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「あなた誰に向かってものを言ってるの!」
「今話しているのは葛西さん以外にいませんが」
「人を馬鹿にしていい加減にしなさいよ! 何を吹き込まれたのかしらないけれど、私は所長と同期なのよ! ここを作ったのも大きくしたの私なのよそんな事も知らないの?!」
「それは語弊を招く言い方ではないですか、葛西さんは勤続年数こそ長いですが、現状役職に就いている訳でもありませんし、誇示できる権力も行使できる実権もないと思いますが」
「私は営業よ? 私がいないと会社は回らないの、昨日来た総務が私に意見するなんて笑わせるわね。総務なんてお金を運んでこないじゃない!」
「論点をすり替えないで下さい。葛西さんが現在まで会社に尽力し、残した功績はこちらも高く評価しています。ですが、それと領収書改ざん、横領、備品の窃盗、個人へのパワーハラスメント、これとは別件です座って下さい大人の対応をお願いします」
「だから? 仕事を頑張っているなら少しくらい優遇されたっていいでしょう。パワハラなんて誰が言ったのよ!」
「証人は多数いますよ、特定の社員に侮蔑的な態度をとったり、身体的特徴を揶揄したり、指導を越えた不必要な叱責があったと聞いています。こちらに音声も残っていますが」
「叱責って……ああゆとり世代? 本当に面倒臭いわね! 昔はこんなの当り前よ。少しきつく言った位で犯罪者扱いされたんじゃ何も話せないわ!!」
「感情を抑えて下さい。あなたのしている事は少しの優遇ではないです、犯罪だと言っているんです」
「皆やってるわよ! これくらい」
「やっていません。認めませんか」
「認める訳ないでしょう!」
「ではこれを」
葛西さんの前に一枚の紙を出して眼鏡を直して彼女を真っ直ぐ見た。
「告訴状です、証拠は充分にあります。あなたが横領金を返済するのであればこれを警察には郵送しません。ですがあなたはこれまでに五百万円以上の横領を働いてます。百万円を超える横領で有罪になれば実刑になる可能性が高いです。そして窃盗、パワハラ、はっきり言います、あなたは会社を退く以外道はありません。ですが会社を出た後刑務所に行くのか、家に帰るのか、というご相談です」
「あなたいくつ……出身は? 大学は? 家族は?」
「二十六才東京都出身京都大学卒業祖父がとある企業の会長です。他に聞きたい事はありますかマウントなんて取らせませんよ、私には恫喝も泣き落としも通用しません。ねえ葛西さん威圧すれば言う事を聞くのは営業部だけです。総務はあなたなんぞに屈しない」
「所長を呼びなさい!!」
「呼んでもいいですよ」
「話はそれからよ」
「でも俺の方が格が上だぞ」
女性の舌打ちを初めて聞いた。
葛西さんは身震いしながら握り込んだ両拳で何度も机を叩いて、ふざけるんじゃないわよ!! っとそれは外へ聞こえる位の怒声を発して部屋を出て行った。
「クッソばばぁ逃げやがって認めるまで帰さねえぞ、ぜってー沈めてやる」
席を立ったら両脇の二人に腕を引っ張られて。
「待って待ってよ袴田さん!! 僕ちびっちゃうからぁあ!! もう止めて下さい! 今日の袴田さん今までで一番パネェよ!!」
「袴田さん!! 何ですか最後のはったり!! 俺達が一番下っぱでしょうが! 本当止めて! オレ童貞なんですよ! 幼女じゃなくてもいいから卒業してから死にたいのぉ!」
「離せよ、ここで引き下がったら総務が舐められるだろうが、懲戒解雇を温情処分にしてやるって言ってんのにあの野郎、息の根止めてくる」
「止めないで! 袴田さん敬語! 敬語!!」
「目が犯罪者!!」
眼鏡を直して、
「犯罪者はあちらですよ分かってますこれは比喩です。お前らはここで待ってろ五分経っても戻らなかったら助けに来てね?」
