3 / 8
さあ平和の時間だ! はじめよう!
エリア2/ 迷いのシエル大森林
しおりを挟む
悪しき村を救った俺は、シエル大森林へ差し掛かった。
ここはエルフの国が在るという森だ! 助けが必要に違いない!
勇者は能動的に行動する! それが基本だ!
「お願いです! 勇者さま! どうかお助け下さい!」
森の奥に進もうとした矢先、美しい女エルフが出てきたぞ。
もちろん金髪碧眼! 合格だッ!
頭にティアラも着けている。きっと姫に違いない!
俺は平和的かつ紳士的に、彼女と接すると誓おう!
「やあ、なにがあったのかな?」
「じつは森に魔物が! 国や動物たちが……!」
見れば森の中には魔物が溢れ、動物さんたちが逃げ惑っている!
おのれ魔物め! 許せん!
「よし、下がっていなさい。君に平和な世界をプレゼントしよう!」
「え? よくわかりませんけど、お願いします!」
彼女が俺の後ろに隠れたのを確認し、聖剣バルドリオンを抜き放つ!
さあ平和の時間だ! はじめよう!
「平和的森林破壊――ッ!」
俺はバルドリオンに力を込め、光の刃で魔物どもを薙ぎ払った!
刀身から長く伸びた光が、高出力レーザーの如く森を焼き払う!
これこそが勇者の奥義・平和的森林破壊だ!
ああ、ご心配なく。動物さんは無事だ!
勇者の力は弱きものを傷つけない!
当然、魔物どもは全滅だ!
平和の使者たる勇者は、悪に容赦してはならんのだ!
「森が……!? 国が……! あなた、なんということを!」
焼け野原となった森を見て、エルフ姫が俺を睨みつけてきた!
他人に労働をやらせた後に、この態度! なんという掌返しだ!
だが俺は、彼女に〝平和的に接する〟と誓ってしまった。
勇者は決して嘘をつかない!
「森林復活魔法。使えるな?」
「なっ……!? なぜその魔法を! それは我々だけの秘密……」
俺の言葉にエルフ姫は、明らかな動揺をみせている!
「そのような魔法がありながら『もうすぐ森林資源が無くなる!』とデマを流し、不当に材木の値段を吊り上げているな?」
「ああっ……! そんなことは……」
「それどころか! この国は世界中から、森林保護費の名目で利権を」
「――そっ、それは皆様の善意でぇ……。あはは……」
エルフ姫の視線が泳ぎ、冷や汗が流れている。
よし、もう一押しだ!
「嘘を言うな! 動物さんたちも見ているぞ!」
「ううっ、ごめんなさいーっ! 使います! 使いますから……! どうか、これ以上は責めないでぇ……!」
彼女は泣きながら手を合わせ、懺悔の言葉を述べはじめた。
しかと言うべきことは言う! 平和には厳しさも必要だ!
「森林復活魔法――!」
エルフ姫の魔法が発動し、目の前の焼け野原が一瞬で大森林へと復活した!
しかし魔法の負担が大きすぎたのか、彼女は膝から頽れる。
もちろん紳士な俺は、しっかりと彼女を抱きとめたぞ!
「あっ……、すみません。魔力を使いすぎてしまいました……」
「安心しなさい。俺の魔力をわけてあげよう」
俺はジェントルな声で言い、特別な魔法の準備に取りかかる。
「えっ!? ちょっ……。それは……待っ――!」
「愛と平和の遭遇――!」
◇ ◇ ◇
翌朝――。小鳥のさえずりで目覚めた俺は、ゆっくりと森林に起き上がる。
あの魔法は、俺にも負担がでかい!
気づけば次の日になってしまったようだ!
「あの……。やはり行ってしまわれるのですか? 私……」
「ああ。すまない。人々が勇者を――いや、平和な世界を待っているのだ」
恋する乙女のような顔で言う彼女に、俺は親指を立てて歯を見せる。
森に巣食う魔物と悪しき利権国家は滅び、この地に平和が訪れたのだ!
「さらばだ! 森の平和を頼んだぜ?」
「はい、勇者さま……。どうかお気をつけて……!」
彼女と動物さんたちに見送られながら、俺はスッキリとした気分でシエル大森林をあとにした!
まだまだ勇者の使命は続く! さあ! 次の平和を、世界へ届けにゆこう――!
エリア2:シエル大森林 【平和完了!】
ここはエルフの国が在るという森だ! 助けが必要に違いない!
勇者は能動的に行動する! それが基本だ!
「お願いです! 勇者さま! どうかお助け下さい!」
森の奥に進もうとした矢先、美しい女エルフが出てきたぞ。
もちろん金髪碧眼! 合格だッ!
頭にティアラも着けている。きっと姫に違いない!
俺は平和的かつ紳士的に、彼女と接すると誓おう!
「やあ、なにがあったのかな?」
「じつは森に魔物が! 国や動物たちが……!」
見れば森の中には魔物が溢れ、動物さんたちが逃げ惑っている!
おのれ魔物め! 許せん!
「よし、下がっていなさい。君に平和な世界をプレゼントしよう!」
「え? よくわかりませんけど、お願いします!」
彼女が俺の後ろに隠れたのを確認し、聖剣バルドリオンを抜き放つ!
さあ平和の時間だ! はじめよう!
「平和的森林破壊――ッ!」
俺はバルドリオンに力を込め、光の刃で魔物どもを薙ぎ払った!
刀身から長く伸びた光が、高出力レーザーの如く森を焼き払う!
