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第一章《旅立ち~試験》編
第十六話 いざ試験へ!
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「さて、では行くか!」
ディアンが俺とアンニーナに向かって笑顔で言った。
「頑張って来いよ!!」
試験当日の朝からタダンさんたちがわざわざ見送りに出て来てくれた。
タダンさんが激励してくれる。その後ろにはマヤさんとフィリアちゃんもいる。
「皆さん、頑張って来てくださいね」
フィリアちゃん可愛いなぁ。少しもじもじとしながらも爽やかな笑顔で応援してくれる。
藤色の髪の毛がふわふわと揺れる。なんだか良い匂いが漂ってきそうだな。思わずクンクンしそうになってなんとか耐えた。ヤバい。絶対気持ち悪がられるはず。危ない危ない。俺よ、よくぞ耐えた。
それを誤魔化すためにへらっと薄ら笑いみたいになってしまった。あぁ、これはこれでキモい奴じゃん、俺。ガクッ。
気を取り直して! さあ、城へ!
「ディアンは今日一日で終わるんだっけ?」
竜騎士の試験以外は確か全て一日で終わる試験だったはずだ。なんで竜騎士だけ三日も……と思うが、まあそれだけ大変な仕事で重要な部署だからなのだろう、と思うことにした。
「そうだな、俺は治療師の試験だから治癒魔法の能力試験と筆記試験だけだな。午前と午後に分けられてはいるが一日で終わる。他の部署もみんな今日中に終わるしな。だからリュシュとアンニーナより先に帰って待ってるよ」
「良いなぁ、一日で終わるなんて」
「まあな。でもそれだけ竜騎士になるのは大変だし、皆の憧れの職業ということだろうな。受験者も多いだろうし」
「何人くらいいてるんだろうなぁ、受験者……」
「さあなぁ、去年は三十人くらいとか聞いたな」
「さ、三十人!? そんな多いのか……で、受かる人数は?」
ごくりと生唾を飲み込み真面目に聞いた。それを見たアンニーナが吹き出す。
「ブフッ。なに固くなってんのよ、合格者の人数を知ったところでどうなのよ。自分のやるべきことをやる、自分の力を出し切る、それしかないじゃない」
「ま、まあそうなんだけど……」
「うーん、去年のが参考になるかは分からないが、三十人中受かったのは五人だそうだ」
「ご、五人……」
「その前は合格者なしだったらしい」
「う、マジかぁ……」
行く前から凹みそうだ。
「だから! 行く前からそんな顔してどうすんのよ!」
アンニーナが背中を思い切りバーンッと叩いた。思わず前につんのめる。げほっ。
「まあ不安になる気持ちも分かるが、アンニーナの言う通りだぞ? 今からそんな弱気でどうするんだよ。リュシュはそれでなくても不利なんだから、気合い入れていけ!」
「う、うん、そうだな。ありがと……」
そうだよな、俺は最初から不利なんだから弱気でいくとなおさら駄目だよな。強気でいかないと。
「よし、頑張ろう!」
両頬をパーンと気合いを入れるために叩く。それに反応したのかキーアが後頭部に激突ししがみついてきた。
『キーアも頑張る!!』
