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最終章 唯一無二
第百三十六話 二度目の竜人化試験
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「向かって左側の魔法陣にヒューイ、右側の魔法陣にリュシュだ」
ログウェルさんの言葉にギクリと身体が震える。
あのときと同じ…………。心臓の音が耳に響く。あぁ、怖い……どうしても、やはり怖い……。
「リュシュ、頑張って!!」
背後には皆がいる。
『リュシュ、またあの魔法陣やるのね~』
『光り出すやつね~』
精霊たちも俺から離れ、ふよふよと浮いている。
そうか、あのときもこいつらはいたんだな。俺が見えなかっただけで、あのときのことを知っているのか……。
一歩を踏み出す。脚が震える。
ヒューイはあのときのキーアと同じように大きく羽ばたき、空へと舞い上がったかと思うと、魔法陣の真ん中に降りた。そしてこちらを向く。
『リュシュ!! 俺だけを見ろ!! 俺だけを感じろ!! それ以外は、今だけ全て忘れろ!!!!』
ヒューイは叫ぶ。
ヒューイだけを……ヒューイだけを感じる……。
ヒューイを真っ直ぐに見詰め、震える脚を動かす。一歩ずつゆっくりと。心臓の音が耳にうるさく響く。ヒューイ……ヒューイ……。
魔法陣の中心に立ち、ヒューイと向かい合う。グッと拳を握り締め深呼吸をする。
魔法陣が激しく光る。
眩い光を放った魔法陣は一度光が消えたかと思うと、俺の足元が青白く光り出す。
ビクリと身体が震える。あのときも…………
『リュシュ!!!! 俺だけを見ろ!!!!』
「ヒューイ……」
過去に引き摺られそうになった俺の意識をヒューイが引っ張り上げてくれた。ヒューイ……ヒューイだけを見ろ!! ヒューイと向き合え!! 俺は……ヒューイを信じると決めたんだ!!
「ヒューイ!!!!」
ただひたすらヒューイの名を叫んだ。頭のなかでもヒューイの名を叫んだ。
足元に描かれた文字の羅列、規則正しく描かれている罫線。それらを辿って行くように、俺の足元から光り出し徐々に外へ向かって光が流れ出す。血が体内を巡るかのように、俺から吸い上げた人気を魔法陣という血管が運んで行く。
そうして光は俺の魔法陣の一番外側の罫線までたどり着くと、今度はヒューイの魔法陣の外側が光り出す。
俺の魔法陣とは逆に進む光。外側から内側へと向かい進んで行く。中心部までたどり着いた人気はヒューイの足元で強い光を放つ。光は脈打つように俺から人気をヒューイまで運ぶ。魔法陣の周りを緩やかに風が舞う。
気がどんどんと吸い上げられていくのが分かる。貧血のような感覚にも陥るが、グッと拳を握り締め、ひたすらヒューイを見詰め続ける。
たどり着いた光はヒューイの身体を巡り光が増す。ヒューイは輝く光に包まれた。
ヒューイに集まる光はどんどんと輝きを増し、ついにはヒューイの姿は見えなくなった。激しい光に包まれ、周りで吹く風も激しさを増していく。
俺から流れ出ていた人気は全てヒューイの魔法陣へと移ったのか、俺の足元の魔法陣は光がなくなり静かになった。
俺は激しい脱力感で呼吸が乱れた。肩で息をし、落ち着かせるために大きく深呼吸をする。
俺はなんとかヒューイに人気を送ることが出来たのか? ヒューイはどうなったんだ?
光り輝く魔法陣のなか、ヒューイの姿は見えない。激しい光と風。
ヒューイの魔法陣の外側から徐々に光が消えて行く! ヒューイがいるであろう場所まで光が流れて行き、そして全ての光が中心に集まると…………巨大な光が激しく弾けた!!
激しい風圧と共に辺り一面真っ白とも呼べる光が放たれ、何も見えなくなった。視界を奪われ、腕で顔を庇うが何も見えない。目を細め、ヒューイの姿を探す。
「ヒューイ!!!! ヒューイ!!!!」
ヒューイは無事なのか!? ヒューイ!!!! どこだ!?
激しい風と光が徐々に収まってくる。顔を庇わなくとも耐えられるほどの光と風になったとき、薄っすらと影が見えた。
「ヒューイ!?」
あれはヒューイなのか!?
