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生と死と1
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また風が吹いて、暗い公園で漆黒の髪が揺れる、落ち着いて恩田さんは無言で頷いた。
見詰めた先の瞳孔が僅かに大きさを変える。
「覚えてない? 黒いポストって」
「黒いポスト……うん、覚えてるよ。そうだね、そっかあれは確か死んだ人を助けて」
「そう、手紙が送れるって」
「ああ、うん一時期噂になって町中のポストを見て回ったよね」
「それは女子の中だけでじゃないかな。僕達はしてない、それであったの? 黒いポスト」
「まさか、ないよ。でも急に現れるって噂だったし、正直ポストを探すよりも自転車で走りながら好きな子の話するのが楽しくてね、そこまで本気で探してなかったかな…………やだ、ごめん、そんな情報欲しくなかったよね」
「いや、そんなもんだよね」
落胆、とまではいかない。本当にあったら噂じゃないからな、そりゃそうだ。
「力になれなくて、ごめん」
「全く謝る事じゃないよ、いい年して訳わかんない事言ってるのは僕の方なんだから、そうだよ分かってたんだけどさ。何だろう……僕手紙見て三日も悩んじゃって」
「うん、だから誰かに話したかったんだ?」
「そういう事なんだろうね、きっと……うん、そう、だから話を聞いてくれてありがとう」
「いいえ」
肩の力が抜ける。そうだな、答えを求めていたようで、求めていなかった。真実とかそんなのあってないようなもんだろ。共感とは違うけど、否定されなかっただけで十分に僕の気は楽になった。
恩田さんは空き缶の飲み口を親指でなぞりながら続ける。
「桔平君の手紙にさ、私については何か書いてあった?」
「いや、僕だけ。僕と……うんそう、僕だけ」
桔平の事も書いてあったけど、そればプライベートな所なので言わないでおく。
「そっか。良かった? のかな、私烏丸君に恨まれてないか、ずっと心残りだったから」
「恨むなんて、桔平はそういう人間じゃないよ」
「わかってるよ、烏丸君は聖人みたいな人だったもんね? ああ、でもそっか兵藤君を助ける為に他の世界? 未来? から来たって事は体は子供! 頭脳は大人!! その名は! みたいな訳だから、だからあんな大人びていたのかな。達観してたよね何事にも」
「さあ? どこからがそういう桔平なんだかわからないし何とも言えないよね」
「そうだね、でもどういう気持ちだったんだろうね」
「死ぬ時の気持ち? 怖いとか?」
「まあ、それも……うーん、どうかな死ぬのは怖くないんじゃない?」
「そういうもんかな」
「自分の世界で死んでしまった人。命を懸けて助けたいと思う人にまた会えて烏丸君はどんな気持ちだったんだろう」
「いつもヘタレで申し訳なかったよ」
苦笑いすれば、恩田さんは困ったように笑った。話が一旦途切れて二人で空を見た。真っ直ぐ夜を眺めながら恩田さんは言う。
「寒いね、兵藤君はこの後どうするの?」
「ん? 帰るよ。松屋でも寄ってから帰ろうと思ってるけど」
「へえ、イイネ! 私も行きたい。ライブに集中したくて、何も食べてないから、今お腹減ってるんだ」
「あ、そっかごめん。今のって僕から夕飯誘うタイミングだった?」
「別に? そうね、じゃあ私のホテルでゆっくり食べる?」
「は?」
「ほら、私今ドイツに住んでるから、帰国した時はホテル暮らしなの、家とは絶縁……とまではいかないけど、顔の穴が塞がるまではお家の出入りは禁止されてます」
「大変だね」
「多額の投資をした娘が思う様に育たなくて身心虚脱状態なのよ、許してあげて」
「でもさ、わざわざホテルに行かなくてもご飯はどこでも食べられると思うんだけど」
「あら? 何かいやらしい事考えてる? 兵藤君紳士なんだから大丈夫でしょ。まだ話したいけど、一度に荷物を置きたいの。丁度いい、一人じゃ大変だから一緒に運んで?」
「荷物を運ぶのは構わないけど、荷物を置いたらホテルの近」
「はい、決まり、行こう」
恩田さんは僕の言葉を遮って立ち上がると歩き出して、入り口にあるゴミ箱に空き缶を投げた。僕も残りを飲んで空き缶を捨てる。
どうしよう急展開にホテルに行くと決まったけど、大丈夫なのか? 家への連絡は特に必要ない、僕がどこにいようが何時に帰ってこようが干渉されないし、バイトも明日休みだ。いや、そんな事じゃなくて、恩田さんの普通が分からないから、困る。僕だってまだ話したいって思ってるけど。
