67 / 136
本編 リディア編
第六十七話 街デート その二
しおりを挟む
街に入るとシェスの容貌からだろうか、平民とは思えぬ雰囲気を醸し出すためか、やはりというか当然街の人々に注目されていた。
若干居心地は悪いが気にしても仕方ない。楽しむと決めたのだから気にせず行こう!
「さあ、シェス、まずはどこに行きますか!?」
気分を盛り上げて行くわよ!
シェスと繋いでいた手を今度は私が先導して引っ張り聞いた。
「あぁ、そうだな……」
シェスは焦るように考え込んだ。
うーん、私がエスコートしたほうが良いのかしら? 差し出がましいかしら。どうしよう。
じっと見詰めていると、その視線に気付いたシェスは余計に慌てた。
あわあわしている姿も可愛いなぁ、とほっこり。
「えっと、ぶらぶらとお店を見て回りたいのですが、それでも良いですか?」
「え、あ、あぁ」
「じゃあ、行きましょう!」
シェスを勢い良く引っ張り、そして手を繋いだまま、シェスの腕を捕まえる。シェスは驚きの表情で私の顔を見下ろしていた。
私は何だかウキウキし出してきた! そんなシェスも可愛いし、たくさんシェスに触れて近付けて、幸せな気分を満喫。
シェスがたじろいでいることはこの際気にしない!
シェスを引っ張りつつあちこちのお店を意味もなく覗く。
パン屋に野菜や果物の店、服屋に薬屋、文具屋やら雑貨屋に何でも屋なるものまである。
店に入っては商品を物色し、気になるものは後でまた買いに来よう、とその場を後にし、また違う店へ。
リディアとしては経験がないが、カナデのときにはこういう風に街をぶらぶら歩くのが好きだった。
シェスは初めての経験なのか、何もかもが珍しいらしく、目を丸くしながら付いて来る。
そんな姿すら可愛いと思えた。冷徹王子として怖がっていた自分が信じられない程、今はシェスがただただ可愛い人にしか見えない。
こんな楽しい想い出を作れて幸せ者だなぁ、と寂しくもあるがそれよりも嬉しかった。
「たくさん歩いたので疲れましたね。どこかでお昼にしましょう!」
「あぁ」
シェスも慣れてきたのか、大分と表情が柔らかくなってきた。それがまたほっこりする。
「あそこはどうですか?」
指差したのは露店。
「あの露店か?」
「駄目ですか?」
「いや、行こう」
シェスに露店は厳しいかな、と心配したが、意外にもすんなり了承してくれた。
以前、一緒に街に来たときに外で食べたから慣れたのかしら?
露店では揚げたパンが売っていた。以前食べたものとは少し違い、パンの中に何やら具が入っていて、所謂惣菜パン。
露店に用意されていた椅子に座り食べた。
「揚げたてで美味しい~!」
熱々をほふほふ言いながら食べるのが最高よね!
そうやって喜んで食べていると横から小さく声が上がった。
「熱っ!」
熱々のものを食べたことがないのか、シェスが食べられないでいた。
「フフ、大丈夫?」
熱そうにしていた口にそっと触れた。
あ、普通に話してしまった……、しかも唇に触れてしまった……。どうしよう……、この手をどうしたら良いか分からなくなり、固まってしまった。
するとシェスはその手を掴み、指先をペロリと舐めた。
「!?」
あ、あ、え? 何? 何が起こった!?
「あ、あ、あ、あの!! ごめんなさい!! 急に触れて!! しかも普通に話してしまいました!!」
「敬語は止めてくれと言った」
「そ、そうですね……」
いや、今は敬語がどうとかではなく! て、手を! 手を離してー!!