ぐふっ、でも俺は耐えたぞ! そう、きっともっと昔の俺ならこの激突には耐えられなかったはず! 俺は強くなった! いや、ちょっと体力が付いた! いや、うん、まあ……ね。
「キーア、今日は普通に飛んでくれ。行く前から疲れる」
『飛んで良いの~?』
「あぁ、大人しく近くを飛んでるなら大丈夫だろ」
『じゃあ飛んでく~!』
王都に初めて来たときはあまり飛び回っているのもどうかと思ったので、キーアをずっと肩に乗せていたが、この五日間様子を伺っていると毎日同じ時刻にドラゴンたちが空を埋め尽くす。さすがに街に降りてきたりとかはないが、街の人間はドラゴンを見慣れている。
ならばキーアがその辺りを飛んでいたところで誰も気にも留めないということが分かったのだった。
肩の重みから解放され思い切り伸びをしていると、ディアンに急げと急かされた。おっと遅刻なんかしたら最悪だしな。
小走りでディアンとアンニーナに続いた。
城の門に到着すると、今日は門が全開となっていた。大勢の人間が中へと入っていく。皆、緊張した面持ちだ。どうやらこれ全員が受験者か。うわぁ……緊張してきた。
ぞろぞろと人間たちが歩いて行くため、初めて来た俺でさえもどこで受付をしているのかがすぐに分かる。
城の門を通り過ぎると人の流れが左へと流れて行く。それに続くと、少し歩いた先に大声で叫ぶお姉さんの姿が見えた。
「はーい! 本日の採用試験受験者諸君! こちらで受付をしてくれたまえ! そして各部署の試験会場へ散れー!」
な、なんか変わった喋り方のお姉さんだな……。
濃紺色の長い髪のツインテール。同じく濃紺色の瞳。真ん丸メガネをかけ、身体のラインが良く分かるムチムチの服を着たお姉さん……、胸はデカいんだが……なんか痛々しく感じのは俺だけか?
チラリと周りを見回すと神妙な面持ちの奴や、そのお姉さんをニヤニヤしながら見てる奴、嫌そうな顔をしている女性やら様々だった。
ディアンは至って普通の顔、アンニーナは嫌そうな顔の一人だった。
「はーい! そこでボーっとしている受験者ちゃん! 早く受付したまえよ!」
ビシッと思い切り指を差され、周りにいる人間全員に注目されてしまった……。
ひぃぃい、やめてー! めちゃ恥ずかしいじゃん! なんなんだ、この人! 可愛い見た目だし、セクシーな感じだけど、これは嫌だ!
「ほれほれ、早く来い!」
「わ、分かりましたから!」
早く受付を済まして早くここから立ち去ろう……。ディアンとアンニーナが苦笑しながら遠巻きに見ていた。
おい、他人のフリするなよ。
ディアンが俺とアンニーナに向かって笑顔で言った。
「頑張って来いよ!!」
試験当日の朝からタダンさんたちがわざわざ見送りに出て来てくれた。
タダンさんが激励してくれる。その後ろにはマヤさんとフィリアちゃんもいる。
「皆さん、頑張って来てくださいね」
フィリアちゃん可愛いなぁ。少しもじもじとしながらも爽やかな笑顔で応援してくれる。
藤色の髪の毛がふわふわと揺れる。なんだか良い匂いが漂ってきそうだな。思わずクンクンしそうになってなんとか耐えた。ヤバい。絶対気持ち悪がられるはず。危ない危ない。俺よ、よくぞ耐えた。
それを誤魔化すためにへらっと薄ら笑いみたいになってしまった。あぁ、これはこれでキモい奴じゃん、俺。ガクッ。
気を取り直して! さあ、城へ!