「ねえ兵藤君、荷物取ってくる間にタクシー呼んでおいて? 新宿まで」
「本気でホテル行くの?」
「荷物運んでくれる約束は?」
「したけど」
直にライブハウスに着いて、恩田さんは地下に消えて、仕方なく大通りまで出てタクシーを捕まえる。店の前までは道も細いし止めておこう、行先と事情を説明してライブハウスまで戻るとキャリーカートにボストンバッグ、段ボールを抱えた恩田さんが出て来て、慌てて荷物を持った。
「大荷物だね」
「うん、楽器がね、ちょっと重いの」
「大通りにタクシーが来てる、店の前までつけなくてゴメン」
「いいんだよ、近所迷惑なっちゃうから、店の前でごちゃごちゃするのは禁止されてるんだ」
「そうなんだね」
「兵藤君なら、言わなくても何となくこっちまで車寄せないと思ってた」
それはどういう期待なんだろう、よく分からなかったけど、彼女は嬉しそうに見えた。トランクに楽器を入れて車に乗り込んで、恩田さんは新宿のホテルを運転手に伝えた。
車内では恩田さんが留学した時に出会った音楽や文化、人との出会い、色んな話をしてくれた。
想像力のない僕に写真を見せながら話してくれて、雑誌やテレビの中で見るヨーロッパの世界を背景に一人で被写体に写る恩田さんは勇敢に見えて同い年の女の子とは思えなかった。
この年になっても海外は怖い……なんて思っている僕とそれを十六歳で経験している彼女、語彙力崩壊で申し訳ないけど、凄いなって感想しかなくて、魅力的な恩田さんと比べたら僕は油虫くらいの存在だよなって居たたまれない。
到着したホテルは、これまたテレビで特集が組まれるような高級ホテルで、僕がいなくたって荷物はボーイが運んでくれるし、パーカーにジーパンにスニーカーな僕は場違いすぎて、帰りたい。エントランスのシャンデリアがここはお前が来て良い場所ではないと言っているように煌びやかに輝いていた。
「連泊してるから、チェックインはしないよ。こっち」
「あ、うん」
が、ここで解散しても帰り道がわからない、恩田さんはカートを借りると荷物を乗せて僕が率先して運んだ。
「いつもこういう所に泊まるの」
「まさか、あっちこっち行ってマイルが貯まってたの、久々の帰国なので奮発」
「へえ」
「いつもは安いホテルだよ。楽器を盗まれると困るから、ホステルには泊まらないけどね」
見詰めた先の瞳孔が僅かに大きさを変える。
「覚えてない? 黒いポストって」
「黒いポスト……うん、覚えてるよ。そうだね、そっかあれは確か死んだ人を助けて」
「そう、手紙が送れるって」
「ああ、うん一時期噂になって町中のポストを見て回ったよね」
「それは女子の中だけでじゃないかな。僕達はしてない、それであったの? 黒いポスト」
「まさか、ないよ。でも急に現れるって噂だったし、正直ポストを探すよりも自転車で走りながら好きな子の話するのが楽しくてね、そこまで本気で探してなかったかな…………やだ、ごめん、そんな情報欲しくなかったよね」
「いや、そんなもんだよね」
落胆、とまではいかない。本当にあったら噂じゃないからな、そりゃそうだ。
「力になれなくて、ごめん」
「全く謝る事じゃないよ、いい年して訳わかんない事言ってるのは僕の方なんだから、そうだよ分かってたんだけどさ。何だろう……僕手紙見て三日も悩んじゃって」
「うん、だから誰かに話したかったんだ?」
「そういう事なんだろうね、きっと……うん、そう、だから話を聞いてくれてありがとう」
「いいえ」
肩の力が抜ける。そうだな、答えを求めていたようで、求めていなかった。真実とかそんなのあってないようなもんだろ。共感とは違うけど、否定されなかっただけで十分に僕の気は楽になった。
恩田さんは空き缶の飲み口を親指でなぞりながら続ける。
「桔平君の手紙にさ、私については何か書いてあった?」
「いや、僕だけ。僕と……うんそう、僕だけ」
桔平の事も書いてあったけど、そればプライベートな所なので言わないでおく。
「そっか。良かった? のかな、私烏丸君に恨まれてないか、ずっと心残りだったから」
「恨むなんて、桔平はそういう人間じゃないよ」
「わかってるよ、烏丸君は聖人みたいな人だったもんね? ああ、でもそっか兵藤君を助ける為に他の世界? 未来? から来たって事は体は子供! 頭脳は大人!! その名は! みたいな訳だから、だからあんな大人びていたのかな。達観してたよね何事にも」
