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第十一話 頭取さんのご家族
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三度目の原稿受け取りの日、渡された原稿用紙を見て、いくつか筆跡の違う文字が書かれているのに気がついた。見た感じ、校正チェックではなさそうだ。これはどう見ても子供が書いた文字。しかも一人ではない。
「これ、どうされたんですか?」
ピンク色で大きく「あゆみ」と書かれた場所を指でさした。
「ああ、それか。昨日、見舞いに来た孫達がね。本に自分達が出てくるか気になるらしくて、そこに自分を出せと言ってきかないんだ」
そう言いながら、困ったように笑う小此木さんの顔は、すっかりお爺ちゃんの顔だ。
「じゃあ、他の場所にある文字も、そのリクエストなんですか?」
パラパラとめくると、あちらこちらに名前が書かれている。だがそれぞれ赴任先のことが書かれた箇所で、当時うまれていたお子さんならともかく、お孫さん達の登場の余地はなさそうだ。
「孫達には申し訳ないが、具体的に彼らが出てくることはないと思うんだがね」
「それはお孫さん達もがっかりですね。内容にもよりますが、お孫さんを含めた家族写真を入れますか? お孫さんは……三人、四人、ですか。入れるとしたら、集合写真になりますが」
見たところ、書かれている名前は四人だ。
「文字を書ける子に限ってはね。あと二人いるよ」
「お孫さんが六人」
「うち、子供だけで四人いるのよ。だから一度に集まると大変なの。ここが特別室で良かったわ」
奥様が笑った。私は顔を合わせたことはなかったが、安達さんの話によると、小此木さんの家族は何日かおきに、ここに顔を出しているらしい。
「全員、登場させないと大変なことになりそうですね」
「そこまで書いたら、一体どんな回顧録になるやらだよ」
「今まで書いた部分を、大幅に圧縮するという手もありますよ?」
「いやはや、それは大変だ。誰のために書いているのか、分からなくなってきたな」
小此木さんが困ったもんだと笑った。笑っている小此木さんは、最初に挨拶をした時と変わらず、見た目はお元気そうだ。あえて言うなら、少し痩せただろうか?と感じる程度だった。この病気では痩せていくことが多いそうだが、小此木さんの場合、それは病気のせいというより、病院食のおかげでもあるらしい。
「回顧録の表紙に使う写真、家族写真にしますか?」
「年に一度、家族写真は撮っているけれど、ちょっと多すぎよね?」
「人数がなあ……」
聞いたところによると、お子さんが四人。そのうち既婚が三人で、それぞれの配偶者と子供を入れると十三人。小此木さんご夫妻を足すと、総勢十五人。さすがに表紙にするには人数が多すぎる。
「ただ、写真があれば、お孫さん達は喜ぶと思いますけどね」
「回顧録ってそんな写真かい?」
「いえ。たいていは本人一人の写真ですね」
「だろう? 使う写真に関しては、もうちょっと待ってくれるかな?」
「わかりました」
表紙のデザインもだいたい固まり、紙質も決まった。ページ数もだいたいの目星がついた。あとは小此木さんが書き進めるのを待つだけだ。当然のことながら、編集長おすすめの派手派手しい装丁案はボツになった。
そこで病室のドアがノックされた。
「小此木さん、回診の時間ですよ」
入ってきたのは看護師さんと白衣を着た男性。私は初めてだったが、どうやらこの人が、小此木さんの主治医のようだ。思っていたより、ずいぶんと若い先生だった。
「ああ、羽織屋さん。紹介しておくよ、僕の主治医の野上先生だ。野上さん、こちらは、いま書いている回顧録の担当をしてくれている、光栄出版の羽織屋さん」
紹介されたのでお互いに頭をさげる。
「どうも、はじめまして。あの、失礼したほうが良さそうですので、これで」
手術の話もあるだろうと察し、外に出ることにした。一緒に来た安達さんは、本社からの電話が入ったので話をするために部屋を出ていた。おそらく詰め所の近くにいるだろうから、問題なく合流できるはずだ。だが小此木さんも奥様も、いやいやと首を横に振って私を手招きする。
「もう大事な話は終わっているよ」
「すみませんね。いつもだと回診は晩御飯のあとなんですが、たまたま時間ができたものですから。私のほうこそ、あらためましょうか?」
