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三章 依頼

第二十五話

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 キシュクへ戻ったときにはすでに夕方になっていた。
 急いでフィルさんの魔導具屋へ。ルナとオブの魔導具を揃えるためだ。
 魔導具屋の入り口を開けようとしたら鍵がかかっていた。

「え? お休み? フィルさんどこ行ったんだろ」

 考えても分からないし、とりあえずマリー亭に帰ることにした。
 今日魔導具が手に入らないとすると、ルナたちに連絡しとかないとなぁ。どうやって連絡取るのか聞いてなかったなぁ。
 とりあえず呼び掛けてみるか。ルナとオブの気配を探る。索敵と同じやり方でいけそうだ。
 見付けた。

「ルナ、オブ、聞こえる?」
『あぁ、ユウ、聞こえるぞ』
『ぼくもきこえる~』

 どうやら繋がったようだ。

「あのさ、魔導具屋さんが閉まってて今日は手に入らなさそうなんだ。また明日行ってみるから、しばらくその場所で待機しててくれる?」
『了解した』
『わかった~。はやくかえってきてね~』
「人に見付からないよう気をつけて。じゃあ明日ね」

 良かった繋がって。便利だな、これ。
 ちょっと独り言みたいで周りには注意だけど。

「ただいま」

 マリー亭は開店間際だったようで、まだお客はいなかった。

「ユウ!」

 フィルさんとメルダさんが二人して声を上げた。
 マリーさんもオーグさんも厨房から出てくる。

「朝出て行ってから一度も戻ってないって聞いて心配してたんだよ!」

 メルダさんが肩を掴んだ。

「大丈夫かい? 何かあったのかい?」
「ユウ、本当に大丈夫なのかい?」

 矢継ぎ早に質問責めになる。マリーさんもオーグさんも心配そうな顔している。
 そうか、だいぶ心配をかけていたんだな。

「ごめんなさい、心配かけて。私は大丈夫」

 その姿に四人はホッとしたようだった。
 さて、どこからどこまで話すべきか……。ドラゴンが絡むということを正直に話す?
 でもディルアスもドラゴンを連れていたことはみんな知っているしな。
 うん。

「あの、あったこと全て話すので、ここだけの話としてください。お願いします」

 みんな頷いてくれた。
 今日あったことを全て正直に話した。

「そうか、ドラゴンか……しかも漆黒の……」
「どう報告しようか迷ってるんですけど。ドラゴンのことを隠すか、そのまま話すか……」
「うーん、でもそのドラゴン、もうユウと従属契約してるんだよね?」
「はい」
「ならそのまま話しても良いんじゃないかな? 一応従属魔獣には他人は手を出せないし、魔獣だろうと魔物だろうと従属契約を結んだものは人間には危害を加えられないはずだし」
「なるほど。じゃあ全て報告することにします」
「明日行くかい?」
「はい。もう解決済みだし早く報告したほうが良いですよね」
「そうだね」

 四人とも納得してくれたようだ。
 フィルさんは明日の報告に同行してくれるらしい。

「あ、それと明日魔導具をお願いしたくて」
「どんな?」
「その狼とドラゴンに」
「あぁ、ディルアスみたいなドラゴンを小さくするやつかい?」

 狼のほうは違うのだが説明がしにくいので、明日にしよう。なんせ服を着せたい、って意味分からないだろうし。

 フィルさんと約束をし、メルダさんとフィルさんは帰って行った。
 店を手伝おうとしたが、マリーさんに止められて早く休むように言われた。
 お言葉に甘えて食事だけ終えると部屋へと戻った。

 すぐに休めば良かったのだが、今日の出来事が刺激的過ぎて中々寝付けない。
 オブを小さくする魔法とルナの人間化に自動的に服を着せる魔法。本をまた一から読み直してみた。
 それらしいものを見付けた。明日フィルさんに確認しよう。そう思いながらいつの間にか眠りについていた。
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