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第1話
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「ちょっと胃がムカムカするのよ。だから、朝食は紅茶とフルーツとスープとパンを1つだけにするわ」
「畏まりました。・・・って奥様はいつもはパンを最低でも5つ、卵は3個に山盛りベーコンにソーセージ、チキンスープを2杯はいけるのに・・・。
まさか、これって・・・・・・」
私だって少食の日だってある。
それなのに、侍女のマヤときたら。
でも、こうして改めて聞くと私って大食い女だ。
シェフの料理が美味しいから、特に朝の鍛練後は幾らでも食べられてしまう。
私はジャスミン・アンダーソン。
一応は伯爵夫人。
夫はローガン・アンダーソン伯爵で、最近は英雄なんて呼ばれている。
早いもので、結婚して3年になる。
「これ、って、なんの話だい?」
「旦那様、テーブルをご覧ください」
「・・・っ!これは!
これしか食べないのか?
ジャスミン、どうした!
熱か?まさか・・・病気なんじゃ。
ニック!医師の手配を頼む!」
ローガンは私の朝食の量を見て驚いて心配したのか、額を触り、脈まで測って、しまいには医者の手配までしてしまった。
「熱もありませんし、流行り病でもないですよ。
私だって、食欲不振の時くらいありますから。
朝の鍛練での私の身のこなし、ご覧になったでしょう。
病気でもないですからご心配なく」
「旦那様、そうなんです。
奥様が、これだけしかお召し上がりにならないなんて。
胃もムカムカするって仰っていたし・・・。
もしかして・・・」
「「もしかして?」」
「私の口から申し上げるのは憚られますので、その・・・」
マヤったら、また誤解してる。
月のものが終わったばかりなのに。
胃がムカムカするのは、昨夜ステーキを食べ過ぎただけなんだけど・・・。
言いにくい雰囲気だ。
「そうか!そういうことか!」
「いえ、そういうことじゃあないですよ。
食事中にする話しじゃありませんが、月のものも終わったばかりですし。
ちなみに、これは昨夜のステーキがあまりにも美味しくて食べ過ぎたからです」
私の食べ過ぎが原因で懐妊と誤解されるのは、もう3度目になる。
二人もそれを思い出したのか、静かになった。
「今夜は夜会だが、ジャスミンは調子も悪いようだし医師の診察を受けてゆっくりと休んでくれ。
俺は騎士団から直接夜会へ向かうよ」
食事が終わると、過保護なローガンは私を抱きしめてそう言うと、仕事へ向かった。
でも、私は元気だった。
医師の診察結果は予想通りで、昼食を胃に優しいスープのみにすればすっかり良くなった。
だから、夜会に出席することにした。
夜会会場に到着したものの、なかなかローガンは見つけられなかった。
そんな時、学生時代の騎士仲間に声をかけられたので、お喋りをして時間を潰していた。
『もしかして、シガールームに行ったんじゃないか』
いつまで経ってもローガンは見つからないので、友人に言われたシガールームへ向かっていると、ローガンの侍従ダンを見つけた。
声をかけようと思ったが、ダンの立つ回廊の先の庭園に、ローガン本人を見つけた。
「・・・ローガン」
私に気づいたダンが焦った様子で近寄って来るのを手で制すも、声を上げそうなったダンの口元を咄嗟に押さえて、音を立てずに動きも封じ込める。
ローガンは、一人ではなかった。
ブロンドの華奢な女性の腰を抱いていた。
「畏まりました。・・・って奥様はいつもはパンを最低でも5つ、卵は3個に山盛りベーコンにソーセージ、チキンスープを2杯はいけるのに・・・。
まさか、これって・・・・・・」
私だって少食の日だってある。
それなのに、侍女のマヤときたら。
でも、こうして改めて聞くと私って大食い女だ。
シェフの料理が美味しいから、特に朝の鍛練後は幾らでも食べられてしまう。
私はジャスミン・アンダーソン。
一応は伯爵夫人。
夫はローガン・アンダーソン伯爵で、最近は英雄なんて呼ばれている。
早いもので、結婚して3年になる。
「これ、って、なんの話だい?」
「旦那様、テーブルをご覧ください」
「・・・っ!これは!
これしか食べないのか?
ジャスミン、どうした!
熱か?まさか・・・病気なんじゃ。
ニック!医師の手配を頼む!」
ローガンは私の朝食の量を見て驚いて心配したのか、額を触り、脈まで測って、しまいには医者の手配までしてしまった。
「熱もありませんし、流行り病でもないですよ。
私だって、食欲不振の時くらいありますから。
朝の鍛練での私の身のこなし、ご覧になったでしょう。
病気でもないですからご心配なく」
「旦那様、そうなんです。
奥様が、これだけしかお召し上がりにならないなんて。
胃もムカムカするって仰っていたし・・・。
もしかして・・・」
「「もしかして?」」
「私の口から申し上げるのは憚られますので、その・・・」
マヤったら、また誤解してる。
月のものが終わったばかりなのに。
胃がムカムカするのは、昨夜ステーキを食べ過ぎただけなんだけど・・・。
言いにくい雰囲気だ。
「そうか!そういうことか!」
「いえ、そういうことじゃあないですよ。
食事中にする話しじゃありませんが、月のものも終わったばかりですし。
ちなみに、これは昨夜のステーキがあまりにも美味しくて食べ過ぎたからです」
私の食べ過ぎが原因で懐妊と誤解されるのは、もう3度目になる。
二人もそれを思い出したのか、静かになった。
「今夜は夜会だが、ジャスミンは調子も悪いようだし医師の診察を受けてゆっくりと休んでくれ。
俺は騎士団から直接夜会へ向かうよ」
食事が終わると、過保護なローガンは私を抱きしめてそう言うと、仕事へ向かった。
でも、私は元気だった。
医師の診察結果は予想通りで、昼食を胃に優しいスープのみにすればすっかり良くなった。
だから、夜会に出席することにした。
夜会会場に到着したものの、なかなかローガンは見つけられなかった。
そんな時、学生時代の騎士仲間に声をかけられたので、お喋りをして時間を潰していた。
『もしかして、シガールームに行ったんじゃないか』
いつまで経ってもローガンは見つからないので、友人に言われたシガールームへ向かっていると、ローガンの侍従ダンを見つけた。
声をかけようと思ったが、ダンの立つ回廊の先の庭園に、ローガン本人を見つけた。
「・・・ローガン」
私に気づいたダンが焦った様子で近寄って来るのを手で制すも、声を上げそうなったダンの口元を咄嗟に押さえて、音を立てずに動きも封じ込める。
ローガンは、一人ではなかった。
ブロンドの華奢な女性の腰を抱いていた。
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