20 / 66
タツミ補整
しおりを挟む
ズレてもいない眼鏡を思わず直してしまった。
え? この眼鏡ってタツミが格好良く見えるようなレンズだっけ???
それとも豹が異常に好きになる効果でもつけてもらったんだっけ???
やだ、どうしよう心臓、可笑しくなっちゃう。
「ネネ」
「ダ、ダメ」
後退して、腰が机にぶつかる。
カーテンは閉まっている、だから灯りはランプだけ、天井にも灯りがあってどこにスイッチがあるんだろうって探してたの。
部屋を入る前、その奥にお風呂もトイレも見えていたから、後で入ろうかなって。
夕飯はタツミの眼鏡を待ってる間に唐揚げとおにぎりを食べた(二回目だけどピヨは万歳してた)。
で、豹さんはベッドに近付いて鼻で布団をずらしたりしてた、だからそのまま寝るのかなって私も背を向けて部屋の灯りを探していたら、名前を呼ばれて……。
息が出来なかった、タツミがカッコいいなんて初めから分かってたけど、そんなの知ってたけど…………。
いつもは暗闇でぼやけていた彼の体に顔に耳に尻尾、こんな遠いい距離からでも鮮明に見えて、息が苦しくなる。
「ネネ?」
「来ちゃいや」
ベッドの上でタツミの真っ白い体が映える、大きな筋肉質な体、彫りの深い目鼻に綺麗な混じりのないブロンド、この国での象徴で英雄とされている豹柄。
淡いランプの光に浮かび上がる芸術品のような体に、一歩も近づけなくなってしまった。
そうなんだ、私っていつもこんな人の近くにいたの、怖いような変な感覚、それと同時に薬の切れた体がドクンドクンって発情の血液を体に巡らせてる。
何かされた訳じゃない、見ただけ、ただ、タツミを見ただけでこんな苦しくなって呼吸が制御できない、触る事もできなくなるって私は何の病気なんだろう。名前呼ばれただけで耳ジンジンしてる。
鼻と口を塞いでタツミの匂いを嗅がないようにするけど、無理。勝手に五感がタツミを探ってしまうもの、体がどうにかなりそうだ。
というかタツミ、眼鏡してないじゃん。
「ネネ」
「…………うん」
エメラルドがぼうっとランプに共鳴して光る、視線が絡んだだけなのに脳までびりっと痺れて、これも魔力なのかな。
「来て」
「…………」
「おいで」
「…………」
唇、噛んで……やだやだって小さく首振る。
「何で」
「ッ……だって」
「だって?」
目の奥きゅうって熱くなって、どうして泣きそうなのかわからない、でも一つ言えるのは。
鼻がツンってしてぎゅって閉じた目から涙がポロポロ零れてしまった、お洋服に胸のとこ握って。
「タツミが好きで好きで大好きだから、そっちに行ったら可笑しくなっちゃうからやなの」
「うん」
「ドキドキしてここから動けないんだもん、見てるだけでもう充ッ」
言葉の途中だったのに、首の後ろの、いつもタツミに咥えられて移動するとこに歯が当たったなって思ったら、私の体は一瞬でベッドの上にいた。
「俺が何、聞こえないから連れてきた」
「だからダメ、ダメダメダメ!! タツミが大好きだからこんな近くにいたら」
抱き寄せられて、ふわっと耳の所の毛を擽られて息が乱れる、真珠の体、輝く瞳、彫刻みたいな整った顔、そんな人が息のかかる距離にいて、もう体がそれだけで熱くなっていた。
「こんないい匂いしてるのにダメ?」
「ダメだよ、ダメにして? これ以上されたらネネ受け身になれない」
「受け身?」
顔を覗き込まれて、涙を舐められてゾワッて目の奥から血が滾る、頬を滑った舌の感触に我慢していた糸がプツリと切れた。
タツミに飛び付いてカプって肩を噛む。
皮膚の薄い、柔らかいようで硬い筋肉質の肉に私の細い牙が食い込む。
タツミの牙なんかより私のが細いから痛いはずだ、でも今は心臓の音止まらなくて噛み付いてフーフーって変な呼吸しちゃってどうにもならない。
タツミはビクンってしたけど、肩に噛み付く私の頭を優しく撫でてくれた、少し牙を離して、胸ズキンってする。
だって、タツミはいつも私を噛むけど血が滲むことはないから、でもタツミの肩には私の歯型からつぷっと赤い血が盛り上がってる。
心臓ズキンズキンして、謝らなきゃなのに、堪えられなくて零れそうな血を舐め取った、取ったら舌にタツミの血が滲んで甘いその味にゾクゾク鳥肌が立ってしまった。
始めて味わった生の血だった、新たな味蕾を刺激する味覚と鼻から抜ける鉄の香りと、甘い甘いタツミの味。
ダメ、ダメダメダメ!!!! ダメ!!!!!
