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第4話 攻略対象4人組!
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そういえば攻略対象たちはみんな生徒会メンバーだったわね。イケメン揃いの生徒会って……。ま、乙女ゲームだから当然か。イケメンじゃないと人気出ないもんね。
セルディ殿下と共に生徒会メンバーの攻略対象たち。
赤髪、赤い瞳のワンコキャライケメン、ロナルド・シクラメン侯爵令息、十六歳。
黒髪、黒い瞳のクール系イケメン、ラドルフ・カナン公爵令息、十八歳。
紺色髪、水色の瞳のヤンデレ系イケメン、アイザック・フューマイタス伯爵令息、十七歳。
ラドルフとセルディ殿下は同い年で幼馴染だったわね。学園を卒業後は確か、ラドルフがセルディ殿下の側近になっていたはず。
この学園は三年で卒業を迎える。だから主人公が入学し、一年後にアイリーンが断罪され婚約破棄されるパーティ、それがセルディ殿下たちの卒業パーティ。それまでになんとか断罪にはならないよう、極力アイリーンとさらに、攻略対象たちとは関わらないようにしないと……。
そう決意を固め、攻略対象たちとなるべく出逢わないように必死に出逢いを避けまくり、なんとか一週間が過ぎようとしていた。
実際は一週間も経たずに攻略対象たちと出逢うのよね……なんつー簡単な出逢い……。各々たまたまヒロインが遅刻しそうなときにぶつかった、とか、アイリーンに注意されているときに出くわした、とか、先生に荷物を運ぶよう頼まれたものを手伝ってくれた、とか……なんというか……ベッタベタな出逢いですよね……。
だからか避けようと意識すると簡単に回避は出来た。特に男性たちと触れ合ったり話しかけたりもしなかったため、アイリーンから注意されることもなく、平和な一週間を過ごすことが出来た。
しかしそこはやはりゲーム補正なのか! せっかく出逢いイベントを回避しまくったというのに結局出逢うはめにー!! なんでよ!
さらに一週間ほどが過ぎたころ、生徒会室に呼び出されたのだ。
うぉぉい!! せっかく頑張ってたのが水の泡!! 全員一気に出逢っちゃってるじゃないのよ!!
「ルシア嬢、急に呼び出してすまない」
セルディ殿下が出迎え、応接椅子に座るように促す。部屋には攻略対象の四人が勢揃い……ぐふぅ。イケメンに囲まれ嬉しいやら緊張するやらオーラが半端ないわ。
「ごめんねー、俺、ロナルド。よろしくね」
「私はラドルフだ」
「僕はアイザック、よろしく」
「ルシア・ローズです。よろしくお願い致します……あの、それでどういったご用件で?」
イケメン四人に睨まれたり、ニコニコ見詰められたり、ニヤッと舐めるように眺められたり……ぞわっ。
いやまあ大体の理由は分かってるんですけどね……。
「ルシア嬢、貴女は魔法成績がとても高いらしいね」
「…………そう、なんですかね?」
知らぬ存ぜぬで通そう。
そう、『ラベルシアの乙女』のヒロイン、ルシアは聖女と呼べるほどの魔力を持つ少女だったのよ。あらゆる魔法を使いこなし、国でほとんど誰も使うことが出来ない聖魔法ですら操る。そんなヒロインはそれだけでも注目の的だった。
しかし、今私にとったらそんなもの邪魔でしかない! ごく普通の人ですよ~と、しらーっとしていたのに、なぜかバレてる!
「教師が君の魔力がとてつもないのでは、と話していた。なにやら力があるのに隠しているようだ、と」
教師―!! 余計なこと言ってくれちゃって!!
「そ、それはその……」
「なぜ隠す?」
ラドルフが目の前に立ち、私の顎を掴むとくいっと上に向けた。そして顔を近付けると真っ直ぐに目を合わせ見詰める。
ひいぃぃぃぃいいい、イケメンのドアップ!! ラドルフの黒い瞳に自分の姿が映る。
「あ、あ、あの! 離してください! 女性の顔を気安く触るなんて失礼ではないですか!」
ふいっと横を向き、顎に添えられた手を払い除ける。うん、間違ったことは言っていないはず!
シーンとした空気が疑問になり、恐る恐る顔を戻すと、驚いた顔のラドルフがいた。
「ブフッ。ラドルフが今まで見たことない顔になってる!」
ロナルドは声を上げて笑い出した。えぇ、そんなに笑うこと? そんな変なことしたかしら?
「フッ。面白い女だな」
今度はニヤッとしたアイザックが近寄って来る。ひぃい、やめて! アイザックは違う意味で怖い!
「ちょ、ちょっと! 近付かないでください! 貴方の顔は怖いです!」
「は!?」
近寄ろうとしていたアイザックは固まった。
「ブフッ、アッハッハッ!! アイザックまで!!」
ロナルドが大笑い。
「はぁぁあ!? なんで僕が怖い顔なんだよ! ラドルフなら分かるがなんで僕が!」
「おい、私が怖い顔とはなんだ」
「いや、怖いだろ。お前、いつも睨んでんじゃん」
「睨んでなどいない」
「睨んでるっつーの」
「まあまあ」
ラドルフとアイザックがやいやい言い合っているのをロナルドが間に入って止めている。
「フフ」
それがなんだか男子高校生のやり取りのように見えて可愛くて微笑ましく、つい笑ってしまった。
「おい、笑うな。僕の顔のどこが怖いんだよ」
「だって、なにか企んでそうな怪しい顔付きなんですもの」
「アハハハ!! アイザック、バレてるよ!」
「うるさい」
フフ、アイザックが拗ねたわ。ラドルフもなんだか少し楽しそうな顔だし、珍しい顔を見られたわね。うーん、でも四人に魔力がバレるのはもう少し先だったはずなんだけどな……。
セルディ殿下と共に生徒会メンバーの攻略対象たち。
赤髪、赤い瞳のワンコキャライケメン、ロナルド・シクラメン侯爵令息、十六歳。
黒髪、黒い瞳のクール系イケメン、ラドルフ・カナン公爵令息、十八歳。
紺色髪、水色の瞳のヤンデレ系イケメン、アイザック・フューマイタス伯爵令息、十七歳。
ラドルフとセルディ殿下は同い年で幼馴染だったわね。学園を卒業後は確か、ラドルフがセルディ殿下の側近になっていたはず。
この学園は三年で卒業を迎える。だから主人公が入学し、一年後にアイリーンが断罪され婚約破棄されるパーティ、それがセルディ殿下たちの卒業パーティ。それまでになんとか断罪にはならないよう、極力アイリーンとさらに、攻略対象たちとは関わらないようにしないと……。
そう決意を固め、攻略対象たちとなるべく出逢わないように必死に出逢いを避けまくり、なんとか一週間が過ぎようとしていた。
実際は一週間も経たずに攻略対象たちと出逢うのよね……なんつー簡単な出逢い……。各々たまたまヒロインが遅刻しそうなときにぶつかった、とか、アイリーンに注意されているときに出くわした、とか、先生に荷物を運ぶよう頼まれたものを手伝ってくれた、とか……なんというか……ベッタベタな出逢いですよね……。
だからか避けようと意識すると簡単に回避は出来た。特に男性たちと触れ合ったり話しかけたりもしなかったため、アイリーンから注意されることもなく、平和な一週間を過ごすことが出来た。
しかしそこはやはりゲーム補正なのか! せっかく出逢いイベントを回避しまくったというのに結局出逢うはめにー!! なんでよ!
さらに一週間ほどが過ぎたころ、生徒会室に呼び出されたのだ。
うぉぉい!! せっかく頑張ってたのが水の泡!! 全員一気に出逢っちゃってるじゃないのよ!!
「ルシア嬢、急に呼び出してすまない」
セルディ殿下が出迎え、応接椅子に座るように促す。部屋には攻略対象の四人が勢揃い……ぐふぅ。イケメンに囲まれ嬉しいやら緊張するやらオーラが半端ないわ。
「ごめんねー、俺、ロナルド。よろしくね」
「私はラドルフだ」
「僕はアイザック、よろしく」
「ルシア・ローズです。よろしくお願い致します……あの、それでどういったご用件で?」
イケメン四人に睨まれたり、ニコニコ見詰められたり、ニヤッと舐めるように眺められたり……ぞわっ。
いやまあ大体の理由は分かってるんですけどね……。
「ルシア嬢、貴女は魔法成績がとても高いらしいね」
「…………そう、なんですかね?」
知らぬ存ぜぬで通そう。
そう、『ラベルシアの乙女』のヒロイン、ルシアは聖女と呼べるほどの魔力を持つ少女だったのよ。あらゆる魔法を使いこなし、国でほとんど誰も使うことが出来ない聖魔法ですら操る。そんなヒロインはそれだけでも注目の的だった。
しかし、今私にとったらそんなもの邪魔でしかない! ごく普通の人ですよ~と、しらーっとしていたのに、なぜかバレてる!
「教師が君の魔力がとてつもないのでは、と話していた。なにやら力があるのに隠しているようだ、と」
教師―!! 余計なこと言ってくれちゃって!!
「そ、それはその……」
「なぜ隠す?」
ラドルフが目の前に立ち、私の顎を掴むとくいっと上に向けた。そして顔を近付けると真っ直ぐに目を合わせ見詰める。
ひいぃぃぃぃいいい、イケメンのドアップ!! ラドルフの黒い瞳に自分の姿が映る。
「あ、あ、あの! 離してください! 女性の顔を気安く触るなんて失礼ではないですか!」
ふいっと横を向き、顎に添えられた手を払い除ける。うん、間違ったことは言っていないはず!
シーンとした空気が疑問になり、恐る恐る顔を戻すと、驚いた顔のラドルフがいた。
「ブフッ。ラドルフが今まで見たことない顔になってる!」
ロナルドは声を上げて笑い出した。えぇ、そんなに笑うこと? そんな変なことしたかしら?
「フッ。面白い女だな」
今度はニヤッとしたアイザックが近寄って来る。ひぃい、やめて! アイザックは違う意味で怖い!
「ちょ、ちょっと! 近付かないでください! 貴方の顔は怖いです!」
「は!?」
近寄ろうとしていたアイザックは固まった。
「ブフッ、アッハッハッ!! アイザックまで!!」
ロナルドが大笑い。
「はぁぁあ!? なんで僕が怖い顔なんだよ! ラドルフなら分かるがなんで僕が!」
「おい、私が怖い顔とはなんだ」
「いや、怖いだろ。お前、いつも睨んでんじゃん」
「睨んでなどいない」
「睨んでるっつーの」
「まあまあ」
ラドルフとアイザックがやいやい言い合っているのをロナルドが間に入って止めている。
「フフ」
それがなんだか男子高校生のやり取りのように見えて可愛くて微笑ましく、つい笑ってしまった。
「おい、笑うな。僕の顔のどこが怖いんだよ」
「だって、なにか企んでそうな怪しい顔付きなんですもの」
「アハハハ!! アイザック、バレてるよ!」
「うるさい」
フフ、アイザックが拗ねたわ。ラドルフもなんだか少し楽しそうな顔だし、珍しい顔を見られたわね。うーん、でも四人に魔力がバレるのはもう少し先だったはずなんだけどな……。
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