総務の袴田君が実は肉食だった話聞く!?

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おしまいの後

総務君達の日常2 ◎

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「ねーねー袴田さん」
「何沖田君、殴っていいの?」
「言い訳ないでしょ。いいじゃんちょっと話かけたって部下とのコミュニケーション大事でしょうが」
「別に大事じゃないですね。君達は感情のない人形が如く俺のいう事だけ聞いて黙って仕事していればいいと思ってます。なぜかというと、いくらでも替えが利くからです」

 眼鏡キリってしている袴田さんの後ろからハイジが肘を引っ張った。

「そんなこと言って~こないだボクが体調悪いって言ったら昼休みに栄養ドリンク買ってきてくれたくせにぃ~このツンデレ上司ちゃん」
「あ? それは君が仕事に穴開けたら俺がリカバーしなきゃならないから、仕方なくなんだけど。仕事ちゃんと引き継いでくれるのなら今すぐ死んでくれても俺は構わないんだけど」
「もう、雄太ったら素直じゃないんだか……っんがぁあ!!」

 引っ張った肘を思いっきり、みぞおちに入れられて、ハイジは悶絶して腹を抱え込む、ああもう本当にバカだなアイツは直ぐ調子に乗るんだから。

「で? 沖田君何、くだらねえことだと俺今機嫌悪いから、初めての時みたいに優しくできないかも」
「一服しに行きましょうって言いたかっただけです」
「ああ」

 袴田さんは腹を押えるハイジに冷たい視線を送って、蓋の開いてない缶コーヒーを差し出すと席を立った。
「俺がタバコ吸ってる間に、それでも飲んでシャキッとしといて下さいね。グダグダしてたら人事評価の業務態度に響かせます」

 そのまま行っちゃって、ハイジは直ぐコーヒー開けて飲んでウメーって背中に手振ってる。

 オレも席を立って袴田さんの後を追い掛けた。
 正直、袴田さんと話す事なんて特にない。
 話題でも振らなきゃオレ達って常に無言だ。

 つまらなそうに見えるかな? でも、それでいいのだ、喫煙所で他の部署の奴ら見てると上司にお世辞言ったり愛想笑いしたり大変そうだ。

 オレもちょっと顔見知りがいると、何か話さなきゃって焦るしさ。コミュ症だから先に人がいても声掛けるタイミングもわからないし、いつ帰っていいかもわからないから困るんだよ。
 その点、袴田さんは無言でも、なんも気にならない。

 変に話題探す必要もないし、ただ空見て、おっぱいみたいな雲……って言っても無視される、でも袴田さんが今日は日差し強いなって言ってもオレも答えないし。
 そんなオレ達だよ。どうかな寂しいかな、オレは特にそういう風には思わないけどな。


 それで喫煙所の扉を開けたら、袴田さんはもう煙草を咥えて煙を吹かしていた。



 もちろんオレと目が合っても何も言わないし、表情一つ動かさない、誰だよ総務の袴田君優しいって言ったのは。

 でもオレがタバコを取り出したら、袴田さんは何も言わずにライター出して火を点けてくれた。
 ちゃんと火が灯ったのを見届けてからポケットに引っ込めて、煙を吐き出す。
 そんでやっぱり俺達に会話はなかった。



 そんなツンが9割を占める袴田さんだが、1だけはデレるのだ。
 もちろん、さっきハイジが言った栄養ドリンクなんかじゃない。
 この人はオレ達になんかには死んでもデレないだろうよ。
 だって袴田さんのデレはそんなレベルじゃないから、1のデレが尋常じゃない。



 ちょうど午後、その瞬間はやってきた、PCに向かっていた袴田さんが突然両拳を握り締めて







 ゜+。:.+。(っ'ヮ'c)ウゥッヒョオアアァアアアァって……一人で感極まってぷるぷるしてて、何をそんなに? と思って覗き込んだら尾台さんとメールしていた。
 内容はこうだ、


【はいはい、もうわがままなんだから。でも頑張ったもんね? じゃあ今夜はーハンバーグとケチャプライスとエビフライ、スパゲッテイとタコさんウィンナーね? 野菜も食べるんですよ! ふふふ雄太君ランチ……楽しみだね。デザートはプリンあーんで食べますか?】



 まぁああああってくれよ、オレもわぁあああ!! ってなるわこんなん!!
 袴田さんはデレながら返信してて、お前の業務態度いかがなもんだよオイ!! いいなあ、尾台さんが作ってくれるお子様ランチ。

















金髪袴田君バージョンもあるから皆でデュフフってしようず。


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