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本編
渡されたのは女子の制服!?
しおりを挟む「というわけで、今日からお前には女子校に通ってもらう」
ーー何がどういうわけなのか。
四月、桜咲く出会いの季節。
オレ、 神崎 悠も新高校一年生として、新しい学校、新しいクラスメートへの期待に胸を膨らませながら、朝食のトーストを口に運んでいた。
テレビの左上に表示された時間を確認して、もうそろそろ家を出ないとな、と鞄を手に取り玄関に向かう。
突然、それを阻むように黒いスーツの男が目の前に立ちはだかった。
黒いスーツの男、もとい兄・ 神崎 司が、眼鏡を人差し指でクイッと上げて、こちらを見下ろしていた。
その仕草、イラッとするからやめてほしい。
「今のニュース、見てただろう?」
「時間は確認した。ニュースの内容は聞いてない」
「そうか。ならば仕方ない。車の中で説明するから、お前はとにかくこれに着替えるんだ」
そう言って手渡されたのは新品の制服だった。
白のワイシャツに、白ラインの入った灰色のベストと黒のジャケット。
そして、モノクロに彩りを付けるかのような赤チェックのリボンとスカートが……
「女子の制服じゃねーか!」
「女子校だから当然だろう。大丈夫だ。きっと似合う」
「全然意味がわかんねー!フォローにもなってないし!こんなのオレは着ないからな!!」
鞄の持ち手を掴み、オレは兄貴から逃げるように足早に玄関へと向かう。
がしかし、早々に追いつかれ、右手を掴まれてしまう。
振り解こうとしてもビクともしない。
くそ、こういう時に"能力"を使いやがって…!
「申し訳ないが急なことで時間がないんだ。自分で着替えないなら俺が着替えさせるぞ」
「は!?やめろ!この変態が!警察呼ぶぞ!?」
「警察は俺だ」
「ほんとそれ、警察の人事も無能だよな!!」
この変態の言う通り、この変態は警察庁に勤務している。
警察庁能力取締課、それが兄貴の所属先だ。
主に"能力"を用いた事件や事故を捜査し、解決に導く仕事がメインで、俺自身、兄貴に頼まれて今までに何度か手伝いをしたこともある。
今回もきっと、その手伝いの依頼なのだろう。
「あのな。入学式がどれだけ大事か兄貴も分かるよな?友達作りは最初が肝心なんだよ」
「どんなに長くても1週間限りの話だ」
「1週間!?今日だけじゃねーのかよ!そんなん絶対行かねーからな」
「……悠は、この制服のこと知らないのか」
兄貴は女子の制服を前に掲げ、仁王立ちをする。
何ともうざったいことに、眼鏡キャラ特有のレンズを格好良く反射させる演出付きだ。
「いや、知らねぇけど」
「これは、第2等級高等女子校、白鳥高等女学院の制服だ。白鳥と言ったら、女子のルックス平均値が高いことでも有名」
「……で?」
「この機会なくして、白鳥の美人女子高生と出会う機会は皆無だ。というか、現役女子高生と会う機会はないと言っても過言ではない」
こいつ、女子高生を餌にオレを釣ろうとしてやがる。
そんな手に、引っかかってたまるか。
オレは、欲望で動くような男なんかじゃない。
「今回の仕事は、女子高生を守ることに繋がる大事な任務だ。女子高生たちの安寧を守る手助けをしてほしい」
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