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第四章 ブリテン島から脱出せよ
35.魚に餌やり
しおりを挟むヘニーは気になっていた。
何故、あのタイミングであの場所に海軍艦がいたのだろうか。
ベルギー人のパトリック達が他国の海軍とつながっているはずは無いから、やはり、偶然なのだろう。
そう思うことにした。
"Sleutels tot de toekomst"号は、テムズ川からスコットランドの首都であるエディンバラへ移動した。
城塞都市であるエディンバラは、建物の高さが高い。
城塞という決められた敷地内を最大限活用するには、上へ上へと延ばすことで人口問題も賄っている。
「船長!」と、声をかけたのは操舵手のカスペルだ。
「カスペル……どうした」
「エディンバラには入港しますか。それとも急ぎますか」
「遠回りをしている以上、急ぎたいが……」と、言葉を詰まらせたのは、ジャスミンだ。
慣れていないせいだろう。体調を崩してしまった。
慢性的船酔いとでも言えば良いだろうか。
ほぼ、一日かけてロンドンからやって来た。
「休ませてやりたいが……」
「普通に考えて、海軍艦の一隻はいてもおかしくは無いですよね」
「あぁ」
そこに、ファースがやって来て事情を聞いて、「なら、小型艇で上陸しますか」と、提案をしてきた。
「この船は入り江に隠しておくと」
そして、カスペルは言った。
「小型艇は、もっと揺れるぞ」と。
すると、ファースは大笑いした。
「どのみち、ダメだわ」
「ヴィレム、ジャスミンはどこにいる」
「はい、船長。今、魚に餌やりをしています」
「餌?」
そのジャスミンは、「うぅぅ、○○○○○○」と、海の魚に向かって、マッシュポテトを体内から取り出していた。
年頃の娘らしからぬことなので、音声は伏せさせていただいた。
嘗て、船長のご先祖も似たようなことをしていたとは、船長自身も知らなかった。
結果、ジャスミンのこの姿を見て、船長は、エディンバラに立ち寄ることにした。
それも、堂々とクリッパー船ごと。
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