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第11話 監禁
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しかしそんなことに気付いていない様子のロベルト様。なんだかあまりの無能っぷりにこんな方だったかしら、と別人のような気にもなってきてしまう。
「父上はご存じない。これから話すつもりだ」
お父様は頭を抱えた。そして深い溜め息を吐く。
「まずは国王陛下にご相談なさいませ。ロザリアに頼むのはそれからです」
「ナジェスト公爵、未来の王妃のためなのだぞ!?」
「その未来の王妃であるロザリアを捨てたのはどなたです」
「う……」
怒りを露わにするお父様。言葉は丁寧だが、激しい怒りを感じる。ロベルト様はそんなお父様から目を逸らし私を見た。
「ロザリア」
「私はお父様に従いますわ」
お父様が怒ってくださったおかげで私は少し落ち着いた。だからこそ冷静に返事が出来る。
フィリア様はなにもおっしゃらないけれど、ご自身のことなのになにを思ってらっしゃるのかしら。
ちらりとフィリア様を見ても、なんだか悔しさを滲ませたようなお顔をされてはいますが、一言も言葉になさらない。
自分が負かしたと思っていた女に、頭なんか下げたくありませんわよね。それは分かりますわ。ロベルト様がちょっとおかしいのよ。無神経というか、状況が見えていないというか……っとダメね。失言ばかりになってしまうわ。
「さあ、ロザリア帰ろう」
「ま、待て!!」
退室しようとお父様が私に促した途端、ロベルト様は私の腕を掴み引き戻した。
「ロベルト様!?」
「帰ることは許さない」
「「!?」」
そして私とお父様は王城に足止めされ、滞在という名で監禁されたのだった。
その後何度となくロベルト様がやって来ては話し合ったが、私がフィリア様のお手伝いをするまではここから出さない、帰さない、と脅され、王城へ到着してから一週間ほどが経ってしまったのだ。
ラキシスには毎日手紙を出しているのだが、果たしてちゃんと届けてもらえているのだろうか。心配をしていなければいいのだけれど。
もうすぐ結婚式だというのにこんなところに足止めされてしまうだなんて。
諦めて受け入れたほうがいいのかしら。受け入れたらここから出してもらえて結婚式も挙げられる? でもそのあとは? フィリア様の教育お手伝いなんてしてしまったら、ダルヴァン辺境伯領に戻れないじゃないの。ラキシスの傍にいられない。それはダメよ!
そんなことを行ったり来たりと悶々と考えていると、監禁されている部屋の扉が叩かれた。
「はい」
扉に向かって返事をすると、外からは聞き覚えのある声がした。
「フィリアです。ロザリア様、少しお話よろしいですか?」
「……どうぞ」
フィリア様はおずおずと部屋のなかへと入ってきた。
お父様に二人で話したいとお願いし、危険はないだろうと判断されたお父様は隣の部屋へと席を外した。
「お茶を召し上がりますか?」
いつまでももじもじと立ったままのフィリア様にテーブルへ着くよう促すと、侍女にお茶を用意するようにお願いした。
監禁といえどもさすがに牢屋とかにいるわけではない。お父様と二人で快適に過ごせるくらいの広さの部屋に、着替えなども用意され、侍女も付けてもらえている。
それは良かったのだけれど、外には自由に出ることが叶わない。扉の前には見張りの騎士が立っている。騎士たちは申し訳なさそうな顔をしながら、それでも王太子殿下には逆らえない。申し訳ない、と言いながら外出を阻む。だからやはり《監禁》なのだ。
「それで今日はどういったご用件で?」
侍女が用意してくれたお茶を口に運びながらフィリア様に言葉を投げる。
フィリア様はお茶のカップを握り締め、俯きながら考えているようだ。
「あ、あの……」
しばらくの沈黙を経て、フィリア様はようやく話し出した。
「あの……私、謝りませんから!」
「は?」
ようやく話し出したかと思ったらいきなりなにをおっしゃっているのかしら。
「私、謝りませんから!!」
「だからなにを」
フィリア様が謝ることといえば、ロベルト様を奪ったこと? 今回のお手伝いのこと? 夜会のときになんの言葉もなかったこと? お手伝いで揉めているときですらなにもおっしゃらなかったこと? 正直思い当たることが多過ぎてどれだか分からない。
「私、別にロザリア様からロベルト様を奪おうとか思ってなかったですから!」
「……」
なにを今さら……一体なんのお話なのやら……
「父上はご存じない。これから話すつもりだ」
お父様は頭を抱えた。そして深い溜め息を吐く。
「まずは国王陛下にご相談なさいませ。ロザリアに頼むのはそれからです」
「ナジェスト公爵、未来の王妃のためなのだぞ!?」
「その未来の王妃であるロザリアを捨てたのはどなたです」
「う……」
怒りを露わにするお父様。言葉は丁寧だが、激しい怒りを感じる。ロベルト様はそんなお父様から目を逸らし私を見た。
「ロザリア」
「私はお父様に従いますわ」
お父様が怒ってくださったおかげで私は少し落ち着いた。だからこそ冷静に返事が出来る。
フィリア様はなにもおっしゃらないけれど、ご自身のことなのになにを思ってらっしゃるのかしら。
ちらりとフィリア様を見ても、なんだか悔しさを滲ませたようなお顔をされてはいますが、一言も言葉になさらない。
自分が負かしたと思っていた女に、頭なんか下げたくありませんわよね。それは分かりますわ。ロベルト様がちょっとおかしいのよ。無神経というか、状況が見えていないというか……っとダメね。失言ばかりになってしまうわ。
「さあ、ロザリア帰ろう」
「ま、待て!!」
退室しようとお父様が私に促した途端、ロベルト様は私の腕を掴み引き戻した。
「ロベルト様!?」
「帰ることは許さない」
「「!?」」
そして私とお父様は王城に足止めされ、滞在という名で監禁されたのだった。
その後何度となくロベルト様がやって来ては話し合ったが、私がフィリア様のお手伝いをするまではここから出さない、帰さない、と脅され、王城へ到着してから一週間ほどが経ってしまったのだ。
ラキシスには毎日手紙を出しているのだが、果たしてちゃんと届けてもらえているのだろうか。心配をしていなければいいのだけれど。
もうすぐ結婚式だというのにこんなところに足止めされてしまうだなんて。
諦めて受け入れたほうがいいのかしら。受け入れたらここから出してもらえて結婚式も挙げられる? でもそのあとは? フィリア様の教育お手伝いなんてしてしまったら、ダルヴァン辺境伯領に戻れないじゃないの。ラキシスの傍にいられない。それはダメよ!
そんなことを行ったり来たりと悶々と考えていると、監禁されている部屋の扉が叩かれた。
「はい」
扉に向かって返事をすると、外からは聞き覚えのある声がした。
「フィリアです。ロザリア様、少しお話よろしいですか?」
「……どうぞ」
フィリア様はおずおずと部屋のなかへと入ってきた。
お父様に二人で話したいとお願いし、危険はないだろうと判断されたお父様は隣の部屋へと席を外した。
「お茶を召し上がりますか?」
いつまでももじもじと立ったままのフィリア様にテーブルへ着くよう促すと、侍女にお茶を用意するようにお願いした。
監禁といえどもさすがに牢屋とかにいるわけではない。お父様と二人で快適に過ごせるくらいの広さの部屋に、着替えなども用意され、侍女も付けてもらえている。
それは良かったのだけれど、外には自由に出ることが叶わない。扉の前には見張りの騎士が立っている。騎士たちは申し訳なさそうな顔をしながら、それでも王太子殿下には逆らえない。申し訳ない、と言いながら外出を阻む。だからやはり《監禁》なのだ。
「それで今日はどういったご用件で?」
侍女が用意してくれたお茶を口に運びながらフィリア様に言葉を投げる。
フィリア様はお茶のカップを握り締め、俯きながら考えているようだ。
「あ、あの……」
しばらくの沈黙を経て、フィリア様はようやく話し出した。
「あの……私、謝りませんから!」
「は?」
ようやく話し出したかと思ったらいきなりなにをおっしゃっているのかしら。
「私、謝りませんから!!」
「だからなにを」
フィリア様が謝ることといえば、ロベルト様を奪ったこと? 今回のお手伝いのこと? 夜会のときになんの言葉もなかったこと? お手伝いで揉めているときですらなにもおっしゃらなかったこと? 正直思い当たることが多過ぎてどれだか分からない。
「私、別にロザリア様からロベルト様を奪おうとか思ってなかったですから!」
「……」
なにを今さら……一体なんのお話なのやら……
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