これこそが勇者の奥義・平和的森林破壊だ!
ああ、ご心配なく。動物さんは無事だ!
勇者の力は弱きものを傷つけない!
当然、魔物どもは全滅だ!
平和の使者たる勇者は、悪に容赦してはならんのだ!
「森が……!? 国が……! あなた、なんということを!」
焼け野原となった森を見て、エルフ姫が俺を睨みつけてきた!
他人に労働をやらせた後に、この態度! なんという掌返しだ!
だが俺は、彼女に〝平和的に接する〟と誓ってしまった。
勇者は決して嘘をつかない!
「森林復活魔法。使えるな?」
「なっ……!? なぜその魔法を! それは我々だけの秘密……」
俺の言葉にエルフ姫は、明らかな動揺をみせている!
「そのような魔法がありながら『もうすぐ森林資源が無くなる!』とデマを流し、不当に材木の値段を吊り上げているな?」
「ああっ……! そんなことは……」
「それどころか! この国は世界中から、森林保護費の名目で利権を」
「――そっ、それは皆様の善意でぇ……。あはは……」
エルフ姫の視線が泳ぎ、冷や汗が流れている。
よし、もう一押しだ!
「嘘を言うな! 動物さんたちも見ているぞ!」
「ううっ、ごめんなさいーっ! 使います! 使いますから……! どうか、これ以上は責めないでぇ……!」
彼女は泣きながら手を合わせ、懺悔の言葉を述べはじめた。
しかと言うべきことは言う! 平和には厳しさも必要だ!
「森林復活魔法――!」
エルフ姫の魔法が発動し、目の前の焼け野原が一瞬で大森林へと復活した!
しかし魔法の負担が大きすぎたのか、彼女は膝から頽れる。
もちろん紳士な俺は、しっかりと彼女を抱きとめたぞ!
「あっ……、すみません。魔力を使いすぎてしまいました……」
「安心しなさい。俺の魔力をわけてあげよう」
俺はジェントルな声で言い、特別な魔法の準備に取りかかる。
「えっ!? ちょっ……。それは……待っ――!」
「愛と平和の遭遇――!」
◇ ◇ ◇
翌朝――。小鳥のさえずりで目覚めた俺は、ゆっくりと森林に起き上がる。
あの魔法は、俺にも負担がでかい!
気づけば次の日になってしまったようだ!
「あの……。やはり行ってしまわれるのですか? 私……」
「ああ。すまない。人々が勇者を――いや、平和な世界を待っているのだ」
恋する乙女のような顔で言う彼女に、俺は親指を立てて歯を見せる。
森に巣食う魔物と悪しき利権国家は滅び、この地に平和が訪れたのだ!
「さらばだ! 森の平和を頼んだぜ?」
「はい、勇者さま……。どうかお気をつけて……!」
彼女と動物さんたちに見送られながら、俺はスッキリとした気分でシエル大森林をあとにした!
まだまだ勇者の使命は続く! さあ! 次の平和を、世界へ届けにゆこう――!
エリア2:シエル大森林 【平和完了!】
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
真世界へと駆け抜ける風
幸崎 亮
ファンタジー
突如として〝終了〟を宣告された異世界・ミストリアス。
これはそんな終わりゆく世界の、最後の戦いの記憶。
<全5話・1万字(ルビ符号除く)>
【登場人物紹介】
アクセル・マークスター:
相棒グリードと共に盗賊稼業を行なっていた男。
最低限の礼儀は弁えており、風の魔法を得意とする。
グリード:
口が悪く、風の魔法に並々ならぬ執着を持つお調子者。
相棒アクセルと共に、変な名前の盗賊団を率いていた。
レクシィ:
魔王ヴァルナスを討つべく、討伐隊に加わった美しいエルフ族の女性。
ヴァルナスとは恋人関係にあったようだ。
ヴァルナス:
魔王として知られる男。恐るべき魔王軍を率いている。
世界消滅の危機に際してもなお他国を制圧すべく、各地へ侵攻を開始した。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
滅びゆく世界と創世の神々
幸崎 亮
ファンタジー
〝ある異世界の行く末。その植民世界は〝真世界〟たり得るのか?〟
ただ一つの大陸のみが残された、異世界ミストルティア。
偉大なる神々によって創生された、この〝植民世界〟は、今や消滅の危機に瀕していた。
その原因の一端となったのが、ラグナス魔王国によるフレスト聖王国への侵攻だ。
そして敢えなく聖王は討たれ、聖なる玉座は魔王の手に陥ちた。
この危機に際し、聖王国の天才神官長である〝バルド・ダンディ〟は時を操る力を秘める、〝時の宝珠〟を発動させる。これこそが聖王国と世界を救う、たったひとつだけの希望。
この瞬間――。
植民世界ミストルティアの命運は、彼の選択に委ねられた。
<全4話・1万文字(ルビ符号を除く)>
【登場人物紹介】
バルド・ダンディ:
フレスト聖王国に仕える神官長。
若くして要職に上りつめた、天才的な男。
ナナ・ロキシス:
ラグナス王国出身の若い女性。明るく天真爛漫な性格。
交換留学生として、フレスト聖王国を訪れていた。
イスルド:
ナナの恋人。フレスト聖王国の新米騎士。
誰に対しても好意的に接する。人あたりの良い好青年。
ウル・ロキス・ラグナス:
ラグナス王国の第一王子。
実妹である第二王女との結婚が決まり、晴れて王位継承者となった。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる