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第16話
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その後も、殿下は止まることなく話し続けた。
辺境で聞いたように、殿下は元々私のことを薬師として知っていた。
サヴォイ王国へ向かったのは、留学生であり優れた薬師である私(?)が、サヴォイ王国のとある貴族から狙われているという話を聞いたからだった。
転移魔法ですぐにサヴォイ王国まで移動し、王妃様のお兄様である国王様との話し合いの末、その貴族の件は解決した。
そのまま国へ戻るつもりが、ちょっとした気紛れでその薬師に会ってみようと思い、大学へ立ち寄った。
殿下は、私が鼻歌を歌いながら薬草に水をあげている姿に(殿下の言葉で言うと)魅せられた・・・らしい。
美しい銀髪に赤く輝く瞳は女神のようで・・・・・・とかなんとか。
次期辺境伯と婚約者なのは承知の上だった。
ただ話してみたい。そんな気持ちから、“薬師の卵として勉強中のアル”として出会った。
そして、時間を作っては転移魔法で大学へ訪れたが、実際には私に会うのが目的だったらしい。
私の留学が終了する頃、婚約者であるルーク・スペンサーがどんな人間か、私が幸せになれる相手なのか身辺調査をした。
その結果は知っての通り。
丁度これと時を同じくして、ルーク・スペンサーの弟であるジョー・スペンサーに夜会で会う機会があった。
そこでジョーの協力を得て、辺境に戻り次第状況の報告を受け、あの婚約解消の場に現れた。
殿下は私に素性を偽って接した事を、改めて謝罪した。
そして、自分の立場上女性と接する時には慎重に行動しなければならないこと。
今まで女性に会っても興味を持った人物はいなかったこと。
「生まれて初めて、アリソンを見て、この人のことを知りたい。
そう思ったんだ。
そして、先日アリソンが倒れて何日も目を覚まさくて、気が気じゃなかった。
大切な人と一緒に居たいし気持ちも伝えたいと、改めて実感した。
俺は、アリソンと共に人生を歩みたい。
この先に続く言葉があるけれど、気持ちすら伝わっていなかったから、もう少し後にする。
あと、俺はいたって正気だし、身分の差とか、愛人とか、馬鹿げた考えを持つのはやめてほしい。
俺の生涯に、君しかいないから」
そんなことがあってから、放心状態が続いている。
あれは、夢だったのでは。
と思うも、ニヤニヤしたミリーがそれを否定する。
殿下の言葉はきっと本心なんだと納得しつつも、自分に好意を持ってくれているというのが信じられなかった。
殿下といると、心臓がうるさくなってドキドキする。
それは殿下が麗しい憧れの存在で、きっと女性なら誰しもがそうなってしまうもので。
自分は薬師として誰かの役に立って生きていこうと、新たな思いで王都へ来たばかり。
それに、殿下はどこかの国の王女様や高位貴族のご令嬢と婚約されるんじゃないか。
常識で考えば、そう考えるのが普通だろう。
婚約解消されたばかりの、しがない薬師の男爵令嬢の私の出る幕なんて・・・・・・。
こんな時に思い出すのは、ルークとマリア様が楽しそうに話す姿、隣同士に座る仲睦まじい姿だった。
幼い頃から兄のように慕い、婚約者になった人はあっさりと愛する人を見つけた。
それに・・・・・・お父様だって。
薬師として以外の自分には・・・価値がない。
そんな考えに至ってしまうのを打ち消すように、朝早くから薬草園に足を運んで仕事に打ち込んだ。
なのに毎朝、殿下が薬草園に笑顔で現れて。
ターナー薬師には、
「えらい面倒な方から気に入られたもんだ。
可哀想に。
もう逃げられないのぅ」
と同情するような目を向けられた。
辺境で聞いたように、殿下は元々私のことを薬師として知っていた。
サヴォイ王国へ向かったのは、留学生であり優れた薬師である私(?)が、サヴォイ王国のとある貴族から狙われているという話を聞いたからだった。
転移魔法ですぐにサヴォイ王国まで移動し、王妃様のお兄様である国王様との話し合いの末、その貴族の件は解決した。
そのまま国へ戻るつもりが、ちょっとした気紛れでその薬師に会ってみようと思い、大学へ立ち寄った。
殿下は、私が鼻歌を歌いながら薬草に水をあげている姿に(殿下の言葉で言うと)魅せられた・・・らしい。
美しい銀髪に赤く輝く瞳は女神のようで・・・・・・とかなんとか。
次期辺境伯と婚約者なのは承知の上だった。
ただ話してみたい。そんな気持ちから、“薬師の卵として勉強中のアル”として出会った。
そして、時間を作っては転移魔法で大学へ訪れたが、実際には私に会うのが目的だったらしい。
私の留学が終了する頃、婚約者であるルーク・スペンサーがどんな人間か、私が幸せになれる相手なのか身辺調査をした。
その結果は知っての通り。
丁度これと時を同じくして、ルーク・スペンサーの弟であるジョー・スペンサーに夜会で会う機会があった。
そこでジョーの協力を得て、辺境に戻り次第状況の報告を受け、あの婚約解消の場に現れた。
殿下は私に素性を偽って接した事を、改めて謝罪した。
そして、自分の立場上女性と接する時には慎重に行動しなければならないこと。
今まで女性に会っても興味を持った人物はいなかったこと。
「生まれて初めて、アリソンを見て、この人のことを知りたい。
そう思ったんだ。
そして、先日アリソンが倒れて何日も目を覚まさくて、気が気じゃなかった。
大切な人と一緒に居たいし気持ちも伝えたいと、改めて実感した。
俺は、アリソンと共に人生を歩みたい。
この先に続く言葉があるけれど、気持ちすら伝わっていなかったから、もう少し後にする。
あと、俺はいたって正気だし、身分の差とか、愛人とか、馬鹿げた考えを持つのはやめてほしい。
俺の生涯に、君しかいないから」
そんなことがあってから、放心状態が続いている。
あれは、夢だったのでは。
と思うも、ニヤニヤしたミリーがそれを否定する。
殿下の言葉はきっと本心なんだと納得しつつも、自分に好意を持ってくれているというのが信じられなかった。
殿下といると、心臓がうるさくなってドキドキする。
それは殿下が麗しい憧れの存在で、きっと女性なら誰しもがそうなってしまうもので。
自分は薬師として誰かの役に立って生きていこうと、新たな思いで王都へ来たばかり。
それに、殿下はどこかの国の王女様や高位貴族のご令嬢と婚約されるんじゃないか。
常識で考えば、そう考えるのが普通だろう。
婚約解消されたばかりの、しがない薬師の男爵令嬢の私の出る幕なんて・・・・・・。
こんな時に思い出すのは、ルークとマリア様が楽しそうに話す姿、隣同士に座る仲睦まじい姿だった。
幼い頃から兄のように慕い、婚約者になった人はあっさりと愛する人を見つけた。
それに・・・・・・お父様だって。
薬師として以外の自分には・・・価値がない。
そんな考えに至ってしまうのを打ち消すように、朝早くから薬草園に足を運んで仕事に打ち込んだ。
なのに毎朝、殿下が薬草園に笑顔で現れて。
ターナー薬師には、
「えらい面倒な方から気に入られたもんだ。
可哀想に。
もう逃げられないのぅ」
と同情するような目を向けられた。
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