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本編 リディア編
第五十八話 戸惑いと葛藤!?
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「昨日はシェスに申し訳ないことをしちゃったかしら……」
翌朝、朝食を取りながら呟いた。
「そうですねぇ、せっかくお誘いいただいたのですしね……」
「だよねぇ……」
マニカと二人で小さく溜め息を吐く。
あんなに怖い顔をしていたのに、いきなり誘われて驚いたけど……、多分緊張しながら頑張って誘ってくれたんだろうなぁ。
今までの殿下なら女性に興味なさそうだったもんね。きっと周りから色々言われて頑張ってくれてるんだろうな。それなのに本当に申し訳ない。
「今度私から誘ってみようかな……」
ボソッと呟くとマニカが満面の笑みになった。
「そうですね! それがよろしいですよ!」
「そ、そう?」
やたら前のめりに食い付かれてちょっと腰が引けた。
「殿下、街って言ってたよね。また街には散策に行きたいと思ってたから、今度お誘いしてみるわ」
「えぇ! 頑張ってください、お嬢様!」
マニカはガッツポーズ。ハハハ、マニカがやる気に満ち溢れている。
「ちなみにお嬢様」
「え? 何?」
「殿下呼びに戻っています」
「あ……」
まだ慣れないのよー!! という声が響き渡った。
朝の講義を受けた後、いつものごとくイルがやって来たので、今日はサンドイッチを作ってもらい中庭の木陰でお昼にした。
以前イルと初めてしっかり話した場所だ。
ベンチに座りバスケットに入ったサンドイッチを広げる。
マニカとオルガも少し離れたベンチに座り同様にサンドイッチを食べた。
「そういえばイルのお母様の国って魔術に長けているのよね? イルも魔術使えたりするの?」
「ん、少しだけなら知ってる」
イルはサンドイッチを口に咥えたままコクンと頷いた。
いちいち可愛いな。
前から聞いてみたかったことを聞いてみる。
「魂の入れ替えって知ってる?」
「魂の入れ替え?」
「うん、面と向かった人の魂を入れ替えじゃなく、遠く離れた人との入れ替え」
「うーん、遠く離れた人……、それは知らないや。ごめん」
「ううん! 良いの、気にしないで!」
やはりイルも知らないのか。
「最も近しい魂の者と繋がることが出来る魔術は聞いたことがあるけど……」
「え、それってどんな!?」
「ん、僕も術は聞いたけど、実際やったことはないから……詳しくは分からない」
「そっか……」
しかしイルの言うその魔術が近そうな?
「リディ、魔術に興味あるの?」
「え、いやぁ、アハハ、そうね、少しだけ」
詳しくは話せない。リディアが使った魔術を詳しく知りたいとは言えない。
リディアが魔術士と話した内容は記憶の共有で知っている。
リディアは違う人生を歩みたかった。だから望みを叶える魔術士と噂される人物を探した。
魔術士にその望みを話すと、魂を入れ替える魔術を提案された。全く知らない人間。自分と近しい魂を持つ者と魂を入れ替えることが出来る、と。
その相手は同じ日の同じ時間に生まれた人間、そしてその方法は誕生日誕生時間のその瞬間に術を発動させる、というものだった。
もしそれが男女だった場合悲惨だな、とか思ったが、そこは今は無視して……。
術を行い失敗した場合、下手をすると意識が戻らなくなることもある。
魂の入れ替えは人生で二度だけ、つまり一度入れ替えた魂の場合はその魂を戻すことは出来るが再び入れ替えることは出来ない。
そういった危険性、注意事項を教えられ魔術具を譲り受けた。
実際成功した訳だが、もし万が一失敗していたらどうしたのだろうか。
リディアはその危険性を分かっていながらも、違う人生を歩みたかったのだ。
そこまで「リディア」の人生が嫌だったのだろうか。
実際「リディア」になり、リディアの人生に疑問を感じる気持ちも分からなくはなかったが、周りの人たちは皆良い人たちばかりだ。その人たちと別れてまで違う人生を歩みたいという気持ちまでは理解出来なかった。
シェスも……、最初は怖かったが、今はそうでもない。たまに怖くも感じるが、不器用なだけかもしれない、と段々分かってきた気がする。
婚約者として……、元に戻ればきっと「今の私」が経験したシェスの良いところも共有出来るはず。今ならきっと「リディア」はシェスを好きになる。シェスもきっとリディアを……。
胸がチクリと痛んだ。
いやいや、私はカナデなのだから、数ヶ月後にはいなくなるのだ。胸が痛むことなどない。最初から分かっていたことなのだから。
「リディア」は元に戻れば、もう人生を入れ替えたいなどと考えなくなるだろうか。それとも戻りたいと思わないだろうか。
私はどちらなんだろう。元に戻りたいのかここにいたいのか……。
分からなくなってしまった。最初は一年間だけだと割り切っていた。割り切っていたはずだ。戻ることが当たり前だと思っていた。
でも今は………………。
「リディ?」
考え込んでいるとイルが心配そうに見詰めていた。
「あ、ごめん、何でもない」
駄目だ……、考えても仕方ない。私は次の誕生日には元の世界に戻るのだから。そう、自身に言い聞かせた。
「さっき言った魔術が知りたかったらまた調べておこうか?」
イルが顔を覗き込み言った。
「あ、うん、ありがとう。無理はしないでね。何か分かったらで良いよ」
「ん」
イルは何か感じただろうか。少し心配になったが、無邪気にサンドイッチを頬張る姿を見ると安心した。
お昼を食べ終わるとイルは案の定、魔獣研究所に向かうと別れ、私たちはラニールさんの元に向かった。
「こんにちは、ラニールさんいますか?」
控えの間にはすでに騎士たちの姿はなく、ラニールさんは厨房から出て来てくれた。
「リディア、来たか。? どうした?」
「え? 何がですか?」
「いや、何か元気がないように見えたんだが……」
何で分かるんだろう。今そんなことを言われると情緒不安定になる。駄目だ、泣いてしまいそうだ。
「違ってたなら、すまん」
ラニールさんは頭をガシガシと掻いた。
俯き必死に涙を堪えた。今は駄目。今泣くのは駄目。
「お嬢様?」
マニカもオルガもいつもと様子の違う私に心配している。
駄目、みんなに心配かけている。
「大丈夫ですよ? 何でもないです! 元気ですよ!」
勢い良く顔を上げ、笑顔を作った。
ラニールさんは私の頭に手を置きそっと撫でた。
私が何かを我慢していることに気付いているんだろう。しかしラニールさんは何も聞かず頭を撫で続けた。
あぁ、駄目だ…………。
ぼろぼろと涙が零れてしまった…………。
翌朝、朝食を取りながら呟いた。
「そうですねぇ、せっかくお誘いいただいたのですしね……」
「だよねぇ……」
マニカと二人で小さく溜め息を吐く。
あんなに怖い顔をしていたのに、いきなり誘われて驚いたけど……、多分緊張しながら頑張って誘ってくれたんだろうなぁ。
今までの殿下なら女性に興味なさそうだったもんね。きっと周りから色々言われて頑張ってくれてるんだろうな。それなのに本当に申し訳ない。
「今度私から誘ってみようかな……」
ボソッと呟くとマニカが満面の笑みになった。
「そうですね! それがよろしいですよ!」
「そ、そう?」
やたら前のめりに食い付かれてちょっと腰が引けた。
「殿下、街って言ってたよね。また街には散策に行きたいと思ってたから、今度お誘いしてみるわ」
「えぇ! 頑張ってください、お嬢様!」
マニカはガッツポーズ。ハハハ、マニカがやる気に満ち溢れている。
「ちなみにお嬢様」
「え? 何?」
「殿下呼びに戻っています」
「あ……」
まだ慣れないのよー!! という声が響き渡った。
朝の講義を受けた後、いつものごとくイルがやって来たので、今日はサンドイッチを作ってもらい中庭の木陰でお昼にした。
以前イルと初めてしっかり話した場所だ。
ベンチに座りバスケットに入ったサンドイッチを広げる。
マニカとオルガも少し離れたベンチに座り同様にサンドイッチを食べた。
「そういえばイルのお母様の国って魔術に長けているのよね? イルも魔術使えたりするの?」
「ん、少しだけなら知ってる」
イルはサンドイッチを口に咥えたままコクンと頷いた。
いちいち可愛いな。
前から聞いてみたかったことを聞いてみる。
「魂の入れ替えって知ってる?」
「魂の入れ替え?」
「うん、面と向かった人の魂を入れ替えじゃなく、遠く離れた人との入れ替え」
「うーん、遠く離れた人……、それは知らないや。ごめん」
「ううん! 良いの、気にしないで!」
やはりイルも知らないのか。
「最も近しい魂の者と繋がることが出来る魔術は聞いたことがあるけど……」
「え、それってどんな!?」
「ん、僕も術は聞いたけど、実際やったことはないから……詳しくは分からない」
「そっか……」
しかしイルの言うその魔術が近そうな?
「リディ、魔術に興味あるの?」
「え、いやぁ、アハハ、そうね、少しだけ」
詳しくは話せない。リディアが使った魔術を詳しく知りたいとは言えない。
リディアが魔術士と話した内容は記憶の共有で知っている。
リディアは違う人生を歩みたかった。だから望みを叶える魔術士と噂される人物を探した。
魔術士にその望みを話すと、魂を入れ替える魔術を提案された。全く知らない人間。自分と近しい魂を持つ者と魂を入れ替えることが出来る、と。
その相手は同じ日の同じ時間に生まれた人間、そしてその方法は誕生日誕生時間のその瞬間に術を発動させる、というものだった。
もしそれが男女だった場合悲惨だな、とか思ったが、そこは今は無視して……。
術を行い失敗した場合、下手をすると意識が戻らなくなることもある。
魂の入れ替えは人生で二度だけ、つまり一度入れ替えた魂の場合はその魂を戻すことは出来るが再び入れ替えることは出来ない。
そういった危険性、注意事項を教えられ魔術具を譲り受けた。
実際成功した訳だが、もし万が一失敗していたらどうしたのだろうか。
リディアはその危険性を分かっていながらも、違う人生を歩みたかったのだ。
そこまで「リディア」の人生が嫌だったのだろうか。
実際「リディア」になり、リディアの人生に疑問を感じる気持ちも分からなくはなかったが、周りの人たちは皆良い人たちばかりだ。その人たちと別れてまで違う人生を歩みたいという気持ちまでは理解出来なかった。
シェスも……、最初は怖かったが、今はそうでもない。たまに怖くも感じるが、不器用なだけかもしれない、と段々分かってきた気がする。
婚約者として……、元に戻ればきっと「今の私」が経験したシェスの良いところも共有出来るはず。今ならきっと「リディア」はシェスを好きになる。シェスもきっとリディアを……。
胸がチクリと痛んだ。
いやいや、私はカナデなのだから、数ヶ月後にはいなくなるのだ。胸が痛むことなどない。最初から分かっていたことなのだから。
「リディア」は元に戻れば、もう人生を入れ替えたいなどと考えなくなるだろうか。それとも戻りたいと思わないだろうか。
私はどちらなんだろう。元に戻りたいのかここにいたいのか……。
分からなくなってしまった。最初は一年間だけだと割り切っていた。割り切っていたはずだ。戻ることが当たり前だと思っていた。
でも今は………………。
「リディ?」
考え込んでいるとイルが心配そうに見詰めていた。
「あ、ごめん、何でもない」
駄目だ……、考えても仕方ない。私は次の誕生日には元の世界に戻るのだから。そう、自身に言い聞かせた。
「さっき言った魔術が知りたかったらまた調べておこうか?」
イルが顔を覗き込み言った。
「あ、うん、ありがとう。無理はしないでね。何か分かったらで良いよ」
「ん」
イルは何か感じただろうか。少し心配になったが、無邪気にサンドイッチを頬張る姿を見ると安心した。
お昼を食べ終わるとイルは案の定、魔獣研究所に向かうと別れ、私たちはラニールさんの元に向かった。
「こんにちは、ラニールさんいますか?」
控えの間にはすでに騎士たちの姿はなく、ラニールさんは厨房から出て来てくれた。
「リディア、来たか。? どうした?」
「え? 何がですか?」
「いや、何か元気がないように見えたんだが……」
何で分かるんだろう。今そんなことを言われると情緒不安定になる。駄目だ、泣いてしまいそうだ。
「違ってたなら、すまん」
ラニールさんは頭をガシガシと掻いた。
俯き必死に涙を堪えた。今は駄目。今泣くのは駄目。
「お嬢様?」
マニカもオルガもいつもと様子の違う私に心配している。
駄目、みんなに心配かけている。
「大丈夫ですよ? 何でもないです! 元気ですよ!」
勢い良く顔を上げ、笑顔を作った。
ラニールさんは私の頭に手を置きそっと撫でた。
私が何かを我慢していることに気付いているんだろう。しかしラニールさんは何も聞かず頭を撫で続けた。
あぁ、駄目だ…………。
ぼろぼろと涙が零れてしまった…………。
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