「ディアンは今日一日で終わるんだっけ?」
竜騎士の試験以外は確か全て一日で終わる試験だったはずだ。なんで竜騎士だけ三日も……と思うが、まあそれだけ大変な仕事で重要な部署だからなのだろう、と思うことにした。
「そうだな、俺は治療師の試験だから治癒魔法の能力試験と筆記試験だけだな。午前と午後に分けられてはいるが一日で終わる。他の部署もみんな今日中に終わるしな。だからリュシュとアンニーナより先に帰って待ってるよ」
「良いなぁ、一日で終わるなんて」
「まあな。でもそれだけ竜騎士になるのは大変だし、皆の憧れの職業ということだろうな。受験者も多いだろうし」
「何人くらいいてるんだろうなぁ、受験者……」
「さあなぁ、去年は三十人くらいとか聞いたな」
「さ、三十人!? そんな多いのか……で、受かる人数は?」
ごくりと生唾を飲み込み真面目に聞いた。それを見たアンニーナが吹き出す。
「ブフッ。なに固くなってんのよ、合格者の人数を知ったところでどうなのよ。自分のやるべきことをやる、自分の力を出し切る、それしかないじゃない」
「ま、まあそうなんだけど……」
「うーん、去年のが参考になるかは分からないが、三十人中受かったのは五人だそうだ」
「ご、五人……」
「その前は合格者なしだったらしい」
「う、マジかぁ……」
行く前から凹みそうだ。
「だから! 行く前からそんな顔してどうすんのよ!」
アンニーナが背中を思い切りバーンッと叩いた。思わず前につんのめる。げほっ。
「まあ不安になる気持ちも分かるが、アンニーナの言う通りだぞ? 今からそんな弱気でどうするんだよ。リュシュはそれでなくても不利なんだから、気合い入れていけ!」
「う、うん、そうだな。ありがと……」
そうだよな、俺は最初から不利なんだから弱気でいくとなおさら駄目だよな。強気でいかないと。
「よし、頑張ろう!」
両頬をパーンと気合いを入れるために叩く。それに反応したのかキーアが後頭部に激突ししがみついてきた。
『キーアも頑張る!!』
ぐふっ、でも俺は耐えたぞ! そう、きっともっと昔の俺ならこの激突には耐えられなかったはず! 俺は強くなった! いや、ちょっと体力が付いた! いや、うん、まあ……ね。
「キーア、今日は普通に飛んでくれ。行く前から疲れる」
『飛んで良いの~?』
「あぁ、大人しく近くを飛んでるなら大丈夫だろ」
『じゃあ飛んでく~!』
王都に初めて来たときはあまり飛び回っているのもどうかと思ったので、キーアをずっと肩に乗せていたが、この五日間様子を伺っていると毎日同じ時刻にドラゴンたちが空を埋め尽くす。さすがに街に降りてきたりとかはないが、街の人間はドラゴンを見慣れている。
ならばキーアがその辺りを飛んでいたところで誰も気にも留めないということが分かったのだった。
肩の重みから解放され思い切り伸びをしていると、ディアンに急げと急かされた。おっと遅刻なんかしたら最悪だしな。
小走りでディアンとアンニーナに続いた。
城の門に到着すると、今日は門が全開となっていた。大勢の人間が中へと入っていく。皆、緊張した面持ちだ。どうやらこれ全員が受験者か。うわぁ……緊張してきた。
ぞろぞろと人間たちが歩いて行くため、初めて来た俺でさえもどこで受付をしているのかがすぐに分かる。
城の門を通り過ぎると人の流れが左へと流れて行く。それに続くと、少し歩いた先に大声で叫ぶお姉さんの姿が見えた。
「はーい! 本日の採用試験受験者諸君! こちらで受付をしてくれたまえ! そして各部署の試験会場へ散れー!」
な、なんか変わった喋り方のお姉さんだな……。
濃紺色の長い髪のツインテール。同じく濃紺色の瞳。真ん丸メガネをかけ、身体のラインが良く分かるムチムチの服を着たお姉さん……、胸はデカいんだが……なんか痛々しく感じのは俺だけか?
チラリと周りを見回すと神妙な面持ちの奴や、そのお姉さんをニヤニヤしながら見てる奴、嫌そうな顔をしている女性やら様々だった。
ディアンは至って普通の顔、アンニーナは嫌そうな顔の一人だった。
「はーい! そこでボーっとしている受験者ちゃん! 早く受付したまえよ!」
ビシッと思い切り指を差され、周りにいる人間全員に注目されてしまった……。
ひぃぃい、やめてー! めちゃ恥ずかしいじゃん! なんなんだ、この人! 可愛い見た目だし、セクシーな感じだけど、これは嫌だ!
「ほれほれ、早く来い!」
「わ、分かりましたから!」
早く受付を済まして早くここから立ち去ろう……。ディアンとアンニーナが苦笑しながら遠巻きに見ていた。
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