「シェ、シェス!! 手を、手を離して!!」
あまりにも恥ずかしく、まともにシェスの顔を見ることが出来ず顔を伏せ叫んだ。
しかしシェスは再び指先をそっと舐めた。ビクッとなり、恐る恐る顔を上げた。
シェスは掴んだ手を下ろし、おもむろにハンカチを取り出すと、丁寧に私の指先を拭いてくれた。
「私の口に触れたりするからだ、指先が汚れていた」
「え……そ、そうでしたか……、ありがとうございます……」
真面目にそう言われ、ドキドキした自分が馬鹿みたいで恥ずかしくなり逃げ出したくなった。
はぁぁあ、何だ……、焦った……。
「早く食べてくださいね!」
恥ずかしさを誤魔化すために怒ったような口調になってしまった。シェスは何故怒っているんだ? といった疑問符が浮かんだ顔をしていた。
熱いのを我慢して食べるシェスが、今までの冷徹王子からは想像も出来ない程、人間味を感じ微笑ましい。
慌てて食べるシェスは途中何度もむせながら完食していた。
再び歩き出すと一つのお店に目が行った。そこは宝飾店のようだった。
店の中に入るとアクセサリーや髪止め、時計やら、他にも様々な宝飾品が置かれている。
色々見ているとふと一つのブローチに目が行った。
銀の楕円の台座に半透明の瑠璃色の宝石が大きく一つ乗り、しかしその宝石をよくよく見ると瑠璃色の中に金色の粒が星のようにちりばめられていた。夜空の星のようだ……。
「綺麗……」
シェスの色。しかも金色は私の瞳の色……、いや! ちょっと何そんな恥ずかしいことを考えてるのよ! 違う! ただシェスに似合いそうだな、と……。そう、それだけ!
今日の記念に買って行こうかしら……、そう、記念。
決して私を忘れないで欲しいから、とか思ってない! …………、いや、思ってるか……、今日の記念に渡して、少しでも今日のことを思い出してくれた嬉しいな。
元に戻ってもこの日の思い出を一緒に過ごしたのは「私」なのだから。
どうしようか悩んだが、やはりシェスに何か渡したいという気持ちが強く買うことに決めた。
そうだ、皆にも何か渡したいな。そう思い付き他の皆にも今日のお土産と称して、何か思い出になるものを、と探すことにした。
いくつかのお土産と共にシェスへのブローチもこっそりと包装してもらう。
シェスはというと……、きょろっと周りを見回すとシェスは一つのものをじっと見詰め、店の者と何やら話し込んでいた。
包装し終わったものを受け取り、シェスの元へと行く。
「何か気になるものでもありましたか?」
シェスはビクッとなり、慌ててこちらを向いた。そして何故か真剣に見ていた商品を背に隠し、私には見せてくれない。
「な、何でもない。ただ見ていただけだ」
「そうなんですか? 購入されないのですか?」
「今は良い!」
「? そうですか……、では、他のところへ参りましょうか」
何だかよく分からないが、知られたくないのならこれ以上は聞かないほうが良いだろう。
そのまま店を後にした。
「一つ行きたいところがあるのですが、良いでしょうか?」
「? どこだ?」
店を出た後、そうお願いした。
行きたい場所、それは……、
「以前、連れて行っていただいた国営病院に」
「国営病院? 何故?」
「えっと……、どこまで進んでいるのか見てみたいと思いまして」
これは本当。きっと開院する頃には私はいないと思う。ならば現実味のある状態で最後に見ておきたい。
「今日は鍵を持っていない。中に入っては見れないぞ?」
「そうですか……、構いません。外からだけでも」
「……、分かった」
シェスは了承してくれ、国営病院の場所まで向かう。そしてやはり手を繋いでね。
一度離した手を再び繋ぐのは物凄く恥ずかしいのよね……。
シェスからそっと差し出された手を取り、そろそろと握る。
シェスは差し出した手を確かめるように少し親指でなぞると、慌てて踵を返し歩き出した。
若干居心地は悪いが気にしても仕方ない。楽しむと決めたのだから気にせず行こう!
「さあ、シェス、まずはどこに行きますか!?」
気分を盛り上げて行くわよ!
シェスと繋いでいた手を今度は私が先導して引っ張り聞いた。
「あぁ、そうだな……」
シェスは焦るように考え込んだ。
うーん、私がエスコートしたほうが良いのかしら? 差し出がましいかしら。どうしよう。
じっと見詰めていると、その視線に気付いたシェスは余計に慌てた。
あわあわしている姿も可愛いなぁ、とほっこり。
「えっと、ぶらぶらとお店を見て回りたいのですが、それでも良いですか?」
「え、あ、あぁ」
「じゃあ、行きましょう!」
シェスを勢い良く引っ張り、そして手を繋いだまま、シェスの腕を捕まえる。シェスは驚きの表情で私の顔を見下ろしていた。
私は何だかウキウキし出してきた! そんなシェスも可愛いし、たくさんシェスに触れて近付けて、幸せな気分を満喫。
シェスがたじろいでいることはこの際気にしない!
