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3.バルト海を並び行く幽霊たち
3-11.幽霊船を見つけた
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3-11.幽霊船を見つけた
犬同士の喧嘩と言えば、「ガルルルル」とか言って、睨んで吠えて、最後はどうなるのでしたか?
犬の世話などしたことが無いので、よくわからないわ。
ここは、ケーニヒスベルクの、今風に言えば、カフェだな。
こういったところに噂が集まったりするので、しばらく、周囲を観察していたところ。
そこに、先日の貴族女が入ってきた。
「あらあら、海賊の船長さん」
少し間をおいて、私は返答した。
「……まだ、お帰りではなくて?」
「えぇ、船長さんが幽霊船とやらを捕まえるところ見てから、帰ろうかと思いましてね」
随分と挑発をしてくる。
そう思ったが、クライネスは気にもせず、菓子を楽しんでいた。
すると、それが気に入らなかったのか、ペティーとかいう幼女が、
「おい、チビ! そんなもの食べている場合か」
「ん?」
おい、お前もチビッ子だろうが!
と皆が思ったのだろうか? あたりが苦笑でざわついた。
顔が赤く染まるペティー。
気にもしないクライネスの貫録勝ちかな。
「おかわり」
「はいはい、追加しますね」
「こらぁ、無視するなよ。名前を名乗りなさい。私はペティー。お嬢の……」
と、ペティーとやらが詰まらせたので、「飼い犬よね」とフォローしてあげたわ。
そこに、追加の皿が届いた。
「はい、クライネス」とイリーゼが皿を渡している。
「なに? クライネス?」
「そうよ、私はクライネス・キンダーよ」
「クライネス・キンダー? それは人の名前じゃないわ」
あちゃー、言ってしまったわ。
クライネス・キンダー、つまり、『小さい子ども』ということだ。海賊は本名を名乗らないので、そのまま、使っていたんだけど。
「えっ!」と驚くクライネス。
「あら、お嬢さん、この子が人に見えるの?」と、イリーゼが言った。
「どういうこと?」
「この子は、犬なの。うちの船の飼い犬なの。だから、ワンワンしかしゃべれないわ。そういえばお嬢さんも犬でしたわね。犬同士仲良くしてあげてね」
何を言ってんだか、分からんので、もう、店を出よう!
さて、また霧が濃くなってきた。ということは、幽霊船が出るということだ。
巡回をする。
しかし、すべて上手くいっていない。このまま出港しても!
どうすれば良いのか?
巡回をしていると、先日の漁村組合にいた漁師が漁をしていた。
「キーナ・コスペル海賊団だ」
「あぁ、なんかイマイチ活躍してないよなぁ」
「期待ほどでも」
あぁ、耳が痛い。イライザが、あんなカッコよく「お前らも助けてやる」なんて言うもんだから……
武装もしていないというキャラベル型の幽霊船に、これほど手こずるとは!
しかし、この日は違っていた。
霧の中に多数の光が見えた。
「お頭、海面を歩いている奴がいる」
「来たか!」
そう、骨が海面を歩いていた。
そして、周りに一隻のキャラベルが航行していた。
武装型ではない。
「ゆっくり近づくぞ」
“ドォーーン”
“ドォーーン”
“ドォーーン”
「なんだ、どこから発砲している?」
なんと、どこかしらか、我らを砲撃している船があるようだが、霧で見えない。
犬同士の喧嘩と言えば、「ガルルルル」とか言って、睨んで吠えて、最後はどうなるのでしたか?
犬の世話などしたことが無いので、よくわからないわ。
ここは、ケーニヒスベルクの、今風に言えば、カフェだな。
こういったところに噂が集まったりするので、しばらく、周囲を観察していたところ。
そこに、先日の貴族女が入ってきた。
「あらあら、海賊の船長さん」
少し間をおいて、私は返答した。
「……まだ、お帰りではなくて?」
「えぇ、船長さんが幽霊船とやらを捕まえるところ見てから、帰ろうかと思いましてね」
随分と挑発をしてくる。
そう思ったが、クライネスは気にもせず、菓子を楽しんでいた。
すると、それが気に入らなかったのか、ペティーとかいう幼女が、
「おい、チビ! そんなもの食べている場合か」
「ん?」
おい、お前もチビッ子だろうが!
と皆が思ったのだろうか? あたりが苦笑でざわついた。
顔が赤く染まるペティー。
気にもしないクライネスの貫録勝ちかな。
「おかわり」
「はいはい、追加しますね」
「こらぁ、無視するなよ。名前を名乗りなさい。私はペティー。お嬢の……」
と、ペティーとやらが詰まらせたので、「飼い犬よね」とフォローしてあげたわ。
そこに、追加の皿が届いた。
「はい、クライネス」とイリーゼが皿を渡している。
「なに? クライネス?」
「そうよ、私はクライネス・キンダーよ」
「クライネス・キンダー? それは人の名前じゃないわ」
あちゃー、言ってしまったわ。
クライネス・キンダー、つまり、『小さい子ども』ということだ。海賊は本名を名乗らないので、そのまま、使っていたんだけど。
「えっ!」と驚くクライネス。
「あら、お嬢さん、この子が人に見えるの?」と、イリーゼが言った。
「どういうこと?」
「この子は、犬なの。うちの船の飼い犬なの。だから、ワンワンしかしゃべれないわ。そういえばお嬢さんも犬でしたわね。犬同士仲良くしてあげてね」
何を言ってんだか、分からんので、もう、店を出よう!
さて、また霧が濃くなってきた。ということは、幽霊船が出るということだ。
巡回をする。
しかし、すべて上手くいっていない。このまま出港しても!
どうすれば良いのか?
巡回をしていると、先日の漁村組合にいた漁師が漁をしていた。
「キーナ・コスペル海賊団だ」
「あぁ、なんかイマイチ活躍してないよなぁ」
「期待ほどでも」
あぁ、耳が痛い。イライザが、あんなカッコよく「お前らも助けてやる」なんて言うもんだから……
武装もしていないというキャラベル型の幽霊船に、これほど手こずるとは!
しかし、この日は違っていた。
霧の中に多数の光が見えた。
「お頭、海面を歩いている奴がいる」
「来たか!」
そう、骨が海面を歩いていた。
そして、周りに一隻のキャラベルが航行していた。
武装型ではない。
「ゆっくり近づくぞ」
“ドォーーン”
“ドォーーン”
“ドォーーン”
「なんだ、どこから発砲している?」
なんと、どこかしらか、我らを砲撃している船があるようだが、霧で見えない。
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