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第10話 秘密のバラ園!
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魔法の授業についてはなんだか教師の視線が熱いのだが、とりあえず今のところは特になにかを言われるわけでもなく、様子見されているような感じだった。
ハリ○タのような杖を持ったりするわけでもなく、自身で制御するのよね。ルシアの記憶があったため、苦労することなく魔法は使えるのだが、なんせ教師に悟られないように制御するのがそれなりに大変だった。
目一杯の力で魔力を出力すると、かなり威力の高いものが出来上がってしまう。だから力を抑えながら、それでいて大変そうな顔をしながら……ふふ、私の演技力を見たか! なんでも全力で仕事をしていた私にはこの我慢が一番辛かったんだけどね。
ロナルドは同じ学年で同じクラスのため色々気を遣ってくれるのだが、なんせ他の女生徒たちからの視線が痛いから、出来る限り自然にフェイドアウトしている。
ロナルドに気付かれないように、授業が終われば速攻で気配を消す! 忍者か! というくらい素早くその場を離れ、周りの様子を伺いながら移動していく。ルシアはいないわよ~、と、静かに存在を消していく。フフフ、これぞお局と呼ばれた私がお喋りしている子たちに気配なく近寄り注意をしていた技! いや、自慢にはならないか……。
そうやってそそくさと壁に貼り付きながら移動していく。今日はアイリーンとランチを共にしようとお誘いを受けているのだ。攻略対象たちに見付からないようにアイリーンと出逢うのが本日のミッション!
キョロキョロと辺りを見回しながら進むうちに、遠目に人だかりが見えた。あれはきっと生徒会四人組のうちの誰かだろう。よし、そこは避けて通るぞ。
その人だかりを避けようとすると、なんだか裏手のほうにまわるはめに。道なき道を行く! うぅん、なんでこんなところを進まなきゃいけないのよ。植木の間を通り抜け、ガサガサと掻き分けて進む。
そうやって進むうちになにやらひらけた場所に出て来た。
「こんなところでなにをしている」
ぎくぅ!! この声は……。
振り向くとラドルフがいた。
なんでこんなところに!! せっかく人だかりを避けて来たのにー!!
「ラ、ラドルフ様……ごきげんよう」
若干顔を引き攣らせながら、なんとか笑顔で挨拶をする。
「ここでなにをしている? ここは王族専用スペースだ」
「え!? そ、そうなんですか!?」
ギロリと睨まれたじろぐ。
キョロキョロと周りを見回すと、もう少し歩いた場所にはなにやら門らしきものが……。
「あ!!」
「なんだ?」
「あ、いえ、なんでも……」
ここって……ここってまさか! 王族専用スペースってことはあれよね……。
あの王族の庭、『秘密のバラ園』。
学園のなかで唯一王族だけが入ることの許される憩いの場。
学園に通う王族も身分は関係なく過ごすのだが、やはりそこは王族。いつでも王族らしさを求められるため気が休まらない。
そのためこのバラ園が王族専用としてゆっくり休める場として設けられたそうだ。
そこでセルディ殿下はルシアにだけ弱い姿も見せるのだ。
それはそれで普段キリッと素晴らしい王子の姿しか見せないセルディ殿下のギャップ萌えなのよねぇ。
ここはそんな弱い姿をもルシアに見せ、そして……そして! セルディ殿下がルシアと愛を誓い合う場所!!
えぇぇえ!! 不吉な!! なんでそんなところに迷い込むのよ!! ひぃぃい!!
「で、なぜここにいるのかを聞いている」
ラドルフがこちらに近付き聞いてくる。こ、怖い。睨まれてるぅ! わざとじゃないのに!!
「いえ、ちょっと道に迷っただけで……」
しどろもどろになりそうなのをなんとか抑え、はっきりと言い切れたはず!
さらに詰め寄られ思わず後退る。ラドルフの手が伸び、私の髪を触った。ひぃぃい!! イケメンがぁ!!
「セルディ殿下に会いに来たのではないのか?」
「は? え、いや、そんなわけないです! ここがどこかも分かってなかったですし!」
髪を触りながら指が少し頬を撫でる。温かい指が頬に触れるとドクンと心臓が跳ねた。いやぁぁあ!! ちょっとやめてー!! 好き嫌いの問題ではなくイケメンの殺傷能力の高さよ!! 顔面兵器か!! 間近で見る肌艶よ!! 艶々スベスベねぇ……じゃなく!!
まともに顔を見ることが出来ず俯くと、ラドルフの手が私の髪から離れた。
恐る恐る顔を上げ、チラリとラドルフを見るとその手元には一枚の葉っぱが……。
葉っぱか!! 葉っぱを取ってくれたのか!! なんてベタな!! いや、そんなベタなシチュエーションにドキドキしてしまったのは私だけど!! 恥ずかしいじゃないのよ!! 喪女には辛いぃ。
「今なら一人でお過ごしになられているから、用があるなら特別に許可する」
「え、いえ、大丈夫です!」
なんでそんなに会わせようとするのよ! いらないって言ってるじゃない!
