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少年と絶望
しおりを挟むパリンッ
朝起きて水を飲もうとカップに水いれテーブルに持っていこうとした瞬間、取っ手が取れ結局カップは地面に落ちて割れてしまった...。
気に入ってたのに...でも。
このカップは最近のもので
壊れるには早すぎる。
今日は朝からいつもとは違う、そう思っていた。なんでそう思うのかはリン自身分からなかった。でもなにかが昨日とは違う嫌な前兆がしてならなかった。その前触れだろうか、割れたカップから少しだけ目が外せすことが出来ずじーっと見つめていた。
でもすぐそんなはずない!
そう気持ちを切り替えることにした。
いつも通り動物達と戯れ一緒に水を汲みに行く、その途中の花園へ寄り道して愛でて鳥のさえずりを聴きながら風を感じながら朝の嫌な前兆がなかったかのように忘れゆっくり家へと帰る。
そう...ここまでは良かった。
_______________________________
「ふんふんふ~ん…えっ?
なんで開いてるの?」
家の近くまで辿り着くと家のドアが開いていた、リンは出掛ける時は必ずドアは閉めるし母親も必ず閉める。
忘れたことなんて今までに1度もなかった、閉めていなかったとしても玄関の近くに居るはずだが何度見渡してもいない。
それに1番気になるのは家の中が妙に静かなのだ、…静かすぎる…。
ゆっくり家の中へ踏み入れる。
「…おかあ…さん…?」
「リン!こっちに来てはだめっ!!!」
「え?」
ドンッ!!!
「ゔぅっ!!…」
母親の声が聞こえた瞬間、背後から強く殴られ母親が椅子に縛られている姿を見つけるも目の前がボヤけだんだん暗くなりリンは気を失ってしまった。
暗い世界にたった一人
ここはどこだろう…誰かいる。
その誰かは静かに泣いていてリンはその姿を見て胸が苦しくなった。
胸が締め付けられる感覚。
その誰かは少年でリンが見ているのを気づいたと思ったらこちらを見て涙を流しながら
「…たす…けてっ…」
そう言うとつらそうに苦しそうにリンを見つめてくるのだ。
けどリンはその暗闇から少年の所へ近づこうにも歩いても歩いても遠ざかるばかり。
無意識に遠くなる少年へ手を伸ばすリン。
「あなたは…だれ…?」
そう問うが次第に少年が暗闇にのまれそのまままた一人暗闇に取り残される。
「…リ…ン…」
「リン…」
誰かが呼んでる
だれ?
だんだん暗闇が消えて目が冴えてきた
「……リン!!!
お願い!!おきて…!!」
ビクッ
「おかあ…さん…?」
ああ、
さっきのは夢だったのね。
そうわかった時には母親は目に涙を溜めながら見つけた時と変わらず縛られた状態でいた
リンは気絶した後は縛られ地面に転がされていたみたい。背中が痛い頭も痛い。周りを見渡すも母親とリン以外誰もいなかった。
「お母さん、どうなってるの?」
「盗賊が来たのよ…
盗むものなんてないのにね…。」
盗賊…そんなものこの森にいたんだ
なにしにきたの…こわい。
「盗賊達は?」
「もうすぐ戻ってくるわ、
それよりリン頭大丈夫?どこか痛いところは…怪我はない!?」
頭も痛いしけど我慢出来ないほどじゃない
これぐらいで心配させる訳にはいかない。
そうリンは思い笑顔で首を横に振り大丈夫と答えた。
そうこうしていると盗賊は戻ってきた。
ぞろぞろ5人組の男達が来た。
「おお、起きたか」
「この女の子なかなか売れそうじゃね?」
「幼いなりに顔もなかなか良いし、いい商売が出来そうだな♪」
「母親の方のほうはどうする?」
「そうだな、美人だしそこそこ売れるだろう」
男達が口々にいうセリフに鳥肌が立ていく。
え、なに。売る…?なにを?
男達の顔を見ることが出来ず下を向きながら泣きそうになりながら怯えて震えが止まらずにいた。
そうすると三人の男が母親のところへ行き
違う部屋に連れ込もうとしていた。
「おい、お前ら商売品に何しようとしてる」
「いや~この女生意気だからすこ~しお仕置きしとこうと思って♪それと俺も最近ご無沙汰だからな~」「「そおっすよ!」」
「はああ…壊れない程度にしろよ。
価値が下がる」
「うひぉ♪分かってるって♪」
「…いや!!触らないで!!」
「おい、そんな暴れんなよ~♪手がウズウズしてくんだろうがあ?な?な?」
そう言いながら母親の髪の毛を掴み連れていこうとする。
お母さんをどこに連れていくの…?
やだ…行かないで…お母さん!!
「お母さんを連れていかないで!!」
「ああ?」
「お母さんになにする気!!
お願い!やめて!!」
必死に震える体を抑えながら
顔を上げ母親を連れていこうとする男に睨みつける。
「ピーピーうるさいなあ~」
ドンッ!!!
「ゔぅっ!!」
三人のうち一人の男が近づいてきたと思ったらいきなりお腹をおもいっきり蹴られリンはあまりの痛さに蹲り動けなくなった。
そこへ母親が急いで駆け寄り庇うように男の前へでてきた。
「やめて!!リンに!娘に何もしないで!」
「大人しくしてればなにもしねーよ」
「うるさくなったらまた蹴っちゃうかもよ~♪」
お母さんは男達を睨みつけながら私の方を向きなおしたと思ったら耳元で。
「リン?耳を塞いでいなさい。
お母さんは大丈夫、すぐ戻ってくるわ」
「おかあ…さん?ゴホッ」
「大丈夫。待っていて。」
母親はリンに笑顔で微笑んで男達の方へと戻って違う部屋へと消えていった。
必死に耳を塞ぎ時間が経つのを待ったお母さんが戻ってくることを信じて。
その間も他の男達はなにかするでもなく二人が終わるのもまだって待っていた。リンには何もする気はないようだ。
それでも恐怖は消えない。
何も聞こえない何も見えない何も…!!!
リンは目を閉じ耳を塞ぎ考えるのをやめた。
そう何時間ぐらいたっただろう…
キーっと音を立てながら部屋のドアが開いた。男達はなにか焦ったようにボスらしき人に近づいたかと思ったら殴られてた。
だがその三人は悪びれもなく最後には笑って
「………は暴れたのが悪い」
「………がいなくてもこの娘がいるんだから大丈夫だよ~♪」
「具合はよかったっすよあれ♪」
「はああ、お前らと来たら…まあこうなることも予想の内だからもういい。」
え。いまなっていったの?
聞き取れなかった
誰がいなくても大丈夫なの…?
男達が言っていた誰かは母親の他居ないことにリンは分かってはいたが理解したくなった。
「おかあさん…お母さん!!お母さん!!」
「チッうるせーなーお前の母さんよえーな?すぐ壊れたぜ」
「うそよ、お母さん!!戻ってきて!!」
「分からねーなら見せてやるよ♪」
そう言うと男はリンを担いで母親と男達が入っていった部屋へと連れられた。そこには紛れもない母親で服は破り捨てられボロボロになった母親がベットの上で眠っているかのように息をしていなかった。
「うそ…お母さん…おきて?
大丈夫っていってたのに…ねえおきて!」
「ピーピーうるぜーぞ!!死んでんだよ!
おめーも同じ目にあいてーのか?」
またもやお腹を蹴られ地面に叩きつけられたリンの目には涙が流れ落ちもうその目には何も移していない暗く死骸のような目になっていた。そのまま意識を失いまた暗闇へと落ちていった。
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