必死に肩から顔を離す。もっともっと! ってなっちゃうから。
あの味に陶酔しそうになって、夢中なりそうな自分を呼び戻して首を振る、いつの間にか小さな私がタツミを押し倒してて、タツミは私の頬を撫でながら言う。
「美味しかった?」
「しくな……い!」
「嘘」
「…………」
タツミはぎゅって肩に出来た歯型の傷を摘まんで血を滲ませると、自分の口に持っていって唾液に馴染ませる。
その光景にごくって唾を飲んでしまう私の口に、濡れて光った指を持って来て舌をなぞった。
「甘く甘くて驚いた?」
「んんッ……」
「俺もそうなんだ、ネネから出るのはなんだって味わったことのない甘さでもっと欲しくなって体が可笑しくなる」
口の中、指でクチュクチュされて、唾液垂れそうでキスをした。
息がまともに出来ないような激しいキスだった、だってタツミが言うように口の中すっごい甘いんだもんサラサラの唾液だってジュースみたいで飲み干したくていっぱい舌動いちゃう。
もっと欲しくて吸い出して飲み込んで、タツミも一緒の動きするから同じ感じなのかな、当たり前だけど二本の尻尾はいつも以上にクルクル絡んでる。
おっきいタツミを押し倒すこの感覚嫌いじゃないかも、肉厚なお耳噛み噛みして、首筋から額までじんわりかいた汗を舐め上げて、しょっぱい汗すら甘くて下半身を熱くさせる。
下から胸を揉まれて声が出ちゃって、次も次ももっとされたい。
至近距離で重ならない唇、タツミがもどかしそうに舌を出すから唾液を垂らせば飲み込んでくれた、そんな仕草にゾクッてきてる。
私の膝が勝手にタツミの下半身をグリってして、タツミが目を細める。
「そこの蜜はもっと甘いから頭狂うよ」
「いっぱい舐めたい」
「視覚が揃うだけでこんなやらしくなるんだ」
「タツミがもっと好きになる補整でも掛かっているのかな」
下から長い腕が伸びてきて、私の眼鏡を直しながら、
「素直になれる魔法がかかってる」
え? この眼鏡ってタツミが格好良く見えるようなレンズだっけ???
それとも豹が異常に好きになる効果でもつけてもらったんだっけ???
やだ、どうしよう心臓、可笑しくなっちゃう。
「ネネ」
「ダ、ダメ」
後退して、腰が机にぶつかる。
カーテンは閉まっている、だから灯りはランプだけ、天井にも灯りがあってどこにスイッチがあるんだろうって探してたの。
部屋を入る前、その奥にお風呂もトイレも見えていたから、後で入ろうかなって。
夕飯はタツミの眼鏡を待ってる間に唐揚げとおにぎりを食べた(二回目だけどピヨは万歳してた)。
で、豹さんはベッドに近付いて鼻で布団をずらしたりしてた、だからそのまま寝るのかなって私も背を向けて部屋の灯りを探していたら、名前を呼ばれて……。
息が出来なかった、タツミがカッコいいなんて初めから分かってたけど、そんなの知ってたけど…………。
いつもは暗闇でぼやけていた彼の体に顔に耳に尻尾、こんな遠いい距離からでも鮮明に見えて、息が苦しくなる。
「ネネ?」
「来ちゃいや」
ベッドの上でタツミの真っ白い体が映える、大きな筋肉質な体、彫りの深い目鼻に綺麗な混じりのないブロンド、この国での象徴で英雄とされている豹柄。
淡いランプの光に浮かび上がる芸術品のような体に、一歩も近づけなくなってしまった。
そうなんだ、私っていつもこんな人の近くにいたの、怖いような変な感覚、それと同時に薬の切れた体がドクンドクンって発情の血液を体に巡らせてる。
何かされた訳じゃない、見ただけ、ただ、タツミを見ただけでこんな苦しくなって呼吸が制御できない、触る事もできなくなるって私は何の病気なんだろう。名前呼ばれただけで耳ジンジンしてる。
鼻と口を塞いでタツミの匂いを嗅がないようにするけど、無理。勝手に五感がタツミを探ってしまうもの、体がどうにかなりそうだ。
というかタツミ、眼鏡してないじゃん。
「ネネ」
「…………うん」
エメラルドがぼうっとランプに共鳴して光る、視線が絡んだだけなのに脳までびりっと痺れて、これも魔力なのかな。
「来て」
「…………」
「おいで」
「…………」
唇、噛んで……やだやだって小さく首振る。
「何で」
「ッ……だって」
「だって?」
目の奥きゅうって熱くなって、どうして泣きそうなのかわからない、でも一つ言えるのは。
