暁の欠片

misuzu

文字の大きさ
上 下
4 / 5

少年と絶望

しおりを挟む





パリンッ




朝起きて水を飲もうとカップに水いれテーブルに持っていこうとした瞬間、取っ手が取れ結局カップは地面に落ちて割れてしまった...。

気に入ってたのに...でも。

このカップは最近のもので
壊れるには早すぎる。

今日は朝からいつもとは違う、そう思っていた。なんでそう思うのかはリン自身分からなかった。でもなにかが昨日とは違う嫌な前兆がしてならなかった。その前触れだろうか、割れたカップから少しだけ目が外せすことが出来ずじーっと見つめていた。


でもすぐそんなはずない!
そう気持ちを切り替えることにした。


いつも通り動物達と戯れ一緒に水を汲みに行く、その途中の花園へ寄り道して愛でて鳥のさえずりを聴きながら風を感じながら朝の嫌な前兆がなかったかのように忘れゆっくり家へと帰る。








そう...ここまでは良かった。






_______________________________





「ふんふんふ~ん…えっ?
 なんで開いてるの?」



家の近くまで辿り着くと家のドアが開いていた、リンは出掛ける時は必ずドアは閉めるし母親も必ず閉める。

忘れたことなんて今までに1度もなかった、閉めていなかったとしても玄関の近くに居るはずだが何度見渡してもいない。
それに1番気になるのは家の中が妙に静かなのだ、…静かすぎる…。

ゆっくり家の中へ踏み入れる。

「…おかあ…さん…?」
「リン!こっちに来てはだめっ!!!」
「え?」
ドンッ!!!

「ゔぅっ!!…」

母親の声が聞こえた瞬間、背後から強く殴られ母親が椅子に縛られている姿を見つけるも目の前がボヤけだんだん暗くなりリンは気を失ってしまった。







暗い世界にたった一人
ここはどこだろう…誰かいる。
その誰かは静かに泣いていてリンはその姿を見て胸が苦しくなった。

胸が締め付けられる感覚。
その誰かは少年でリンが見ているのを気づいたと思ったらこちらを見て涙を流しながら

「…たす…けてっ…」

そう言うとつらそうに苦しそうにリンを見つめてくるのだ。

けどリンはその暗闇から少年の所へ近づこうにも歩いても歩いても遠ざかるばかり。
無意識に遠くなる少年へ手を伸ばすリン。

「あなたは…だれ…?」


そう問うが次第に少年が暗闇にのまれそのまままた一人暗闇に取り残される。

「…リ…ン…」
「リン…」

誰かが呼んでる

だれ?

だんだん暗闇が消えて目が冴えてきた


「……リン!!!
 お願い!!おきて…!!」


ビクッ


「おかあ…さん…?」

ああ、
さっきのは夢だったのね。
そうわかった時には母親は目に涙を溜めながら見つけた時と変わらず縛られた状態でいた


リンは気絶した後は縛られ地面に転がされていたみたい。背中が痛い頭も痛い。周りを見渡すも母親とリン以外誰もいなかった。

「お母さん、どうなってるの?」

「盗賊が来たのよ…
 盗むものなんてないのにね…。」

盗賊…そんなものこの森にいたんだ
なにしにきたの…こわい。

「盗賊達は?」

「もうすぐ戻ってくるわ、
 それよりリン頭大丈夫?どこか痛いところは…怪我はない!?」

頭も痛いしけど我慢出来ないほどじゃない
これぐらいで心配させる訳にはいかない。
そうリンは思い笑顔で首を横に振り大丈夫と答えた。


そうこうしていると盗賊は戻ってきた。
ぞろぞろ5人組の男達が来た。

「おお、起きたか」
「この女の子なかなか売れそうじゃね?」
「幼いなりに顔もなかなか良いし、いい商売が出来そうだな♪」

「母親の方のほうはどうする?」
「そうだな、美人だしそこそこ売れるだろう」

男達が口々にいうセリフに鳥肌が立ていく。
え、なに。売る…?なにを?

男達の顔を見ることが出来ず下を向きながら泣きそうになりながら怯えて震えが止まらずにいた。

そうすると三人の男が母親のところへ行き
違う部屋に連れ込もうとしていた。

「おい、お前ら商売品に何しようとしてる」
「いや~この女生意気だからすこ~しお仕置きしとこうと思って♪それと俺も最近ご無沙汰だからな~」「「そおっすよ!」」

「はああ…壊れない程度にしろよ。
 価値が下がる」

「うひぉ♪分かってるって♪」
「…いや!!触らないで!!」
「おい、そんな暴れんなよ~♪手がウズウズしてくんだろうがあ?な?な?」


そう言いながら母親の髪の毛を掴み連れていこうとする。


お母さんをどこに連れていくの…?
やだ…行かないで…お母さん!!


「お母さんを連れていかないで!!」

「ああ?」

「お母さんになにする気!!
 お願い!やめて!!」

必死に震える体を抑えながら
顔を上げ母親を連れていこうとする男に睨みつける。

「ピーピーうるさいなあ~」

ドンッ!!!

「ゔぅっ!!」

三人のうち一人の男が近づいてきたと思ったらいきなりお腹をおもいっきり蹴られリンはあまりの痛さに蹲り動けなくなった。

そこへ母親が急いで駆け寄り庇うように男の前へでてきた。

「やめて!!リンに!娘に何もしないで!」
「大人しくしてればなにもしねーよ」
「うるさくなったらまた蹴っちゃうかもよ~♪」

お母さんは男達を睨みつけながら私の方を向きなおしたと思ったら耳元で。
「リン?耳を塞いでいなさい。
 お母さんは大丈夫、すぐ戻ってくるわ」
「おかあ…さん?ゴホッ」
「大丈夫。待っていて。」

母親はリンに笑顔で微笑んで男達の方へと戻って違う部屋へと消えていった。



必死に耳を塞ぎ時間が経つのを待ったお母さんが戻ってくることを信じて。
その間も他の男達はなにかするでもなく二人が終わるのもまだって待っていた。リンには何もする気はないようだ。




それでも恐怖は消えない。



何も聞こえない何も見えない何も…!!!
リンは目を閉じ耳を塞ぎ考えるのをやめた。









そう何時間ぐらいたっただろう…




キーっと音を立てながら部屋のドアが開いた。男達はなにか焦ったようにボスらしき人に近づいたかと思ったら殴られてた。

だがその三人は悪びれもなく最後には笑って
「………は暴れたのが悪い」
「………がいなくてもこの娘がいるんだから大丈夫だよ~♪」
「具合はよかったっすよあれ♪」
「はああ、お前らと来たら…まあこうなることも予想の内だからもういい。」


え。いまなっていったの?
聞き取れなかった

誰がいなくても大丈夫なの…?



男達が言っていた誰かは母親の他居ないことにリンは分かってはいたが理解したくなった。

「おかあさん…お母さん!!お母さん!!」
「チッうるせーなーお前の母さんよえーな?すぐ壊れたぜ」
「うそよ、お母さん!!戻ってきて!!」
「分からねーなら見せてやるよ♪」

そう言うと男はリンを担いで母親と男達が入っていった部屋へと連れられた。そこには紛れもない母親で服は破り捨てられボロボロになった母親がベットの上で眠っているかのように息をしていなかった。


「うそ…お母さん…おきて?
 大丈夫っていってたのに…ねえおきて!」
「ピーピーうるぜーぞ!!死んでんだよ!
 おめーも同じ目にあいてーのか?」

またもやお腹を蹴られ地面に叩きつけられたリンの目には涙が流れ落ちもうその目には何も移していない暗く死骸のような目になっていた。そのまま意識を失いまた暗闇へと落ちていった。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

結婚相手の幼馴染に散々馬鹿にされたので離婚してもいいですか?

ヘロディア
恋愛
とある王国の王子様と結婚した主人公。 そこには、王子様の幼馴染を名乗る女性がいた。 彼女に追い詰められていく主人公。 果たしてその生活に耐えられるのだろうか。

恋人の水着は想像以上に刺激的だった

ヘロディア
恋愛
プールにデートに行くことになった主人公と恋人。 恋人の水着が刺激的すぎた主人公は…

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。

せいめ
恋愛
 メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。  頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。   ご都合主義です。誤字脱字お許しください。

【完結】お世話になりました

こな
恋愛
わたしがいなくなっても、きっとあなたは気付きもしないでしょう。 ✴︎書き上げ済み。 お話が合わない場合は静かに閉じてください。

処理中です...