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カナデ編
第六話 オムライス
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「それでね、大体バイトで入る子みんな、男の子も女の子もみんな! 私のこと好きになっちゃうのよ。あ! 引かないでね! 本当なのよ!」
樟本さんは必死に説明をする。確かに皆が自分を好きになる、とかどれだけ自信過剰なんだろう、と思わないこともないが、この人ならありえそうなので、特にそこには引っかからないのですが……、それよりも気になったのが男の子も女の子もみんな……、ん? えっと、これは聞いたほうが良いのかしら……、でも樟本さんも古城さんも普通だし……、うん、聞かなかったことにしましょう。
「それでね、みんな私のこと好きって言ってくれるんだけど、私がこの喋り方になった途端ドン引きになって去って行くのよ。だからバイトが長続きしないの」
樟本さんは頬に手を当てながらしゅんとした仕草をした。
綺麗な容姿に仕草も女性っぽいとますます女性にも見えてしまう。でも声は低いのよね……。
「だから条件として私のこの素を見ても逃げないでくれる人、って感じかしら」
樟本さんは苦笑しながら言った。しかしその表情は少し寂しそう。
ずっと自分を偽って生きるのは辛いだろう。その姿をずっと隠して生きて来たのかもしれない。
私は「リディア」として自分の想いをずっと押し殺して生きて来た。だからおこがましいかもしれないけれど、少しは樟本さんの辛さが分かる気がする。
「自分を偽って生きなくて良いと思います。今の姿が樟本さん本来のお姿なら、私にはそちらのほうが良いです。偽られるのは嫌です」
言葉にするとまるで自分に言い聞かせているようだった。自分で自分を肯定したいのよ。私は自身の罪を正当化するために、樟本さんを理解したかのような言葉を発した。私はずるい。
しかし、私の内心とは裏腹に樟本さんは少し瞳を潤ませながらふんわりと微笑んだ。
「ありがとう。奏ちゃんは優しい子ね」
違う、そうじゃない。私は優しくなんかないわ。いつも自分のことばかり。喜んでくれている樟本さんの姿に後ろめたさを感じ辛くなる。
それを何か感じたのか樟本さんはそっと頭を撫でた。
「あなたは優しい子よ。ありがとう。あ! セクハラ!? これ、セクハラかしら!? ソウちゃん!!」
「セクハラだね」
「えぇ!! 酷い! そんな言い切らなくても!!」
私の頭から手を離した樟本さんは古城さんとやいやい言い合っている。それが可笑しくてクスッと笑った。樟本さんはそれを見ると安心したのか優しい顔を向けた。
「じゃあ、奏ちゃん、明日から来てくれる? 春休み中なのよね?」
「はい、この春から連城大に入学です」
「え、そうなの!?」
古城さんが声を上げた。
「僕も連城大だよ! 今年二年生!」
「え、あ、そうなんですか! では、先輩ですね。よろしくお願いします」
「あら~、そうなの。じゃあ、ソウちゃん色々教えてあげなさいよ」
「え、あぁ、うん」
樟本さんにそう促され、古城さんは少したじろいだ。何だか申し訳ないわ。
「あの、そういえばお二人のご関係は?」
そういえば聞いていなかった、と思い聞いてみると、二人はきょとんとした顔をした。
「アハハ! ごめんね! そういえば言ってなかったわね。大した関係じゃないけど、私とソウちゃん、古城蒼汰は母方の従兄弟よ」
「従兄弟」
「えぇ、実家が近所でね、小さい頃からずっと一緒だから、お互い蒼ちゃん、洸ちゃんの呼び名のままなのよねぇ」
アハハと樟本さんは楽しそうに笑った。
「奏ちゃんも洸ちゃん蒼ちゃんて呼んでくれて構わないわよ~」
「え! いや、ちょっと! 僕を巻き込まないでよ!」
古城さんは慌てて樟本さんに詰め寄っていた。さ、さすがに私もお二人を「ちゃん付け」で呼ぶのには抵抗が……。
「洸樹さん、蒼汰さん、と呼ばせてもらっても良いですか?」