主治医の言葉にも、小此木さんと奥様はいやいやと首を横に振った。
「そんな気をつかわなくても。せっかくなんだから、ゆっくりしていけば良いでしょう?」
奥様の言葉に「ん?」となる。これはまさか? そして小此木さんが、にこにこしながら言葉を続ける。
「ところで羽織屋さん、こちらの先生、独身だそうだよ。どうかな?」
「え? なんのことでしょう」
まさかの予感的中。元気になる前に来たー!と心の中で叫びつつ、ポーカーフェイスを意識的に作る。
「ん? ほら、こういう出会いも、あるんじゃないかなって思うんだけど」
「あー、そういうことですか。すみません、今のところ間に合っていますので……」
ニコニコしながら首を横に振る。安達さんから話を聞いておいてよかった。そうでなかったら大慌てだ。
「おや、間に合っているのか。それは残念だ」
その表情は本気で残念がっている。ちなみに、私に特定の相手がいるわけではない。今のところはその気がないという意味で、間に合っているというだけだ。
「小此木さん、そういう話は手術が終わってからですよ。今は治療のことだけを考えてください」
先生も笑いながらたしなめた。
「まったく。ここにいるだけで三人も独身がいるというのに、三人ともその気がないとは。世の中は一体、どうなっているのやら」
小此木さんご夫妻と安達さんは既婚者だ。ということは、その三人とは私と看護師さん、そして主治医の先生ということらしい。
「最近は晩婚が流行りですからね。今は三十代四十代で初婚の人も、珍しくないんですよ」
「そういうものなのかねえ。時代は変わったもんだ。ま、うちも息子が一人まだ片づいていないんだ、あまり偉そうなことは言えないか。あ、羽織屋さん、うちの息子なんだけどね?」
「ですから、間に合ってますので!」
「そうかい?」
まったく油断も隙もあったものではない。これからも要注意だ。
「別にドラ息子ってわけじゃないんだよ?」
「小此木さんと奥様を見いてたら、そうでないことはわかります。ただ私が、間に合っていますという話なだけですよ」
「そうかー」
本当に残念そうだ。看護師さんが血圧を測り終え、カルテに数値を書き込んだ。それを見た先生は満足げにうなづく。
「血圧も正常範囲ですし、問題はなさそうですね。とても良い状態で手術にのぞめそうですよ」
「それは病院食のおかげかな。家内も気をつけてくれていたし、私も不摂生をしているつもりはなかったが、ここにきて良い意味で体が軽くなったようだ」
「こっそり食べているチョコレートについては、知らないことにしておきます。つまみ食いはほどほどに」
「すみません。それは私のせいですね」
今日も差し入れのチョコレート菓子を、奥様に渡したばかりだった。
「食べすぎなければ問題ありませんよ。特に小此木さんはいま、執筆活動をしていて、頭をフル回転させていらっしゃいますからね。脳って、わりとエネルギーを使うんですよ」
「へえ……そういうものなんですか」
そう言えば加茂先生や他の作家先生がたも、締め切り後には甘いものが食べたいとよく言っている。単なる嗜好の問題ではなく、ちゃんと生物学的な根拠があったのだ。
「ところで手術の当日は、ご家族の皆さんはお越しになるんですか?」
「それぞれ仕事や家庭のことがあるのだから、無理に来なくてもいいとは言ってあるんだけどね。どうせ来ても、廊下かここでウロウロするだけなんだから」
「昨日の時点では、急な用事がない限り顔を出すと言っていたわね」
それを聞いて安心した。ご家族が一緒ならば、奥様も心強いに違いない。
「手術が終わって落ち着いたら、表紙のラフ案をお持ちしますね。印刷の色も見ていただきたいので」
「楽しみにしているよ。これの返却はその時で良いかな? それとも安達に届けさせようか?」
小此木さんが校正返しの束を軽くたたく。
「特に急いではいませんので、次にうかがう時でかまいませんよ」
「順調に進んでいるようですね」
先生と看護師さんが、興味深げに校正返しの束を見下ろした。
「小此木さん、なかなかの文才をお持ちなんですよ。他にも仕事を依頼したいとうちの編集長が」
「仕事として書くのと自分の趣味で書くのとでは、頭を使う部分がまったく違うんだよ。今は書くのがとても楽しくてね。仕事としては受けられそうにないな」
