ぶしかないでしょ! 死ぬぅぅぅう!! なんかデジャヴゥゥゥ!!
危うく気を失うかと思っていたとき、なにやらふわっと身体の周りに風が舞った。そのときなんとなく落ちる速度が遅くなったような……?
大きく跳躍したディノが私の身体を空中でキャッチし、抱きかかえたかと思うと、見事に地上へと着地した。
「大丈夫か!? ルーサ!!」
「う、うん、ありがと……」
いきなり空中へ持ち上げられ、落下し、ディノの跳躍からの着地。あちこち上下左右が分からなくなりちょっと気持ち悪い……。
「下がってろ!」
ディノは私から離れると、すぐに踵を返し再び上空を見上げた。気持ち悪いままだが、なんとか顔を上げると、イーザンがこちらを見ながら少し安堵の表情だった。もしかしてさっき私の身体の周りに風が舞った気がしたのはイーザンの魔法?
鷹は怒り心頭といった様子で勢い良くこちらに向かって急降下してきた!
イーザンは素早く魔導剣を構えなおすと、大きく振るう。剣から激しい炎が噴き出し、『ゴォォオオ!!』という轟音を響かせながら鷹を飲み込む。
『ギュワァァァァアアア』
炎から逃れようと大きく翼を広げ暴れ回る。バサッバサッと翼が激しく動くたびに、炎とともに砂が舞い上げられ、思わず顔を庇う。目に砂が!!
あ! そういえばレインさんが用意してくれていた荷物! うっすらと目を開け、鞄を探り、それだと思うものを取り出し慌てて装着!
「うん! レインさん、ありがとう!」
レインさんが砂漠用にと見立ててくれた荷物の一つ、ゴーグルを装着し、なんとか視界を保つと、二人は大丈夫なのか、と目で追った。
ディノとイーザンはすでにゴーグル装着済でした……さすが。ルギニアスは唸っていたので、そっと私のマントの中へと避難させました……。
ディノが魔石をまじまじと見詰めながら感心していた。
「そうだよね、私も初めて見たとき感動したもん」
「初めてのときってやっぱ師匠のか?」
「うん」
「魔石屋のダラスさんだよな?」
「うん。イーザンはダラスさんを知ってるの?」
イーザンもディノと同様、魔石をじっくり眺めながら口にした。
「私の魔導剣の魔石はダラスさんの店から買ったものだ」
「へぇぇ! そうなんだ! ん、ということはイーザンとは店で会ったことがあるのかも?」
「さあ、どうだろうな。買ったときは赤い髪の女が店番をしていたが」
「リラーナ! そっか、リラーナが店番中なら私は作業場で修行中かも。その魔導剣にダラスさんの魔石かぁ」
イーザンの腰に下がっている魔導剣。剣については全く詳しくないけれど、とても綺麗な剣だった。鍔の部分には装飾のようなものがあり、そこに魔石が埋め込まれている気配を感じた。でもなんだろう、一つだけじゃないような……。
「何個か魔石が付いてるの?」
「「!?」」
イーザンもディノも驚いた顔をした。
「魔石の数が分かるのか?」
ディノが興味津々だ。
「え、あぁ、うん。魔石の魔力を感じるから。それが一つじゃない気がして」
「…………魔石精製師というのはそんなことも分かるのだな」
驚いた顔のままイーザンは腰に下げた鞘から魔導剣をスラリと抜いた。そしてそっと剣身を片手で支え、私の目の前に翳して見せてくれる。
「鍔の部分に魔石が埋まっている。一つは炎系付与の魔石」
魔導剣をくるりと反転させ、もう片側の剣身を見せる。
「そしてもう一つ、雷系付与の魔石」
「炎系と雷系……」
だからさっきの攻撃でイーザンは二種類の魔法を魔導剣に纏わせることが出来ていたのね。単体で魔法を発動させ、それを織り交ぜながら攻撃するのは知っているが、完全に融合させて攻撃するなんて聞いたことがなかった。
二種類の魔石を上手く操ることが出来たら、あんな合体技も出来る訳だ。
凄いわね、と私が口にしようとしたとき、ルギニアスが叫んだ。
「避けろ!!」
突然頭上から影が落ちたかと思えば、激しい風圧と共に『ガシッ!!』と……。
は? ガシッ?
そう思ったときには私の足は地表から離れた。
「うぅぇぇえええ!?」
「ちっ」
ルギニアスが肩越しに上空を見上げているのが分かり、同様に見上げる。
「うぅぇぇえええ!?」
はい、二回目の叫び出ました。ひぃぃぃいいい!! なんなのー!!
私の身体をガシッと掴んだものは巨大な鷹のような魔獣の足だった。
「「ルーサ!!」」
叫んだディノとイーザンは、大きく跳躍し剣を振るった。しかし鷹は見事にそれを避け届かない。イーザンは魔導剣に雷を纏わせ、思い切り振るった。すると剣から雷撃が迸り、鷹の動きを封じる。
『ギュワァァァァアアア!!』
けたたましい鳴き声を上げた鷹へ向かって再び大きく跳躍したディノは、私を掴む鷹の脚に斬り付けた。ディノの剣は脚を斬り落とすことはなかったが、ブシュッと血が噴き出す。
ルギニアスがなにかを呟いたかと思うと、血が噴き出す箇所へと雷撃が飛び、傷をさらに深く抉る。
『ギュワァァァァアアア!!』
再び悲鳴のような鳴き声を上げた鷹は、痛みからか私を掴んでいた爪が緩む。そしてそのまま私は落下……
「ぎゃぁぁぁぁああああ!!!!」
すでに五階建てほどの高さへと舞い上がっていた上空から、いきなり放り投げられ落下中! そら叫ぶしかないでしょ! 死ぬぅぅぅう!! なんかデジャヴゥゥゥ!!
危うく気を失うかと思っていたとき、なにやらふわっと身体の周りに風が舞った。そのときなんとなく落ちる速度が遅くなったような……?
大きく跳躍したディノが私の身体を空中でキャッチし、抱きかかえたかと思うと、見事に地上へと着地した。
「大丈夫か!? ルーサ!!」
「う、うん、ありがと……」
いきなり空中へ持ち上げられ、落下し、ディノの跳躍からの着地。あちこち上下左右が分からなくなりちょっと気持ち悪い……。
「下がってろ!」
ディノは私から離れると、すぐに踵を返し再び上空を見上げた。気持ち悪いままだが、なんとか顔を上げると、イーザンがこちらを見ながら少し安堵の表情だった。もしかしてさっき私の身体の周りに風が舞った気がしたのはイーザンの魔法?
鷹は怒り心頭といった様子で勢い良くこちらに向かって急降下してきた!
イーザンは素早く魔導剣を構えなおすと、大きく振るう。剣から激しい炎が噴き出し、『ゴォォオオ!!』という轟音を響かせながら鷹を飲み込む。
『ギュワァァァァアアア』
炎から逃れようと大きく翼を広げ暴れ回る。バサッバサッと翼が激しく動くたびに、炎とともに砂が舞い上げられ、思わず顔を庇う。目に砂が!!
あ! そういえばレインさんが用意してくれていた荷物! うっすらと目を開け、鞄を探り、それだと思うものを取り出し慌てて装着!
「うん! レインさん、ありがとう!」
レインさんが砂漠用にと見立ててくれた荷物の一つ、ゴーグルを装着し、なんとか視界を保つと、二人は大丈夫なのか、と目で追った。
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