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第一章
19.国王陛下
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ーーーライト視点ーーー
さきほど父上と母上が城にお戻りになった。公務を終えたらすぐにミラの部屋に行くだろう。しかし、今あの部屋にいるのはサラだ。変な誤解を生まないように前もって2人に説明しておかなければ…。ここには、人が多すぎて話しなどとうていできないだろうし、まだこのことはほかの者に知られてはいけない。
国王と王妃が帰ってきたのに盛大な拍手や合奏はなく、『国王陛下よくぞご無事で……』『お戻りをお待ちしておりました……』と元気のない声ばかりが聞こえてくるのは先日ミラが死んだからだろう。
(とにかく、2人と直接話しができる機会をつくらねば!)
父上が玉座に座り、その隣に母上も座る。その後は王子である俺の仕事だ。
「国王陛下!無事お戻りになりましたこと嬉しく思います!」
「ライト、よく私たちの不在に城を守ってくれた。」
「いえ、たいしたことはございません。」
「そうか。下がってよい。」
「はっ!」
俺の番が終わったら次は各大臣や貴族たちからの報告がある。全て終わるのは3時間後くらいだろうか?今回は2週間ほど城を開けていたからそれだけの間の報告が溜まっているだろうから、もしかしたらもっと時間がかかるかもしれないな……。
「次!」
父上がいつもより早く報告を促している。父上もどうやら一刻も早くミラの部屋にむかいたい様子だ。
「国王陛下!」
(あれは……)
リシャイン家の当主…、確か名をリアム・リシャインといったか。
この国は大きく7つの土地に分けられていて、リシャイン家はその中で一番広い土地を治めている。
「二日前に王都の近くでグリッシャの一員を何人か見かけたとの報告を受けました。」
『グリッシャだと!?』『あの荒くれ者たちか…』
グリッシャと聞くとこの場にいる者たちがざわめき始める。
「本当か?」
「はい!確かに見たと周辺を警備していた者から連絡がきました。」
「うむ…グリッシャか……。」
グリッシャは国の政治に不満をもっている集団で、数年前までは国のあちこちで村を荒らしたり、人をさらったりしていた。現国王が即位してからは、徐々に活動が減り、活動拠点であった国の最南の山からはめったに出てきていないと聞いていたが……。
(二日前……ミラが死んだ翌日か……)
まさかミラが死んで混乱がおきている城を狙ってなにかする気では…。
「わかった。リシャイン領に追加で警備を送ろう。」
「ありがとうございます!」
「では、次!」
警備が増えるならそこまで心配する必要はないだろう。それよりも、俺にはやらなければいけないことがある。
国王への報告が進み、最後の1人の報告も終わった。
「以上だな。それでは、これにて終了とする。」
国王が立つと同時に全員が頭を下げる。そのなか国王と王妃は謁見の間を出ていく。あとを追うように、扉から出ていき声をかける。
「陛下!」
「なんだ?ライトか。」
「どうしたの?」
「大事なお話があります。お時間をいただけませんか。」
よほど自分が深刻そうな顔をしていたのだろう。すぐに了承が出た。
「わかった。今から話しを聞こう。」
(サラ……待っていろ)
さきほど父上と母上が城にお戻りになった。公務を終えたらすぐにミラの部屋に行くだろう。しかし、今あの部屋にいるのはサラだ。変な誤解を生まないように前もって2人に説明しておかなければ…。ここには、人が多すぎて話しなどとうていできないだろうし、まだこのことはほかの者に知られてはいけない。
国王と王妃が帰ってきたのに盛大な拍手や合奏はなく、『国王陛下よくぞご無事で……』『お戻りをお待ちしておりました……』と元気のない声ばかりが聞こえてくるのは先日ミラが死んだからだろう。
(とにかく、2人と直接話しができる機会をつくらねば!)
父上が玉座に座り、その隣に母上も座る。その後は王子である俺の仕事だ。
「国王陛下!無事お戻りになりましたこと嬉しく思います!」
「ライト、よく私たちの不在に城を守ってくれた。」
「いえ、たいしたことはございません。」
「そうか。下がってよい。」
「はっ!」
俺の番が終わったら次は各大臣や貴族たちからの報告がある。全て終わるのは3時間後くらいだろうか?今回は2週間ほど城を開けていたからそれだけの間の報告が溜まっているだろうから、もしかしたらもっと時間がかかるかもしれないな……。
「次!」
父上がいつもより早く報告を促している。父上もどうやら一刻も早くミラの部屋にむかいたい様子だ。
「国王陛下!」
(あれは……)
リシャイン家の当主…、確か名をリアム・リシャインといったか。
この国は大きく7つの土地に分けられていて、リシャイン家はその中で一番広い土地を治めている。
「二日前に王都の近くでグリッシャの一員を何人か見かけたとの報告を受けました。」
『グリッシャだと!?』『あの荒くれ者たちか…』
グリッシャと聞くとこの場にいる者たちがざわめき始める。
「本当か?」
「はい!確かに見たと周辺を警備していた者から連絡がきました。」
「うむ…グリッシャか……。」
グリッシャは国の政治に不満をもっている集団で、数年前までは国のあちこちで村を荒らしたり、人をさらったりしていた。現国王が即位してからは、徐々に活動が減り、活動拠点であった国の最南の山からはめったに出てきていないと聞いていたが……。
(二日前……ミラが死んだ翌日か……)
まさかミラが死んで混乱がおきている城を狙ってなにかする気では…。
「わかった。リシャイン領に追加で警備を送ろう。」
「ありがとうございます!」
「では、次!」
警備が増えるならそこまで心配する必要はないだろう。それよりも、俺にはやらなければいけないことがある。
国王への報告が進み、最後の1人の報告も終わった。
「以上だな。それでは、これにて終了とする。」
国王が立つと同時に全員が頭を下げる。そのなか国王と王妃は謁見の間を出ていく。あとを追うように、扉から出ていき声をかける。
「陛下!」
「なんだ?ライトか。」
「どうしたの?」
「大事なお話があります。お時間をいただけませんか。」
よほど自分が深刻そうな顔をしていたのだろう。すぐに了承が出た。
「わかった。今から話しを聞こう。」
(サラ……待っていろ)
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