幽現学園S

たけこゆき

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第1章 小さな体で

第10話 突然変異

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私たちは突然変異によって生まれた。
これが私たち小さな人間に対する説明として言われてきた。
もちろんそのように学校でも教えられてきたし、ずっとそうだと思っていたが。
実は間違っていたかもしれない。
その発言を聞いたのはあまりにも突然のことだった。

「もしかしたら小さな人間(=スモールズ)は人為的に作られた可能性がある。」

ずいぶん保険を掛けた物言いだなあというのがまず一つ目の印象。
この点は、レモンやライチにも同じことを言ってた気がする。
それともう一つは。
そうじゃないかなと私も思ってた。
私は科学者や研究家ではないから、もちろん詳しいことは知らない。
ただ、遺伝子の突然変異にしては私たちの数が多過ぎる。進化であったとしたら小さくなってのデメリットが増えすぎている。
ここには私の少しばかりの知識と進化の過程で退化してるとは思いたくないという願望があった。
私たちが突然変異でないかもしれないという可能性が残ったことに少しだけ喜びつつも、私は別のことを考え始めていた。

人為的であったとしたら、なぜ小さくなったのか。
どういう目的があったのか。
大きくなることはできるのか。

私は小さい生活も気に入っているけど、大きい人たちがどう暮らしてるかは気になるさ。



調べてみる価値はありそうだ。
それを二人に話してみたところ、

「私たちだと小さくて動ける範囲も狭いし、調べるのに途方もない時間がかかりそうだよー」
「世の中には触れない方がいいことだってあるわ。あたしはしないほうがいいとおもうわ。」

やんわりと断られてしまった。
二人とも乗り気ではないようだ。すくなくとも。
二人のいうことももっともで、私たちだけじゃ到底調べられっこないし、リスクも高すぎる。

しかし、世の中にいる悪を放っておくわけにはいかないのだ、と私は思う。
それが突然変異と分かればそれ以上は深入りしない。
私は突然変異か人為的なものなのかだけでも知っておきたい。
それだけだ。

二人には悪いけど、この県については少しだけ調べさせてほしい。

少しだけ、少しだけだから。

私には少しだけだが大きい側の人間の友人がいる。
協力してくれるかは分からないけれど、話してみようと思う。
きいてくれるのだるうか、それとも。

いつのまにか夜遅くになっていたので、私は不安な思いとともに布団に入ることにした。
あまりにも今日聞いたニュースが衝撃的過ぎて。
なかなか寝ることが出来ずに時間だけが過ぎていく。
寝よう。
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