シェスを引っ張りつつあちこちのお店を意味もなく覗く。
パン屋に野菜や果物の店、服屋に薬屋、文具屋やら雑貨屋に何でも屋なるものまである。
店に入っては商品を物色し、気になるものは後でまた買いに来よう、とその場を後にし、また違う店へ。
リディアとしては経験がないが、カナデのときにはこういう風に街をぶらぶら歩くのが好きだった。
シェスは初めての経験なのか、何もかもが珍しいらしく、目を丸くしながら付いて来る。
そんな姿すら可愛いと思えた。冷徹王子として怖がっていた自分が信じられない程、今はシェスがただただ可愛い人にしか見えない。
こんな楽しい想い出を作れて幸せ者だなぁ、と寂しくもあるがそれよりも嬉しかった。
「たくさん歩いたので疲れましたね。どこかでお昼にしましょう!」
「あぁ」
シェスも慣れてきたのか、大分と表情が柔らかくなってきた。それがまたほっこりする。
「あそこはどうですか?」
指差したのは露店。
「あの露店か?」
「駄目ですか?」
「いや、行こう」
シェスに露店は厳しいかな、と心配したが、意外にもすんなり了承してくれた。
以前、一緒に街に来たときに外で食べたから慣れたのかしら?
露店では揚げたパンが売っていた。以前食べたものとは少し違い、パンの中に何やら具が入っていて、所謂惣菜パン。
露店に用意されていた椅子に座り食べた。
「揚げたてで美味しい~!」
熱々をほふほふ言いながら食べるのが最高よね!
そうやって喜んで食べていると横から小さく声が上がった。
「熱っ!」
熱々のものを食べたことがないのか、シェスが食べられないでいた。
「フフ、大丈夫?」
熱そうにしていた口にそっと触れた。
あ、普通に話してしまった……、しかも唇に触れてしまった……。どうしよう……、この手をどうしたら良いか分からなくなり、固まってしまった。
するとシェスはその手を掴み、指先をペロリと舐めた。
「!?」
あ、あ、え? 何? 何が起こった!?
「あ、あ、あ、あの!! ごめんなさい!! 急に触れて!! しかも普通に話してしまいました!!」
「敬語は止めてくれと言った」
「そ、そうですね……」
いや、今は敬語がどうとかではなく! て、手を! 手を離してー!!
「シェ、シェス!! 手を、手を離して!!」
あまりにも恥ずかしく、まともにシェスの顔を見ることが出来ず顔を伏せ叫んだ。
しかしシェスは再び指先をそっと舐めた。ビクッとなり、恐る恐る顔を上げた。
シェスは掴んだ手を下ろし、おもむろにハンカチを取り出すと、丁寧に私の指先を拭いてくれた。
「私の口に触れたりするからだ、指先が汚れていた」
「え……そ、そうでしたか……、ありがとうございます……」
真面目にそう言われ、ドキドキした自分が馬鹿みたいで恥ずかしくなり逃げ出したくなった。
はぁぁあ、何だ……、焦った……。
「早く食べてくださいね!」
恥ずかしさを誤魔化すために怒ったような口調になってしまった。シェスは何故怒っているんだ? といった疑問符が浮かんだ顔をしていた。
熱いのを我慢して食べるシェスが、今までの冷徹王子からは想像も出来ない程、人間味を感じ微笑ましい。
慌てて食べるシェスは途中何度もむせながら完食していた。
再び歩き出すと一つのお店に目が行った。そこは宝飾店のようだった。
店の中に入るとアクセサリーや髪止め、時計やら、他にも様々な宝飾品が置かれている。
色々見ているとふと一つのブローチに目が行った。
銀の楕円の台座に半透明の瑠璃色の宝石が大きく一つ乗り、しかしその宝石をよくよく見ると瑠璃色の中に金色の粒が星のようにちりばめられていた。夜空の星のようだ……。
「綺麗……」
シェスの色。しかも金色は私の瞳の色……、いや! ちょっと何そんな恥ずかしいことを考えてるのよ! 違う! ただシェスに似合いそうだな、と……。そう、それだけ!
