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第14話 断罪
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ロベルト様を見ると思い切り目を逸らした。こ、これは……
「詳しくは聞かないが、人の婚約者を監禁した挙句、他人の手紙を勝手に破棄し連絡まで取れないようにした……一国の王子がこんなのとは聞いて呆れる」
開いた口が塞がらないとはまさにこのことね。
「わ、私は!!」
ロベルト様がなにかを叫ぼうとした瞬間、背後から低い声が響き渡った。
「もう良い。ロベルト、これ以上言い訳をするな。見苦しい」
「!! 父上……」
振り向くとそこには国王陛下がおられた。酷くやつれられたような……疲れた顔をなさっているわ。
「お前がまさかロザリア嬢を監禁しているとは……ダルヴァン辺境伯から聞いて耳を疑ったぞ。なんてことをしたのだ」
ラキシスを見上げると、それに気付いたラキシスは額にキスをする勢いで顔を近付けたかと思うと、そっと耳打ちした。
「君が言い残していたように国王陛下に謁見をし、そこで君が行方不明だと報告したんだ。陛下は最初信じられないといった顔をされていたが、ロザリアが登城したことは調べたらすぐに分かったらしく、城のなかを探す許可をいただいたんだ」
やはり国王陛下はなにも知らなかったのね。
「そこでロザリアを探すにあたって私の邪魔はしない、なにがあっても罪には問わないと約束いただいた」
「え……それって脅し……」
フフ、とラキシスは微笑みながら私の口を人差し指で塞いだ。
「ち、父上!! わ、私はフィリアのために!!」
「フィリア嬢のためにロザリア嬢を犠牲にするとは何事だ!! お前は何度ロザリア嬢を傷付けたら気が済むのだ!!」
陛下に叱責されロベルト様は顔を歪め俯く。
「ロベルト、お前はもう王太子ではない。お前にその価値はない。お前はその責務を果たせない」
「「「「!!」」」」
その場にいる全員が驚愕の顔となった。
「第一王子であるロベルトを廃太子とし、第二王子であるアスランを王太子とする! 立太子の儀を後日行い、ロベルトは王族から除籍、ガウラン領へと向かいそこで一から出直せ!」
「父上!! そ、そんな!!」
第二王子であるアスラン殿下といえばまだ十歳。ロベルト様とは腹違いでだいぶ歳が離れている。しかしロベルト様よりも幼いながらにかなり賢い方だと噂されていた。
一部ではロベルト様よりもアスラン殿下のほうが王位に向いているのではないかとも言われていた。だから今回のこの陛下の決断は妥当なものなのかもしれない。
しかし廃太子はともかくとして、王族からの除籍、さらにはガウラン領へ、というのはいささか重すぎる罰のような気もするけれど……。ガウラン領といえばダルヴァン辺境伯領ほどではないにしても、隣国との国境警備が重要な土地。しかもその隣国は好戦的な国で、頻繁にいざこざが起きていると聞いた。王族としてではなく、一兵として向かうのならば前線に出る可能性が高いはず。
ロベルト様は真っ青な顔。少し気の毒になってしまい、ラキシスの袖をぎゅっと握った。
そんな私の手をそっと握ると優しく微笑んだラキシス。
「ロザリアは本当に優しい人だね。君が気にすることではないのに。あれだけ酷いことをされたのに、それでもあの王太子を心配するとは……少し妬けるな。あぁ、もう王太子ではなかった」
ラキシスの笑顔の裏に怒りを感じるわね……私よりもきっとラキシスのほうが怒っている……。私はと言えばラキシスと無事再会出来たことで怒りなどどこかに飛んで行ってしまった。フィリア様と話しているときはあんなにイライラしたのに……そういえばフィリア様は?
