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第4話
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この日のノックス副団長は、いつもと違った。
生まれて初めてもらった花束に私が感激していると笑顔を見せたり、『気に入ってくれたようで良かった』と言葉をかけてくれた。
そして、食事中も時に私の目をじっと見たりと、いつもとどこか違うノックス副団長にドキドキしつつ、元婚約者からも貰ったことがなかった花束を果たして顔見知りに渡すものなのか、この花束はいったい何を意味するのか、思いを巡らせていた。
「ルグラン子爵令嬢のことは、以前から図書室で見かけたことがあった」
食事がある程度済みワインを飲んでいると、普段は相槌専門のノックス副団長がいきなり口を開いた。
「え?私を、ですか?」
「楽しそうに本を選んでる姿が印象に残っている」
「そう・・・ですか」
「綺麗な女性だと思っていた」
「・・・・・・え?・・・・・・あ、ありがとうございます?」
「君と話すようになって、どんどん惹かれていった。
だから、こうして一緒に食事ができて嬉しく思う」
「・・・・・・」
「ルグラン子爵令嬢」
「・・・・・・はい」
「私との婚約を考えてくれないか?」
そんな出来事があって、私は頭が真っ白になり、目の前のワインのグラスを一気に飲み干してしまった。
普段なら酔わないはずなのに、その日はなぜか心地よくなってしまい、慌てたノックス副団長に水を勧められ、2、3杯飲まされて落ち着いた頃に女子寮まで送られた。
そして、その後もレストランや公園、図書室でデートを重ねた。
ノックス副団長は自分が侯爵令息だったこと、婚約者の女性以外と親しくなり勝手に婚約破棄をしたことは事実だと、教えてくれた。
この気持ちが恋なのか憧れなのかは正直分からなかった。
私を救ってくれて、そばに居ると安心できて、そして、なぜか目が離せない。
大きな逞しい姿、アッシュブロンドの髪や整った顔立ち、時に鋭く時に寂しげなブルーの瞳を見るとドキッとする。
今までこんな存在はいなかった。
一緒にいたい。
そう思った。
それに、ノックス副団長が私という人間を真っ直ぐ見てくれるのが嬉しかった。
普段は口数少ないけれど、あの日気持ちを伝えてくれたことも。
でもーー
不安要素がないといえば嘘になる。
フランシス様にノックス副団長の過去の話を聞いた時にショックを受けて、ノックス副団長にだって色々ある。
そう思うことで、納得しようとした。
だけど、どう考えたって色々なんて言葉じゃ済まないくらいの話で、気にしないでいるなんて無理だった。
だから、あの少しばかり饒舌だった花束をくれた日から、また口数少ない状態に戻ったノックス副団長には、会うたびに気になる質問をすることにした。
『好きな色は?』
『好きな食べ物は?』
『ご実家の侯爵家は恋しくない?』
『騎士の仕事は辛くない?』
「私には何色が似合う?』
寡黙な貴方は自分を語らないから。
でも、
私は一番気になる質問はできなかった。
『元婚約者を今でも想っているの?』
私とノックス副団長は正式に婚約する運びになった。
二人で領地に暮らす私の両親と兄に報告に行くと、喜んで祝福してくれた。
自分のご両親に私を紹介できずに申し訳ないと、ノックス副団長には頭を下げられた。
私はこの日からノックス副団長をクライブ様と呼び、クライブ様は私をシドニーと呼んだ。
なのに、クライブ様が何度も『ルグラン子爵令嬢』と呼ぶので、私は笑った。
そして、3ヶ月後に私達は結婚し、私はシドニー・ノックスになった。
生まれて初めてもらった花束に私が感激していると笑顔を見せたり、『気に入ってくれたようで良かった』と言葉をかけてくれた。
そして、食事中も時に私の目をじっと見たりと、いつもとどこか違うノックス副団長にドキドキしつつ、元婚約者からも貰ったことがなかった花束を果たして顔見知りに渡すものなのか、この花束はいったい何を意味するのか、思いを巡らせていた。
「ルグラン子爵令嬢のことは、以前から図書室で見かけたことがあった」
食事がある程度済みワインを飲んでいると、普段は相槌専門のノックス副団長がいきなり口を開いた。
「え?私を、ですか?」
「楽しそうに本を選んでる姿が印象に残っている」
「そう・・・ですか」
「綺麗な女性だと思っていた」
「・・・・・・え?・・・・・・あ、ありがとうございます?」
「君と話すようになって、どんどん惹かれていった。
だから、こうして一緒に食事ができて嬉しく思う」
「・・・・・・」
「ルグラン子爵令嬢」
「・・・・・・はい」
「私との婚約を考えてくれないか?」
そんな出来事があって、私は頭が真っ白になり、目の前のワインのグラスを一気に飲み干してしまった。
普段なら酔わないはずなのに、その日はなぜか心地よくなってしまい、慌てたノックス副団長に水を勧められ、2、3杯飲まされて落ち着いた頃に女子寮まで送られた。
そして、その後もレストランや公園、図書室でデートを重ねた。
ノックス副団長は自分が侯爵令息だったこと、婚約者の女性以外と親しくなり勝手に婚約破棄をしたことは事実だと、教えてくれた。
この気持ちが恋なのか憧れなのかは正直分からなかった。
私を救ってくれて、そばに居ると安心できて、そして、なぜか目が離せない。
大きな逞しい姿、アッシュブロンドの髪や整った顔立ち、時に鋭く時に寂しげなブルーの瞳を見るとドキッとする。
今までこんな存在はいなかった。
一緒にいたい。
そう思った。
それに、ノックス副団長が私という人間を真っ直ぐ見てくれるのが嬉しかった。
普段は口数少ないけれど、あの日気持ちを伝えてくれたことも。
でもーー
不安要素がないといえば嘘になる。
フランシス様にノックス副団長の過去の話を聞いた時にショックを受けて、ノックス副団長にだって色々ある。
そう思うことで、納得しようとした。
だけど、どう考えたって色々なんて言葉じゃ済まないくらいの話で、気にしないでいるなんて無理だった。
だから、あの少しばかり饒舌だった花束をくれた日から、また口数少ない状態に戻ったノックス副団長には、会うたびに気になる質問をすることにした。
『好きな色は?』
『好きな食べ物は?』
『ご実家の侯爵家は恋しくない?』
『騎士の仕事は辛くない?』
「私には何色が似合う?』
寡黙な貴方は自分を語らないから。
でも、
私は一番気になる質問はできなかった。
『元婚約者を今でも想っているの?』
私とノックス副団長は正式に婚約する運びになった。
二人で領地に暮らす私の両親と兄に報告に行くと、喜んで祝福してくれた。
自分のご両親に私を紹介できずに申し訳ないと、ノックス副団長には頭を下げられた。
私はこの日からノックス副団長をクライブ様と呼び、クライブ様は私をシドニーと呼んだ。
なのに、クライブ様が何度も『ルグラン子爵令嬢』と呼ぶので、私は笑った。
そして、3ヶ月後に私達は結婚し、私はシドニー・ノックスになった。
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