それでもかなり抵抗はあるのですけど! あちらの世界ではファーストネームで呼ぶのが当たり前だったけれど、こちらの世界ではなかなかお名前で呼ばないですものね。しかも男性のお名前となると、やはり少し緊張してしまう。
「洸樹さん! それも良いわね~! 蒼汰さんも良いじゃない! 蒼ちゃん、女の子にそんな呼ばれ方したことないでしょう?」
ニヤニヤと笑う洸樹さんに、蒼汰さんは少し照れたような? 表情で怒っていた。
「そういうこと言わなくて良いから!!」
「あ、あの、もしご不快でしたら、古城さんと呼ばせてもらいます!」
洸樹さんが言ったからといって、馴れ馴れしくし過ぎたかもしれない! 焦って言い直すと蒼汰さんは慌てて否定した。
「い、いや、不快とかじゃなくて! ちょ、ちょっと恥ずかしかっただけだから良いよ、蒼汰さんで!」
そう言った後に蒼汰さんは「あっ」という表情になり顔を背けた。
橙色の灯りのせいでよく分からないが、照れているように見え、可愛い人だな、と少し笑った。
「それで蒼ちゃんは何しに来たのよ」
「何しにってご飯食べに」
「あんたねぇ、たまには自炊しなさい」
洸樹さんのお説教が始まってしまった。いや、あの、私はどうしたら……。
「あぁ、ごめんなさいね、奏ちゃんも食べて行く? 今日はおごってあげるわよ」
「え、いえ! そんな!」
「何かこの後用事あるの?」
「え、いえ、特にはないですが……」
「じゃあ、食べていきなさいよ! 私のオムライス美味しいのよ! 帰りは蒼ちゃんと帰りなさい。近くても女の子一人じゃ危ないし」
そう言って押し切られてしまった。
洸樹さんはカウンターに入り、オムライス作りの準備をし出した。蒼汰さんと私はカウンターに座りそれを眺める。
洸樹さんは慣れた手付きでケチャップライスを作り、卵を焼いて行く。
洸樹さんの後ろの棚には珈琲の豆らしきものとミル、それに多くの種類のお酒の瓶が並んでいた。店にはしっとりとした曲が流れ、炒める音だけが響く。静かな空間。とても居心地が良い。初めて訪れた場所なのに、何だかとても落ち着く。この店の雰囲気がそうさせているのかしら。
そんなことをぼんやり考えていると、カウンター越しに洸樹さんが出来上がったオムライスを置いた。
ふんわりとした半熟の卵焼きが乗ったオムライス。湯気が立ち上り美味しそう。
「どうぞ」
洸樹さんはそう促すとニコニコしながら見詰めた。そ、そんな見詰められると食べにくいのですが……。
スプーンを持ち卵焼きに差し込むと、とろりと崩れ落ち、中からケチャップライスが出て来る。卵と共にすくって食べると、とろとろの卵とケチャップライスが絶妙に混ざり合い、ふわふわな食感で何とも言えない美味しさが。
「美味しいです~!」
「フフ、そうでしょ? 私の自慢なの」
ニコニコしながら洸樹さんは私たちが食べている姿をずっと眺めていた。
カランコロンと扉の開く音がし、少しだけ振り向くとどうやらお客さんが入って来たようだ。
「いらっしゃい」
洸樹さんは親し気にそのお客さんに歩み寄り席へと促した。常連さんなのかしら。
そう思っていると再び扉が開かれまたお客さんが現れた。どうやらこちらも常連さんのよう。あっという間に店の中は常連さんだらけとなっていた。
「忙しくなりそうだし、もう帰ろうか」
蒼汰さんが小声で声を掛け、頷くとそっと出入口に向かった。
「あ、あの本当にお金は良いのでしょうか……」
「あー、うん、洸ちゃんて一度言ったことは絶対頑としても譲らないから大丈夫だよ」
そう言いながら蒼汰さんは笑った。
「蒼ちゃんは一度くらい払いなさい」
後ろから洸樹さんの声がして、蒼汰さんは頭を小突かれた。
「従兄弟のよしみで許してよ」
蒼汰さんの軽く謝る姿を見て、洸樹さんは「もう!」と言いながらも微笑んでいる。フフ、本当に仲が良いのね。
「じゃあ、気をつけて帰りなさいね。蒼ちゃん任せたわよ。あ、それから私こんなだけど、恋愛対象は女性なの」
「え?」
驚いて振り向いたが、洸樹さんは追い出すように扉を開け外に放り出した。
そしてフフッといたずらっぽく笑うと「明日ね」と言って、店の中へと戻っていったのだった。
それを見た蒼汰さんは苦笑していた。えっ!?
