総務の袴田君が実は肉食だった話聞く!?

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袴田エンド

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「ダメに決まってるでしょ!」
 グイッと顎を押してゾクゾク防止したのに、体めっちゃ触ってくる。

「決まってないですよ、だって俺達役所に受理されてないだけで、もう夫婦でしょう? 尾台さんは俺と結婚したいからコレ書いてくれたんじゃないの?」
「何で持って来てるの!??」

 どういう訳か記入済みの婚姻届け出されて取り返そうと手伸ばしたら、眼鏡直しながらヒョイって上げられてしまった。

「俺尾台さんが思っているより五億倍は尾台さんが好きなので絶対に結婚しますよ」
「五億?!! どっからくるんですかその数値! なんか怖いから、やっぱや!!」
「何が怖いの? 言って下さい」

 言おうと思ったらキスされて、離れて。

「だっておじいちゃ……」
「大丈夫、今度は頷くまで話し合うし、祖父は尾台さん好きなタイプですよ」

 またキスされてグイグイ舌入ってくる、あ、ちょっと待ってそんな急に唾液渡されてもって服ぎゅって掴んだけど舌の奥押されて勝手に喉に流れてく。

「んんんッ!!」

 苦しって目開けたら、袴田君はバッチリ私を見ていた。
 唇を離して飲み込めなかった唾液を舐め取ってまた口に入れてくる、髪を撫でながら舌舐めずりして言う。

「相変わらずこういうの好きですね尾台さんは」
「す、好きじゃないですぅ!」
「そっか、でも体熱いし顔赤いですよ。ねえちょっと強引にされるの好きですよね?」
「嫌い!」
「大好きですよね」
「大嫌い!!」
「はいはい」

 拒絶の言葉を口にしてるのに、袴田君は頷いて婚姻届けを内ポケットに入れた。

「もう一度抱き締めてもいいですか」
「ん? うん」

 両手を広げる胸に飛び込んだら優しく体を包まれて、袴田君の胸が大きく動く深い呼吸が聞こえて胸の音と匂いが相変わらず心地好かった。


「尾台さんを……」
「うん?」
「助けてあげたい、守ってあげたいって思っていたのに、いつの間にかその先にある俺も認めてもらいたいとか好きになってほしいとか、そういう欲に気が付いて、俺はあんなににゃんにゃんさんに救ってもらったのに結局また自分の事しか考えてないんだって迷走してました。尾台さんの幸せってなんだろうって」
「うん」
「桐生さんはやっぱり凄い人で、最後まで自分の功績を引き合いに出してあなたの気を引くような真似はしなかったし、手を出したりもしなかった。それでいてちゃんと尾台さんの孤独に気が付いていた、その原因も後一歩の所まできていた。でも俺は尾台さんの過去を知っておきながら行動も起こさず、最後になって汚い手を使って救う振りをして尾台さんを手に入れようとしてた」
「もういいよ、私さ急に袴田君が現れて正直引いたし、超優しくしてくるし何でもお見通しだし意地悪するし、エッチだし毎日好き好き言うし、絶対この人裏がある! って思ってた、でもそんな風に思うのにいつの間にか好きって気持ちが押さえられなくなってて、しかも昔の私まで知ってるし、本当はエッチしてないって言うし、でもそれを聞いてもっともっと袴田君が好きになりましたよ。そんな昔から私を想ってくれてたんだって、そんな私を大事にしてくれてたんだって。助けてくれたのも守ってくれてたのも、ちゃんと届いてます。でも私袴田君の前では突っ張りたくて…………だから言葉に出来なくて不安にさせましたよね、ごめんなさい、許して?」
「許すなんてそんな……」
「急に袴田君に突き放されて、お茶飲んでゆっくり考えろって言われたのに、結局頭の中は袴田君だけ。どうやったらまた仲良くなれるかなってこの考えてる間に私を嫌いになったらどうしようってずっと不安でした。会社……無断で休んじゃったし甥っ子が来る前に勝手に引っ越すなんて、こんな自分勝手な私生まれて初めてです。でも、なりふり構ってられなかったんだ。だって来週袴田君が本社行っちゃったらって考えたら今全力で袴田君に気持ち伝えないでいつ言うんだろうって、袴田君もそうだったんじゃないの? 私の事が好きで好きで仕方なくてしたんじゃないの」
「はいそうです、好きで好きでずっと一緒にいてほしくて」
「なら、もういいじゃないですか。私達は夫婦になるんだから差さえあっていきましょうよ。私、頑固だからきっとあのくらいのスタートじゃないと心開けなかったよ」


 胸から顔を上げて、泣きそうな頬に手を添えた。

「私、袴田君といると心の底から笑えるの素直な私でいられるんです。凄い落ち着きます…………もう一人でいる時より袴田君といる時の方が気持ちが安らぐんです。こんなの今までの私にない感情で、袴田君と離れたくないです」
「尾台さん…………」




「だからずっと側にいて? 袴田君の笑った顔もたくさん見せて下さい、袴田君が辛い時は私が助けるから」




 頬にキスをして、唇をゆっくり離したら眼鏡の奥の目がきらきらしていた、見つめ合って少しして袴田君は微笑んだ。




「はいずっと側にいます、尾台さんだけを愛して生きていきます。一生一緒にいて下さい死んでも大切にするって誓います」
「あ、あ、相変わらず重いね!」


 恥ずかしくなってきて胸に顔埋めてぎゅってした。
 無言の時間だった、袴田君の腕時計の音だけが聞こえて、落ち着く~ってしてたのにちょっとしたら袴田君の動悸がヤバイ事に。

「はぁぁあ……本当に……はぁあ……尾台さん…………あああぁあ本当に袴田エンドで……いいんですか……はぁはぁ」
「え? 袴田君エンドってハッピーエンドでしょ? え? 嘘バッドエンドなの? ちょっと聞いてる? はあはあするの止めてもらえますか!!」
「もうコレは永久保存版ですね」
「ん?」

 袴田君はちょっと体を離すとジャケットからボールペンを取り出してグリップを引いた。
 赤い点滅が止まって。

「録音終了です」
「盗聴しないで下さい犯罪ですよ」
「何がですか? 尾台さんと俺が愛を分かち合った瞬間ですよ!」
「録ったとして、いつ聞くんですか!」
「そんなのは昼夜問わず聞きたい時にいつでも聞けばいいでしょう、子供の寝かし付けの時もこれを流しましょうね」
「やだよ」
「朝もコレをBGMに流して起こして下さいね、あ、ご飯食べる前にも一度目をつぶって聞くし、出勤前にも手を合わせて唱和しましょう、セリフの交換したりなんかして、うっわ楽しみ! それも録音しましょうね、練習しなきゃ! もちろん出産の時も必ず流」
「もうそれ嫌がらせの域だから、どんだけ嬉しいの」
「明日死んでも可笑しくないくらい嬉しいです。だって俺の初恋が叶ったんですから」

 袴田君はふぅと熱い溜め息を吐いてジャケットの脱いだ。

「ちょっと服脱ぐから待っててもらってもいいですか」
「何で脱ぐの」
「尾台さんとセックスするからですよ、この流れて俺が真剣な顔で尺八吹いたら驚きませんか」
「それはいつ吹かれても驚くので止めて下さい」

 ベスト姿になって格好いいのにネクタイ緩めてる。

「ダメ!!」
「ん?」
「スーツの彼氏とエッチ出来る特権も分からないんですか!! そんなのも分からないなら近寄らないで下さい!」
「…………」
「眼鏡も外しちゃダメなんだからね! 別にエッチしたくないけど!」

 と言ったら袴田君はベストのボタンを外す手を止めた。
 いや、特権って何だよって思うけど、私ラブリスで袴田君裸ってちょっとおしいと思ったから。

「そっかごめんなさい、尾台さん優先で考えたいので、何か要望があれば」
「鞭」
「おっとそれはちょっと袴田家に来る日はな……いや、尾台さんがされたいっていうなら頑張って叩きますけど……あ、でも待てよ尾台さんの真っ白なお尻に真っ赤な」
「嘘ですよ、本気にしないで下さい。でも私は脱いでいいですか、この完成度の低い状態でいるのさっきから、凄く気持ち悪いんです」
「そうなんですか」
「そうでしょう! 私だってコスプレイヤーの端くれだったんですよ! するなら完璧な状態でしたいです。でも、昨日考えてたんですがレイヤーって写真写りの一瞬に命懸けてますから、キャラクターとシンクロしたくてテーピング使って皮膚引っ張ってるし眉毛だって全部消すんですよ。前髪はこの状態! みたいなこだわりあってのりで固定するし。その状態を維持してエッチできますかね、袴田君激しいからキスの段階でメイク取れないですか。エッチ中にウィッグ外れたらネット被ってるしテーピングしてるしで何かもう双方気持ち萎え萎えな大惨事になりますよ」
「尾台さんは本当うるさ可愛いですね。そんな真剣に俺とコスプレエッチする事考えてくれてたんですか」
「うっ!」

 図星! って唇噛んだら目を細められちゃって後退した、したら距離詰められて腰引き寄せられる。

「やっん」
「だったら尚更今した方がいいじゃないですか」
「ひっ……」

 顎から耳まで舐め上げられて、ぞわって力が抜けた瞬間、袴田君は軽々私を抱き上げてベッドに寝かせた。

 覆い被さってきて、顔が近くて好きすぎて格好良すぎて恥ずかしいから横向いとく。
 ふって袴田君の笑い声が聞こえて頭や顔にキスが降る、される度体反応しちゃうしドキドキが急上昇で目開けられない。

 耳にキスされて我慢してたのに声が出てしまった。
 ふっと息を掛けられた後、柔らかい舌が産毛を濡らしながら奥に入ってきて背中にゾクゾク走る、息と一緒に低い声が、

「ねぇ尾台さんここのシーツ交換する時」
「やだ、袴田君そこでしゃべッ」
「一人エッチした?」
「ぁうっ」
「尾台さん俺の匂い大好きでしょ? ちょっと寝転がってみようってコロンてしてクンクンして、体熱くなっちゃってしたんじゃないんですか」
「う、う、う……」
「答えられないの? 耳まで真っ赤にして唇噛んで本当にエッチですね」
「止めて……下さ」

 寝かされて一分でもう私は体が芯から熱くなっていた。
 水っぽい音が頭の中まで響いて低い声に支配されてく。

「俺が責任もってもっとエッチな子にしてあげますからね」
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