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本編 リディア編
第七十四話 閑話~側仕えたちの事情!?
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「さて、殿下たち行きましたね! 後を追いますよ!」
「えっ!?」
ディベルゼが張り切ってそう言うと他の三人は驚いた顔をした。
「付いて行くのか!?」
ギルアディスが声を張り上げた。
「えぇ! 護衛ですから!」
「い、いや……、何か違うだろ」
ギルアディスは苦笑した。明らかに護衛とは違う理由に思える。
「バレました? でも皆さんも気になるでしょう?」
「…………」
三人とも無言だった。
「お、俺は行く!」
オルガが鼻息を荒く宣言した。それに驚いたのはマニカだった。
「オルガさんも行きますか。では二人で行きましょう」
「お、おい、い、行くよ! 俺も」
ギルアディスが慌てて言う。この二人だけを行かせるのは色んな意味で心配だった。
そのギルアディスの発言を聞き、ずっと黙っていたマニカも溜め息を吐き頷いた。
「では、私も参ります」
「そうこなくては! では皆さん出発ですよ!」
ディベルゼが意気揚々と馬車に乗り込んだ。他の三人もそれに続く。
馬車はリディアたちを乗せた馬車から少し遅れて、街に到着した。
「さて、殿下たちは、と……」
遠目に歩く姿が見える。もう街の入口に差し掛かっていた。
「あぁ、いましたよ。おやおや、仲睦まじい!」
ディベルゼはわざとらしく言う。シェスレイトとリディアが手を繋ぎ歩いていた。
オルガは悔しそうな顔。ギルアディスは苦笑し、マニカは微笑ましい、といった顔だ。
「さて、急ぎますよ! 殿下たちにはバレない距離で付かず離れず行きますからね!」
ディベルゼは足早にシェスレイトたちに近付き、ギルアディスは苦笑する。オルガはディベルゼと共に一番近い場所で見張るんだ、とばかりに気合いが入る。
「おぉ、リディア様、積極的ですね~! うちの殿下は何やってるんでしょうねぇ。情けない」
半ば実況中継のようにディベルゼは逐一状況を口にする。
「うぅ、お嬢……」
オルガは身体を隠した壁を壊しそうな勢いで、手に力を込めている。
「あちこち店を回って楽しそうですねぇ! おや? 露店で食事にするのですかね?」
シェスレイトとリディアが露店の椅子に座りな何かを食べようとしているところだ。
「おや! おやおやおや!」
「何だ?」
ディベルゼが急に変な声を上げたものだから、ギルアディスもマニカも遠巻きに見ていたが、シェスレイトとリディアを凝視した。
「!! あぁ! お嬢!」
「オルガさん声が大きい」
シェスレイトがリディアの指を舐めた。オルガは今にも飛び出して行きそうなのを必死に抑え、マニカとギルアディスは頬を赤らめた。
「いやいやぁ、見ているこちらが恥ずかしくなりますねぇ」
「こ、これ、殿下にバレたら殺されるんじゃ……」
「大丈夫ですよ。護衛で付いて行くと宣言したじゃないですか。忘れていたのならそれは殿下の責任です」
ディベルゼはしれっと言った。
「おや? 今度は宝飾店に入られるようですね」
さすがに店の中までは覗けない。二人が出て来るまで待っていると、何やらウキウキ? そわそわ? した様子の二人が出て来る。
「何か良い買い物でも出来たのでしょうかね」
その後店とは違う方向へ歩いて行く二人を追いかけ、四人も付いて行く。
「これは……、国営病院に向かっているようですね」
「国営病院……」
その言葉にマニカが反応した。
ディベルゼはたまにマニカが寂しそうに笑っているのが気になった。
マニカは何か知っているのかもしれない、そう考えるディベルゼだった。
国営病院へと二人が着くと、何やら入口で話している。
話していたかと思うと、急にリディアがシェスレイトを引っ張り駆け出した。
「!?」
見守る四人は目を見開いた。
あちこちシェスレイトを引っ張りながら駆け回り、とても良い笑顔で楽しそうだ。
「リディア様は本当に不思議な方ですね」
シェスレイトも最初は驚いていたようだが、次第に嬉しそうにリディアの顔を眺めていた。
それをディベルゼは目の当たりにし、あんな穏やかなシェスレイトの表情が見られるとは、と感嘆する。
マニカは複雑な心境になりながらも、本当に楽しそうなリディアに少しほっとし微笑ましく眺めた。
ギルアディスはというと……、オルガを止めていた。
ギリギリと音がしそうな勢いで歯を噛み締め、今にも飛び出して行きそうなオルガ。
