12 / 136
本編 リディア編
第十二話 料理講座!?
しおりを挟む
ラニールさんは野菜を取り出し細かく刻み始めた。何の野菜だろう、様々な色とりどりの野菜だ。
野菜を刻み終えるとミンチ肉のようなものと炒め始める。
「それはお肉ですか?」
「これか? 肉ではない。肉のような食感のナナンという野菜だ。乾燥させてから水で戻すと肉のような食感になる」
「へぇ、そんなのがあるんですね! 知らなかったです!」
意外にもラニールさんは質問すれば大体何でも丁寧に答えてくれた。やっぱり見た目は怖そうだけど、良い人なんだろう。
キース団長は何だかニヤニヤしそうな顔を我慢しているような、物凄い微妙な顔付きだけど……。
そんなことに気付いていないラニールさんは細かく説明をしながら調理してくれている。
炒めたナナンと野菜に味付けをし、さらに炒める。
とても良い香りがして来た。この世界ではハーブは料理に使わないらしいが、入れたものは何だろう。見た目は赤いからケチャップのようだ。でも香りはケチャップではない。
不思議な感じがする。
少し顔を近付け覗き込んでいると危ないから離れろと叱られた。
「ん」
「?」
叱られ顔を離すと、炒めたそれをスプーンに一口分乗せたものを差し出された。
「味見だ」
「え、良いんですか!?」
やった! ウキウキしながらパクリとスプーンにかぶりついた。
かぶりついた瞬間、しまった! と思ったが、時すでに遅し……。
ラニールさんは真っ赤な顔をしているし、マニカとオルガは叫ぶし、キース団長は驚愕の表情だし……。
やってしまった……、令嬢が人の差し出したスプーンから直接食べるなんてはしたないし、ありえないし、とんでもないことよね……。
するなら恋人同士よね……、いや、今はそれは関係ない……。自分でも分かっているから、お願いだから見なかったことに……、無理よね。
しかしやってしまったことはもうどうしようもなく、せっかくの料理の味が分からなくなるじゃない!
何事もなかったかのように、口元を手で隠し、もぐもぐもぐもぐ……
「あ、ちょっと辛みがあるんですね! 美味しい!」
さあ、何もなかったわよ! 私は味見をしただけ! ただ食べただけ! 味の感想よ!
「え、あ、あぁ、ここの奴らは辛いものが好きなんでな」
ラニールさんは呆然としていたけど、急に味の感想を言われ意識がそっちに行ったわね! よし!
マニカは後ろで頭を抱えているけど、この際それは無視するわね! そこはもう気にせず突っ走るしかないのよ!
「これでこの料理は完成ですか?」
「いや、これをパイ生地で包んで焼く」
「!!」
ミートパイね! ……ん? ミートではないのか。ナナンパイ? まあそこはどうでも良いか。
ラニールさんは先程の「あーん事件」を忘れたかのように、パイ生地に先程の炒めたものを包み始めた。
キース団長は苦笑している。もう触れないでください。
パイ生地に包み終わるととても大きなオーブンにそれを入れた。
焼きあがっていくところが見えないのが残念。
しばらくすると焼き上がったのか、ラニールさんがオーブンを開けた。
とても香ばしい香りが漂い美味しそうな匂いが厨房に充満した。
「出来たぞ、持って行ってやるから控えの間で待て」
そう言われ、素直に控えの間へと移動した。厨房との出入口には騎士たちが大勢覗き込んでいたため、慌てて押し合いへし合い散らばって行った。
キース団長に一つのテーブルへとエスコートされ、その席に座ると、後からラニールさんがパイを持って来てくれた。
目の前で切り分けてくれ、ザクッと良い音と共に中から湯気と良い匂いが漂って来る。
美味しそう!!
ラニールさんは皿に取り分け、私の前に置いた。
「ありがとうございます! いただきますね」
出来たてのパイは熱々でサクサク香ばしい! 中のナナン炒めも少しピリ辛で食欲をそそるし、ナナンの香りかしら、少し癖のある香りが鼻から抜ける。
騎士たち男性が食べても食べ応えあるわね!
「美味しい~!!」
貴族令嬢が食べるものではないのか、周りにいる人たちは皆唖然としている。
「は! お貴族様がこんな庶民の味なんか好まんだろうと思ったが……、旨そうに食べるじゃないか」
ラニールさんが声を上げて笑った。
「だって、本当に美味しいんですもの! マニカとオルガも食べてみて!」
そう思い顔上げると、キース団長含め騎士たち皆が驚愕の表情だった。
「?」
ど、どうしたのかしら……、何か変なこと言ったかな。
恐る恐るキース団長に声を掛けた。
「あ、あの、どうかしましたか?」
キース団長は声を掛けられ、ハッとしたようにこちらを見た。
「あ、いえ、あの……あまりに驚いて……」
「?」
「ラニールが声を上げて笑うことろなんて見たことがなく……」
え、そっち!? 良かった、私のことじゃなかった! と喜んだけど、ラニールさんは自分のことを言われ、顔を真っ赤にした。
「な、何だ! 何か文句あるのか! 俺だって笑うことくらいある!」
顔を赤くしながら睨み付け怒るラニールさんはもう怖がられる対象ではなくなり、明らかにからかわれている。ハハ、私のせいかしら、ごめんなさい。
キース団長はニヤッとしながら、ラニールさんの肩をバシバシ叩いた。
「まあまあ、そう怒るな。良いじゃないか、お前が笑えるようになって俺も嬉しいよ」
ラニールさんはキース団長を思い切り睨んでいるけど、もう周りの騎士たちですら、生暖かい目で見てるよ……。
「と、とにかくマニカとオルガも食べてみてよ」
何だか申し訳ない気持ちになり……、逃げました。ごめんなさい。
マニカとオルガも向かいに座り一緒に食べた。本来なら主と共に席に着くのも、共に食べるのもありえないのだが、ここはね、ほら私、カナデも入っているし、周りの人たちは驚いているけど気にしない!
マニカも普段なら、とんでもない! とか言われそうだけど、今のこの空気が居たたまれないのか、大人しく従った。オルガはね、うん、言わずもがなだろう。
「まあ、本当ですね! とても美味しいです!」
「本当だー!凄く美味しいし、余計お腹空いちゃう」
一口食べただけでは足らない! と、不満そうなオルガ。
「フフ、本当にね、まだまだ食べたくなるよね」
ずっとからかわれているラニールさんが気の毒になり声を掛けた。
「また食べに来ても良いですか?」
「え、あ、あぁ、俺は構わないが」
「あ!!」
ラニールさんはビクッとした。
料理を堪能してる場合じゃなかった! あまりに楽しいし美味しいからすっかり忘れてたよ!
「な、何だ!?」
「すいません! 厨房ってお借りすることは出来ませんか?」
「厨房を!? 何で!?」
「あの……、お菓子を作りたくて……」
「お菓子!?」
「はい」
また周りの人たち全員に驚いた顔されてるし。
「ダメですか?」
やっぱりダメかなぁ。そもそも貴族の令嬢が騎士団の厨房で調理するってね……、自分で苦笑した。
ラニールさんはたじろぎ、キース団長はまたニヤッとラニールさんを見てるし……。
「まあ、忙しい時間帯を外してなら……」
「良いんですか!?」
まさか了承してもらえるとは思わなかった。また思わずラニールさんの手を取ろうとしてしまい、何とか我慢して踏み留まった。よし! 頑張った、私!
マニカは苦笑してるけど。
「今日はさすがに無理だがな。もうそろそろ晩の準備に入る」
「あぁ、そうですよね……でしたら……」
せっかくいただいたコランのハーブが傷まないうちに……。
「明日は予定があるので、明後日のお昼過ぎに伺ってもよろしいですか?」
「あ、あぁ、分かった」
「ありがとうございます!」
ラニールさんの手を掴んだ……、あ!あぁ……、せっかくさっき耐えたのに!
本当すいません、と、そーっと何もなかったかのように手を離した。が、やはり何もなかったかのようにはならなかったよね。残念。
チラッとラニールさんを見ると顔を背けていた。
周りの反応はね、もう分かる! だから見ない!
「それでは色々と急に失礼致しました」
そう言うと丁寧にお辞儀をし、そそくさと控えの間から出た。
皆が唖然としてるのが分かるよ。
マニカとオルガがキース団長、ラニールさん、騎士団の人たちに挨拶をし、慌てて追って来た。
私たちが出た後、控えの間から歓声のような騎士たちの大きな声が響いた。
「あぁ、何だかまた色々やらかしちゃったかな?」
深い溜め息を吐きながらマニカに聞いたが、マニカはもう諦め顔。
「もう何があっても驚きません」
苦笑しながらマニカは言った。
野菜を刻み終えるとミンチ肉のようなものと炒め始める。
「それはお肉ですか?」
「これか? 肉ではない。肉のような食感のナナンという野菜だ。乾燥させてから水で戻すと肉のような食感になる」
「へぇ、そんなのがあるんですね! 知らなかったです!」
意外にもラニールさんは質問すれば大体何でも丁寧に答えてくれた。やっぱり見た目は怖そうだけど、良い人なんだろう。
キース団長は何だかニヤニヤしそうな顔を我慢しているような、物凄い微妙な顔付きだけど……。
そんなことに気付いていないラニールさんは細かく説明をしながら調理してくれている。
炒めたナナンと野菜に味付けをし、さらに炒める。
とても良い香りがして来た。この世界ではハーブは料理に使わないらしいが、入れたものは何だろう。見た目は赤いからケチャップのようだ。でも香りはケチャップではない。
不思議な感じがする。
少し顔を近付け覗き込んでいると危ないから離れろと叱られた。
「ん」
「?」
叱られ顔を離すと、炒めたそれをスプーンに一口分乗せたものを差し出された。
「味見だ」
「え、良いんですか!?」
やった! ウキウキしながらパクリとスプーンにかぶりついた。
かぶりついた瞬間、しまった! と思ったが、時すでに遅し……。
ラニールさんは真っ赤な顔をしているし、マニカとオルガは叫ぶし、キース団長は驚愕の表情だし……。
やってしまった……、令嬢が人の差し出したスプーンから直接食べるなんてはしたないし、ありえないし、とんでもないことよね……。
するなら恋人同士よね……、いや、今はそれは関係ない……。自分でも分かっているから、お願いだから見なかったことに……、無理よね。
しかしやってしまったことはもうどうしようもなく、せっかくの料理の味が分からなくなるじゃない!
何事もなかったかのように、口元を手で隠し、もぐもぐもぐもぐ……
「あ、ちょっと辛みがあるんですね! 美味しい!」
さあ、何もなかったわよ! 私は味見をしただけ! ただ食べただけ! 味の感想よ!
「え、あ、あぁ、ここの奴らは辛いものが好きなんでな」
ラニールさんは呆然としていたけど、急に味の感想を言われ意識がそっちに行ったわね! よし!
マニカは後ろで頭を抱えているけど、この際それは無視するわね! そこはもう気にせず突っ走るしかないのよ!
「これでこの料理は完成ですか?」
「いや、これをパイ生地で包んで焼く」
「!!」
ミートパイね! ……ん? ミートではないのか。ナナンパイ? まあそこはどうでも良いか。
ラニールさんは先程の「あーん事件」を忘れたかのように、パイ生地に先程の炒めたものを包み始めた。
キース団長は苦笑している。もう触れないでください。
パイ生地に包み終わるととても大きなオーブンにそれを入れた。
焼きあがっていくところが見えないのが残念。
しばらくすると焼き上がったのか、ラニールさんがオーブンを開けた。
とても香ばしい香りが漂い美味しそうな匂いが厨房に充満した。
「出来たぞ、持って行ってやるから控えの間で待て」
そう言われ、素直に控えの間へと移動した。厨房との出入口には騎士たちが大勢覗き込んでいたため、慌てて押し合いへし合い散らばって行った。
キース団長に一つのテーブルへとエスコートされ、その席に座ると、後からラニールさんがパイを持って来てくれた。
目の前で切り分けてくれ、ザクッと良い音と共に中から湯気と良い匂いが漂って来る。
美味しそう!!
ラニールさんは皿に取り分け、私の前に置いた。
「ありがとうございます! いただきますね」
出来たてのパイは熱々でサクサク香ばしい! 中のナナン炒めも少しピリ辛で食欲をそそるし、ナナンの香りかしら、少し癖のある香りが鼻から抜ける。
騎士たち男性が食べても食べ応えあるわね!
「美味しい~!!」
貴族令嬢が食べるものではないのか、周りにいる人たちは皆唖然としている。
「は! お貴族様がこんな庶民の味なんか好まんだろうと思ったが……、旨そうに食べるじゃないか」
ラニールさんが声を上げて笑った。
「だって、本当に美味しいんですもの! マニカとオルガも食べてみて!」
そう思い顔上げると、キース団長含め騎士たち皆が驚愕の表情だった。
「?」
ど、どうしたのかしら……、何か変なこと言ったかな。
恐る恐るキース団長に声を掛けた。
「あ、あの、どうかしましたか?」
キース団長は声を掛けられ、ハッとしたようにこちらを見た。
「あ、いえ、あの……あまりに驚いて……」
「?」
「ラニールが声を上げて笑うことろなんて見たことがなく……」
え、そっち!? 良かった、私のことじゃなかった! と喜んだけど、ラニールさんは自分のことを言われ、顔を真っ赤にした。
「な、何だ! 何か文句あるのか! 俺だって笑うことくらいある!」
顔を赤くしながら睨み付け怒るラニールさんはもう怖がられる対象ではなくなり、明らかにからかわれている。ハハ、私のせいかしら、ごめんなさい。
キース団長はニヤッとしながら、ラニールさんの肩をバシバシ叩いた。
「まあまあ、そう怒るな。良いじゃないか、お前が笑えるようになって俺も嬉しいよ」
ラニールさんはキース団長を思い切り睨んでいるけど、もう周りの騎士たちですら、生暖かい目で見てるよ……。
「と、とにかくマニカとオルガも食べてみてよ」
何だか申し訳ない気持ちになり……、逃げました。ごめんなさい。
マニカとオルガも向かいに座り一緒に食べた。本来なら主と共に席に着くのも、共に食べるのもありえないのだが、ここはね、ほら私、カナデも入っているし、周りの人たちは驚いているけど気にしない!
マニカも普段なら、とんでもない! とか言われそうだけど、今のこの空気が居たたまれないのか、大人しく従った。オルガはね、うん、言わずもがなだろう。
「まあ、本当ですね! とても美味しいです!」
「本当だー!凄く美味しいし、余計お腹空いちゃう」
一口食べただけでは足らない! と、不満そうなオルガ。
「フフ、本当にね、まだまだ食べたくなるよね」
ずっとからかわれているラニールさんが気の毒になり声を掛けた。
「また食べに来ても良いですか?」
「え、あ、あぁ、俺は構わないが」
「あ!!」
ラニールさんはビクッとした。
料理を堪能してる場合じゃなかった! あまりに楽しいし美味しいからすっかり忘れてたよ!
「な、何だ!?」
「すいません! 厨房ってお借りすることは出来ませんか?」
「厨房を!? 何で!?」
「あの……、お菓子を作りたくて……」
「お菓子!?」
「はい」
また周りの人たち全員に驚いた顔されてるし。
「ダメですか?」
やっぱりダメかなぁ。そもそも貴族の令嬢が騎士団の厨房で調理するってね……、自分で苦笑した。
ラニールさんはたじろぎ、キース団長はまたニヤッとラニールさんを見てるし……。
「まあ、忙しい時間帯を外してなら……」
「良いんですか!?」
まさか了承してもらえるとは思わなかった。また思わずラニールさんの手を取ろうとしてしまい、何とか我慢して踏み留まった。よし! 頑張った、私!
マニカは苦笑してるけど。
「今日はさすがに無理だがな。もうそろそろ晩の準備に入る」
「あぁ、そうですよね……でしたら……」
せっかくいただいたコランのハーブが傷まないうちに……。
「明日は予定があるので、明後日のお昼過ぎに伺ってもよろしいですか?」
「あ、あぁ、分かった」
「ありがとうございます!」
ラニールさんの手を掴んだ……、あ!あぁ……、せっかくさっき耐えたのに!
本当すいません、と、そーっと何もなかったかのように手を離した。が、やはり何もなかったかのようにはならなかったよね。残念。
チラッとラニールさんを見ると顔を背けていた。
周りの反応はね、もう分かる! だから見ない!
「それでは色々と急に失礼致しました」
そう言うと丁寧にお辞儀をし、そそくさと控えの間から出た。
皆が唖然としてるのが分かるよ。
マニカとオルガがキース団長、ラニールさん、騎士団の人たちに挨拶をし、慌てて追って来た。
私たちが出た後、控えの間から歓声のような騎士たちの大きな声が響いた。
「あぁ、何だかまた色々やらかしちゃったかな?」
深い溜め息を吐きながらマニカに聞いたが、マニカはもう諦め顔。
「もう何があっても驚きません」
苦笑しながらマニカは言った。
36
お気に入りに追加
442
あなたにおすすめの小説
子ども扱いしないでください! 幼女化しちゃった完璧淑女は、騎士団長に甘やかされる
佐崎咲
恋愛
旧題:完璧すぎる君は一人でも生きていけると婚約破棄されたけど、騎士団長が即日プロポーズに来た上に甘やかしてきます
「君は完璧だ。一人でも生きていける。でも、彼女には私が必要なんだ」
なんだか聞いたことのある台詞だけれど、まさか現実で、しかも貴族社会に生きる人間からそれを聞くことになるとは思ってもいなかった。
彼の言う通り、私ロゼ=リンゼンハイムは『完璧な淑女』などと称されているけれど、それは努力のたまものであって、本質ではない。
私は幼い時に我儘な姉に追い出され、開き直って自然溢れる領地でそれはもうのびのびと、野を駆け山を駆け回っていたのだから。
それが、今度は跡継ぎ教育に嫌気がさした姉が自称病弱設定を作り出し、代わりに私がこの家を継ぐことになったから、王都に移って血反吐を吐くような努力を重ねたのだ。
そして今度は腐れ縁ともいうべき幼馴染みの友人に婚約者を横取りされたわけだけれど、それはまあ別にどうぞ差し上げますよというところなのだが。
ただ。
婚約破棄を告げられたばかりの私をその日訪ねた人が、もう一人いた。
切れ長の紺色の瞳に、長い金髪を一つに束ね、男女問わず目をひく美しい彼は、『微笑みの貴公子』と呼ばれる第二騎士団長のユアン=クラディス様。
彼はいつもとは違う、改まった口調で言った。
「どうか、私と結婚してください」
「お返事は急ぎません。先程リンゼンハイム伯爵には手紙を出させていただきました。許可が得られましたらまた改めさせていただきますが、まずはロゼ嬢に私の気持ちを知っておいていただきたかったのです」
私の戸惑いたるや、婚約破棄を告げられた時の比ではなかった。
彼のことはよく知っている。
彼もまた、私のことをよく知っている。
でも彼は『それ』が私だとは知らない。
まったくの別人に見えているはずなのだから。
なのに、何故私にプロポーズを?
しかもやたらと甘やかそうとしてくるんですけど。
どういうこと?
============
番外編は思いついたら追加していく予定です。
<レジーナ公式サイト番外編>
「番外編 相変わらずな日常」
レジーナ公式サイトにてアンケートに答えていただくと、書き下ろしweb番外編をお読みいただけます。
いつも攻め込まれてばかりのロゼが居眠り中のユアンを見つけ、この機会に……という話です。
※転載・複写はお断りいたします。
もう一度あなたに逢いたくて〜こぼれ落ちた運命を再び拾うまで〜
雪野 結莉
恋愛
魔物を倒す英雄となる運命を背負って生まれた侯爵家嫡男ルーク。
しかし、赤ん坊の時に魔獣に襲われ、顔に酷い傷を持ってしまう。
英雄の婚約者には、必ず光の魔力を持つものが求められる。そして選ばれたのは子爵家次女ジーナだった。
顔に残る傷のため、酷く冷遇された幼少期を過ごすルークに差し込んだ一筋の光がジーナなのだ。
ジーナを誰よりも大切にしてきたルークだったが、ジーナとの婚約を邪魔するものの手によって、ジーナは殺されてしまう。
誰よりも強く誰よりも心に傷を持つルークのことが死してなお気になるジーナ。
ルークに会いたくて会いたくて。
その願いは。。。。。
とても長いお話ですが、1話1話は1500文字前後で軽く読める……はず!です。
他サイト様でも公開中ですが、アルファポリス様が一番早い更新です。
本編完結しました!
【改稿版・完結】その瞳に魅入られて
おもち。
恋愛
「——君を愛してる」
そう悲鳴にも似た心からの叫びは、婚約者である私に向けたものではない。私の従姉妹へ向けられたものだった——
幼い頃に交わした婚約だったけれど私は彼を愛してたし、彼に愛されていると思っていた。
あの日、二人の胸を引き裂くような思いを聞くまでは……
『最初から愛されていなかった』
その事実に心が悲鳴を上げ、目の前が真っ白になった。
私は愛し合っている二人を引き裂く『邪魔者』でしかないのだと、その光景を見ながらひたすら現実を受け入れるしかなかった。
『このまま婚姻を結んでも、私は一生愛されない』
『私も一度でいいから、あんな風に愛されたい』
でも貴族令嬢である立場が、父が、それを許してはくれない。
必死で気持ちに蓋をして、淡々と日々を過ごしていたある日。偶然見つけた一冊の本によって、私の運命は大きく変わっていくのだった。
私も、貴方達のように自分の幸せを求めても許されますか……?
※後半、壊れてる人が登場します。苦手な方はご注意下さい。
※このお話は私独自の設定もあります、ご了承ください。ご都合主義な場面も多々あるかと思います。
※『幸せは人それぞれ』と、いうような作品になっています。苦手な方はご注意下さい。
※こちらの作品は小説家になろう様でも掲載しています。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
【本編完結済み】二人は常に手を繋ぐ
ハチ助
恋愛
【あらすじ】6歳になると受けさせられる魔力測定で、微弱の初級魔法しか使えないと判定された子爵令嬢のロナリアは、魔法学園に入学出来ない事で落胆していた。すると母レナリアが気分転換にと、自分の親友宅へとロナリアを連れ出す。そこで出会った同年齢の伯爵家三男リュカスも魔法が使えないという判定を受け、酷く落ち込んでいた。そんな似た境遇の二人はお互いを慰め合っていると、ひょんなことからロナリアと接している時だけ、リュカスが上級魔法限定で使える事が分かり、二人は翌年7歳になると一緒に王立魔法学園に通える事となる。この物語は、そんな二人が手を繋ぎながら成長していくお話。
※魔法設定有りですが、対人で使用する展開はございません。ですが魔獣にぶっ放してる時があります。
★本編は16話完結済み★
番外編は今後も更新を追加する可能性が高いですが、2024年2月現在は切りの良いところまで書きあげている為、作品を一度完結処理しております。
※尚『小説家になろう』でも投稿している作品になります。
【完結】元お飾り聖女はなぜか腹黒宰相様に溺愛されています!?
雨宮羽那
恋愛
元社畜聖女×笑顔の腹黒宰相のラブストーリー。
◇◇◇◇
名も無きお飾り聖女だった私は、過労で倒れたその日、思い出した。
自分が前世、疲れきった新卒社会人・花菱桔梗(はなびし ききょう)という日本人女性だったことに。
運良く婚約者の王子から婚約破棄を告げられたので、前世の教訓を活かし私は逃げることに決めました!
なのに、宰相閣下から求婚されて!? 何故か甘やかされているんですけど、何か裏があったりしますか!?
◇◇◇◇
お気に入り登録、エールありがとうございます♡
※ざまぁはゆっくりじわじわと進行します。
※「小説家になろう」「エブリスタ」様にも掲載しております(アルファポリス先行)。
※この作品はフィクションです。特定の政治思想を肯定または否定するものではありません(_ _*))
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる