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第3話 早速主要キャラ登場!
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「アイリーン……」
アイリーン!? アイリーンってあのヒロインをいじめまくるセルディ殿下の婚約者の!?
アイリーンと呼ばれた女性は学園の制服を身に着けてはいるが、明らかに貴族のオーラが凄いわね……。ブロンドの波打つ長い髪を靡かせ、綺麗な紫色の瞳。アイリーン・ボルデン公爵令嬢。所謂、悪役令嬢ポジションのご令嬢。
ヒロインは……今は私なんだけど、セルディ殿下と親しくなるヒロインを目の敵にし、ことごとくいじめまくる。そしてそれがセルディ殿下にバレて断罪され、一年後のパーティで婚約破棄されるのよね……。
ジロリとアイリーンに睨まれる。うぅん、すでに敵認定かしら……。でも……なんというか……。
「アイリーン、遅れてすまないが、こちらにいるルシア嬢は新入生でね。私がぶつかって怪我をさせてしまったのだよ。それを介抱していたら遅れてしまった。学園長には私から説明するよ」
「そうでしたの。それは大変でしたわね。ですが、殿下は入学式で生徒会長としての挨拶があるはずです。急いでお戻りくださいませ」
「あぁ、そうだね。ルシア嬢、すまないがこれで失礼するよ」
「あ、はい。案内いただきありがとうございました」
セルディ殿下が会場内に消えて行くと、アイリーンは私に近付き一睨み。うぅん。
「私はセルディ殿下の婚約者。アイリーン・ボルデンですわ。ここからは私がご案内致します。付いていらっしゃい」
「え、あ、はい、ありがとうございます」
まさか案内してくれるとは。ここってアイリーンが案内してくれる予定だったっけ?
「貴女、ローズ侯爵家の方ね?」
「はい」
「セルディ殿下は誰にでも気さくに接しておられますし、学園の方針も身分関係なく共に過ごすことです。ですが……」
アイリーンの隣を歩きながら顔を見る。背筋もしっかりと伸ばし、優雅に歩く姿は、やはり公爵令嬢らしく凛とした姿だった。
「ですが、やはり殿下はいずれこの国の王となられる方。殿下がいくら気さくに話しかけてくださったとしても、第一王子殿下だということは忘れてはいけません」
「はい……」
会場内、新入生の列まで案内してくれるとアイリーンは去って行った。
悪役令嬢アイリーン。うーん。睨まれたわね。しっかりと。おそらく敵認定されたのよね。うーん、でもなぁ、なんというか……全く怖くない。
これって私の中身がアラサーだから? え、おばさんだからとか言わないでー!! ち、違うわよ! ま、まあ、十六のルシアにしたら怖いかもね……でも人生それなりに経験して社会人をやっていた記憶のある私にしたら、アイリーンもたった十七の可愛い女の子なのよねぇ。
セルディ殿下のことが好きで好きでたまらなくて、その大好きな人を取られないように必死だったのよね……くぅ、可愛いじゃない!
ゲームをやっているときはいじめられまくって嫌な気持ちにもなったけど、よく考えると……あれっていじめじゃないわよね。
ヒロインは四人のイケメンに好かれるけど、それってさぁ、よく考えたら酷い話よね……。何人もの男をはべらせて、どの男にしようか選びつつ、婚約者がいようがお構いなしに攻略していく……うぐっ、ビッチじゃないのよ……。
それを悪役令嬢アイリーンが注意していくんだけど……そう、注意なのよ。主人公目線だといじめられているような気がしてたけど、よくよく考えたらあれって正論じゃないのよ。
婚約者のいる殿方に馴れ馴れしくしてはいけません。ダンスも二度は踊ってはいけません。殿方と二人きりになってはいけません……などなど、他にも色々と。
侯爵令嬢なのに天真爛漫なヒロインなのよね……、貴族として社交界の掟とか勉強しているはずなんだけどね……。
うん、普通! アイリーンの言葉は普通に注意されるべきことよね! それなのに断罪とか駄目よ! 婚約破棄なんてとんでもない!!
うん、前世の記憶がある私なのだから、回避出来るんじゃないかしら? そうよね、私は四人の攻略対象たちよりもイケオジ、シュリフス殿下とお近付きになりたいんだし、それならセルディ殿下を大好きなアイリーンもきっと私と関わることなく婚約破棄もされないはず!
よし! 私は徹底的に攻略対象を避けよう! 出逢わないように出逢いイベントを回避したらきっと上手く行くはず! セルディ殿下とは出逢っちゃったけど……他のイケメンたちも顔だけは見てみたいけど……うぅん! 駄目よ! アイリーンのためよ! 彼女は何も悪いことしてないんだから好きな人と結婚させてあげないと!
そう意気込んでいると会場内壇上にセルディ殿下が現れ、新入生に向けてお祝いの言葉を述べていた。
言葉を述べている最中にふと目線があった気がすると、ニコリと微笑まれたような……。周りでは女生徒たちが「きゃ」と頬を赤らめソワソワとし出す。う、うん、きっと私にじゃないはず!! な、なんだか刺さるような視線を感じる気がしたけど、きっと気のせいよね……うん。
セルディ殿下から目線を逸らし、周りを眺めると壇上の端のほうにイケメンたちが並んで立っていた。
あれは!! 攻略対象のイケメンたちじゃないの!!
さらには会場内、先生たちが並ぶところにはシュリフス殿下らしき方が!!
遠目にしか見えないのが悔やまれるぅ!!
そうか、入学式イベントはゲーム内ではあっさりと終わってしまっていたから、会場内に攻略対象全員とさらにはシュリフス殿下がいたなんて知らなかった。
アイリーン!? アイリーンってあのヒロインをいじめまくるセルディ殿下の婚約者の!?
アイリーンと呼ばれた女性は学園の制服を身に着けてはいるが、明らかに貴族のオーラが凄いわね……。ブロンドの波打つ長い髪を靡かせ、綺麗な紫色の瞳。アイリーン・ボルデン公爵令嬢。所謂、悪役令嬢ポジションのご令嬢。
ヒロインは……今は私なんだけど、セルディ殿下と親しくなるヒロインを目の敵にし、ことごとくいじめまくる。そしてそれがセルディ殿下にバレて断罪され、一年後のパーティで婚約破棄されるのよね……。
ジロリとアイリーンに睨まれる。うぅん、すでに敵認定かしら……。でも……なんというか……。
「アイリーン、遅れてすまないが、こちらにいるルシア嬢は新入生でね。私がぶつかって怪我をさせてしまったのだよ。それを介抱していたら遅れてしまった。学園長には私から説明するよ」
「そうでしたの。それは大変でしたわね。ですが、殿下は入学式で生徒会長としての挨拶があるはずです。急いでお戻りくださいませ」
「あぁ、そうだね。ルシア嬢、すまないがこれで失礼するよ」
「あ、はい。案内いただきありがとうございました」
セルディ殿下が会場内に消えて行くと、アイリーンは私に近付き一睨み。うぅん。
「私はセルディ殿下の婚約者。アイリーン・ボルデンですわ。ここからは私がご案内致します。付いていらっしゃい」
「え、あ、はい、ありがとうございます」
まさか案内してくれるとは。ここってアイリーンが案内してくれる予定だったっけ?
「貴女、ローズ侯爵家の方ね?」
「はい」
「セルディ殿下は誰にでも気さくに接しておられますし、学園の方針も身分関係なく共に過ごすことです。ですが……」
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「ですが、やはり殿下はいずれこの国の王となられる方。殿下がいくら気さくに話しかけてくださったとしても、第一王子殿下だということは忘れてはいけません」
「はい……」
会場内、新入生の列まで案内してくれるとアイリーンは去って行った。
悪役令嬢アイリーン。うーん。睨まれたわね。しっかりと。おそらく敵認定されたのよね。うーん、でもなぁ、なんというか……全く怖くない。
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それを悪役令嬢アイリーンが注意していくんだけど……そう、注意なのよ。主人公目線だといじめられているような気がしてたけど、よくよく考えたらあれって正論じゃないのよ。
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うん、普通! アイリーンの言葉は普通に注意されるべきことよね! それなのに断罪とか駄目よ! 婚約破棄なんてとんでもない!!
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そう意気込んでいると会場内壇上にセルディ殿下が現れ、新入生に向けてお祝いの言葉を述べていた。
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セルディ殿下から目線を逸らし、周りを眺めると壇上の端のほうにイケメンたちが並んで立っていた。
あれは!! 攻略対象のイケメンたちじゃないの!!
さらには会場内、先生たちが並ぶところにはシュリフス殿下らしき方が!!
遠目にしか見えないのが悔やまれるぅ!!
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