今日の記念に買って行こうかしら……、そう、記念。
決して私を忘れないで欲しいから、とか思ってない! …………、いや、思ってるか……、今日の記念に渡して、少しでも今日のことを思い出してくれた嬉しいな。
元に戻ってもこの日の思い出を一緒に過ごしたのは「私」なのだから。
どうしようか悩んだが、やはりシェスに何か渡したいという気持ちが強く買うことに決めた。
そうだ、皆にも何か渡したいな。そう思い付き他の皆にも今日のお土産と称して、何か思い出になるものを、と探すことにした。
いくつかのお土産と共にシェスへのブローチもこっそりと包装してもらう。
シェスはというと……、きょろっと周りを見回すとシェスは一つのものをじっと見詰め、店の者と何やら話し込んでいた。
包装し終わったものを受け取り、シェスの元へと行く。
「何か気になるものでもありましたか?」
シェスはビクッとなり、慌ててこちらを向いた。そして何故か真剣に見ていた商品を背に隠し、私には見せてくれない。
「な、何でもない。ただ見ていただけだ」
「そうなんですか? 購入されないのですか?」
「今は良い!」
「? そうですか……、では、他のところへ参りましょうか」
何だかよく分からないが、知られたくないのならこれ以上は聞かないほうが良いだろう。
そのまま店を後にした。
「一つ行きたいところがあるのですが、良いでしょうか?」
「? どこだ?」
店を出た後、そうお願いした。
行きたい場所、それは……、
「以前、連れて行っていただいた国営病院に」
「国営病院? 何故?」
「えっと……、どこまで進んでいるのか見てみたいと思いまして」
これは本当。きっと開院する頃には私はいないと思う。ならば現実味のある状態で最後に見ておきたい。
「今日は鍵を持っていない。中に入っては見れないぞ?」
「そうですか……、構いません。外からだけでも」
「……、分かった」
シェスは了承してくれ、国営病院の場所まで向かう。そしてやはり手を繋いでね。
一度離した手を再び繋ぐのは物凄く恥ずかしいのよね……。
シェスからそっと差し出された手を取り、そろそろと握る。
シェスは差し出した手を確かめるように少し親指でなぞると、慌てて踵を返し歩き出した。
0
お気に入りに追加
444
あなたにおすすめの小説
【短編】悪役令嬢と蔑まれた私は史上最高の遺書を書く
とによ
恋愛
婚約破棄され、悪役令嬢と呼ばれ、いじめを受け。
まさに不幸の役満を食らった私――ハンナ・オスカリウスは、自殺することを決意する。
しかし、このままただで死ぬのは嫌だ。なにか私が生きていたという爪痕を残したい。
なら、史上最高に素晴らしい出来の遺書を書いて、自殺してやろう!
そう思った私は全身全霊で遺書を書いて、私の通っている魔法学園へと自殺しに向かった。
しかし、そこで謎の美男子に見つかってしまい、しまいには遺書すら読まれてしまう。
すると彼に
「こんな遺書じゃダメだね」
「こんなものじゃ、誰の記憶にも残らないよ」
と思いっきりダメ出しをされてしまった。
それにショックを受けていると、彼はこう提案してくる。
「君の遺書を最高のものにしてみせる。その代わり、僕の研究を手伝ってほしいんだ」
これは頭のネジが飛んでいる彼について行った結果、彼と共に歴史に名を残してしまう。
そんなお話。
【完結】身を引いたつもりが逆効果でした
風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。
一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。
平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません!
というか、婚約者にされそうです!
旦那様は転生者!
初瀬 叶
恋愛
「マイラ!お願いだ、俺を助けてくれ!」
いきなり私の部屋に現れた私の夫。フェルナンド・ジョルジュ王太子殿下。
「俺を助けてくれ!でなければ俺は殺される!」
今の今まで放っておいた名ばかりの妻に、今さら何のご用?
それに殺されるって何の話?
大嫌いな夫を助ける義理などないのだけれど、話を聞けば驚く事ばかり。
へ?転生者?何それ?
で、貴方、本当は誰なの?
※相変わらずのゆるふわ設定です
※中世ヨーロッパ風ではありますが作者の頭の中の異世界のお話となります
※R15は保険です
【完結】仕事のための結婚だと聞きましたが?~貧乏令嬢は次期宰相候補に求められる
仙桜可律
恋愛
「もったいないわね……」それがフローラ・ホトレイク伯爵令嬢の口癖だった。社交界では皆が華やかさを競うなかで、彼女の考え方は異端だった。嘲笑されることも多い。
清貧、質素、堅実なんていうのはまだ良いほうで、陰では貧乏くさい、地味だと言われていることもある。
でも、違う見方をすれば合理的で革新的。
彼女の経済観念に興味を示したのは次期宰相候補として名高いラルフ・バリーヤ侯爵令息。王太子の側近でもある。
「まるで雷に打たれたような」と彼は後に語る。
「フローラ嬢と話すとグラッ(価値観)ときてビーン!ときて(閃き)ゾクゾク湧くんです(政策が)」
「当代随一の頭脳を誇るラルフ様、どうなさったのですか(語彙力どうされたのかしら)もったいない……」
仕事のことしか頭にない冷徹眼鏡と無駄使いをすると体調が悪くなる病気(メイド談)にかかった令嬢の話。
旦那様は大変忙しいお方なのです
あねもね
恋愛
レオナルド・サルヴェール侯爵と政略結婚することになった私、リゼット・クレージュ。
しかし、その当人が結婚式に現れません。
侍従長が言うことには「旦那様は大変忙しいお方なのです」
呆気にとられたものの、こらえつつ、いざ侯爵家で生活することになっても、お目にかかれない。
相変わらず侍従長のお言葉は「旦那様は大変忙しいお方なのです」のみ。
我慢の限界が――来ました。
そちらがその気ならこちらにも考えがあります。
さあ。腕が鳴りますよ!
※視点がころころ変わります。
※※2021年10月1日、HOTランキング1位となりました。お読みいただいている皆様方、誠にありがとうございます。
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
婚約者に見殺しにされた愚かな傀儡令嬢、時を逆行する
蓮恭
恋愛
父親が自分を呼ぶ声が聞こえたその刹那、熱いものが全身を巡ったような、そんな感覚に陥った令嬢レティシアは、短く唸って冷たい石造りの床へと平伏した。
視界は徐々に赤く染まり、せっかく身を挺して庇った侯爵も、次の瞬間にはリュシアンによって屠られるのを見た。
「リュシ……アン……さ、ま」
せめて愛するリュシアンへと手を伸ばそうとするが、無情にも嘲笑を浮かべた女騎士イリナによって叩き落とされる。
「安心して死になさい。愚かな傀儡令嬢レティシア。これから殿下の事は私がお支えするから心配いらなくてよ」
お願い、最後に一目だけ、リュシアンの表情が見たいとレティシアは願った。
けれどそれは自分を見下ろすイリナによって阻まれる。しかし自分がこうなってもリュシアンが駆け寄ってくる気配すらない事から、本当に嫌われていたのだと実感し、痛みと悲しみで次々に涙を零した。
両親から「愚かであれ、傀儡として役立て」と育てられた侯爵令嬢レティシアは、徐々に最愛の婚約者、皇太子リュシアンの愛を失っていく。
民の信頼を失いつつある帝国の改革のため立ち上がった皇太子は、女騎士イリナと共に謀反を起こした。
その時レティシアはイリナによって刺殺される。
悲しみに包まれたレティシアは何らかの力によって時を越え、まだリュシアンと仲が良かった幼い頃に逆行し、やり直しの機会を与えられる。
二度目の人生では傀儡令嬢であったレティシアがどのように生きていくのか?
婚約者リュシアンとの仲は?
二度目の人生で出会う人物達との交流でレティシアが得たものとは……?
※逆行、回帰、婚約破棄、悪役令嬢、やり直し、愛人、暴力的な描写、死産、シリアス、の要素があります。
ヒーローについて……読者様からの感想を見ていただくと分かる通り、完璧なヒーローをお求めの方にはかなりヤキモキさせてしまうと思います。
どこか人間味があって、空回りしたり、過ちも犯す、そんなヒーローを支えていく不憫で健気なヒロインを応援していただければ、作者としては嬉しい限りです。
必ずヒロインにとってハッピーエンドになるよう書き切る予定ですので、宜しければどうか最後までお付き合いくださいませ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる