上 下
2 / 18
聖水編

禿げ頭におしっこを塗りたくれ!

しおりを挟む
第2話
 禿げ頭におしっこを塗りたくれ!


 キーと聖女アンネ様は礼拝堂に入りました。

 そこには、一組の家族三人が座っております。
 父親と母親、そして娘の三人です。

 両親は、見たところ、美男美女の夫婦です。

 しかし、大変かわいそうなことに、娘さんは重度のアトピー性皮膚炎なのでしょうか、顔が赤く腫れております。
 
 家族三人が立ち上がり、帽子を取り一礼をしました。
 すると、美男の父親が帽子を取ると、頭頂は光沢の輝きを放ち、それがキーの目の前で光り輝いております。
 
 目が点になってしまったキーです。
 「落ち着いて! 気を落ち着かせて!」と自分に言い聞かせております。

 その間に聖女様は、両親と話をしております。

「はい、聖女様、聖水のおかげで、娘の皮膚炎が少しマシになっております。それまでは、どんな薬を使っても治らず、痒さで掻きむしっていたのですが、掻かずに済むようになりました」
「それは、良かったです」
「では、今月も聖水を」
「はい、わかりました。では、キー、聖水の用意を」
「えっ、あ、はい」

 キーは慌てて、花瓶を開け、御神木を用意しました。
 御神木に聖水を含ませています。

「神のご祝福を!」と聖女様が仰ると、
「「「神のご祝福を」」」と三人が復唱しておりました。

 そのようなことを数回繰り返すと、御神木に付けた聖水を頭上から振りかける儀式が行われます。
 これは、聖女自らでなく助手が行い、その間、聖女は祈りを続けます。

 ということは、キーの出番ですね。

「では、聖水の儀式を行います」とキーが言うと、三人は手を合わせて、軽くうつむいております。

「うぐふぅ」
 だ、だめ、お父ちゃんのぽっかり頭が目の前に、迫ってくるよッ。

 ズン!

 笑いたいのを堪え、聖女見習いのキーは聖水を振りかけております。

『なんか、この聖水、いつもと違うわね???」と娘。
『ちょっと、おトイレ臭いわ』と母親。
『なんか、変な気分になってきたぞ』と父親が思い、チラッとキーの方を覗き見した時に、アクシデントが起こりました。

 笑いをこらえるキーと父親の目が合ってしまい、キーが慌ててしまし……

「やばい」
“すてん!”
 そして、
“べちゃぁーん”

「ヤダ、御神木がッ」

 そうなのです!

 御神木が禿げた部分に頭に張り付き、そして、父親の顔には『いつもと違うご聖水』が流れております。

「大丈夫ですか!」と、聖女様も慌てております。
「あ、は、はい、ダ、ダイジョーブです」と、なんか父親の様子がおかしいですね。
 なんだか、表情が『ほんのり』しております。

『御神木が、禿げた地肌に張り付いて取れないわ。どうしよう。これじゃドイツ軍のヘルメットキャノンじゃないの』

 バリッ!

「は、剥がれましたか。み、巫女様」と、ほんのり風味の父親は、キーのことを巫女様と言いました。

 父親はハンカチで顔と頭を吹いておりますが、頭頂を撫ぜるように吹いている姿に、また吹き出しそうになるキーでした。

 さて、肝心の娘さんには、1か月分の聖水をお高そうな便(べん)でなく、瓶(びん)に詰めて渡しました。
 これで、高額なお布施を頂くことが出来ました。めでたし、めでたし。


 家族の帰り道では!
「お母さん、この聖水。なんだか濁っているよ」
「えっ、聖水が濁っているですって。まさか」
「濁っている? どれみせて」と父親が瓶を開けて、覗いてみました。

 クラっと!
「お父さん」
「あなた、どうしたの?」
「いや、なんだか、急にフラッとして。いや、びっくりしたよ」と父親が言うので、母親が瓶を覗いてみました。

「うん、なんかトイレ臭いような」
「私、その聖水を顔に塗るの、イヤだわ」

 そのよう会話がなされていた時、父親は、少し鼓動も早くなり、そして、ほんのすこ~し頬が熱くなりつつあるのを感じておりました。

 ぐぬぬ!

『あぁ、もっと、臭いたいが妻と娘の前だからな。
 しかし、帰宅したら娘の手元に渡ってしまう。この聖水、私のものにしたい。
 あるいはもう一本あれば、いやお布施の額を考えるとだな……いや、そもそも、教会に行くこともなく』
と、父は教会に行く機会はなく、あきらめるしかないところでしたが、

 おお、神さまは、父を見捨てませんでした!

 敬虔なる信者の父親こと、ズール・ケムールを見捨てるわけがありませんでした。

 そして、翌日、奇跡が起きたのです。

「あなた、その頭はどうしたの?」
「お父さん、それは?」
「これは、一体?」

 そうなのです。
 ズールの頭頂部には、十数年ぶりに髪の毛が生えていたのです。
 それも、数本だとか、うぶ毛ではありません。
 シッカリとした毛が生えています。
 
「これは(驚) 今は、たかが2センチぐらいだけれど、一週間経てば!?」 
ーーいやまてよ! これを聖女様に報告という理由で教会にいけるのでは!


 しかし、ズールの頭に毛が生える等、このあとの出来事を考えると、とてもとても小さいことでした。


 次回の聖女は、インポも絶倫
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

処理中です...