「嫌です!」
「お疲れ様でした!」
「何かあったら、全部俺のせいにして本社に帰れ」
「ちょっと袴田さん!!」
優しく部下に見送られとりあえず葛西さんの後を追う。
どこの席だっけなんて見渡さなくても彼女は直に目についた、さっきの尾台さんに大声で何か言ってる、助けなきゃ……いや、俺の制止なんて必要なかった。
「すみませんけどー葛西さんは会社を辞めるんですよね? だったらもう部外者も同然なんで僕の部下に触らないでもらえますか」
なんて呑気な口調と笑顔で桐生さんが間に入った。
違うなあれは余裕なんじゃない、きっと…………きっと尾台さんを怖がらせないため怒りを抑えているだけだ。
近寄るのを戸惑った。
だってコレ、明らかにヒーローがヒロイン救ってる図なんじゃないのかって。
ほら見てみろよ二人はしっかり手を握ってる、俺が出て行かなくたってこの場は桐生さんと……ああ他の営業のやつらも席を立ってるし収拾できるだろう。
さっきまでの闘志はどこへやら、たった一時間足らずで恋から失恋まで経験して、俺はここにきて失速した。
失恋……失恋なのかなこれは、でもこの敗北感みたいな呆気なく終わった感覚、得てもいないのに胸に響く喪失感と漏れそうな溜め息は、にゃんにゃんさんを失った時と同じなんだよ。
俺の出る幕じゃないな……。
そう思ったのに尾台さんの顔を見ているのが辛かった、桐生さんにもう止めてって僅かに揺れる頭。
ああそうか、このまま葛西さんが桐生さんを傷付けたら、彼女の良心が更に痛むかもしれない、私のせいで桐生さんが傷付いたと。
そんな思いと、彼女に認識されたいという願望とが混ざり合って体が勝手に動いた、気付いた時には今にも振り下ろされそうな葛西さんの手を掴んでいた。
「葛西さん、これはちょっと看過できませんね。あなたにはさっき業務上横領罪、窃盗罪、パワハラについて詳しくお話したと思いますが、暴行罪までつくとなるといくら所長でも擁護しきれなくなりますよ。もう諭旨解雇ではなく懲戒解雇処分になりますが、どうします? 手を離してもいいですか」
歯ぎしりが響いて手を振り払われて、葛西さんはまた一声怒鳴ってその場を離れた。
桐生さんと視線がぶつかる、彼は少し口角を上げ目を細めて頷いた、ありがとうって表情。
そうだよな、桐生さんもまた分かってる、これ以上したら彼女が傷付くって境界線。
でももう黙っていられなかったんだろう。
ズキ。
って何胸痛めてんだよ、分かってた事じゃないか。
だって桐生さんは本社まで来て土下座したんだよ、彼女の為に。
そんな事初めから分かっていたじゃないか。
営業成績トップで、ストライキを起こせる程人望も厚くて、容姿も完璧だ。
ああわかってるよ、そうだよ、この人は他人からの評価なんて気にしてないだろうよ、今までの業績を擲ってもいいって彼女のためなら命だって差し出す覚悟があったんだもんな。
完敗だよ。
住む世界が違う、勝負すら挑めないだろ、今日初めて尾台さんを見た俺と桐生さん。
俺の恋は呪いでもかかってんのかな。
「今までごめんな尾台」
葛西さんの姿が見えなくなると彼女は堰を切ったように泣いた。
隣にいた女性社員にそれを拭われて、懸命に泣きたくないと顔を左右に振りながら両手で目を覆う、ごめんなさいごめんなさいと大粒の涙が止めどなく流れ落ちた。
今日初めて会ったのに気を抜かしたら俺までもらい泣きしてしまうところだった。
さっき話した時は不満はないなんて言っていたけど、その止まる事のない涙と押し殺すように滲みでる声は彼女が今までどれだけ耐えてきたのか現していた、家でもこうして泣いていたんだろうか。
この人は…………一人で。
悔しくて悲しくて痛くて辛くて怖くて……見ているだけで勝手に感情が流れ込んでくる。
