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最終章 唯一無二
第百五十一話 アルギュロスの力
しおりを挟む「ようこそ、私の部屋へ」
シルヴィウスが不気味な笑みを浮かべる。ニヤリと開かれた口。精気を伴わない瞳。ぞわりと鳥肌が立つ。気持ち悪い。シルヴィウスの存在が恐ろしい。あれはもう……人間とは呼べない……。
「君たちは運が良い。歴史的瞬間に居合わせ、しかもこの奇跡の魔石が誕生するための礎となれるんだ、喜べ!!」
俺たちは魔石の前に突き出された。腕に力を込めるがやはり身動きが取れない。魔力を掌に込めるが発動もしない。このままでは俺たちも魔石に取り込まれてしまう!!
「さあ、魔石よ! 目の前にある精気を取り込め!! そしてその存在を完成させろ!!」
シルヴィウスは一歩後ろに下がる。兵たちも扉の近くまで下がり、部屋の中心には俺たちと魔石だけが残された。
部屋の床に描かれていたらしい魔法陣が光り出す。黒く光る魔法陣から檻のように黒い光の柱が出現する。
急激に命が吸い取られているような感覚が襲う!
「ぐはっ!」
ヴィリーとロドルガさんが苦しみだし跪いた。
背後では巻き込まれた兵たちが次々に倒れていく。それに気付いた兵たちは恐ろしくなり悲鳴を上げて逃げ出していく。
「うぐっ」
ヒューイも苦痛の表情。俺自身も立っていられなくなりそうだ。激しい脱力感。吐きそうなほどの不快感。手足から力が抜けていく。確実に死に向かっているのが分かった。
なんとか……なんとかしないと!!
どうする!! どうしたらいい!! 魔力も身体も封じられている。身動きが取れない。どうしたら…………
脚から力が抜け跪いてしまう。蹲り必死に考える。
「フハハハハハ!!!! もうすぐだ!! もうすぐ完成するぞ!! これでドラヴァルアどころかこの世界を全て手に入れてやる!!」
くそっ! どうしたらいい!!
『名を呼べ!!』
「!?」
頭のなかで声が響いた。それは精霊王の声!! そうだ、精霊王の力を借りればなんとかなるかもしれない!!
そう思った瞬間、声を張り上げた!!
「アルギュロス!!!!」
叫んだ瞬間、目の前に風が起こる。竜巻のように激しく風を渦巻きながら現れたのは、紛れもなくアルギュロスの姿。
長い銀髪を靡かせ、俺の目の前に立つ。
「!?」
シルヴィウスは突然現れたアルギュロスに驚愕の顔。なにが起こったのか理解出来ていないようだ。
『呼ぶのが遅いわ』
「あ、ハハ、すみません」
アルギュロスは俺の腕を掴み立ち上がらせた。アルギュロスに掴まれた腕は、拘束がなかったように自由に動いた。掴まれた腕からアルギュロスの力が流れ込むのが分かった。
「魔力が発動出来る!?」
アルギュロスの力と反応するように、俺の身体のなかの魔力が動き出したのが分かった。掌に意識を集中すると魔力が集まるのが分かる。
『魔力封じの魔導具は私の力とは関係がない。私の力がお前に混ざり合うことで魔導具の干渉を失くしたのだろう』
「!!」
これで魔法が発動出来る!!
「アルギュロス! 力を貸してくれ!!」
いまだ足元で蹲るヒューイたち。彼らのためにも早くしないと!!
アルギュロスは俺の肩に手を置いた。そして力を込めたかと思うと、俺の身体に一気に力が流れ込んでくるのが分かった。急激な精霊の力。俺の身体が内側から破裂してしまいそうだ!早く外へ出たいと魔力が身体のなかで暴走する!
暴走させちゃ駄目だ! 力を制御しないと。意識を集中し自分の魔力とアルギュロスの力を融合させていく。身体に負担が大きいのか、鼓動が耳に煩く響く。
大丈夫だ。やれる!! 俺は大丈夫だ!!
「おのれ!! なにをするつもりだ!!」
シルヴィウスは一歩踏み出したかと思うと、魔石に触れた!!
「!!」
魔石は触れられたことをきっかけに爆発的に黒い禍々しい光を放出した!!
「ぐわぁぁぁあああ!!!!」
シルヴィウスが雄叫びを上げる!!
黒い光が激しい風圧と共に地下のこの部屋を吹き飛ばした!!!!
「みんな!!!!」
俺は皆の前に立ち、アルギュロスの力と共に魔力を放出させた!!
黒い炎が俺たちの前に壁となる!!!!