ログウェルさんの言葉にギクリと身体が震える。
あのときと同じ…………。心臓の音が耳に響く。あぁ、怖い……どうしても、やはり怖い……。
「リュシュ、頑張って!!」
背後には皆がいる。
『リュシュ、またあの魔法陣やるのね~』
『光り出すやつね~』
精霊たちも俺から離れ、ふよふよと浮いている。
そうか、あのときもこいつらはいたんだな。俺が見えなかっただけで、あのときのことを知っているのか……。
一歩を踏み出す。脚が震える。
ヒューイはあのときのキーアと同じように大きく羽ばたき、空へと舞い上がったかと思うと、魔法陣の真ん中に降りた。そしてこちらを向く。
『リュシュ!! 俺だけを見ろ!! 俺だけを感じろ!! それ以外は、今だけ全て忘れろ!!!!』
ヒューイは叫ぶ。
ヒューイだけを……ヒューイだけを感じる……。
ヒューイを真っ直ぐに見詰め、震える脚を動かす。一歩ずつゆっくりと。心臓の音が耳にうるさく響く。ヒューイ……ヒューイ……。
魔法陣の中心に立ち、ヒューイと向かい合う。グッと拳を握り締め深呼吸をする。
魔法陣が激しく光る。
眩い光を放った魔法陣は一度光が消えたかと思うと、俺の足元が青白く光り出す。
ビクリと身体が震える。あのときも…………
『リュシュ!!!! 俺だけを見ろ!!!!』
「ヒューイ……」
過去に引き摺られそうになった俺の意識をヒューイが引っ張り上げてくれた。ヒューイ……ヒューイだけを見ろ!! ヒューイと向き合え!! 俺は……ヒューイを信じると決めたんだ!!
「ヒューイ!!!!」
ただひたすらヒューイの名を叫んだ。頭のなかでもヒューイの名を叫んだ。
足元に描かれた文字の羅列、規則正しく描かれている罫線。それらを辿って行くように、俺の足元から光り出し徐々に外へ向かって光が流れ出す。血が体内を巡るかのように、俺から吸い上げた人気を魔法陣という血管が運んで行く。
そうして光は俺の魔法陣の一番外側の罫線までたどり着くと、今度はヒューイの魔法陣の外側が光り出す。
俺の魔法陣とは逆に進む光。外側から内側へと向かい進んで行く。中心部までたどり着いた人気はヒューイの足元で強い光を放つ。光は脈打つように俺から人気をヒューイまで運ぶ。魔法陣の周りを緩やかに風が舞う。
気がどんどんと吸い上げられていくのが分かる。貧血のような感覚にも陥るが、グッと拳を握り締め、ひたすらヒューイを見詰め続ける。
たどり着いた光はヒューイの身体を巡り光が増す。ヒューイは輝く光に包まれた。
ヒューイに集まる光はどんどんと輝きを増し、ついにはヒューイの姿は見えなくなった。激しい光に包まれ、周りで吹く風も激しさを増していく。
俺から流れ出ていた人気は全てヒューイの魔法陣へと移ったのか、俺の足元の魔法陣は光がなくなり静かになった。
俺は激しい脱力感で呼吸が乱れた。肩で息をし、落ち着かせるために大きく深呼吸をする。
俺はなんとかヒューイに人気を送ることが出来たのか? ヒューイはどうなったんだ?
光り輝く魔法陣のなか、ヒューイの姿は見えない。激しい光と風。
ヒューイの魔法陣の外側から徐々に光が消えて行く! ヒューイがいるであろう場所まで光が流れて行き、そして全ての光が中心に集まると…………巨大な光が激しく弾けた!!
激しい風圧と共に辺り一面真っ白とも呼べる光が放たれ、何も見えなくなった。視界を奪われ、腕で顔を庇うが何も見えない。目を細め、ヒューイの姿を探す。
「ヒューイ!!!! ヒューイ!!!!」
ヒューイは無事なのか!? ヒューイ!!!! どこだ!?
激しい風と光が徐々に収まってくる。顔を庇わなくとも耐えられるほどの光と風になったとき、薄っすらと影が見えた。
「ヒューイ!?」
あれはヒューイなのか!?
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