鼻がツンってしてぎゅって閉じた目から涙がポロポロ零れてしまった、お洋服に胸のとこ握って。
「タツミが好きで好きで大好きだから、そっちに行ったら可笑しくなっちゃうからやなの」
「うん」
「ドキドキしてここから動けないんだもん、見てるだけでもう充ッ」
言葉の途中だったのに、首の後ろの、いつもタツミに咥えられて移動するとこに歯が当たったなって思ったら、私の体は一瞬でベッドの上にいた。
「俺が何、聞こえないから連れてきた」
「だからダメ、ダメダメダメ!! タツミが大好きだからこんな近くにいたら」
抱き寄せられて、ふわっと耳の所の毛を擽られて息が乱れる、真珠の体、輝く瞳、彫刻みたいな整った顔、そんな人が息のかかる距離にいて、もう体がそれだけで熱くなっていた。
「こんないい匂いしてるのにダメ?」
「ダメだよ、ダメにして? これ以上されたらネネ受け身になれない」
「受け身?」
顔を覗き込まれて、涙を舐められてゾワッて目の奥から血が滾る、頬を滑った舌の感触に我慢していた糸がプツリと切れた。
タツミに飛び付いてカプって肩を噛む。
皮膚の薄い、柔らかいようで硬い筋肉質の肉に私の細い牙が食い込む。
タツミの牙なんかより私のが細いから痛いはずだ、でも今は心臓の音止まらなくて噛み付いてフーフーって変な呼吸しちゃってどうにもならない。
タツミはビクンってしたけど、肩に噛み付く私の頭を優しく撫でてくれた、少し牙を離して、胸ズキンってする。
だって、タツミはいつも私を噛むけど血が滲むことはないから、でもタツミの肩には私の歯型からつぷっと赤い血が盛り上がってる。
心臓ズキンズキンして、謝らなきゃなのに、堪えられなくて零れそうな血を舐め取った、取ったら舌にタツミの血が滲んで甘いその味にゾクゾク鳥肌が立ってしまった。
始めて味わった生の血だった、新たな味蕾を刺激する味覚と鼻から抜ける鉄の香りと、甘い甘いタツミの味。
ダメ、ダメダメダメ!!!! ダメ!!!!!
必死に肩から顔を離す。もっともっと! ってなっちゃうから。
あの味に陶酔しそうになって、夢中なりそうな自分を呼び戻して首を振る、いつの間にか小さな私がタツミを押し倒してて、タツミは私の頬を撫でながら言う。
「美味しかった?」
「しくな……い!」
「嘘」
「…………」
タツミはぎゅって肩に出来た歯型の傷を摘まんで血を滲ませると、自分の口に持っていって唾液に馴染ませる。
その光景にごくって唾を飲んでしまう私の口に、濡れて光った指を持って来て舌をなぞった。
「甘く甘くて驚いた?」
「んんッ……」
「俺もそうなんだ、ネネから出るのはなんだって味わったことのない甘さでもっと欲しくなって体が可笑しくなる」
口の中、指でクチュクチュされて、唾液垂れそうでキスをした。
息がまともに出来ないような激しいキスだった、だってタツミが言うように口の中すっごい甘いんだもんサラサラの唾液だってジュースみたいで飲み干したくていっぱい舌動いちゃう。
もっと欲しくて吸い出して飲み込んで、タツミも一緒の動きするから同じ感じなのかな、当たり前だけど二本の尻尾はいつも以上にクルクル絡んでる。
おっきいタツミを押し倒すこの感覚嫌いじゃないかも、肉厚なお耳噛み噛みして、首筋から額までじんわりかいた汗を舐め上げて、しょっぱい汗すら甘くて下半身を熱くさせる。
下から胸を揉まれて声が出ちゃって、次も次ももっとされたい。
至近距離で重ならない唇、タツミがもどかしそうに舌を出すから唾液を垂らせば飲み込んでくれた、そんな仕草にゾクッてきてる。
私の膝が勝手にタツミの下半身をグリってして、タツミが目を細める。
「そこの蜜はもっと甘いから頭狂うよ」
「いっぱい舐めたい」
「視覚が揃うだけでこんなやらしくなるんだ」
「タツミがもっと好きになる補整でも掛かっているのかな」
下から長い腕が伸びてきて、私の眼鏡を直しながら、
「素直になれる魔法がかかってる」
0
お気に入りに追加
752
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。
新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる