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何卒何卒
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袴田君は眼鏡を直していつもの総務の笑顔だ。
「必ず桐生さんが受け止めてくれると思ってました事件を未然に防げて良かったです。………………なんて……殴る訳ないじゃないですか、ちょっとすみませんって頭トントンしたかっただけです」
「ちょっとすみませんの力が半端じゃないね、袴田君何かスポーツやってたの? 速さも重さも素人とは思えないんだけど、これ肩作ってる人間の動きだよ。それにあんまり僕を過信しないでよヘタレだって知ってるだろ」
「ヘタレ以前に婚約者がいる女性に手出そうとしてる部下を黙って見てるなんて管理者失格ですよ、どんだけ無能なんですか。少し牽制しようと思ったんですが、口より先に手が出てしまいました申し訳ありません以後気を付けます」
「申し訳ありませんの目が怖すぎだから。あー嫌々悪いの全面的にこっちだから謝んないで、部下の軽率な行動で不快な気持ちにさせて申し訳なかった。二度とないよう厳重に注意しておきます」
「宜しくお願いします」
「んじゃ飲み会は楽しくなくちゃ、ね?」
「そうですね、同感です」
「あ、はきゃまだきゅ、だあ! こっち! こっち! 尾台さんこっち!」
酔ってるからか袴田君を視界に入れた尾台さんは背筋がピンって伸びて、目が直ぐにハートに切り替わっていた、何かちょっと揺れてるし……へぇ尾台さん家だとああなるのかな。
袴田君は灰皿をテーブルに置いて眼鏡を直して、反対の腕には既に服や鞄を持ってる、尾台さんの側に行くと腰に手を回した。
「尾台さん帰りますよ」
「うんうん、袴田く袴田君!」
「全然ダメダメじゃないですかアナタ」
「うんダメダメ!」
尾台さんは抱き着いて首のとこクンクンやって上機嫌で立ち上がって袴田君は上着を着せてあげてる。
尾台さんはそわそわしててもう袴田君しか見えていなくて、ボタンを閉めるため近付いた顔見て口をむずむずさせて。
「いけないよ尾台さん」
「えへへへへへ」
「絵夢マテ」
「わんあはは」
「もう少しだから我慢して下さい」
と言われてるのに聞く耳持たず尾台さんは袴田君にキスをした。
あ、うん、した、皆の前で、当然おおおってなる。
何てゆうか、正直袴田君と尾台さん? って半信半疑な人もいたと思うんだけど、これ見ちゃったらもう納得せざるを得ないですね。
「ちゅっちゅ袴田君にゃんちゃんとちゅっちゅ」
「もうしちゃダメですよ」
「うふふふふふふふ」
って笑いながら尾台さん何度も何度もしてるんだけど、え? にゃんちゃんって何、袴田君家で尾台さんの事そんな風に呼んでるの、が、されてる方の袴田君は表情を一切崩さずに真顔のまま「人前で止めましょう」っていいながら黙々とボタン閉めて「やにゃ」って返されてる。
袴田君は頬や口にキスされたまま最後のボタンをかけるとマフラーを巻いてサラッ髪の毛を整える濡れた唇を親指で拭いて尾台さんの手を引いた。
「じゃあ行きましょうか」
「あい」
「尾台さん俺見た目以上にキレてますよ」
「何でぇ?」
「帰ったらお仕置き」
「やったぁ」
「あ? 笑ってられんのも今の内だぞ」
「ねえ抱っこ」
「外出たらね」
「抱っこ」
「外」
「抱っこ」
「…………」
「抱っこ袴田君袴田君抱っこ抱っこ」
最後に袴田君がお先に失礼しますって皆に一礼して二人は店を出ていった。
扉が閉まって、
「バカかお前は、殺されるぞ」
「営業ジョークだったのにぃー、いたっ」
桐生さんが置かれた灰皿で有沢さんの頭を軽くゴンってやって、やられた所擦ってる。
「痛いって言えるレベルの強さでやってやったんだから感謝しろよな。袴田君すげー力だったよまだ手痺れてるし」
「どうもどうも、総務部法務課、新井 ハイジと申します。先程はうちの上司が失礼しました~」
