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A Midsummer Night's Dream

紅茶の幻惑

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-頑固な人には、自ら招いた難儀がいちばんよい教師になる-

チャイとクリームシャンティを食べながら、ゆっくりと思考を回す。いつものやつ。違う行動って、なんか苦手なんだ。

店主と雑談。今日は特に他にお客様がいなかった。

携帯でHPを見ながら、今回のやらかした話をしている。
何故かチャリティーコンサートの方が追加公演席があると記載されていた。

「せっかくだから、抽選に応募してみたら?」と言われた。

いや、マジで音楽に興味ないし、そもそもチャリティーとは無縁にも程がある。チャリティー募るならそいつらのバイト代、赤十字に入れりゃいいだろ「人にたかんな」である。

と言い返したんだが、店主曰く「なんか、行った方がいい気がする。気分転換兼ねていいのでは?」らしい。よくわからないが、珍しく押してきた。

はっきり正直によくわからないし、俺には理解できない。だが、なんか行った方がいいらしい。何故かわからないが、俺はその時、そう思ってしまった。

抽選だし当たらないだろ。だからプラチナチケットなんだし。
まあ、とりあえずその場で抽選申し込みをしてしまったんだ。

え?なんで?って?どうしてその場でできるんだよ?って?

エンタメもサブカルも興味ないのに、応募アプリとか持ってんのかよって俺も思っていた。

チケット申し込みのアカウントなんて「だりーし」今から作るのも嫌だなと思っていた。
本音を言えば、この「音楽家」をどうやっても好きになれない。

何かに導かれるように開いたチケット予約のHP。遠い昔、10年以上前に作ったローソンチケットのアカウントが生きていた。

そしてずっと引き継いできたからか、パスワードが記録されたまま携帯機体内にあった。

抽選予約がその場で終わった。
よくわからないまま。

そう、その後、本当の苦悩と後悔が始まることを知らずに。
温かい紅茶の香りで、幻惑に眼が霞んでしまったように。

俺は1人踊り始めた。崖の上で。
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