Guys with the Dragon Tattoo

Coppélia

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8月 1919

第42話、Where were you in '2016?

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◯京都・西本願寺・御影堂(昼)
 大阪にある輸入代理店と打ち合わせ後に日本観光をしており、相棒のリクエストで西本願寺の御影堂の中、仏像の前の畳に座っている。

相棒「ここがあの本の舞台か」
俺「お前、あの小説好きだよな」
相棒「大学時代、あの小説と和製ジャズがリバイバルブームだった」
俺「お前からしか聞いたことない」
相棒「まあ、大学違うからね。そっちでは何流行ってたの?」
俺「確か、ネオクラシック。テクノとクラシックの融合したやつ。丁度、電子楽器でオーケストラを再現しようって頃」
相棒「ああ、あれか。まあ、此処も別宗教の僕たちが入れるし、結局のところ、(仏像を指しながら)本質的なものを保持し、本質的でないことはチャレンジして、本質そのものを変えていくことで進化するってことかもね」

俺、相棒を見つめる

相棒「(俺を見つめて)なに?」
俺「本質が変わったら、同じだって言えるのか?」
相棒「それそのものは別物だと思うよ?仏教って神様いっぱいでしょ?でも、解決したい目的が同じなら、同じロードマップにいる別アプローチとして捉えられるんじゃないかな?世界平和を色んな宗教や人が祈って、行動してるんだから」
俺「それが正しいなんてわからないのに?」
相棒「(笑って)それこそ僕らは神様じゃない。だから全力でもがくんだ。僕たちの行いが裁かれるのは、僕らが死んでからさ」

◯東京・西麻布・ウイスキーが揃っているレストラン(夜)
 虎ノ門で有名な豆大福を買いに行ったときに出会った男から聞いたおすすめの店で夕飯を取る。

相棒「(少ししょげてる)すまない。夕飯作るの失敗して」
俺「気にすんな。せっかくだから外で食べんのも全然有りだし」
相棒「ありがとう。ここ、良さげだね。食事、楽しみだな」
ウェイター「ありがとうございます。アペリティフと夏野菜のカナッペです」
相棒「ありがとう」
俺「昼に豆大福食べてからだから腹減った」
ウェイター「では、簡単な前菜を一品お作りしましょうか?」
相棒「ああ、それはいい。お願いします」

◯同・レストラン(夜)
 チーズを食べながら食後を楽しんでいる。

相棒「今回の旅は上手くいってよかった」
俺「(うなづく)ああ」
相棒「いつもありがとう。真面目に妹と結婚しない?」
俺「しない。あいつ彼氏いるだろ?」
相棒「え?嘘?あいつ、てっきりお前が好きだとばっかり」
俺「(呆れたように)いつの話だよ」
相棒「もうさ、返しきれないんだよ。僕はお前に貰ってばっかりだから」
俺「あん?」
相棒「お前が親父に恩があるのはわかるよ?僕がおじさんを気に入ったからがきっかけなのも。だけどさ、それだけなんだよ。(どこか泣き出しそうに)一緒にいてくれる理由がないんだ。僕の方が貰いすぎで」
俺N「あの禁書には幸福を貪り尽くすネズミは困窮と悲惨によって作られるとある、そして」
俺「あのさ。(指で文字を書きながら)日本人から聞いたけど「日本語の人という字は人と人が支え合って作られている」らしい。俺さ、恩とか感謝は自分が忘れなければいいんじゃないかな?たぶん、俺たちもお互い様なのかもな」
相棒「そうだといいな」
俺「たぶんな。というか、妹で返すなよ。それに、お前の飯、嫌いじゃない」
相棒「(渋々と)朝食はスクランブルエッグとスープでいいかい?」
俺「(歯を見せて)楽しみにしている」
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