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第19話 狩り大会!
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アイザックが妙に優しいとなんか怖いじゃないのよ。ねぇ?
「チッ、せっかく心配してやったのに」
フン、とそっぽを向いてしまったアイザック。ごめんよ、どうにも信用出来なかったんだもの、えへ。
「まあ、ともかくしばらく意識しながら注意していこう。ルシア嬢は一人で危険な行動は取らないように気を付けてくださいね」
セルディ殿下は真面目な顔で言った。危険な行動を取ると思われてるんだろうな、アハハ……。
「分かりました、なるべく我慢します」
「いや、我慢とかじゃなく……」
「え?」
「いや、その……はぁ、まあ良いです。とにかく怪我をするようなことはしないでくださいね。アイリーンも悲しみます」
おほっ、アイリーンを悲しませたくないのね! うふふ、良いじゃない良いじゃない! ニマニマしてしまいそうなのを必死で抑えているとアイザックとロナルドは顔を背け、肩を震わせていた……おい。
生徒会室で話をしてからやはり徐々に黒い靄は増えて行っているような気がした。以前なら何日かに一度目にしたら良いほうだったのに、最近は毎日見掛けるようになってきた。
こうなってくると生徒会四人組にもなんとなく気配を感じるようになってきたらしい。
はっきりとしたものは見えないが、ぼんやりと何か怪しい気配を感じる、と。本格的にちょっとヤバいんじゃないかしら、と不安になって来た頃、とうとう例の狩り大会の日となってしまった。
学園内のスポーツ大会といった感じの狩り大会。魔法や剣を使い、学園所有の森林のなかで狩りを行う。一番多く狩ったものが優勝し、賞品が贈られる。
でもこの大会で突如魔物が現れるのよ。
予期せぬ魔物の登場でその場にいたものたちは混乱し、ルシアは魔物を倒そうとするが、さらに魔物が増え怪我をする。まあセルディ殿下との親密度が上がる重要なイベントなんだけど……今の私には必要ない!
なんとか誰も怪我をさせることなく、私自身も怪我なんてすることなく無事に終わりたい!!
そのためには狩りなんて無視よ! 周りの気配に集中しないと!
当日の朝は皆、生徒たちは狩りに相応しい動きやすい服装に身を包み、各々剣を下げている者や、魔法をメインに使おうと思っているものや様々だった。
生徒会四人組もアイリーンもいつもとは違う身軽な出で立ちだ。
「ルシアさん、今日は勝負ですわよ、貴女には負けませんわ」
「アイリーン様……どうかご無事で」
「え?」
とにかくアイリーンには何事なく無事に終わってもらいたい。黒い靄も気になるし……出来ればアイリーンを一人にしたくはないんだけど……キョロっとセルディ殿下を探した。
まあ探す必要もなくすぐに見付かったんだけど……さすが王子、オーラが違う。遠目でもすぐに分かったわよ。
アイリーンを見付けたのだろう、こちらにやって来るセルディ殿下。
「やあ、アイリーンにルシア嬢、今日は頑張ろう」
ニコリと笑ったセルディ殿下を前にアイリーンがすっかり赤面してしまった。相変わらず初心よねぇ……ニヤニヤしてしまいそうだわ。しかし、今はそれどころじゃない。
「セルディ殿下、アイリーン様と一緒に行っていただけませんか?」
「えぇぇえ!?」
なんでそんなに驚くのよ! というくらい、アイリーンが驚愕の声を上げた。いやいや、初心にも程があるでしょうよ、婚約者なんだから一緒に行っても良いじゃないの!
「ルシア嬢……」
セルディ殿下は特になにも言わないが目を合わせて、アイリーンに気付かれない程度に頷いた。察してくれたようだ。さすが完璧王子! 勘が良い人って好きよ! いや、人としてって意味ね。アイリーンに悪いし。
ちなみにアイリーンにはまだ黒い靄の話は伝えていないそうだ。伝えたところで見えないんじゃ警戒も出来ないしね。伝えて不安にさせる必要もないだろう。私たちでアイリーンを護れば良いのだ。
「アイリーン、一緒に狩りをしようか」
ニコリとセルディ殿下はアイリーンに手を差し伸べた。
「い、い、い、い」
胃?
「一緒にですか!? 私と一緒でよろしいのですか!? 足手まといになってしまいますわ……」
顔を真っ赤にしながらアイリーンは訴えた。本当は一緒に周りたいくせにぃ、うふ。
「アイリーンが足手まといなんてなるわけがないじゃないか。それとも私と一緒では嫌かい?」
しょんぼりした顔でセルディ殿下が上目遣いに聞いた。くはっ! ズルい顔!! これはアイリーンもやられたでしょ!!
ちらりとアイリーンを見ると案の定というかなんというか、頭から湯気が上がるのではというくらいの赤い顔で卒倒しそうになっていた。アハハ。
「そ、そんなことありません!! 私がセルディ殿下と一緒にいて嫌だったことなど一度もありませんわ!! むしろいつも傍にいたいです!!」
そこまで言ってハッとした顔になったアイリーンはこの後使い物になりませんでした。
いつもそうやって素直な気持ちを伝えたら良いのにねぇ。
ちなみに私のニヤニヤも抑えきれませんでした……アハ。
「チッ、せっかく心配してやったのに」
フン、とそっぽを向いてしまったアイザック。ごめんよ、どうにも信用出来なかったんだもの、えへ。
「まあ、ともかくしばらく意識しながら注意していこう。ルシア嬢は一人で危険な行動は取らないように気を付けてくださいね」
セルディ殿下は真面目な顔で言った。危険な行動を取ると思われてるんだろうな、アハハ……。
「分かりました、なるべく我慢します」
「いや、我慢とかじゃなく……」
「え?」
「いや、その……はぁ、まあ良いです。とにかく怪我をするようなことはしないでくださいね。アイリーンも悲しみます」
おほっ、アイリーンを悲しませたくないのね! うふふ、良いじゃない良いじゃない! ニマニマしてしまいそうなのを必死で抑えているとアイザックとロナルドは顔を背け、肩を震わせていた……おい。
生徒会室で話をしてからやはり徐々に黒い靄は増えて行っているような気がした。以前なら何日かに一度目にしたら良いほうだったのに、最近は毎日見掛けるようになってきた。
こうなってくると生徒会四人組にもなんとなく気配を感じるようになってきたらしい。
はっきりとしたものは見えないが、ぼんやりと何か怪しい気配を感じる、と。本格的にちょっとヤバいんじゃないかしら、と不安になって来た頃、とうとう例の狩り大会の日となってしまった。
学園内のスポーツ大会といった感じの狩り大会。魔法や剣を使い、学園所有の森林のなかで狩りを行う。一番多く狩ったものが優勝し、賞品が贈られる。
でもこの大会で突如魔物が現れるのよ。
予期せぬ魔物の登場でその場にいたものたちは混乱し、ルシアは魔物を倒そうとするが、さらに魔物が増え怪我をする。まあセルディ殿下との親密度が上がる重要なイベントなんだけど……今の私には必要ない!
なんとか誰も怪我をさせることなく、私自身も怪我なんてすることなく無事に終わりたい!!
そのためには狩りなんて無視よ! 周りの気配に集中しないと!
当日の朝は皆、生徒たちは狩りに相応しい動きやすい服装に身を包み、各々剣を下げている者や、魔法をメインに使おうと思っているものや様々だった。
生徒会四人組もアイリーンもいつもとは違う身軽な出で立ちだ。
「ルシアさん、今日は勝負ですわよ、貴女には負けませんわ」
「アイリーン様……どうかご無事で」
「え?」
とにかくアイリーンには何事なく無事に終わってもらいたい。黒い靄も気になるし……出来ればアイリーンを一人にしたくはないんだけど……キョロっとセルディ殿下を探した。
まあ探す必要もなくすぐに見付かったんだけど……さすが王子、オーラが違う。遠目でもすぐに分かったわよ。
アイリーンを見付けたのだろう、こちらにやって来るセルディ殿下。
「やあ、アイリーンにルシア嬢、今日は頑張ろう」
ニコリと笑ったセルディ殿下を前にアイリーンがすっかり赤面してしまった。相変わらず初心よねぇ……ニヤニヤしてしまいそうだわ。しかし、今はそれどころじゃない。
「セルディ殿下、アイリーン様と一緒に行っていただけませんか?」
「えぇぇえ!?」
なんでそんなに驚くのよ! というくらい、アイリーンが驚愕の声を上げた。いやいや、初心にも程があるでしょうよ、婚約者なんだから一緒に行っても良いじゃないの!
「ルシア嬢……」
セルディ殿下は特になにも言わないが目を合わせて、アイリーンに気付かれない程度に頷いた。察してくれたようだ。さすが完璧王子! 勘が良い人って好きよ! いや、人としてって意味ね。アイリーンに悪いし。
ちなみにアイリーンにはまだ黒い靄の話は伝えていないそうだ。伝えたところで見えないんじゃ警戒も出来ないしね。伝えて不安にさせる必要もないだろう。私たちでアイリーンを護れば良いのだ。
「アイリーン、一緒に狩りをしようか」
ニコリとセルディ殿下はアイリーンに手を差し伸べた。
「い、い、い、い」
胃?
「一緒にですか!? 私と一緒でよろしいのですか!? 足手まといになってしまいますわ……」
顔を真っ赤にしながらアイリーンは訴えた。本当は一緒に周りたいくせにぃ、うふ。
「アイリーンが足手まといなんてなるわけがないじゃないか。それとも私と一緒では嫌かい?」
しょんぼりした顔でセルディ殿下が上目遣いに聞いた。くはっ! ズルい顔!! これはアイリーンもやられたでしょ!!
ちらりとアイリーンを見ると案の定というかなんというか、頭から湯気が上がるのではというくらいの赤い顔で卒倒しそうになっていた。アハハ。
「そ、そんなことありません!! 私がセルディ殿下と一緒にいて嫌だったことなど一度もありませんわ!! むしろいつも傍にいたいです!!」
そこまで言ってハッとした顔になったアイリーンはこの後使い物になりませんでした。
いつもそうやって素直な気持ちを伝えたら良いのにねぇ。
ちなみに私のニヤニヤも抑えきれませんでした……アハ。
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