「さあ? どこからがそういう桔平なんだかわからないし何とも言えないよね」
「そうだね、でもどういう気持ちだったんだろうね」
「死ぬ時の気持ち? 怖いとか?」
「まあ、それも……うーん、どうかな死ぬのは怖くないんじゃない?」
「そういうもんかな」
「自分の世界で死んでしまった人。命を懸けて助けたいと思う人にまた会えて烏丸君はどんな気持ちだったんだろう」
「いつもヘタレで申し訳なかったよ」
苦笑いすれば、恩田さんは困ったように笑った。話が一旦途切れて二人で空を見た。真っ直ぐ夜を眺めながら恩田さんは言う。
「寒いね、兵藤君はこの後どうするの?」
「ん? 帰るよ。松屋でも寄ってから帰ろうと思ってるけど」
「へえ、イイネ! 私も行きたい。ライブに集中したくて、何も食べてないから、今お腹減ってるんだ」
「あ、そっかごめん。今のって僕から夕飯誘うタイミングだった?」
「別に? そうね、じゃあ私のホテルでゆっくり食べる?」
「は?」
「ほら、私今ドイツに住んでるから、帰国した時はホテル暮らしなの、家とは絶縁……とまではいかないけど、顔の穴が塞がるまではお家の出入りは禁止されてます」
「大変だね」
「多額の投資をした娘が思う様に育たなくて身心虚脱状態なのよ、許してあげて」
「でもさ、わざわざホテルに行かなくてもご飯はどこでも食べられると思うんだけど」
「あら? 何かいやらしい事考えてる? 兵藤君紳士なんだから大丈夫でしょ。まだ話したいけど、一度に荷物を置きたいの。丁度いい、一人じゃ大変だから一緒に運んで?」
「荷物を運ぶのは構わないけど、荷物を置いたらホテルの近」
「はい、決まり、行こう」
恩田さんは僕の言葉を遮って立ち上がると歩き出して、入り口にあるゴミ箱に空き缶を投げた。僕も残りを飲んで空き缶を捨てる。
どうしよう急展開にホテルに行くと決まったけど、大丈夫なのか? 家への連絡は特に必要ない、僕がどこにいようが何時に帰ってこようが干渉されないし、バイトも明日休みだ。いや、そんな事じゃなくて、恩田さんの普通が分からないから、困る。僕だってまだ話したいって思ってるけど。
「ねえ兵藤君、荷物取ってくる間にタクシー呼んでおいて? 新宿まで」
「本気でホテル行くの?」
「荷物運んでくれる約束は?」
「したけど」
直にライブハウスに着いて、恩田さんは地下に消えて、仕方なく大通りまで出てタクシーを捕まえる。店の前までは道も細いし止めておこう、行先と事情を説明してライブハウスまで戻るとキャリーカートにボストンバッグ、段ボールを抱えた恩田さんが出て来て、慌てて荷物を持った。
「大荷物だね」
「うん、楽器がね、ちょっと重いの」
「大通りにタクシーが来てる、店の前までつけなくてゴメン」
「いいんだよ、近所迷惑なっちゃうから、店の前でごちゃごちゃするのは禁止されてるんだ」
「そうなんだね」
「兵藤君なら、言わなくても何となくこっちまで車寄せないと思ってた」
それはどういう期待なんだろう、よく分からなかったけど、彼女は嬉しそうに見えた。トランクに楽器を入れて車に乗り込んで、恩田さんは新宿のホテルを運転手に伝えた。
車内では恩田さんが留学した時に出会った音楽や文化、人との出会い、色んな話をしてくれた。
想像力のない僕に写真を見せながら話してくれて、雑誌やテレビの中で見るヨーロッパの世界を背景に一人で被写体に写る恩田さんは勇敢に見えて同い年の女の子とは思えなかった。
この年になっても海外は怖い……なんて思っている僕とそれを十六歳で経験している彼女、語彙力崩壊で申し訳ないけど、凄いなって感想しかなくて、魅力的な恩田さんと比べたら僕は油虫くらいの存在だよなって居たたまれない。
到着したホテルは、これまたテレビで特集が組まれるような高級ホテルで、僕がいなくたって荷物はボーイが運んでくれるし、パーカーにジーパンにスニーカーな僕は場違いすぎて、帰りたい。エントランスのシャンデリアがここはお前が来て良い場所ではないと言っているように煌びやかに輝いていた。
「連泊してるから、チェックインはしないよ。こっち」
「あ、うん」
が、ここで解散しても帰り道がわからない、恩田さんはカートを借りると荷物を乗せて僕が率先して運んだ。
「いつもこういう所に泊まるの」
「まさか、あっちこっち行ってマイルが貯まってたの、久々の帰国なので奮発」
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