耐えろ!! ここで死ぬわけにはいかない!!!!
シルヴィウスが不気味な笑みを浮かべる。ニヤリと開かれた口。精気を伴わない瞳。ぞわりと鳥肌が立つ。気持ち悪い。シルヴィウスの存在が恐ろしい。あれはもう……人間とは呼べない……。
「君たちは運が良い。歴史的瞬間に居合わせ、しかもこの奇跡の魔石が誕生するための礎となれるんだ、喜べ!!」
俺たちは魔石の前に突き出された。腕に力を込めるがやはり身動きが取れない。魔力を掌に込めるが発動もしない。このままでは俺たちも魔石に取り込まれてしまう!!
「さあ、魔石よ! 目の前にある精気を取り込め!! そしてその存在を完成させろ!!」
シルヴィウスは一歩後ろに下がる。兵たちも扉の近くまで下がり、部屋の中心には俺たちと魔石だけが残された。
部屋の床に描かれていたらしい魔法陣が光り出す。黒く光る魔法陣から檻のように黒い光の柱が出現する。
急激に命が吸い取られているような感覚が襲う!
「ぐはっ!」
ヴィリーとロドルガさんが苦しみだし跪いた。
背後では巻き込まれた兵たちが次々に倒れていく。それに気付いた兵たちは恐ろしくなり悲鳴を上げて逃げ出していく。
「うぐっ」
ヒューイも苦痛の表情。俺自身も立っていられなくなりそうだ。激しい脱力感。吐きそうなほどの不快感。手足から力が抜けていく。確実に死に向かっているのが分かった。
なんとか……なんとかしないと!!
どうする!! どうしたらいい!! 魔力も身体も封じられている。身動きが取れない。どうしたら…………
脚から力が抜け跪いてしまう。蹲り必死に考える。
「フハハハハハ!!!! もうすぐだ!! もうすぐ完成するぞ!! これでドラヴァルアどころかこの世界を全て手に入れてやる!!」
くそっ! どうしたらいい!!
『名を呼べ!!』
「!?」
頭のなかで声が響いた。それは精霊王の声!! そうだ、精霊王の力を借りればなんとかなるかもしれない!!
そう思った瞬間、声を張り上げた!!
「アルギュロス!!!!」
叫んだ瞬間、目の前に風が起こる。竜巻のように激しく風を渦巻きながら現れたのは、紛れもなくアルギュロスの姿。
長い銀髪を靡かせ、俺の目の前に立つ。
「!?」
シルヴィウスは突然現れたアルギュロスに驚愕の顔。なにが起こったのか理解出来ていないようだ。
『呼ぶのが遅いわ』
「あ、ハハ、すみません」
アルギュロスは俺の腕を掴み立ち上がらせた。アルギュロスに掴まれた腕は、拘束がなかったように自由に動いた。掴まれた腕からアルギュロスの力が流れ込むのが分かった。
「魔力が発動出来る!?」
アルギュロスの力と反応するように、俺の身体のなかの魔力が動き出したのが分かった。掌に意識を集中すると魔力が集まるのが分かる。
『魔力封じの魔導具は私の力とは関係がない。私の力がお前に混ざり合うことで魔導具の干渉を失くしたのだろう』
「!!」
これで魔法が発動出来る!!
「アルギュロス! 力を貸してくれ!!」
いまだ足元で蹲るヒューイたち。彼らのためにも早くしないと!!
アルギュロスは俺の肩に手を置いた。そして力を込めたかと思うと、俺の身体に一気に力が流れ込んでくるのが分かった。急激な精霊の力。俺の身体が内側から破裂してしまいそうだ!早く外へ出たいと魔力が身体のなかで暴走する!
暴走させちゃ駄目だ! 力を制御しないと。意識を集中し自分の魔力とアルギュロスの力を融合させていく。身体に負担が大きいのか、鼓動が耳に煩く響く。
大丈夫だ。やれる!! 俺は大丈夫だ!!
「おのれ!! なにをするつもりだ!!」
シルヴィウスは一歩踏み出したかと思うと、魔石に触れた!!
「!!」
魔石は触れられたことをきっかけに爆発的に黒い禍々しい光を放出した!!
「ぐわぁぁぁあああ!!!!」
シルヴィウスが雄叫びを上げる!!
黒い光が激しい風圧と共に地下のこの部屋を吹き飛ばした!!!!
「みんな!!!!」
俺は皆の前に立ち、アルギュロスの力と共に魔力を放出させた!!
黒い炎が俺たちの前に壁となる!!!!
耐えろ!! ここで死ぬわけにはいかない!!!!
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