「それは残念です」
「あらためて言っておきますが、無理だけはしないように」
先生が真面目な顔をして、私達の会話に言葉をはさみこむ。
「承知していますよ、先生。チョコレートのつまみ食いも、そろそろひかえないといけませんからね」
小此木さんは、にこにこしながらそう言った。
「これ、どうされたんですか?」
ピンク色で大きく「あゆみ」と書かれた場所を指でさした。
「ああ、それか。昨日、見舞いに来た孫達がね。本に自分達が出てくるか気になるらしくて、そこに自分を出せと言ってきかないんだ」
そう言いながら、困ったように笑う小此木さんの顔は、すっかりお爺ちゃんの顔だ。
「じゃあ、他の場所にある文字も、そのリクエストなんですか?」
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「それはお孫さん達もがっかりですね。内容にもよりますが、お孫さんを含めた家族写真を入れますか? お孫さんは……三人、四人、ですか。入れるとしたら、集合写真になりますが」
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「お孫さんが六人」
「うち、子供だけで四人いるのよ。だから一度に集まると大変なの。ここが特別室で良かったわ」
奥様が笑った。私は顔を合わせたことはなかったが、安達さんの話によると、小此木さんの家族は何日かおきに、ここに顔を出しているらしい。
「全員、登場させないと大変なことになりそうですね」
「そこまで書いたら、一体どんな回顧録になるやらだよ」
「今まで書いた部分を、大幅に圧縮するという手もありますよ?」
「いやはや、それは大変だ。誰のために書いているのか、分からなくなってきたな」
小此木さんが困ったもんだと笑った。笑っている小此木さんは、最初に挨拶をした時と変わらず、見た目はお元気そうだ。あえて言うなら、少し痩せただろうか?と感じる程度だった。この病気では痩せていくことが多いそうだが、小此木さんの場合、それは病気のせいというより、病院食のおかげでもあるらしい。
「回顧録の表紙に使う写真、家族写真にしますか?」
「年に一度、家族写真は撮っているけれど、ちょっと多すぎよね?」
「人数がなあ……」
聞いたところによると、お子さんが四人。そのうち既婚が三人で、それぞれの配偶者と子供を入れると十三人。小此木さんご夫妻を足すと、総勢十五人。さすがに表紙にするには人数が多すぎる。
「ただ、写真があれば、お孫さん達は喜ぶと思いますけどね」
「回顧録ってそんな写真かい?」
「いえ。たいていは本人一人の写真ですね」
「だろう? 使う写真に関しては、もうちょっと待ってくれるかな?」
「わかりました」
表紙のデザインもだいたい固まり、紙質も決まった。ページ数もだいたいの目星がついた。あとは小此木さんが書き進めるのを待つだけだ。当然のことながら、編集長おすすめの派手派手しい装丁案はボツになった。
そこで病室のドアがノックされた。
「小此木さん、回診の時間ですよ」
入ってきたのは看護師さんと白衣を着た男性。私は初めてだったが、どうやらこの人が、小此木さんの主治医のようだ。思っていたより、ずいぶんと若い先生だった。
「ああ、羽織屋さん。紹介しておくよ、僕の主治医の野上先生だ。野上さん、こちらは、いま書いている回顧録の担当をしてくれている、光栄出版の羽織屋さん」
紹介されたのでお互いに頭をさげる。
「どうも、はじめまして。あの、失礼したほうが良さそうですので、これで」
手術の話もあるだろうと察し、外に出ることにした。一緒に来た安達さんは、本社からの電話が入ったので話をするために部屋を出ていた。おそらく詰め所の近くにいるだろうから、問題なく合流できるはずだ。だが小此木さんも奥様も、いやいやと首を横に振って私を手招きする。
「もう大事な話は終わっているよ」
「すみませんね。いつもだと回診は晩御飯のあとなんですが、たまたま時間ができたものですから。私のほうこそ、あらためましょうか?」
主治医の言葉にも、小此木さんと奥様はいやいやと首を横に振った。
「そんな気をつかわなくても。せっかくなんだから、ゆっくりしていけば良いでしょう?」
奥様の言葉に「ん?」となる。これはまさか? そして小此木さんが、にこにこしながら言葉を続ける。