その時シェスレイトとリディアが盛大に転けた。
「あっ」
その場にいた四人ともが声を揃え、そして次の瞬間オルガが悲鳴に似た声を上げた。
「お、おじょ……むぐっ」
慌ててディベルゼがオルガの口を押さえ、ギルアディスが身体を締め上げた。
「は、離せ! お嬢が! うぐっ!」
二人に羽交い締めにされ、身動きが取れないオルガは泣きそうだ。
「し! 静かに!」
ディベルゼはオルガの口を押さえたまま、もう片方の手で人差し指を口に当てた。
シェスレイトはリディアに引き寄せられるように唇を重ねようとしていた。
羽交い締めされたオルガはもごもご言っている。
マニカはドキドキしながらも目が離せない。祈るような姿勢で見詰めていた。
その時リディアのシェスレイトを呼ぶ声が響き渡る。
「あぁ、惜しい! ……、コホン、いや、殿下は何をやってるんですかね」
今さら言い直したところで、全員がディベルゼの「惜しい」という言葉を聞いていたのだが。ギルアディスはそう思うと苦笑するしかなかった。
その後もお互い恥じらいながら何かを話しているが、ディベルゼたちには聞こえない。
「恥じらう姿だけは見えますねぇ」
ようやく落ち着いたオルガを離したギルアディスがやれやれといった顔だ。
「絶対殿下に殺されると思う……」
「これも仕事ですよ」
ディベルゼは相変わらずしれっと言う。
恥じらったままの二人だったが、おもむろにリディアがキョロキョロと周りを気にした。
「危ない! 隠れてください!」
リディアに見付かりそうになり咄嗟に身を隠そうと、四人は物陰に入るが明らかな不審者。
慌て過ぎてあちこちにぶつかる始末だ。
「リディア様が何やら気付きそうでしたね。お二人も中心部に戻られたようですし、恐らくそろそろ帰路に就く頃でしょう。我々はこの辺りで撤収しますか」
二人が買い物をしている姿を見届け、四人は城へと先に戻った。
しばらくすると二人を乗せた馬車が帰って来る。
馬車から降りる二人は今までと違い、柔らかい雰囲気だった。
ディベルゼとギルアディスはその姿に微笑ましくなり、ついニヤけてしまう。
マニカも微笑ましく見ているが、オルガだけはずっと不貞腐れた顔。
リディアがシェスレイトに瑠璃色の宝石が付いたブローチをプレゼントしたことも、四人を大いに盛り上がらせた。
オルガだけは三人と全く違う盛り上がり方だが……。
オルガを除く三人は「初の街デート万歳!」と心の中で叫んだ…………、かもしれない。
「えっ!?」
ディベルゼが張り切ってそう言うと他の三人は驚いた顔をした。
「付いて行くのか!?」
ギルアディスが声を張り上げた。
「えぇ! 護衛ですから!」
「い、いや……、何か違うだろ」
ギルアディスは苦笑した。明らかに護衛とは違う理由に思える。
「バレました? でも皆さんも気になるでしょう?」
「…………」
三人とも無言だった。
「お、俺は行く!」
オルガが鼻息を荒く宣言した。それに驚いたのはマニカだった。
「オルガさんも行きますか。では二人で行きましょう」
「お、おい、い、行くよ! 俺も」
ギルアディスが慌てて言う。この二人だけを行かせるのは色んな意味で心配だった。
そのギルアディスの発言を聞き、ずっと黙っていたマニカも溜め息を吐き頷いた。
「では、私も参ります」
「そうこなくては! では皆さん出発ですよ!」
ディベルゼが意気揚々と馬車に乗り込んだ。他の三人もそれに続く。
馬車はリディアたちを乗せた馬車から少し遅れて、街に到着した。
「さて、殿下たちは、と……」
遠目に歩く姿が見える。もう街の入口に差し掛かっていた。
「あぁ、いましたよ。おやおや、仲睦まじい!」
ディベルゼはわざとらしく言う。シェスレイトとリディアが手を繋ぎ歩いていた。
オルガは悔しそうな顔。ギルアディスは苦笑し、マニカは微笑ましい、といった顔だ。
「さて、急ぎますよ! 殿下たちにはバレない距離で付かず離れず行きますからね!」
ディベルゼは足早にシェスレイトたちに近付き、ギルアディスは苦笑する。オルガはディベルゼと共に一番近い場所で見張るんだ、とばかりに気合いが入る。
「おぉ、リディア様、積極的ですね~! うちの殿下は何やってるんでしょうねぇ。情けない」
半ば実況中継のようにディベルゼは逐一状況を口にする。
「うぅ、お嬢……」
オルガは身体を隠した壁を壊しそうな勢いで、手に力を込めている。
「あちこち店を回って楽しそうですねぇ! おや? 露店で食事にするのですかね?」
シェスレイトとリディアが露店の椅子に座りな何かを食べようとしているところだ。