そう思いきょろきょろと周りを見回すと、ロベルト様の向こう側、隅のほうで小さく気配を殺しているフィリア様の姿が見えた。
「フィリア嬢、貴女は我が息子のせいで巻き込まれたといっても過言ではないが、しかし、何度となく父であるジエスト男爵から注意をされていたと聞く。それを踏まえてもフィリア嬢にも責任がないとは言い難い。今回のロザリア嬢監禁の件も本来なら貴女からロベルトを諫めるべきだった。
よって貴女にもロベルト同様、罪を背負ってもらう。共にガウラン領へと出向くか、それとも修道院に入るか選ぶと良い」
名を呼ばれビクッとしたフィリア様。フィリア様もロベルト様と同じく真っ青な顔をしてらっしゃいますわね。
「わ、私は……」
俯き手を握り締めるフィリア様。彼女は一体どの選択をするのかしら……。
バッと顔を上げたフィリア様は私と目が合い、強い瞳を向けた。今まで見たことがないくらい決意を秘めた瞳だった。
「私はロベルト様とガウラン領へと参ります」
*********
次話、最終話です。
「詳しくは聞かないが、人の婚約者を監禁した挙句、他人の手紙を勝手に破棄し連絡まで取れないようにした……一国の王子がこんなのとは聞いて呆れる」
開いた口が塞がらないとはまさにこのことね。
「わ、私は!!」
ロベルト様がなにかを叫ぼうとした瞬間、背後から低い声が響き渡った。
「もう良い。ロベルト、これ以上言い訳をするな。見苦しい」
「!! 父上……」
振り向くとそこには国王陛下がおられた。酷くやつれられたような……疲れた顔をなさっているわ。
「お前がまさかロザリア嬢を監禁しているとは……ダルヴァン辺境伯から聞いて耳を疑ったぞ。なんてことをしたのだ」
ラキシスを見上げると、それに気付いたラキシスは額にキスをする勢いで顔を近付けたかと思うと、そっと耳打ちした。
「君が言い残していたように国王陛下に謁見をし、そこで君が行方不明だと報告したんだ。陛下は最初信じられないといった顔をされていたが、ロザリアが登城したことは調べたらすぐに分かったらしく、城のなかを探す許可をいただいたんだ」
やはり国王陛下はなにも知らなかったのね。
「そこでロザリアを探すにあたって私の邪魔はしない、なにがあっても罪には問わないと約束いただいた」
「え……それって脅し……」
フフ、とラキシスは微笑みながら私の口を人差し指で塞いだ。
「ち、父上!! わ、私はフィリアのために!!」
「フィリア嬢のためにロザリア嬢を犠牲にするとは何事だ!! お前は何度ロザリア嬢を傷付けたら気が済むのだ!!」
陛下に叱責されロベルト様は顔を歪め俯く。
「ロベルト、お前はもう王太子ではない。お前にその価値はない。お前はその責務を果たせない」
「「「「!!」」」」
その場にいる全員が驚愕の顔となった。
「第一王子であるロベルトを廃太子とし、第二王子であるアスランを王太子とする! 立太子の儀を後日行い、ロベルトは王族から除籍、ガウラン領へと向かいそこで一から出直せ!」
「父上!! そ、そんな!!」
第二王子であるアスラン殿下といえばまだ十歳。ロベルト様とは腹違いでだいぶ歳が離れている。しかしロベルト様よりも幼いながらにかなり賢い方だと噂されていた。
一部ではロベルト様よりもアスラン殿下のほうが王位に向いているのではないかとも言われていた。だから今回のこの陛下の決断は妥当なものなのかもしれない。
しかし廃太子はともかくとして、王族からの除籍、さらにはガウラン領へ、というのはいささか重すぎる罰のような気もするけれど……。ガウラン領といえばダルヴァン辺境伯領ほどではないにしても、隣国との国境警備が重要な土地。しかもその隣国は好戦的な国で、頻繁にいざこざが起きていると聞いた。王族としてではなく、一兵として向かうのならば前線に出る可能性が高いはず。
ロベルト様は真っ青な顔。少し気の毒になってしまい、ラキシスの袖をぎゅっと握った。
そんな私の手をそっと握ると優しく微笑んだラキシス。
「ロザリアは本当に優しい人だね。君が気にすることではないのに。あれだけ酷いことをされたのに、それでもあの王太子を心配するとは……少し妬けるな。あぁ、もう王太子ではなかった」
ラキシスの笑顔の裏に怒りを感じるわね……私よりもきっとラキシスのほうが怒っている……。私はと言えばラキシスと無事再会出来たことで怒りなどどこかに飛んで行ってしまった。フィリア様と話しているときはあんなにイライラしたのに……そういえばフィリア様は?
そう思いきょろきょろと周りを見回すと、ロベルト様の向こう側、隅のほうで小さく気配を殺しているフィリア様の姿が見えた。
「フィリア嬢、貴女は我が息子のせいで巻き込まれたといっても過言ではないが、しかし、何度となく父であるジエスト男爵から注意をされていたと聞く。それを踏まえてもフィリア嬢にも責任がないとは言い難い。今回のロザリア嬢監禁の件も本来なら貴女からロベルトを諫めるべきだった。
よって貴女にもロベルト同様、罪を背負ってもらう。共にガウラン領へと出向くか、それとも修道院に入るか選ぶと良い」
名を呼ばれビクッとしたフィリア様。フィリア様もロベルト様と同じく真っ青な顔をしてらっしゃいますわね。
「わ、私は……」
俯き手を握り締めるフィリア様。彼女は一体どの選択をするのかしら……。
バッと顔を上げたフィリア様は私と目が合い、強い瞳を向けた。今まで見たことがないくらい決意を秘めた瞳だった。
「私はロベルト様とガウラン領へと参ります」
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次話、最終話です。
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