樟本さんは必死に説明をする。確かに皆が自分を好きになる、とかどれだけ自信過剰なんだろう、と思わないこともないが、この人ならありえそうなので、特にそこには引っかからないのですが……、それよりも気になったのが男の子も女の子もみんな……、ん? えっと、これは聞いたほうが良いのかしら……、でも樟本さんも古城さんも普通だし……、うん、聞かなかったことにしましょう。
「それでね、みんな私のこと好きって言ってくれるんだけど、私がこの喋り方になった途端ドン引きになって去って行くのよ。だからバイトが長続きしないの」
樟本さんは頬に手を当てながらしゅんとした仕草をした。
綺麗な容姿に仕草も女性っぽいとますます女性にも見えてしまう。でも声は低いのよね……。
「だから条件として私のこの素を見ても逃げないでくれる人、って感じかしら」
樟本さんは苦笑しながら言った。しかしその表情は少し寂しそう。
ずっと自分を偽って生きるのは辛いだろう。その姿をずっと隠して生きて来たのかもしれない。
私は「リディア」として自分の想いをずっと押し殺して生きて来た。だからおこがましいかもしれないけれど、少しは樟本さんの辛さが分かる気がする。
「自分を偽って生きなくて良いと思います。今の姿が樟本さん本来のお姿なら、私にはそちらのほうが良いです。偽られるのは嫌です」
言葉にするとまるで自分に言い聞かせているようだった。自分で自分を肯定したいのよ。私は自身の罪を正当化するために、樟本さんを理解したかのような言葉を発した。私はずるい。
しかし、私の内心とは裏腹に樟本さんは少し瞳を潤ませながらふんわりと微笑んだ。
「ありがとう。奏ちゃんは優しい子ね」
違う、そうじゃない。私は優しくなんかないわ。いつも自分のことばかり。喜んでくれている樟本さんの姿に後ろめたさを感じ辛くなる。
それを何か感じたのか樟本さんはそっと頭を撫でた。
「あなたは優しい子よ。ありがとう。あ! セクハラ!? これ、セクハラかしら!? ソウちゃん!!」
「セクハラだね」
「えぇ!! 酷い! そんな言い切らなくても!!」
私の頭から手を離した樟本さんは古城さんとやいやい言い合っている。それが可笑しくてクスッと笑った。樟本さんはそれを見ると安心したのか優しい顔を向けた。
「じゃあ、奏ちゃん、明日から来てくれる? 春休み中なのよね?」
「はい、この春から連城大に入学です」
「え、そうなの!?」
古城さんが声を上げた。
「僕も連城大だよ! 今年二年生!」
「え、あ、そうなんですか! では、先輩ですね。よろしくお願いします」
「あら~、そうなの。じゃあ、ソウちゃん色々教えてあげなさいよ」
「え、あぁ、うん」
樟本さんにそう促され、古城さんは少したじろいだ。何だか申し訳ないわ。
「あの、そういえばお二人のご関係は?」
そういえば聞いていなかった、と思い聞いてみると、二人はきょとんとした顔をした。
「アハハ! ごめんね! そういえば言ってなかったわね。大した関係じゃないけど、私とソウちゃん、古城蒼汰は母方の従兄弟よ」
「従兄弟」
「えぇ、実家が近所でね、小さい頃からずっと一緒だから、お互い蒼ちゃん、洸ちゃんの呼び名のままなのよねぇ」
アハハと樟本さんは楽しそうに笑った。
「奏ちゃんも洸ちゃん蒼ちゃんて呼んでくれて構わないわよ~」
「え! いや、ちょっと! 僕を巻き込まないでよ!」
古城さんは慌てて樟本さんに詰め寄っていた。さ、さすがに私もお二人を「ちゃん付け」で呼ぶのには抵抗が……。
「洸樹さん、蒼汰さん、と呼ばせてもらっても良いですか?」
それでもかなり抵抗はあるのですけど! あちらの世界ではファーストネームで呼ぶのが当たり前だったけれど、こちらの世界ではなかなかお名前で呼ばないですものね。しかも男性のお名前となると、やはり少し緊張してしまう。
「洸樹さん! それも良いわね~! 蒼汰さんも良いじゃない! 蒼ちゃん、女の子にそんな呼ばれ方したことないでしょう?」