「同じくシステム課の沖田 翔です。お怪我されてないですか~」
桐生さんが有沢さんを肘で押してたら、頭を下げながら総務の二人がビール瓶とグラスを持ってやってきた。
凄い低姿勢で尾台さんが座っていた所に二人で並ぶ。
「もういやなっちゃう位怖いモノ知らずであの人、いい年して何でも直ぐ口に出ちゃうんですよあの人、困ったもんですよあの人は本当にもう~、ダメって言ってるのに我慢が上手に出来なくて申し訳ないです。尾台さんの事になると更に自制が効かなくなる人で、すみません本当に、皆さん楽しく飲んでたでしょうに」
と新井さんが桐生さんにグラスを持たせてビール注いで、
「いやーもうあの、目付きも口も態度も悪い上司なんですけど、やる時はやってくれる人なんですよね。オレ達結構頼りにしてる所がありまして……ここはどうか穏便に済ませて貰えませんかね……何卒何卒」
今度は沖田さんが有沢さんにグラスを持たせてビールを注いだ。
二人共正座して頭下げて、この通りですってやってる。
「そんなそんな、悪いのはこっちだから上に報告とか何にも考えてないよ」
「本当ッスか、ありがとうございます。原因がどうであれ暴力に訴えようとする時点で大人として、ね?」
「ありえないですからね、ややや本当に営業の方々は人間ができておられる~」
桐生さんはテーブルに置かれていた使われていないグラスを二人に持たせてビール注いであげて軽くグラスを合わせると二人は一口飲んで良かった~ってしてた。
「暴力は未然に防げたから、っつか本当はちゃんと本人が謝んなきゃいけないとこだったのに優しいよ袴田君は、だろ? 有沢何でお前黙ってたんだよ」
「えーだって俺も尾台ちゃんとえっちしたいもんー!!! したいしたいしたい! 謝りたくなかったから謝らなかっただけ」
「いいい!! お前いいかげんにしろよ本当に! 酔いすぎなんだよ」
桐生さんは有沢さんを抱いて頭を隠して二人が出ていった襖の方見たり、周り見渡して灰皿どっかから飛んできたりしねーかなってやってる。
その後は総務の二人も交えて桐生さん達は仲良く飲み始めた。
「な、なんか……すっごいの見ちゃいましたね優子氏」
「ええ、おばちゃんああいうのに枯れ気味だったからすっごいきゅんときたぁあ!」
「あ、あ、あ、あ、あ」
「寧々氏どうしました?」
やだ、嘘……。
胸が苦しいなんて!
尾台さんが幸せになってくれるのは……嬉しい……そうよ、尾台さんが幸せになりますように神様にお願いしてたのに、いざ本当に二人のあんな姿見たら。
「私も尾台さんとしたぃい!」
「へ? ね、寧々氏?!」
「ははーん、やっぱり新しい百合本は ※これは作者の実態件を元にしたものです。だった訳ね、ああ存在も萌えるなんて寧々最高」
新しく来たチョコミントサワーを半分位まで飲んで、うん、頭クラクラ! なので、
「いやでもあの酔った感じを見ると尾台さんキスくらいならさせてくれそうだなぁ」
等と良からぬ事を考えてみたり。
「寧々氏のファーストキスですか!」
そしたら、
「尾台ちゃんはキスならさせてくれるぞ!」
小さい声でぼやいていたんだけど、私達の会話を拾って有沢さんが指差して言ってきた、ああ顔真っ赤すっごい酔っ払ってる、まあ私も顔熱いけれど。
「ね? 桐生君!」
「何で僕に振るんだよ知らないよ、お前の絡み酒大学の時からだけど年を重ねる毎にウザさも上乗せされてくな」
「え? 何だよ知らないよって、桐生君尾台ちゃんとキスしまくってたんじゃないの」
「あ? 何だそれ、する訳ないだろ付き合ってもないのに」
「ええ? 俺てっきりヤッてると思ってたのに、えええ? マジ何もしてないの!? まぁそんな気はしてたけど、いやでもえええええ? どうゆう事? 葛西さんの時、医務室連れてってたじゃん、中々帰ってこなかったから絶対ヤッてると思ってたよ」
「何でだよ会社だぞ、そんなの服務規程違反だろ。普通に泣き止んで落ち着くまで会話もなく隣にいてやっただけだわ、肩も触れてないし」
「意っ味わかんねー!! 押し倒せよ桐生君悟りかなんか開いてるの?! あんな隙だらけ子に何もしないって?!! 五年も? え? えええ?!! 何桐生君ってイン」
「うっせーんだよガキ」
桐生さんは灰皿で有沢さんの額を叩いて、少し黙った後ダンと頭を机に叩き付けた、そして。
「死にたい……」
「いや、俺なら死んでるわ、よくこんなラストで隣で笑って仕事なんてしてられるな、どんなメンタルしてんだよ。あああもういいいよ合コンしようよ桐生君、可愛い子いっぱい抱きな」
「今はそんな気になれん。いや、いいんだよ全部僕がヘタレだったで決着がついてる話だ」
「いやでもさ」
「もう終わった事です蒸し返すのは止めましょう。笑った彼女を見られて僕は幸せです、それ以上は望みません。時間は戻らないんだよ、だから今を大事に生きるのです。はいはいじゃあ僕ちょっと瞑想するから皆は楽しく飲んでて、三分経ったら切り替える」
「止めてくれよ飲み会で瞑想とか雰囲気暗くな」
「どんなに困難で」
「ん?」
「挫けそうでも」
「んん?」
「信じることさ必ず最後に愛はか」
「はいはい成仏成仏、お客様一名瞑想入りまーす」
と有沢さんが桐生さん顔に広げたおしぼりをかけた。
つくしちゃんは超小さい声で、
「これは切な展開ではなきにしもあらずー? はぁああ……ヤバイつくし恋の予感を感じます優子氏ぃ抱っこ」
「合コン行く気にはならないけど、お前とならもう少し話したいな……で始まるアレね、なんてゆうか……桐生さんと有沢さんの体格差…………最高の高! そして有沢さんが「女の子抱けないなら抱かれてみます?」って」
「ぎゅふふふふふふふ……優子しゃん優子しゃん同じヤツ下しゃい」
「はいはい、そろそろ水も頼もうか」
話聞いてるだけで笑い止まらなくてお酒が進んでしまいます。
そんな私達とは逆に総務の二人は複雑そうな顔していた。
顔を見合わせて、コソコソやってる。
「おい翔、お前なんか上手いこと言えよ」
「何でオレ? お前のが見た目的には同族だろ。ウェーイな感じで波長合わせてこの場を盛り上げろや」
「僕ウェーイな感じじゃないだろ」
「あ? ハイジバカっぽいじゃん。ああ間違えた、お前もお前の彼女も家族も含めてな、飼ってる猫も風呂場も庭の柿の木も全部バカっぽい」
「てめー今週は喧嘩なく終われると思ったのに一回は吹っ掛けてこないと気が済まない訳? だったら毎年美味い美味言ってうちの柿食ってるオメーら家族も総じて立派なバカだなこの糞虫が、ムカつくから帰ったらお前の部屋に火炎瓶投げ込むわ」
「じゃあオレはお前部屋に大量の髪の毛巻いてお札貼りまくっとくね」
「怖さのベクトルゥ!! 呪詛系は止めてくれよ後々も残るだろ! お前の怨み根強そうで家全体に蝕みそうだし」
「火災の方がヤベェだろ! 下手したら家丸々持ってかれるだろーが!」
「大した家じゃねーんだから全焼しとけよ、あんな廃墟」
「そんな事になったら絶対、困った時はお互い様よ~ってお前のママバカだから言って、新井君家にお世話になります~ってうちの母さんもお言葉に甘えて一家で行くぞ、いいのかよ」
「大丈夫か、俺の家呪われてるんだぞ家中呪符だらけで床は髪の毛まみれで凄い事になってるけど平気か? 皆バカだし、それでもいいなら来いよ、家ねーんだから遠慮すんな」
「行ってやってもいいけどお前んちせめーしくせーししけててつまんねーからゲーム持ってこ、焦げてて使えるかわかんねぇけどさ」
「我が家に火種を持ち込むんじゃねぇよ、家ないヤツが良く人んち狭いとか言えるな。お前なんか家に入れてやるかよ木の下で寝てろや」
「え? ハイジ君知らないの? あの木、神様が宿ってて夜中にこっそり見るとキラキラ光って妖精達がパーリーしてんだぞ」
「パーリーって何してんだよ」
「主にカラオケだな」
「えぇそれは何か逆に夜中、うちの柿の木の妖精達がご近所に迷惑かけてそうで申し訳ないですね。でもそんな珍しい木なら今度皆で柿の木の下で寝るか」
「キャンプファイアでもする?」
「てめーうちも燃やす気まんまんじゃねぇかよ呪詛野郎が何企んでんだよ」
「それで新井邸も焼失したら皆で大江戸温泉物語行こうぜ」
「おお、中学生ぶりだな」
「君達二人は随分仲がいいね」
二人の話がまとまる前に、いつの間にか三分経ってて桐生さんが顔を上げた。
「必ず桐生さんが受け止めてくれると思ってました事件を未然に防げて良かったです。………………なんて……殴る訳ないじゃないですか、ちょっとすみませんって頭トントンしたかっただけです」
「ちょっとすみませんの力が半端じゃないね、袴田君何かスポーツやってたの? 速さも重さも素人とは思えないんだけど、これ肩作ってる人間の動きだよ。それにあんまり僕を過信しないでよヘタレだって知ってるだろ」
「ヘタレ以前に婚約者がいる女性に手出そうとしてる部下を黙って見てるなんて管理者失格ですよ、どんだけ無能なんですか。少し牽制しようと思ったんですが、口より先に手が出てしまいました申し訳ありません以後気を付けます」
「申し訳ありませんの目が怖すぎだから。あー嫌々悪いの全面的にこっちだから謝んないで、部下の軽率な行動で不快な気持ちにさせて申し訳なかった。二度とないよう厳重に注意しておきます」
「宜しくお願いします」
「んじゃ飲み会は楽しくなくちゃ、ね?」
「そうですね、同感です」
「あ、はきゃまだきゅ、だあ! こっち! こっち! 尾台さんこっち!」
酔ってるからか袴田君を視界に入れた尾台さんは背筋がピンって伸びて、目が直ぐにハートに切り替わっていた、何かちょっと揺れてるし……へぇ尾台さん家だとああなるのかな。
袴田君は灰皿をテーブルに置いて眼鏡を直して、反対の腕には既に服や鞄を持ってる、尾台さんの側に行くと腰に手を回した。
「尾台さん帰りますよ」
「うんうん、袴田く袴田君!」
「全然ダメダメじゃないですかアナタ」
「うんダメダメ!」
尾台さんは抱き着いて首のとこクンクンやって上機嫌で立ち上がって袴田君は上着を着せてあげてる。
尾台さんはそわそわしててもう袴田君しか見えていなくて、ボタンを閉めるため近付いた顔見て口をむずむずさせて。
「いけないよ尾台さん」
「えへへへへへ」
「絵夢マテ」
「わんあはは」
「もう少しだから我慢して下さい」
と言われてるのに聞く耳持たず尾台さんは袴田君にキスをした。
あ、うん、した、皆の前で、当然おおおってなる。
何てゆうか、正直袴田君と尾台さん? って半信半疑な人もいたと思うんだけど、これ見ちゃったらもう納得せざるを得ないですね。
「ちゅっちゅ袴田君にゃんちゃんとちゅっちゅ」
「もうしちゃダメですよ」
「うふふふふふふふ」
って笑いながら尾台さん何度も何度もしてるんだけど、え? にゃんちゃんって何、袴田君家で尾台さんの事そんな風に呼んでるの、が、されてる方の袴田君は表情を一切崩さずに真顔のまま「人前で止めましょう」っていいながら黙々とボタン閉めて「やにゃ」って返されてる。
袴田君は頬や口にキスされたまま最後のボタンをかけるとマフラーを巻いてサラッ髪の毛を整える濡れた唇を親指で拭いて尾台さんの手を引いた。
「じゃあ行きましょうか」
「あい」
「尾台さん俺見た目以上にキレてますよ」
「何でぇ?」
「帰ったらお仕置き」
「やったぁ」
「あ? 笑ってられんのも今の内だぞ」
「ねえ抱っこ」
「外出たらね」
「抱っこ」
「外」
「抱っこ」
「…………」
「抱っこ袴田君袴田君抱っこ抱っこ」
最後に袴田君がお先に失礼しますって皆に一礼して二人は店を出ていった。
扉が閉まって、
「バカかお前は、殺されるぞ」
「営業ジョークだったのにぃー、いたっ」
桐生さんが置かれた灰皿で有沢さんの頭を軽くゴンってやって、やられた所擦ってる。
「痛いって言えるレベルの強さでやってやったんだから感謝しろよな。袴田君すげー力だったよまだ手痺れてるし」
「どうもどうも、総務部法務課、新井 ハイジと申します。先程はうちの上司が失礼しました~」
「同じくシステム課の沖田 翔です。お怪我されてないですか~」
桐生さんが有沢さんを肘で押してたら、頭を下げながら総務の二人がビール瓶とグラスを持ってやってきた。
凄い低姿勢で尾台さんが座っていた所に二人で並ぶ。
「もういやなっちゃう位怖いモノ知らずであの人、いい年して何でも直ぐ口に出ちゃうんですよあの人、困ったもんですよあの人は本当にもう~、ダメって言ってるのに我慢が上手に出来なくて申し訳ないです。尾台さんの事になると更に自制が効かなくなる人で、すみません本当に、皆さん楽しく飲んでたでしょうに」
と新井さんが桐生さんにグラスを持たせてビール注いで、
「いやーもうあの、目付きも口も態度も悪い上司なんですけど、やる時はやってくれる人なんですよね。オレ達結構頼りにしてる所がありまして……ここはどうか穏便に済ませて貰えませんかね……何卒何卒」
今度は沖田さんが有沢さんにグラスを持たせてビールを注いだ。
二人共正座して頭下げて、この通りですってやってる。
「そんなそんな、悪いのはこっちだから上に報告とか何にも考えてないよ」
「本当ッスか、ありがとうございます。原因がどうであれ暴力に訴えようとする時点で大人として、ね?」
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「えーだって俺も尾台ちゃんとえっちしたいもんー!!! したいしたいしたい! 謝りたくなかったから謝らなかっただけ」
「いいい!! お前いいかげんにしろよ本当に! 酔いすぎなんだよ」
桐生さんは有沢さんを抱いて頭を隠して二人が出ていった襖の方見たり、周り見渡して灰皿どっかから飛んできたりしねーかなってやってる。
その後は総務の二人も交えて桐生さん達は仲良く飲み始めた。
「な、なんか……すっごいの見ちゃいましたね優子氏」
「ええ、おばちゃんああいうのに枯れ気味だったからすっごいきゅんときたぁあ!」
「あ、あ、あ、あ、あ」
「寧々氏どうしました?」
やだ、嘘……。
胸が苦しいなんて!
尾台さんが幸せになってくれるのは……嬉しい……そうよ、尾台さんが幸せになりますように神様にお願いしてたのに、いざ本当に二人のあんな姿見たら。
「私も尾台さんとしたぃい!」
「へ? ね、寧々氏?!」
「ははーん、やっぱり新しい百合本は ※これは作者の実態件を元にしたものです。だった訳ね、ああ存在も萌えるなんて寧々最高」
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「いやでもあの酔った感じを見ると尾台さんキスくらいならさせてくれそうだなぁ」
等と良からぬ事を考えてみたり。
「寧々氏のファーストキスですか!」
そしたら、
「尾台ちゃんはキスならさせてくれるぞ!」
小さい声でぼやいていたんだけど、私達の会話を拾って有沢さんが指差して言ってきた、ああ顔真っ赤すっごい酔っ払ってる、まあ私も顔熱いけれど。
「ね? 桐生君!」
「何で僕に振るんだよ知らないよ、お前の絡み酒大学の時からだけど年を重ねる毎にウザさも上乗せされてくな」
「え? 何だよ知らないよって、桐生君尾台ちゃんとキスしまくってたんじゃないの」
「あ? 何だそれ、する訳ないだろ付き合ってもないのに」
「ええ? 俺てっきりヤッてると思ってたのに、えええ? マジ何もしてないの!? まぁそんな気はしてたけど、いやでもえええええ? どうゆう事? 葛西さんの時、医務室連れてってたじゃん、中々帰ってこなかったから絶対ヤッてると思ってたよ」
「何でだよ会社だぞ、そんなの服務規程違反だろ。普通に泣き止んで落ち着くまで会話もなく隣にいてやっただけだわ、肩も触れてないし」
「意っ味わかんねー!! 押し倒せよ桐生君悟りかなんか開いてるの?! あんな隙だらけ子に何もしないって?!! 五年も? え? えええ?!! 何桐生君ってイン」
「うっせーんだよガキ」
桐生さんは灰皿で有沢さんの額を叩いて、少し黙った後ダンと頭を机に叩き付けた、そして。
「死にたい……」
「いや、俺なら死んでるわ、よくこんなラストで隣で笑って仕事なんてしてられるな、どんなメンタルしてんだよ。あああもういいいよ合コンしようよ桐生君、可愛い子いっぱい抱きな」
「今はそんな気になれん。いや、いいんだよ全部僕がヘタレだったで決着がついてる話だ」
「いやでもさ」
「もう終わった事です蒸し返すのは止めましょう。笑った彼女を見られて僕は幸せです、それ以上は望みません。時間は戻らないんだよ、だから今を大事に生きるのです。はいはいじゃあ僕ちょっと瞑想するから皆は楽しく飲んでて、三分経ったら切り替える」
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「どんなに困難で」
「ん?」
「挫けそうでも」
「んん?」
「信じることさ必ず最後に愛はか」
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「ぎゅふふふふふふふ……優子しゃん優子しゃん同じヤツ下しゃい」
「はいはい、そろそろ水も頼もうか」
話聞いてるだけで笑い止まらなくてお酒が進んでしまいます。
そんな私達とは逆に総務の二人は複雑そうな顔していた。
顔を見合わせて、コソコソやってる。
「おい翔、お前なんか上手いこと言えよ」
「何でオレ? お前のが見た目的には同族だろ。ウェーイな感じで波長合わせてこの場を盛り上げろや」
「僕ウェーイな感じじゃないだろ」
「あ? ハイジバカっぽいじゃん。ああ間違えた、お前もお前の彼女も家族も含めてな、飼ってる猫も風呂場も庭の柿の木も全部バカっぽい」
「てめー今週は喧嘩なく終われると思ったのに一回は吹っ掛けてこないと気が済まない訳? だったら毎年美味い美味言ってうちの柿食ってるオメーら家族も総じて立派なバカだなこの糞虫が、ムカつくから帰ったらお前の部屋に火炎瓶投げ込むわ」
「じゃあオレはお前部屋に大量の髪の毛巻いてお札貼りまくっとくね」
「怖さのベクトルゥ!! 呪詛系は止めてくれよ後々も残るだろ! お前の怨み根強そうで家全体に蝕みそうだし」
「火災の方がヤベェだろ! 下手したら家丸々持ってかれるだろーが!」
「大した家じゃねーんだから全焼しとけよ、あんな廃墟」
「そんな事になったら絶対、困った時はお互い様よ~ってお前のママバカだから言って、新井君家にお世話になります~ってうちの母さんもお言葉に甘えて一家で行くぞ、いいのかよ」
「大丈夫か、俺の家呪われてるんだぞ家中呪符だらけで床は髪の毛まみれで凄い事になってるけど平気か? 皆バカだし、それでもいいなら来いよ、家ねーんだから遠慮すんな」
「行ってやってもいいけどお前んちせめーしくせーししけててつまんねーからゲーム持ってこ、焦げてて使えるかわかんねぇけどさ」
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「え? ハイジ君知らないの? あの木、神様が宿ってて夜中にこっそり見るとキラキラ光って妖精達がパーリーしてんだぞ」
「パーリーって何してんだよ」
「主にカラオケだな」
「えぇそれは何か逆に夜中、うちの柿の木の妖精達がご近所に迷惑かけてそうで申し訳ないですね。でもそんな珍しい木なら今度皆で柿の木の下で寝るか」
「キャンプファイアでもする?」
「てめーうちも燃やす気まんまんじゃねぇかよ呪詛野郎が何企んでんだよ」
「それで新井邸も焼失したら皆で大江戸温泉物語行こうぜ」
「おお、中学生ぶりだな」
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