「すみません、私、急いでいますので失礼しますね」
そう言葉にし、お辞儀をしてさあこの場から離れるぞ! と、踵を返すと真後ろにセルディ殿下がぁぁ……なんでやねん……ぐふぅ。
ハリ○タのような杖を持ったりするわけでもなく、自身で制御するのよね。ルシアの記憶があったため、苦労することなく魔法は使えるのだが、なんせ教師に悟られないように制御するのがそれなりに大変だった。
目一杯の力で魔力を出力すると、かなり威力の高いものが出来上がってしまう。だから力を抑えながら、それでいて大変そうな顔をしながら……ふふ、私の演技力を見たか! なんでも全力で仕事をしていた私にはこの我慢が一番辛かったんだけどね。
ロナルドは同じ学年で同じクラスのため色々気を遣ってくれるのだが、なんせ他の女生徒たちからの視線が痛いから、出来る限り自然にフェイドアウトしている。
ロナルドに気付かれないように、授業が終われば速攻で気配を消す! 忍者か! というくらい素早くその場を離れ、周りの様子を伺いながら移動していく。ルシアはいないわよ~、と、静かに存在を消していく。フフフ、これぞお局と呼ばれた私がお喋りしている子たちに気配なく近寄り注意をしていた技! いや、自慢にはならないか……。
そうやってそそくさと壁に貼り付きながら移動していく。今日はアイリーンとランチを共にしようとお誘いを受けているのだ。攻略対象たちに見付からないようにアイリーンと出逢うのが本日のミッション!
キョロキョロと辺りを見回しながら進むうちに、遠目に人だかりが見えた。あれはきっと生徒会四人組のうちの誰かだろう。よし、そこは避けて通るぞ。
その人だかりを避けようとすると、なんだか裏手のほうにまわるはめに。道なき道を行く! うぅん、なんでこんなところを進まなきゃいけないのよ。植木の間を通り抜け、ガサガサと掻き分けて進む。
そうやって進むうちになにやらひらけた場所に出て来た。
「こんなところでなにをしている」
ぎくぅ!! この声は……。
振り向くとラドルフがいた。
なんでこんなところに!! せっかく人だかりを避けて来たのにー!!
「ラ、ラドルフ様……ごきげんよう」
若干顔を引き攣らせながら、なんとか笑顔で挨拶をする。
「ここでなにをしている? ここは王族専用スペースだ」
「え!? そ、そうなんですか!?」
ギロリと睨まれたじろぐ。
キョロキョロと周りを見回すと、もう少し歩いた場所にはなにやら門らしきものが……。
「あ!!」
「なんだ?」
「あ、いえ、なんでも……」
ここって……ここってまさか! 王族専用スペースってことはあれよね……。
あの王族の庭、『秘密のバラ園』。
学園のなかで唯一王族だけが入ることの許される憩いの場。
学園に通う王族も身分は関係なく過ごすのだが、やはりそこは王族。いつでも王族らしさを求められるため気が休まらない。
そのためこのバラ園が王族専用としてゆっくり休める場として設けられたそうだ。
そこでセルディ殿下はルシアにだけ弱い姿も見せるのだ。
それはそれで普段キリッと素晴らしい王子の姿しか見せないセルディ殿下のギャップ萌えなのよねぇ。
ここはそんな弱い姿をもルシアに見せ、そして……そして! セルディ殿下がルシアと愛を誓い合う場所!!
えぇぇえ!! 不吉な!! なんでそんなところに迷い込むのよ!! ひぃぃい!!
「で、なぜここにいるのかを聞いている」
ラドルフがこちらに近付き聞いてくる。こ、怖い。睨まれてるぅ! わざとじゃないのに!!
「いえ、ちょっと道に迷っただけで……」
しどろもどろになりそうなのをなんとか抑え、はっきりと言い切れたはず!
さらに詰め寄られ思わず後退る。ラドルフの手が伸び、私の髪を触った。ひぃぃい!! イケメンがぁ!!
「セルディ殿下に会いに来たのではないのか?」
「は? え、いや、そんなわけないです! ここがどこかも分かってなかったですし!」
髪を触りながら指が少し頬を撫でる。温かい指が頬に触れるとドクンと心臓が跳ねた。いやぁぁあ!! ちょっとやめてー!! 好き嫌いの問題ではなくイケメンの殺傷能力の高さよ!! 顔面兵器か!! 間近で見る肌艶よ!! 艶々スベスベねぇ……じゃなく!!
まともに顔を見ることが出来ず俯くと、ラドルフの手が私の髪から離れた。
恐る恐る顔を上げ、チラリとラドルフを見るとその手元には一枚の葉っぱが……。
葉っぱか!! 葉っぱを取ってくれたのか!! なんてベタな!! いや、そんなベタなシチュエーションにドキドキしてしまったのは私だけど!! 恥ずかしいじゃないのよ!! 喪女には辛いぃ。
「今なら一人でお過ごしになられているから、用があるなら特別に許可する」
「え、いえ、大丈夫です!」
なんでそんなに会わせようとするのよ! いらないって言ってるじゃない!
「すみません、私、急いでいますので失礼しますね」
そう言葉にし、お辞儀をしてさあこの場から離れるぞ! と、踵を返すと真後ろにセルディ殿下がぁぁ……なんでやねん……ぐふぅ。
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