ニヤニヤと笑う洸樹さんに、蒼汰さんは少し照れたような? 表情で怒っていた。
「そういうこと言わなくて良いから!!」
「あ、あの、もしご不快でしたら、古城さんと呼ばせてもらいます!」
洸樹さんが言ったからといって、馴れ馴れしくし過ぎたかもしれない! 焦って言い直すと蒼汰さんは慌てて否定した。
「い、いや、不快とかじゃなくて! ちょ、ちょっと恥ずかしかっただけだから良いよ、蒼汰さんで!」
そう言った後に蒼汰さんは「あっ」という表情になり顔を背けた。
橙色の灯りのせいでよく分からないが、照れているように見え、可愛い人だな、と少し笑った。
「それで蒼ちゃんは何しに来たのよ」
「何しにってご飯食べに」
「あんたねぇ、たまには自炊しなさい」
洸樹さんのお説教が始まってしまった。いや、あの、私はどうしたら……。
「あぁ、ごめんなさいね、奏ちゃんも食べて行く? 今日はおごってあげるわよ」
「え、いえ! そんな!」
「何かこの後用事あるの?」
「え、いえ、特にはないですが……」
「じゃあ、食べていきなさいよ! 私のオムライス美味しいのよ! 帰りは蒼ちゃんと帰りなさい。近くても女の子一人じゃ危ないし」
そう言って押し切られてしまった。
洸樹さんはカウンターに入り、オムライス作りの準備をし出した。蒼汰さんと私はカウンターに座りそれを眺める。
洸樹さんは慣れた手付きでケチャップライスを作り、卵を焼いて行く。
洸樹さんの後ろの棚には珈琲の豆らしきものとミル、それに多くの種類のお酒の瓶が並んでいた。店にはしっとりとした曲が流れ、炒める音だけが響く。静かな空間。とても居心地が良い。初めて訪れた場所なのに、何だかとても落ち着く。この店の雰囲気がそうさせているのかしら。
そんなことをぼんやり考えていると、カウンター越しに洸樹さんが出来上がったオムライスを置いた。
ふんわりとした半熟の卵焼きが乗ったオムライス。湯気が立ち上り美味しそう。
「どうぞ」
洸樹さんはそう促すとニコニコしながら見詰めた。そ、そんな見詰められると食べにくいのですが……。
スプーンを持ち卵焼きに差し込むと、とろりと崩れ落ち、中からケチャップライスが出て来る。卵と共にすくって食べると、とろとろの卵とケチャップライスが絶妙に混ざり合い、ふわふわな食感で何とも言えない美味しさが。
「美味しいです~!」
「フフ、そうでしょ? 私の自慢なの」
ニコニコしながら洸樹さんは私たちが食べている姿をずっと眺めていた。
カランコロンと扉の開く音がし、少しだけ振り向くとどうやらお客さんが入って来たようだ。
「いらっしゃい」
洸樹さんは親し気にそのお客さんに歩み寄り席へと促した。常連さんなのかしら。
そう思っていると再び扉が開かれまたお客さんが現れた。どうやらこちらも常連さんのよう。あっという間に店の中は常連さんだらけとなっていた。
「忙しくなりそうだし、もう帰ろうか」
蒼汰さんが小声で声を掛け、頷くとそっと出入口に向かった。
「あ、あの本当にお金は良いのでしょうか……」
「あー、うん、洸ちゃんて一度言ったことは絶対頑としても譲らないから大丈夫だよ」
そう言いながら蒼汰さんは笑った。
「蒼ちゃんは一度くらい払いなさい」
後ろから洸樹さんの声がして、蒼汰さんは頭を小突かれた。
「従兄弟のよしみで許してよ」
蒼汰さんの軽く謝る姿を見て、洸樹さんは「もう!」と言いながらも微笑んでいる。フフ、本当に仲が良いのね。
「じゃあ、気をつけて帰りなさいね。蒼ちゃん任せたわよ。あ、それから私こんなだけど、恋愛対象は女性なの」
「え?」
驚いて振り向いたが、洸樹さんは追い出すように扉を開け外に放り出した。
そしてフフッといたずらっぽく笑うと「明日ね」と言って、店の中へと戻っていったのだった。
それを見た蒼汰さんは苦笑していた。えっ!?
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