今日初めて会った人なのに全ての感情が刺激されて、何でか泣いているその姿は少女のようにも見えた。
瞬きを何度しても消えない、彼女の涙が脳裏に焼き付いた。
すみません、私のせいで……。
釣られて涙する男までいて、涙を見られるのが嫌なのか桐生さんは尾台さんにずっと背を向けていた。
泣いていると悟られないため、頬を伝う涙を拭う事すらしなかった。
ああ、これがヒーローかって思い知らされた。
こんな人この世にいるんだ。
一言冗談を交わしあって張り詰めた空気が解ける。
桐生さんが一振り目を拭った所で、課長の佐々木さんがその肩を叩いた。
一瞬彼女と目が合った、でも直に逸らしてしまった。
胸、痛すぎるだろう、何だコレ。
【お前は海なんて嫌いなんだろう、いいよ僕達だけで行くから】って俺だけ省かれたあの日の日曜日を思い出した。
疎外感。
そんなの当たり前なんだけどさ、昨日きた俺達がこの輪に入れる訳はないのだけれど寂しいもんだな。
でも良かった、これでもう営業部は大丈夫な気がする彼女を救えて良かった。
そうしたら、
「早まらないで下さい! 袴田さん!!」
「ん?」
新井君が後ろから腰を掴んできて見たら舌を出した。
「なーんて、袴田さんを止められるのは僕達しかいないと思ったんで来ましたよ」
「ちゃんと見てましたよ、必死にドエス封印して穏便に格好つけてる袴田さんの勇姿」
二人共にやにやしていて、何でこいつら見て安心しなきゃいけないんだよ。
でも、
「ああ……あのさ」
「何スか」
「新井君も沖田君もありがとうございます、これからも宜しくお願いしますね」
「え、やだ怖い」
「袴田さんがありがとうだなんて、そんな感情もあったんですね」
「部屋に戻ったらお二人の脳天を拳で二発ずつぶん殴りますね」
「袴田さんパワハラって知ってますか」
「だから何なんですかそのキャラ」
笑う二人を見て、ああ、そうだな俺はこのままじゃいけないなと思った。
俺も変わらなきゃ。
「今話しているのは葛西さん以外にいませんが」
「人を馬鹿にしていい加減にしなさいよ! 何を吹き込まれたのかしらないけれど、私は所長と同期なのよ! ここを作ったのも大きくしたの私なのよそんな事も知らないの?!」
「それは語弊を招く言い方ではないですか、葛西さんは勤続年数こそ長いですが、現状役職に就いている訳でもありませんし、誇示できる権力も行使できる実権もないと思いますが」
「私は営業よ? 私がいないと会社は回らないの、昨日来た総務が私に意見するなんて笑わせるわね。総務なんてお金を運んでこないじゃない!」
「論点をすり替えないで下さい。葛西さんが現在まで会社に尽力し、残した功績はこちらも高く評価しています。ですが、それと領収書改ざん、横領、備品の窃盗、個人へのパワーハラスメント、これとは別件です座って下さい大人の対応をお願いします」
「だから? 仕事を頑張っているなら少しくらい優遇されたっていいでしょう。パワハラなんて誰が言ったのよ!」
「証人は多数いますよ、特定の社員に侮蔑的な態度をとったり、身体的特徴を揶揄したり、指導を越えた不必要な叱責があったと聞いています。こちらに音声も残っていますが」
「叱責って……ああゆとり世代? 本当に面倒臭いわね! 昔はこんなの当り前よ。少しきつく言った位で犯罪者扱いされたんじゃ何も話せないわ!!」
「感情を抑えて下さい。あなたのしている事は少しの優遇ではないです、犯罪だと言っているんです」
「皆やってるわよ! これくらい」
「やっていません。認めませんか」
「認める訳ないでしょう!」
「ではこれを」
葛西さんの前に一枚の紙を出して眼鏡を直して彼女を真っ直ぐ見た。
