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第26話 ルイス
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「まぁ、なんてお似合いのお二人でしょう」
「相思相愛とはこのことですわね」
「ミッドウェー公爵様のご夫人見つめるお優しい眼差しご覧になりました?」
夜会へ出向けば、あちこちから大袈裟な声が聞こえてくる。
一曲踊っただけでこれだから、最初の頃はうんざりしてしていた。
でも、2年も経てば慣れてくるというものだ。
目の前の人物も一見すると微笑んでいるが、実際は違う。
同じような境遇で育った彼女の表情は作りものそのものなのがわかる。
同盟国フィラーネ王国の第二王女であるオリヴィア王女と結婚して2年が経つ。
国を結ぶ政略結婚であり、表向きは仲睦まじく見えるように振る舞っているが、私達の関係は冷めたものだった。
幼い頃から病弱と言われる王女の青白い顔色が化粧による作り物だというのは早い段階で気がついた。
多分、私と同じく側妃から生まれた王女にはそうしなければならない理由があったのかもしれない。
だから、見て見ぬふりをすることにした。
病弱な王女とは結婚当日の初夜も体調を理由に別々に過ごした。
そして、その後も現在に至るまで、一度も床を共にすることはなかった。
それは私にとっても都合が良かった。
お互いにそのことについて口にはしないが、それで納得していた。
そんな王女が、祖国から連れて来ている護衛騎士と過去に恋仲だった話が聞こえたのは半年前だった。
調べたところ、今現在は関係を持っていないようなので、その件も知らないふりをすることにした。
フィラーネ王国より気温も湿度も高いこの国で、暑さによって青白い顔色が偽りと知られるのを恐れるのか、王女は最低限の夜会以外は屋敷に引きこもっている。
監視は付けている。
それに、いくら何でも大胆な行動には出ないだろう。
そう思っていた。
自分は変わらずに忙しく国を飛び回っていた。
1年前に父上であった国王は退き、新国王となった兄上は私の結婚にも胸を痛めているようだった。
『ルイス、あと少し辛抱してくれ』
でも、激務は変わらなかった。
ある日、予定より数日早く帰宅した。
蒸し暑い夜でバルコニーで涼んでいると、木々の間に人影が目に入った。
それは、抱き合っているひと組の男女だった。
何度も口づけを交わしては、お互いの顔を見つめ合っている。
王女と元恋仲の護衛騎士だったーー
目には二人の姿が映っているのに、
ジャスミンを・・・・・・
あの夜会の夜のジャスミンを思い出した。
あの夜ーー
裸足でドレスの裾は裂けていて、
目には涙の跡が残っていた。
夫と別の女性との密会を目撃したジャスミンは、どれほど辛かっただろう。
愛する人の、こんな姿を目にしてしまったら・・・・・・。
目線の先で今もなお続いている逢瀬を見て、ため息をついた。
「奥様が体調を崩しております」
執事の言葉に嫌な予感しかなかった。
そして、それは的中してしまう。
「・・・・・・っ、・・・ごめんなさい。
・・・っ、・・・・・・本当に、ごめんなさい」
泣いて謝罪ばかりする王女に医師の診察を受けてもらうと、妊娠が発覚した。
結果、王女は秘密裏に女児を出産、王女の病気悪化を理由に私と王女は離婚した。
そして、兄上である国王の取り計らいで、王女は護衛騎士と数人の使用人と共に静かな土地で暮らすことになった。
「ルイス、これで良かったのか?」
お互いに望まない政略結婚でも、王女と話し合いもせずに名ばかりの夫婦関係を続けていた。
「はい」
兄上はフィラーネ王国とすでに協議を進めていたので、離婚も問題にはならなかった。
「間もなく、新しい法案が通る。
そうすれば、お前をやっと自由にできるよ」
兄上は嬉しそうに抱きついてきて、私は半年後、悪しき慣習から解放された。
ジャスミンは、
オリバー・ベネット侯爵が亡くなってから、息子のエリオット・ベネットの剣術の指導者兼護衛としてベネット侯爵家で暮らしている。
「行かれないんですか?」
珍しくブルーノが口を開いた。
「行ってくるーー」
「どちらまで?」
何なんだ、コイツは・・・。
こんな時に限って。
「ベネット侯爵家だ」
「今時期は、エリオット様が夏休み中なので領地に居るかと」
「助かった、ブルーノ」
行ってくる。そう言って部屋を出ようとする私を、ブルーノはまた呼び止めた。
振り向くと、ブルーノは胸元から一通の手紙を取り出した。
それは・・・・・・
見覚えのある封筒は、
ジャスミンへの叶わない思いを記した、あのカードの入った封筒だった。
「ブルーノ!あの時処分したんじゃないのか!」
「もう一通は、夜会の護衛騎士として職務に当たっていたウォーカー伯爵令嬢に渡しましたが」
「処分すれと「私は言われた通りに処分したつもりですが」」
「・・・・・・お前は・・・」
「早く出発されたらよろしいかと。
ベネット侯爵家の領地までは「わかってる!」」
ブルーノは、どうしてジャスミンに・・・・・・
まぁ、そんなことどうだっていい。
やっと、やっと、
ジャスミン、
君の前に立てるーー
ベネット侯爵家の領地までは、飛ばしても到着は翌朝。
一度だけ馬を休憩させ、また目的地へと急いだ。
ベネット侯爵家の屋敷が見えた時には、ちょうど空も明るくなっていた。
この時間、きっとジャスミンならーー
屋敷の奥に広がる草原へ向かうと、遠くに木剣らしきものを振るう人物が見えた。
ジャスミン・・・・・・
艶やかな黒髪は短めに切り揃えられ、木剣を振るたびに揺れている。
馬の音に気づいたのか、ジャスミンが振り返った。
その顔は・・・・・・
7年振りのジャスミンは・・・・・・。
「ジャスミン・・・・・・」
ひょろっとした細身の体に、髪は短く、顔は日焼けで真っ黒で、笑うと小さな白い歯がきれいに並んで見えて、ブルーの瞳は好奇心を表すかのようにキラキラしていて・・・・・・
「ジャスミン・・・・・・」
君と、
出会った時からやり直せる日が、
やっと来たよ。
私は馬から降りて、
驚いて固まっているジャスミンに向かって足を進めた。
完
この後、ローガン視点とエリオット視点によるIFストーリーを投稿予定です。
エリオット視点によるIFストーリーは、ローガンとの元サヤ風となります。
よろしくお願いします。
「相思相愛とはこのことですわね」
「ミッドウェー公爵様のご夫人見つめるお優しい眼差しご覧になりました?」
夜会へ出向けば、あちこちから大袈裟な声が聞こえてくる。
一曲踊っただけでこれだから、最初の頃はうんざりしてしていた。
でも、2年も経てば慣れてくるというものだ。
目の前の人物も一見すると微笑んでいるが、実際は違う。
同じような境遇で育った彼女の表情は作りものそのものなのがわかる。
同盟国フィラーネ王国の第二王女であるオリヴィア王女と結婚して2年が経つ。
国を結ぶ政略結婚であり、表向きは仲睦まじく見えるように振る舞っているが、私達の関係は冷めたものだった。
幼い頃から病弱と言われる王女の青白い顔色が化粧による作り物だというのは早い段階で気がついた。
多分、私と同じく側妃から生まれた王女にはそうしなければならない理由があったのかもしれない。
だから、見て見ぬふりをすることにした。
病弱な王女とは結婚当日の初夜も体調を理由に別々に過ごした。
そして、その後も現在に至るまで、一度も床を共にすることはなかった。
それは私にとっても都合が良かった。
お互いにそのことについて口にはしないが、それで納得していた。
そんな王女が、祖国から連れて来ている護衛騎士と過去に恋仲だった話が聞こえたのは半年前だった。
調べたところ、今現在は関係を持っていないようなので、その件も知らないふりをすることにした。
フィラーネ王国より気温も湿度も高いこの国で、暑さによって青白い顔色が偽りと知られるのを恐れるのか、王女は最低限の夜会以外は屋敷に引きこもっている。
監視は付けている。
それに、いくら何でも大胆な行動には出ないだろう。
そう思っていた。
自分は変わらずに忙しく国を飛び回っていた。
1年前に父上であった国王は退き、新国王となった兄上は私の結婚にも胸を痛めているようだった。
『ルイス、あと少し辛抱してくれ』
でも、激務は変わらなかった。
ある日、予定より数日早く帰宅した。
蒸し暑い夜でバルコニーで涼んでいると、木々の間に人影が目に入った。
それは、抱き合っているひと組の男女だった。
何度も口づけを交わしては、お互いの顔を見つめ合っている。
王女と元恋仲の護衛騎士だったーー
目には二人の姿が映っているのに、
ジャスミンを・・・・・・
あの夜会の夜のジャスミンを思い出した。
あの夜ーー
裸足でドレスの裾は裂けていて、
目には涙の跡が残っていた。
夫と別の女性との密会を目撃したジャスミンは、どれほど辛かっただろう。
愛する人の、こんな姿を目にしてしまったら・・・・・・。
目線の先で今もなお続いている逢瀬を見て、ため息をついた。
「奥様が体調を崩しております」
執事の言葉に嫌な予感しかなかった。
そして、それは的中してしまう。
「・・・・・・っ、・・・ごめんなさい。
・・・っ、・・・・・・本当に、ごめんなさい」
泣いて謝罪ばかりする王女に医師の診察を受けてもらうと、妊娠が発覚した。
結果、王女は秘密裏に女児を出産、王女の病気悪化を理由に私と王女は離婚した。
そして、兄上である国王の取り計らいで、王女は護衛騎士と数人の使用人と共に静かな土地で暮らすことになった。
「ルイス、これで良かったのか?」
お互いに望まない政略結婚でも、王女と話し合いもせずに名ばかりの夫婦関係を続けていた。
「はい」
兄上はフィラーネ王国とすでに協議を進めていたので、離婚も問題にはならなかった。
「間もなく、新しい法案が通る。
そうすれば、お前をやっと自由にできるよ」
兄上は嬉しそうに抱きついてきて、私は半年後、悪しき慣習から解放された。
ジャスミンは、
オリバー・ベネット侯爵が亡くなってから、息子のエリオット・ベネットの剣術の指導者兼護衛としてベネット侯爵家で暮らしている。
「行かれないんですか?」
珍しくブルーノが口を開いた。
「行ってくるーー」
「どちらまで?」
何なんだ、コイツは・・・。
こんな時に限って。
「ベネット侯爵家だ」
「今時期は、エリオット様が夏休み中なので領地に居るかと」
「助かった、ブルーノ」
行ってくる。そう言って部屋を出ようとする私を、ブルーノはまた呼び止めた。
振り向くと、ブルーノは胸元から一通の手紙を取り出した。
それは・・・・・・
見覚えのある封筒は、
ジャスミンへの叶わない思いを記した、あのカードの入った封筒だった。
「ブルーノ!あの時処分したんじゃないのか!」
「もう一通は、夜会の護衛騎士として職務に当たっていたウォーカー伯爵令嬢に渡しましたが」
「処分すれと「私は言われた通りに処分したつもりですが」」
「・・・・・・お前は・・・」
「早く出発されたらよろしいかと。
ベネット侯爵家の領地までは「わかってる!」」
ブルーノは、どうしてジャスミンに・・・・・・
まぁ、そんなことどうだっていい。
やっと、やっと、
ジャスミン、
君の前に立てるーー
ベネット侯爵家の領地までは、飛ばしても到着は翌朝。
一度だけ馬を休憩させ、また目的地へと急いだ。
ベネット侯爵家の屋敷が見えた時には、ちょうど空も明るくなっていた。
この時間、きっとジャスミンならーー
屋敷の奥に広がる草原へ向かうと、遠くに木剣らしきものを振るう人物が見えた。
ジャスミン・・・・・・
艶やかな黒髪は短めに切り揃えられ、木剣を振るたびに揺れている。
馬の音に気づいたのか、ジャスミンが振り返った。
その顔は・・・・・・
7年振りのジャスミンは・・・・・・。
「ジャスミン・・・・・・」
ひょろっとした細身の体に、髪は短く、顔は日焼けで真っ黒で、笑うと小さな白い歯がきれいに並んで見えて、ブルーの瞳は好奇心を表すかのようにキラキラしていて・・・・・・
「ジャスミン・・・・・・」
君と、
出会った時からやり直せる日が、
やっと来たよ。
私は馬から降りて、
驚いて固まっているジャスミンに向かって足を進めた。
完
この後、ローガン視点とエリオット視点によるIFストーリーを投稿予定です。
エリオット視点によるIFストーリーは、ローガンとの元サヤ風となります。
よろしくお願いします。
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