「おや! おやおやおや!」
「何だ?」
ディベルゼが急に変な声を上げたものだから、ギルアディスもマニカも遠巻きに見ていたが、シェスレイトとリディアを凝視した。
「!! あぁ! お嬢!」
「オルガさん声が大きい」
シェスレイトがリディアの指を舐めた。オルガは今にも飛び出して行きそうなのを必死に抑え、マニカとギルアディスは頬を赤らめた。
「いやいやぁ、見ているこちらが恥ずかしくなりますねぇ」
「こ、これ、殿下にバレたら殺されるんじゃ……」
「大丈夫ですよ。護衛で付いて行くと宣言したじゃないですか。忘れていたのならそれは殿下の責任です」
ディベルゼはしれっと言った。
「おや? 今度は宝飾店に入られるようですね」
さすがに店の中までは覗けない。二人が出て来るまで待っていると、何やらウキウキ? そわそわ? した様子の二人が出て来る。
「何か良い買い物でも出来たのでしょうかね」
その後店とは違う方向へ歩いて行く二人を追いかけ、四人も付いて行く。
「これは……、国営病院に向かっているようですね」
「国営病院……」
その言葉にマニカが反応した。
ディベルゼはたまにマニカが寂しそうに笑っているのが気になった。
マニカは何か知っているのかもしれない、そう考えるディベルゼだった。
国営病院へと二人が着くと、何やら入口で話している。
話していたかと思うと、急にリディアがシェスレイトを引っ張り駆け出した。
「!?」
見守る四人は目を見開いた。
あちこちシェスレイトを引っ張りながら駆け回り、とても良い笑顔で楽しそうだ。
「リディア様は本当に不思議な方ですね」
シェスレイトも最初は驚いていたようだが、次第に嬉しそうにリディアの顔を眺めていた。
それをディベルゼは目の当たりにし、あんな穏やかなシェスレイトの表情が見られるとは、と感嘆する。
マニカは複雑な心境になりながらも、本当に楽しそうなリディアに少しほっとし微笑ましく眺めた。
ギルアディスはというと……、オルガを止めていた。
ギリギリと音がしそうな勢いで歯を噛み締め、今にも飛び出して行きそうなオルガ。
その時シェスレイトとリディアが盛大に転けた。
「あっ」
その場にいた四人ともが声を揃え、そして次の瞬間オルガが悲鳴に似た声を上げた。
「お、おじょ……むぐっ」
慌ててディベルゼがオルガの口を押さえ、ギルアディスが身体を締め上げた。
「は、離せ! お嬢が! うぐっ!」
二人に羽交い締めにされ、身動きが取れないオルガは泣きそうだ。
「し! 静かに!」
ディベルゼはオルガの口を押さえたまま、もう片方の手で人差し指を口に当てた。
シェスレイトはリディアに引き寄せられるように唇を重ねようとしていた。
羽交い締めされたオルガはもごもご言っている。
マニカはドキドキしながらも目が離せない。祈るような姿勢で見詰めていた。
その時リディアのシェスレイトを呼ぶ声が響き渡る。
「あぁ、惜しい! ……、コホン、いや、殿下は何をやってるんですかね」
今さら言い直したところで、全員がディベルゼの「惜しい」という言葉を聞いていたのだが。ギルアディスはそう思うと苦笑するしかなかった。
その後もお互い恥じらいながら何かを話しているが、ディベルゼたちには聞こえない。
「恥じらう姿だけは見えますねぇ」
ようやく落ち着いたオルガを離したギルアディスがやれやれといった顔だ。
「絶対殿下に殺されると思う……」
「これも仕事ですよ」
ディベルゼは相変わらずしれっと言う。
恥じらったままの二人だったが、おもむろにリディアがキョロキョロと周りを気にした。
「危ない! 隠れてください!」
リディアに見付かりそうになり咄嗟に身を隠そうと、四人は物陰に入るが明らかな不審者。
慌て過ぎてあちこちにぶつかる始末だ。
「リディア様が何やら気付きそうでしたね。お二人も中心部に戻られたようですし、恐らくそろそろ帰路に就く頃でしょう。我々はこの辺りで撤収しますか」
二人が買い物をしている姿を見届け、四人は城へと先に戻った。
しばらくすると二人を乗せた馬車が帰って来る。
馬車から降りる二人は今までと違い、柔らかい雰囲気だった。
ディベルゼとギルアディスはその姿に微笑ましくなり、ついニヤけてしまう。
マニカも微笑ましく見ているが、オルガだけはずっと不貞腐れた顔。
リディアがシェスレイトに瑠璃色の宝石が付いたブローチをプレゼントしたことも、四人を大いに盛り上がらせた。
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