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下着泥棒編

下着泥棒は夢を見ない

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第十二話
 下着泥棒は夢を見ない


 チャービンは、悩んでいたのです。
 思わずポケットに入れてしまった、この下着を、どうすれば良いのかを。

 もちろん、盗むつもりなど無かったのです。
 汚したので、持ってきてしまっただけなのです。
 洗って返そうと、思っていたのです。

「そこに、侍女達が、買い物から帰って来たので、返せなかった。いや、汚れも落ちなかった」と、空を見上げながらチャービンは空言を言っています。

 そもそも、洗濯した下着を汚すようなことをしたのが、悪いのだけれど。
 しかし、それは、仕方が無いのです。

 中庭に、高価な下着を干しているなど、「見て下さい」と言っているようなものです。「触って下さい」と言っているようなものですから。


 侍女たちが買い物から帰り、洗濯物を取り入れる時間となりました。
 取り入れられた洗濯物は、各部屋に運ばれます。

「ちょっと、わたしの下着がありませんわ」
「ありませんわ?」
「そう、無いの!」
「初めからそう言いなさいよ。キー」
「そんなことより、私のドロワーズが、無いのよ」
「また買えばよいじゃない」
「それが、唯一のシルクのドロワーズなのに……」

「えっ!」
「『えっ!』って、どういうことよ」
「キーがシルクだなんて(笑)」
「い、言っておきますが、ワタクシはお嬢様なのですよ」
「はい、はい。まあ、私なんて履いてませんからね」
「え?」
「いや、だから、下着なんて履いてないって言ってるのよ」
「なんで?」
「普通そういうものなのよ。庶民は」
「エルダ、ごめん」と言うとキーは、エルダのスカートを巻くって確認しました。
「ちょっと、何しているのよ」
「エルダが本当に履いてないのか、確認しようと思って」
「……」

 そこに、別の侍女がやって来ました。
「あぁ、一枚、高級な下着が捨ててあったわ。なので、焼却炉に入れて捨てたの。あれ、キーの?」
「なんでぇ、洗濯したのに」
「いや、それは、たぶん。キー、貴女……」
「なに?」
「染みつきなので、捨てたのじゃないの? 盛大に染みがついていたわ」
「染みなんて、付いてないよ!」と、キーと侍女たちがキャッキャしていると、それをトイレで聞いていた聖女様は、「次から、切り刻んで捨てることにしますわ」と、食糞用の豚と格闘しながら思うのでした。

 すると、食糞用の豚が、聖女様の大事なところをなめたので、「きゃぁッ」と声を上げた聖女様でした。
「し、染みを付けないようにしないと……」


 次回の聖女様は、チャービンとカタゲハの異世界ブルセラショップ開店の巻(嘘)
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