「告訴状です、証拠は充分にあります。あなたが横領金を返済するのであればこれを警察には郵送しません。ですがあなたはこれまでに五百万円以上の横領を働いてます。百万円を超える横領で有罪になれば実刑になる可能性が高いです。そして窃盗、パワハラ、はっきり言います、あなたは会社を退く以外道はありません。ですが会社を出た後刑務所に行くのか、家に帰るのか、というご相談です」
「あなたいくつ……出身は? 大学は? 家族は?」
「二十六才東京都出身京都大学卒業祖父がとある企業の会長です。他に聞きたい事はありますかマウントなんて取らせませんよ、私には恫喝も泣き落としも通用しません。ねえ葛西さん威圧すれば言う事を聞くのは営業部だけです。総務はあなたなんぞに屈しない」
「所長を呼びなさい!!」
「呼んでもいいですよ」
「話はそれからよ」
「でも俺の方が格が上だぞ」
女性の舌打ちを初めて聞いた。
葛西さんは身震いしながら握り込んだ両拳で何度も机を叩いて、ふざけるんじゃないわよ!! っとそれは外へ聞こえる位の怒声を発して部屋を出て行った。
「クッソばばぁ逃げやがって認めるまで帰さねえぞ、ぜってー沈めてやる」
席を立ったら両脇の二人に腕を引っ張られて。
「待って待ってよ袴田さん!! 僕ちびっちゃうからぁあ!! もう止めて下さい! 今日の袴田さん今までで一番パネェよ!!」
「袴田さん!! 何ですか最後のはったり!! 俺達が一番下っぱでしょうが! 本当止めて! オレ童貞なんですよ! 幼女じゃなくてもいいから卒業してから死にたいのぉ!」
「離せよ、ここで引き下がったら総務が舐められるだろうが、懲戒解雇を温情処分にしてやるって言ってんのにあの野郎、息の根止めてくる」
「止めないで! 袴田さん敬語! 敬語!!」
「目が犯罪者!!」
眼鏡を直して、
「犯罪者はあちらですよ分かってますこれは比喩です。お前らはここで待ってろ五分経っても戻らなかったら助けに来てね?」
「嫌です!」
「お疲れ様でした!」
「何かあったら、全部俺のせいにして本社に帰れ」
「ちょっと袴田さん!!」
優しく部下に見送られとりあえず葛西さんの後を追う。
どこの席だっけなんて見渡さなくても彼女は直に目についた、さっきの尾台さんに大声で何か言ってる、助けなきゃ……いや、俺の制止なんて必要なかった。
「すみませんけどー葛西さんは会社を辞めるんですよね? だったらもう部外者も同然なんで僕の部下に触らないでもらえますか」
なんて呑気な口調と笑顔で桐生さんが間に入った。
違うなあれは余裕なんじゃない、きっと…………きっと尾台さんを怖がらせないため怒りを抑えているだけだ。
近寄るのを戸惑った。
だってコレ、明らかにヒーローがヒロイン救ってる図なんじゃないのかって。
ほら見てみろよ二人はしっかり手を握ってる、俺が出て行かなくたってこの場は桐生さんと……ああ他の営業のやつらも席を立ってるし収拾できるだろう。
さっきまでの闘志はどこへやら、たった一時間足らずで恋から失恋まで経験して、俺はここにきて失速した。
失恋……失恋なのかなこれは、でもこの敗北感みたいな呆気なく終わった感覚、得てもいないのに胸に響く喪失感と漏れそうな溜め息は、にゃんにゃんさんを失った時と同じなんだよ。
俺の出る幕じゃないな……。
そう思ったのに尾台さんの顔を見ているのが辛かった、桐生さんにもう止めてって僅かに揺れる頭。
ああそうか、このまま葛西さんが桐生さんを傷付けたら、彼女の良心が更に痛むかもしれない、私のせいで桐生さんが傷付いたと。
そんな思いと、彼女に認識されたいという願望とが混ざり合って体が勝手に動いた、気付いた時には今にも振り下ろされそうな葛西さんの手を掴んでいた。
「葛西さん、これはちょっと看過できませんね。あなたにはさっき業務上横領罪、窃盗罪、パワハラについて詳しくお話したと思いますが、暴行罪までつくとなるといくら所長でも擁護しきれなくなりますよ。もう諭旨解雇ではなく懲戒解雇処分になりますが、どうします? 手を離してもいいですか」
歯ぎしりが響いて手を振り払われて、葛西さんはまた一声怒鳴ってその場を離れた。
桐生さんと視線がぶつかる、彼は少し口角を上げ目を細めて頷いた、ありがとうって表情。
そうだよな、桐生さんもまた分かってる、これ以上したら彼女が傷付くって境界線。
でももう黙っていられなかったんだろう。
ズキ。
って何胸痛めてんだよ、分かってた事じゃないか。
だって桐生さんは本社まで来て土下座したんだよ、彼女の為に。
そんな事初めから分かっていたじゃないか。
営業成績トップで、ストライキを起こせる程人望も厚くて、容姿も完璧だ。
ああわかってるよ、そうだよ、この人は他人からの評価なんて気にしてないだろうよ、今までの業績を擲ってもいいって彼女のためなら命だって差し出す覚悟があったんだもんな。
完敗だよ。
住む世界が違う、勝負すら挑めないだろ、今日初めて尾台さんを見た俺と桐生さん。
俺の恋は呪いでもかかってんのかな。
「今までごめんな尾台」
葛西さんの姿が見えなくなると彼女は堰を切ったように泣いた。
隣にいた女性社員にそれを拭われて、懸命に泣きたくないと顔を左右に振りながら両手で目を覆う、ごめんなさいごめんなさいと大粒の涙が止めどなく流れ落ちた。
今日初めて会ったのに気を抜かしたら俺までもらい泣きしてしまうところだった。
さっき話した時は不満はないなんて言っていたけど、その止まる事のない涙と押し殺すように滲みでる声は彼女が今までどれだけ耐えてきたのか現していた、家でもこうして泣いていたんだろうか。
この人は…………一人で。
悔しくて悲しくて痛くて辛くて怖くて……見ているだけで勝手に感情が流れ込んでくる。
今日初めて会った人なのに全ての感情が刺激されて、何でか泣いているその姿は少女のようにも見えた。
瞬きを何度しても消えない、彼女の涙が脳裏に焼き付いた。
すみません、私のせいで……。
釣られて涙する男までいて、涙を見られるのが嫌なのか桐生さんは尾台さんにずっと背を向けていた。
泣いていると悟られないため、頬を伝う涙を拭う事すらしなかった。
ああ、これがヒーローかって思い知らされた。
こんな人この世にいるんだ。
一言冗談を交わしあって張り詰めた空気が解ける。
桐生さんが一振り目を拭った所で、課長の佐々木さんがその肩を叩いた。
一瞬彼女と目が合った、でも直に逸らしてしまった。
胸、痛すぎるだろう、何だコレ。
【お前は海なんて嫌いなんだろう、いいよ僕達だけで行くから】って俺だけ省かれたあの日の日曜日を思い出した。
疎外感。
そんなの当たり前なんだけどさ、昨日きた俺達がこの輪に入れる訳はないのだけれど寂しいもんだな。
でも良かった、これでもう営業部は大丈夫な気がする彼女を救えて良かった。
そうしたら、
「早まらないで下さい! 袴田さん!!」
「ん?」
新井君が後ろから腰を掴んできて見たら舌を出した。
「なーんて、袴田さんを止められるのは僕達しかいないと思ったんで来ましたよ」
「ちゃんと見てましたよ、必死にドエス封印して穏便に格好つけてる袴田さんの勇姿」
二人共にやにやしていて、何でこいつら見て安心しなきゃいけないんだよ。
でも、
「ああ……あのさ」
「何スか」
「新井君も沖田君もありがとうございます、これからも宜しくお願いしますね」
「え、やだ怖い」
「袴田さんがありがとうだなんて、そんな感情もあったんですね」
「部屋に戻ったらお二人の脳天を拳で二発ずつぶん殴りますね」
「袴田さんパワハラって知ってますか」
「だから何なんですかそのキャラ」
笑う二人を見て、ああ、そうだな俺はこのままじゃいけないなと思った。
俺も変わらなきゃ。
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