「ところで羽織屋さん、こちらの先生、独身だそうだよ。どうかな?」
「え? なんのことでしょう」
まさかの予感的中。元気になる前に来たー!と心の中で叫びつつ、ポーカーフェイスを意識的に作る。
「ん? ほら、こういう出会いも、あるんじゃないかなって思うんだけど」
「あー、そういうことですか。すみません、今のところ間に合っていますので……」
ニコニコしながら首を横に振る。安達さんから話を聞いておいてよかった。そうでなかったら大慌てだ。
「おや、間に合っているのか。それは残念だ」
その表情は本気で残念がっている。ちなみに、私に特定の相手がいるわけではない。今のところはその気がないという意味で、間に合っているというだけだ。
「小此木さん、そういう話は手術が終わってからですよ。今は治療のことだけを考えてください」
先生も笑いながらたしなめた。
「まったく。ここにいるだけで三人も独身がいるというのに、三人ともその気がないとは。世の中は一体、どうなっているのやら」
小此木さんご夫妻と安達さんは既婚者だ。ということは、その三人とは私と看護師さん、そして主治医の先生ということらしい。
「最近は晩婚が流行りですからね。今は三十代四十代で初婚の人も、珍しくないんですよ」
「そういうものなのかねえ。時代は変わったもんだ。ま、うちも息子が一人まだ片づいていないんだ、あまり偉そうなことは言えないか。あ、羽織屋さん、うちの息子なんだけどね?」
「ですから、間に合ってますので!」
「そうかい?」
まったく油断も隙もあったものではない。これからも要注意だ。
「別にドラ息子ってわけじゃないんだよ?」
「小此木さんと奥様を見いてたら、そうでないことはわかります。ただ私が、間に合っていますという話なだけですよ」
「そうかー」
本当に残念そうだ。看護師さんが血圧を測り終え、カルテに数値を書き込んだ。それを見た先生は満足げにうなづく。
「血圧も正常範囲ですし、問題はなさそうですね。とても良い状態で手術にのぞめそうですよ」
「それは病院食のおかげかな。家内も気をつけてくれていたし、私も不摂生をしているつもりはなかったが、ここにきて良い意味で体が軽くなったようだ」
「こっそり食べているチョコレートについては、知らないことにしておきます。つまみ食いはほどほどに」
「すみません。それは私のせいですね」
今日も差し入れのチョコレート菓子を、奥様に渡したばかりだった。
「食べすぎなければ問題ありませんよ。特に小此木さんはいま、執筆活動をしていて、頭をフル回転させていらっしゃいますからね。脳って、わりとエネルギーを使うんですよ」
「へえ……そういうものなんですか」
そう言えば加茂先生や他の作家先生がたも、締め切り後には甘いものが食べたいとよく言っている。単なる嗜好の問題ではなく、ちゃんと生物学的な根拠があったのだ。
「ところで手術の当日は、ご家族の皆さんはお越しになるんですか?」
「それぞれ仕事や家庭のことがあるのだから、無理に来なくてもいいとは言ってあるんだけどね。どうせ来ても、廊下かここでウロウロするだけなんだから」
「昨日の時点では、急な用事がない限り顔を出すと言っていたわね」
それを聞いて安心した。ご家族が一緒ならば、奥様も心強いに違いない。
「手術が終わって落ち着いたら、表紙のラフ案をお持ちしますね。印刷の色も見ていただきたいので」
「楽しみにしているよ。これの返却はその時で良いかな? それとも安達に届けさせようか?」
小此木さんが校正返しの束を軽くたたく。
「特に急いではいませんので、次にうかがう時でかまいませんよ」
「順調に進んでいるようですね」
先生と看護師さんが、興味深げに校正返しの束を見下ろした。
「小此木さん、なかなかの文才をお持ちなんですよ。他にも仕事を依頼したいとうちの編集長が」
「仕事として書くのと自分の趣味で書くのとでは、頭を使う部分がまったく違うんだよ。今は書くのがとても楽しくてね。仕事としては受けられそうにないな」
「それは残念です」
「あらためて言っておきますが、無理だけはしないように」
先生が真面目な顔をして、私達の会話に言葉をはさみこむ。
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